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フラットフィールド株式会社代表取締役 加藤雅彦氏

今回は、フラットフィールド株式会社の代表取締役の加藤雅彦(かとうまさひこ)氏にインタビューを行いました。

 

加藤氏は1次産業、2次産業、3次産業を統合し、農林漁業が加工や流通、販売まで行う6次化産業を、持ち前の販売力を活かしながらプロデュース。生産者に寄り添った活動を続けています。

 

加藤氏の仕事の内容や想い、現在の仕事に就くまでの道のりや今後の展望まで、今回詳しく伺うことができました。ぜひ最後までお読みください。

 

フラットフィールド株式会社 会社概要

会社名称 フラットフィールド株式会社
代表者 代表取締役 加藤雅彦(かとうまさひこ)
主な事業 6次化産業プランナーとしての派遣、調査、ヒヤリング
会社所在地 〒547-0011 大阪府大阪市平野区長吉出戸3-2-45-517
会社HP https://flatfield.online/

 

まずは事業内容について教えてください

主に食品業界のブランディング戦略や販路開拓、販売代行をさせていただいております。

それと同時に農水省の推奨事業である6次産業化のプランナーもしています。

 

1次産業である農業や林業、水産業が、加工の2次産業、販売などのサービスが3次産業になるんですが、この「123」の掛け算で6次産業と言います。

凄くシンプルな話をすると、例えば農家の方が①苺を生産していて、②これを加工し③どこかで販売する、この「123を全部やれば収益が上がるよね?」というのが農水省の考え方です。

 

基本的な考え方はそうですが、農家の方に「自分たちでブランディングして売りに行きなさい」と言って、我々みたいなプランナーがちゃんとアドバイスしたとしても、その程度でうまくいくとは正直思っていません。

生産のプロ、加工のプロ、販売のプロといったプロ同士が集まって、一緒の方向に向かって商品をプロデュースしていくのが一番良いというのが基本的な考えです。

私は、3次産業の販売のプロです。しかし、どうすれば良い農産物が作れるのか?

どうすれば美味しい料理になるのか? はわかりません。

やはり、【餅は餅屋】です。ちょっと教わった程度ではプロの足元に及びません。

だから、一流のプロが一つのチームで入口から出口までの戦略を考えるのです。

これが掛け算の意味だと思っています。

6次産業化のほとんど失敗例は出口戦略の設計が出来ていない事にあります。

自分はこの根本的な課題を解決する為、販路開拓やブランディング戦略を行うのです。

 

農家にとっても、販売までのプロセスや営業的な活動をしていただけるのは心強いですね

この戦略設計に基づいて出口戦略が出来ていないと、絵に描いた餅になってしまいます。

弊社が他社と大きく違うのは、私はこの点だと思っています。

 

一次産業の現場に行くと、「この人たち、こんなに大変なことをしているのに、これだけのお金にしかならないの!?」と目を疑うような現実があるんですよね。

以前、阪神百貨店内の水産会社に勤めていたんですが、「漁師さんが命がけで獲ってきた魚を我々流通業者が買い叩いている為、厳しい生活をされている事を知りました。

それまで、買い叩く事が自分の仕事だと教えられて来た為、こうした現実に目を向ける事も

ありませんでした。

それからは【買い叩くのではなく、生産者側も儲かる、自分たちも儲かる】そのためには

どうやって付加価値を上げるか?ということを考えてブランディングをして販売したら、気が付くと行列ができてメディアが取材に来るようになり、カリスマバイヤーなどと呼ばれる様になっていたんです。

 

2011年の東日本大震災の後、水産業界は港が津波で破壊され、放射能の風評被害もあり

非常に厳しい状況になっていました。

こんな状況下で大阪湾でシラスの水揚げは大漁でした。当時しらすの浜値は1㎏200円くらいでした。もちろんその価格では漁師さんの収入としては不十分ですし、「逆に獲れば獲るほど相場が下がって困っているなんとか、ならんか?」と相談されました。

ちょっと業界的な話になるんですが、ちりめんじゃこや釜揚げしらすの販売は同業他社である塩干売場の領域なんですね。

だから我々がシラスを販売する為には生で売るしかないないんです。

しかし、生で販売する為には雑菌検査に合格する必要があります。それが百貨店です!

そしてある装置を船に装着する事でこの課題は解決し検査に合格」したのです。

そして、メディア戦略を行い「百貨店初!朝獲れ生しらす漁師直送便」とメディアにリリースしたんです。そうすると、テレビ取材が入り連日行列が出来る大ヒット商品となりました。

私の中では「250gで400円、1㎏当たり1,600円なら売れる」というのが見込みであったので、漁師さんに「仕入れ値を600円で」という話をしたんです。漁師さんからしてみたら、200円で今まで売っていたのが600円になるわけじゃないですか。「600円で買ってくれるの!?」って感じです。

みんながWin-Winになって、私は成功して誇らしい気持ちでいたのですが、社長にひどく叱責されました。

「お前、浜値がいくらか知ってて仕入れているんか? お前は会社に利益をもたらすのが仕事やろ! 今すぐ行って値切ってこい!」と責め立てられました。

しかし私は「そんなことはできません。漁師さんと一緒に積み上げた結果なんだから・・・」と答えて喧嘩になったんですね。

結局これが原因で辞めることになり、独立して魚の販売をすることにしました。

 

そこから起業まではスムーズにいきましたか?

いわゆる妨害が結構ありましたね。もともといた業界での起業ですし、喧嘩して辞めた形なので。最初のうちは凄く苦しみました。

 

私がバイヤーとしてやっていた頃、1店舗の年商が40億を超えていたんですよ。

自分で言うのもあれですが、魚屋で1店舗の年商が40億超えるってまあまあ凄いことなんです。そのおかげで私も業界内でも凄く注目され、全国から視察も来ていたし、ちょっと天狗になっていた部分もありました。「俺には実力があるから独立しても大丈夫」だと。でもそんなに甘くはなくて、起業した後は「いや、申し訳ないですけど、加藤さんと取引すると何を言われるか分からないので…」「加藤さんとは付き合えなくて……」とやんわり断られる事ばかりでしたね。

 

その苦難をどのように乗り越えたのでしょうか?

地道にというか、コツコツ頑張っていたら一部の水産会社が「加藤さんのところに卸す」と手を取ってくれたんです。

私自身、商品の販売能力はそれなりに高かいという自負もあったので、取引してもらえさえしたら、満足していただける自信はありました。

 

起業後、どういった経緯で6次化産業のプランナーになったのでしょうか?

阪神百貨店にいた時、多くの生産者に喜んでいただけました。

自分の経験を活かせばもっと幅広く社会に貢献出来るかも?と思い応募しました。

面接の際に魚屋時代の実績や経験、そして想いをそのままお伝えした所プランナーに

選ばれたんです。

 

プランナーになる方の多くは中小企業診断士等いわゆる士業の方が多いんですけど、

私にはこうした肩書などはありませんでしたが実績だけが評価されたようです。

 

私がプランナーとして行う事は販路開拓が主な業務です。

「製品化する為に設備投資をしましょう!」なんて話はありません。

今、生産者の目の前にある商品をどこに売るか?誰に売るか?です。

だから成果は直ぐに現れるんですね。

そしたら、「すごく良いコンサルタントがいる」みたいな感じで生産者間で話題になって。行政、商工会議所の人たちから「あの人に頼んだら何とかしてくれる」という評判が広がって、2018年派遣回数が285回になったんです。この年の派遣回数は日本一でしたね。

 

今後の展望について教えてください

今注力しているのが人財教育です。私が教えるのはマニュアルではなく、考え方ですね。

 

以前から講師のようなこともやってはいましたが、今はオンラインでもできるようになったので基本的にはオンラインでやっています。

オンラインなので海外の方ともお話しできますし、個人の方や会社として複数人で参加される方もいても構わない。そんな感じで気楽にやっています。

 

加藤氏がおすすめの本はこちら!

『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』 スティーブン・R.コヴィー (著)

全世界で3,000万部読まれているビジネス書のベストセラー。

加藤氏も会社を退職し、今後のことを模索していた中に読んでいたそう。

 

成功体験や失敗体験が、本に記されている「原則」を読むことで腑に落ちて、考えの方向性が決まったという加藤氏。人生哲学の名著として多くの世代から親しまれ続けている本書、ぜひ一度手に取ってみてください。

Amazon URL:www.amazon.co.jp/dp/B00KFB5DJC

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!