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株式会社Nextwel代表取締役 日野信輔氏

今回は、株式会社Nextwel代表取締役、日野信輔氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!

株式会社Nextwel 会社概要

会社名称 株式会社Nextwel
代表者 代表取締役 日野信輔
設立 2017年5月
主な事業 障がい者支援事業
メディア事業
Webマーケティングコンサルティング事業
Web制作事業
会社所在地 〒210-0007
神奈川県川崎市川崎区駅前本町11-2 川崎フロンティアビル4階
会社HP https://nextwel.co.jp/
https://welserch.com/(福祉のwebメディア)

まずは御社の事業内容について教えてください。

2017年5月に設立した株式会社Nextwelは、『障がい福祉事業』と『webマーケティング事業』の2軸で運営しております。

障がい福祉事業の内容に関しては主に、福祉の情報サイトの運営。さらに、提携している全国約3000名の障がい者の方たちに仕事をご提供することです。
ご提供する仕事内容としては、主に在宅でできるIT系の仕事が多いですね。NPOなどでマネタイズが難しいところからのご相談を受け、一緒に事業を作るような伴走支援もしています。

webマーケティング事業の内容としては、いろんな企業や業界のマーケティングのサポートをさせていただきながら、福祉との接点作りをしています。
「人を雇うまでではないがお願いしたい仕事」というのが、どこの企業にも大体あるので、それを弊社で請け負って障がい者チームに提供し、最終的には障がい者雇用につなげられるような仕組み作りをしています。一般企業と福祉との、橋渡しの役割をしているようなイメージです。

また、障がい者にまつわるコミュニティーもいくつか運営しております。例えば、生きづらさを抱えている方が情報交換できる場を作ったり、「親なきあと」問題を一緒に解決していく親御さん向けのコミュニティなどがあります。
このようなコミュニティーは基本、当事者や親御さんは無料で参加できます。
集客はwebメディアやSNSから問い合わせがあったり、イベントなどを通じて行っています。

 

学生時代から、社会人を経て起業し、現在に至るまでのお話を聞かせてください。

学生時代はずっと野球をしていました。野球を引退してから熱中できることがなくなり、学生の勢いで何百人単位という経営者の方々に話を聞きました。
そこで、障がい者雇用をしている経営者の方と話す機会があり、障がい者を取り巻く社会の現状を知りました。障がいを持って働く人の平均月収が¥15,000いかないとか。
「障がい者を雇わなければいけない」という法で定められた雇用率があるのに、実際に達成している企業が半分もなかったりとか。
知り合いに、障がいがある方がいる家庭があり、大変さはなんとなく耳には入っておりました。でも、障がい者を取り巻く社会の現状を知り、「親がいなくなったときどうしたら良いんだろう?」と思ったことが、福祉に関する活動を始めた最初のきっかけです。

そんな時に、たまたまご紹介いただいた「いい会社」を研究している坂本光司教授のオープン講座を受けて「日本にはこんなにたくさん“いい会社”があるのか」と衝撃を受けました。本当にいい会社は従業員が満足していることはもちろん、地域住民や関わる人たちみんながその存在を認めています。そして、社会的弱者の方でも働きやすい環境を作っているんです。そこで自分も、そういう“いい会社”を作りたいと思うようになり、この事業でやっていくことを決意しました。
昔から「起業したい」という思いがあったわけではありません。たくさんの起業家の話を聞くようになってから、起業してみたいと思うようになりましたね。

新卒での就職先は、ベンチャー企業での営業でした。そこで仕事をしながら福祉の場にも顔を出していました。仕事が忙しくなり福祉関係のことが疎かになっていた頃、小学校からの親友が亡くなりました。このことが「自分がやりたいこと」を振り返るきっかけになりました。「興味のあった福祉関係のことをやろう!」と決心し、就職してから半年後に退社しました。
ベンチャー企業を退社後、マネタイズできるようになるためアフィリエイトなど、webマーケティング周りのことを始めました。またこの期間に、NPO法人で福祉のことを学ばせてもらいました。そうしてある程度マネタイズできるようになってから、福祉とITを絡めた仕事を運営していくために株式会社Nextwelを創業しました。

 

これまでに苦労されたことを教えてください。

福祉業界は補助金ベースのビジネスモデルが多いんです。例えば、施設運営をしている場合、“利用者がこれだけ通って来たら、これだけ国から補助がある“というもの。弊社はそれを一切やっていないので、マネタイズの部分で苦労しました。
NPOや当事者の方には、強い思いがあります。でもお金を払ってまでコンサルを依頼する予算がないところが多いのが現状です。そういった悩みやニーズを汲み取りながら、いかにマネタイズしていくか。このことに当時はすごく悩みました。
実は業務内容を福祉関係一本にし、webマーケティングはやめようと思っていたんです。でも福祉だけでのマネタイズは難しいと体感しました。
さらにある経営者の方から『福祉とマーケティングは全く違うからこそ、接点作りができるのは君の会社だけだよ』と言われたんです。
確かにマーケティング事業は、福祉以外の業界から問い合わせが来ます。その時に、問い合わせ企業に「障がい者チームはこういうことができるんです」と伝えると、福祉のことを知っていただけることになります。それで、2軸での事業展開をすることにしたんです。

 

そのような苦労をどのように乗り越えたのでしょうか?

とにかく苦労したのはマネタイズの部分。そこを乗り越えるために、福祉のニーズと、企業の悩みが合致する点を重要視しました。
例えば、障がいがある方の中には、「静かな場所で暮らしたい」というニーズがあります。でも一般的に人気なのは駅の近くの物件で、駅から離れた静かな場所は空き家になりがちだったりします。これは不動産の課題と、福祉のニーズがうまく合致する良い例です。
意外なところでニーズが合致し、お互い満足する結果になることも多いです。こうして福祉と企業、それぞれの課題をクリアしながらうまくマネタイズできることを知ったんです。それが、苦労を乗り越えられた理由です。

 

御社としての現在の課題を教えてください。

神奈川県が重点支援する社会課題解決型ベンチャー企業に選んでいただき『webのアクセシビリティを整える』という事業をやっています。
アクセシビリティとは簡単に言いますと、障がいがあっても高齢者でも、誰もが見やすいサイト作りをするという概念です。でもこの言葉自体の認知度が低いんですよね。障がい者のような社会的弱者と言われるような人でも、価値のあるものが生み出せるということをもっと知ってもらいたい。そういうことを知る機会が少ないのは、課題として感じています。

障がい者が使いやすいということは、健常者にとっても使いやすくなるんです。1つ事例をお伝えすると、色の明度などを対比する「コントラスト比」です。

実は、1つ目と3つ目は、弱視の方や低視力高齢者の方は見えないのです。このような障がい者だからこそ気づける使いにくさを明確化し、それを整えて解消することで、みんなにとって使いやすいサイトになったりします。
他には障がい者の“できる力“の認知度を高めることと、企業の障がい者雇用を高めることは課題だと思っています。雇用の際、お互いのことを知らないからこそミスマッチが起こり、定着に繋がらなかったりするので。障がい者と企業がお互いを知るための、架け橋になることはやっていきたいと考えています。

 

今後の展望や夢を教えてください。

障がいがある方は支援される側として見られてしまうことが多いですが、何かしらの才能や特化した部分があるんです。その部分がうまく発揮できるような働き方が、どの会社でもできるような仕組みや環境作りをしたいですね。
障がい者が働きやすいということは、健常者も働きやすい環境なんです。障がい者だからこそできる部分を活かし、障がい者の声を聞き、誰もが働きやすくて過ごしやすい環境を作りたいです。

障がい者を雇用するのはちょっと難しいのでは…と思ってしまう方も多いと思いますが、障がいの特性を理解すれば一般の人たちと変わらずに仕事をすることが可能です。人材不足の解消にも繋がります。例えば、福祉の制度で『施設外就労』というものがあるのですが、これは支援者と当事者何名かでチームを組んで企業へ働きに行く仕組みです。このように、障がい者雇用のノウハウがなくても実際にできるような枠組みもあるので、トライアルとして利用することもできます。
障がい者の働ける環境を作ることにより、自社の生産性もアップしたりするだけでなく、助成金も入ってくる流れにもなります。社会に向けても、障がい者に対して前向きな姿勢を見せることができます。会社にとっても障がい者を雇用することはメリットであることを、意識していただきたいと思います。

 

日野さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!

『日本でいちばん大切にしたい会社』 坂本光司(著)

本書の第1部で、著者は「会社経営とは『5人に対する使命と責任』を果たすための活動」であるとして、経営の目的を以下の5つに定めています。

1 社員とその家族を幸せにする 2 外注先・下請企業の社員を幸せにする 3 顧客を幸せにする 4 地域社会を幸せに、活性化させる 5 株主を幸せにする 多くの経営書では、会社は株主のものである、と書いています。

第2部では、そのことを実証する「日本でいちばん大切にしたい会社」が登場します。

心を打つ、胸にしみる現実のストーリーです。 働くことの意味、会社という存在の意味を深く教えてくれる、必読の1冊です。

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!