今回は、株式会社ポジティブ・キャリア、多胡敦史氏にお話を伺ってきました。
これから日本を担っていく若い世代の人材育成に取り組んでおられます。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!
株式会社ポジティブ・キャリア 会社概要
会社名称 | 株式会社ポジティブ・キャリア |
代表者 | 代表取締役 多胡敦史(たご あつし) |
設立 | 2018年12月3日 |
主な事業 | 1.新卒・中途採用コンサルティング 2.企業内研修・人財開発、組織活性化支援 3.人財紹介(有料職業紹介事業) |
会社所在地 | 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ8階 クリエイティブラウンジ MOV |
会社HP | https://posica.jp/ |
まず、多胡さんは学生時代どのように過ごされていましたか?
高校までは強豪校のバスケ部でキャプテンをしていて、部活オンリーの学生生活を送っていました。
将来、大きな橋やダムをつくりたいと思って理系の土木学科を目指しましたが、希望の大学には行けませんでした。それで、大学生時代は授業に行かず遊びまくっていたんですが、唯一バイトだけは真剣に取り組んでいました。そのバイト先が人材会社のテンプスタッフ株式会社だったんです。
それでは、現在の株式会社ポジティブ・キャリアを立ち上げるまでの経緯を教えてください。
社会人1社目は、大学時代からバイトをしていたテンプスタッフでした。
東京・丸の内で総合商社や大手メーカーを担当していたので、大きな会社の組織に関する知見を広めることができました。当時それほどメジャーではなかった人材派遣や紹介エージェントを活用していただくよう、クライアントの人事・採用担当者へアローチする法人営業です。
1社目で営業と人材ビジネスの基礎を学ぶことができました。
2社目は、フランクリン・コヴィー・ジャパン株式会社でした。人材開発やリーダー育成の領域で、クライアントの研修担当者向けにリーダーシップ研修や組織づくりの提案をしていました。
『7つの習慣』という非常に有名で人気の研修プログラムがありまして、それをお客様に導入していただくためには、できるだけプロダクトアウトにならないように、ニーズや課題を聞きながら、どう育成体系を組み立てるかを4年間学びました。
2社でトータル10年間、人と組織の領域について経験を積めたことが自信になりました。
前職は、株式会社ローソンに10年強在籍していました。外部からサービスを提供するだけのコンサルタントでは机上の空論で終わってしまう危機感を感じ、事業会社の人事部で現場感のある仕事に就きたいと思っての転職でした。
ローソンには、ローソンクルーというアルバイトが当時、全国に20万人いらっしゃいました。1万店舗以上の加盟店オーナーさんに向け、その採用や育成の仕組みをつくり、アドバイスをしていくという、とても大きな仕事を入社当初に担当しました。
その後人事部に在籍し、新卒と中途採用の責任者、研修カリキュラムを自分でつくって講師をしたり、組織文化づくりの全社責任者も担当していました。
例えば、トップメッセージをどう伝えるか、社内のコミュニケーションをどう活性化させるかなどです。みなが活き活き働く元気なローソンをつくろうというのが私のミッションでした。
その3社の経験を経て、株式会社ポジティブ・キャリアを立ち上げました。
もともと若い頃から起業したいという思いはありましたか?
実は、起業したいという思いは全くありませんでした。
私は20年間サラリーマンをしてきましたが、とにかく組織が好きでした。特に中間管理職が魅力でした。
トップはトップで大事ですし、メンバーも大事なんですけど、間に挟まれる人間がどのように立ち振る舞うかで組織や会社は大きく変わると思っています。ですから、一見板挟みだけど会社のエンジンでもある中間管理職に大きなやりがいを感じていました。
ですがそれと同時に、次のステップに行きたい欲求が出てきたのも40歳の頃でした。最初は転職が頭に浮かんだのですが、どこかの会社の何かのサービスを提供するのではなくて、自分の力でお客様の役に立ちたいという思いが沸々と湧いてきました。多胡オリジナルでお客様に貢献して、「多胡さんありがとう」と言われたいという欲求が出てきたんです。
とても怖かったですし、本当にどうなるかわからず悩みに悩みましたが、退職半年前に起業を決心しました。
改めまして、株式会社ポジティブ・キャリアの事業内容を教えてください。
主な事業は二つです。
一つ目が採用支援です。
中小企業だとなかなか採用が難しい、もしくは大手だと若い担当ばかりで戦略や交渉に長けた経験者がいないという各社ごとの課題があります。そこをプロの採用コンサルタントとしてアドバイザー的な形で企業を支援するというのが、一つのメイン事業です。
二つ目が次世代リーダーの育成です。
具体的には、入社数年目から部長手前くらいの若手育成を、クライアントの人事や人材開発担当者と相談しながらつくり上げていきます。
例えば、新任管理職を半年間で育成するプログラム、1on1やワークショップのファシリテーション、自分でプログラムをつくって研修講師も担当しています。教えるコーチ役というよりは、人が育つ環境をつくることが当社の役目と考えています。
社名の「ポジティブ・キャリア」は、ポジティブにキャリアを切り開きたいと願う人を応援したい気持ちから名付けました。
なので、会社の全員が一律に受ける研修や経営層だけのプログラムとかではなくて、若手や次世代のリーダーを輩出していくというのが事業の主なミッションになっています。
今までどんなことに苦労しましたか?
採用にせよ育成にせよ苦労している点は、コンサルタントとしての立ち位置です。現時点でも常に葛藤しながら従事しています。
簡単に言うと、コンサルタントというのは外部の人間で、アドバイスするのが役割ではあるけど、社内の人間ではないので全責任を負うわけではない。とはいえ、ただ口を出すだけだと信用してもらえない。価値がない。どこまで会社に入り込んで一緒に取り組むかが、とても難しいんです。
もっと関わってほしい、厳しくやってほしいと言われる会社もありました。社外のプロのコンサルタントとして、どういう関わり方がベストなのか非常に悩ましいところではあります。
そのことについて、どのように対処されてきましたか?
最初に、「多胡はこういう考え方で、こういうやり方や、関わり方をします。なので、○○は強みですが、□□なデメリットがあるかもしれません」と最初に正直に伝えるようにしています。ボタンの掛け違いがないように、そこはすごく大事にしています。
具体的に、採用支援でクライアントの担当者とどのような関り方をしているかを少しお話ししますね。
私は一方的な指摘やアドバイスをするだけではなく、新人を育てる上司の立場で接しています。コンサルテーションというより、育成担当のイメージでしょうか。
なので、名刺には「特命採用係長」というフレーズがあり、係長くらいの近しい距離感で一緒になって仕事をします。
これは前職ローソンでの経験が役に立っています。メンバーを育成する際に「あれやれ、これやれ」と指示するだけでは人は育ちませんよね。
例えば、何かを企画する際に「どうやったらいいと思う?」と考えさせて、提案内容について「いいね。でも、ここは足りないんじゃないの?」というアドバイスをしていました。
コンサルタントも同じで、「あれやれ、これやれ」ではなくて、「どうやったらいいと思うか?」をトコトン考えさせながらやらせるというのが私のスタンスです。なぜなら、採用は外部の力でやるものではなく、自分達で責任をもって「一緒に働く仲間を集う行為」だからです。プロにすべてお任せしたい、丸投げしたいというご依頼は一切お受けしていません。
また、特徴的なのは、直接的な業務以外にも仕事の仕方に関して、例えば、外部のパートナーとの付き合い方、社内の企画や予算の通し方、誰に根回しをしてどの会議でどういう言い方をすれば周りが賛同してくれるのか、といったこともよく相談に乗っています。
ですので、理想は数年で役目を終え、クライアントを卒業するのが本来ある姿だと思っています。
現在の会社としての課題はありますか?
若手のリーダー育成にもっと特化して、そこの経験値をもっと積んで事業を拡大していきたいと考えています。
そのためには時間も人手も足りないので、パートナーを増やして協業していけたらと思っています。
最後に未来の展望や夢を教えてください。
次世代を担う若手が活躍する機会にもっと積極的に介入して、次の日本をつくることに貢献したいという思いが強いです。
人材育成に関わるとは言いつつも、一方で私は、「人は簡単に育てられるものではない」とも考えています。
例えば、研修やスクール等で教え込んで育てるというような単純なものではなくて、「人が育つ環境を用意してあげることが大事で、あとはその人の意志で人は勝手に育つ」とも思っているんです。
だから、20、30代がワンステップ、ツーステップさらに登るための機会や情報を提供したり、もしくはそういう修羅場を体験させたりすることが、われわれ40、50代の役目だと考えています。
そういうものを一つずつ形づくっていくのが私の使命だと思っていますし、そういう会社でありたいと思っています。
多胡さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!
『優れたリーダーは、なぜ「立ち止まる」のか――自分と周囲の潜在能力を引き出す法則』 ケヴィン・キャッシュマン(著)、樋口武志(翻訳) 100人以上のリーダーとの対話から生まれた先の見えない時代を生き抜くリーダーシップ論。
いま、あらゆる物事が高速化し、複雑さを増している時代。リーダーたちは変化の波に対抗しようとして「即決しなければ」という焦りにとらわれています。しかし、そのようなときこそ、あえて一度立ち止まり、勇気をもって一歩引き、現実を見つめることで新しい道をひらく、ということを世界のリーダーは実践しています。
○自己認識を築き、目的を明確にする。 ○新しいアイデアを探求する。 ○挑戦するリスクをとる。 ○問いかけ、耳を傾け、統合する。 ○内外の現状を疑う。
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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