今回は、株式会社ダイオーズ、大久保真一氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!
株式会社ダイオーズ 会社概要
会社名称 | 株式会社ダイオーズ |
代表者 | 代表取締役社長 大久保真一(おおくぼしんいち) |
設立 | 1969年6月 |
主な事業 | 【国内部門】 ・日本国内におけるパイオニアとしての事業所向けコーヒーサービス事業 ・数種類のお茶やコーヒーやお水を1台のマシンで提供できるティーサービス事業 ・世界中で最も安全・安心な水、「ピュアウォーター」のボトルウォーターサービス事業 ・玄関マット、清掃モップ等、空間除菌、環境衛生商品の定期的な交換及び、サービスの提供を行うクリーンケア事業 ・熟練された技術を持ったFCオーナー自らが定期清掃サービスを提供する ダイオーズカバーオール事業【米国部門】 ・西海岸1位、全米3位の規模を誇る米国オフィスサービス事業【アジア部門】 ・アジア・ASEAN地域に展開する飲料サービス事業 |
社員数 | 1258名(取材時) |
会社所在地 | 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-7-12 丸の内サピアタワー14階 |
会社HP | https://www.daiohs.com |
まずは、大久保社長のご経歴から教えていただけますでしょうか?
大学時代は全日本学生写真連盟の委員長として全国を訪問し、卒業後、広告会社に入社し営業、企画マーケティングの仕事を担当しました。
広告会社時代、当時、通商産業省(現・経済産業省)が、海外の流通で成功している欧米企業のトップを日本に招いてセミナーを開催し、私はいつも最前列で参加しておりました。聞けば聞くほど海外の最先端の流通を自分の目で見て、学んでみたいという気持ちが強くなり、さまざまな準備を経て、ついに1967年に流通研修のため単身で海外に出発したのです。
そして、働きながら流通を学ぶという2年間に及ぶ欧米での研修を経て、帰国後1969年に家業の米店に入り「有限会社米屋おおくぼ」としてスタートしました。
もともと家業は継ぐ予定だったんですか?
私は一人息子なので、父としては長男である私に当然のように跡を継がせたいと思っておりました。しかしながら、私自身が高校、大学と進み、そして広告会社に入り、しかも流通にも夢中になっていたので、父は半ば諦めていたと思います。
26歳で海外に行くことになったときに、私はすでに結婚して子どももいたので、どうしても妻子を預かってもらう必要があったんです。そこで「帰ってきたら日本一の米屋にする」という約束を前提に、父は妻子の面倒をみることを引き受けてくれました。
だから、どうすれば“日本一の米屋”にできるか? を欧米に行っている間もずっと考えていました。
欧米に行くためにどんな準備をしましたか?
その頃の日本は非常に貧しくて、円が1ドル360円の時代、円をドルに換えることができるのは500ドルが上限でした。そういう時代でしたので、どうすればお金を使わないで世界中を勉強して回れるかを考えました。
一つは、海外で研修しながら収入を得ること。二つ目は、ホームステイをすることでした。
研修しながら収入を得ることに関しては、通商産業省が毎年2回セミナーで日本に招いた欧米の経営者の方々に徹底的に自分を売り込みました。帰国後も手紙を出して何度も連絡をしていくうちに、海外で働きながら研修するチャンスを確保できました。ホームステイに関しては、世界的なホームステイの組織に入ることができ、私が日本にいる間に、外国人の方を自宅に引き受け、私も海外ではホームステイをすることができるようになりました。
帰国後、米屋を日本一にするために取り組んだことは何ですか?
米屋はお米を売る商売と考えるとどうしても限界があるんです。当時は、食糧管理法というのがあって、お米屋さんとお客様は全部登録制でした。食糧庁の下に米屋の組織があって、それぞれの米屋にはお客様が登録されているのです。自店である「米屋おおくぼ」のお客様は、自分のところで100%お米を買っていただけるのですが、他のお店のお客様には全く手出しできないのです。ですから、自分のお客様にいくら100%お米を売ったとしても、この仕組みでは日本一の米屋にはなれません。
そこで、どうすれば日本一になれるかをずっと考えた結果、お米屋さんが持つ「御用聞き」と「配達」という機能を活かした事業を行うことを考え、「配達スーパー」を始めました。今でいうネットスーパーのようなものかもしれません。
当時は、買い物というと、みんな徒歩か自転車でしたので、重い物やかさばる物を買って帰るのは大変だったんです。特にお醤油や油は、ガラス製の一升瓶に入っていたので、とても重く、扱い方によっては割れてしまうのです。
そういうものをお客様から事前に注文を取り、スーパーと同じ値段でお宅までお届けするのです。そうするとお客様から大変喜ばれました。
その後、ダスキンさんのフランチャイズに加盟されたのはなぜですか?
重い物やかさばる物だけでは、スーパーの目玉商品とどうしてもぶつかってしまうんです。そうすると利益が取れないので、どうすれば差別化できるかを考えました。
スーパーが扱わないもので、お客様に説明する必要がある商品をと考え、そこで取り扱いを始めた商品の一つが、ダスキンさんの「化学ぞうきん」でした。水のいらない「化学ぞうきん」はお客様の間でも話題となりました。
その後、ダスキンさんの事業をさらに拡げるにはお米屋のお客様だけだとどうしても限界があります。そこで目をつけたのが業務用市場でした。お米のお客様の個人宅ではなく会社を対象にダスキンさんの商品を売っていこうと考えたんです。
その頃、ダスキンさんは、業務用商品に力を入れていませんでした。業務用は製販直結の競合他社と価格競争ではどうしても負けてしまうわけです。ですから、業務用にはあまり力を入れていなかったのです。そんな中で、私自身が自ら営業をしてみると、やりようによっては業務用も拡販できるということがわかったので、私どもはBtoBの業務用の分野でクリーンケア事業を積極的に展開していきました。
クリーンケア事業を展開していく中で、大変だったことは何ですか?
一番大変だったのは、どのようにお客様に商品を知ってもらうかでした。当時はダスキンさんといえども知名度がなかったので、人材を集めようと思ってもいい人が来ませんでした。そこで考えたのが、学生さんをアルバイトで採用するという方法でした。
学生さんが働きたい春休みとか夏休みに集中して、学生向けアルバイト誌に募集広告を載せました。しかも頑張れば、当時のアルバイト代相場の2倍以上の給料が取れる仕組みで募集したんです。そうすると、優秀な学生さんがたくさん集まったので、そういう方々にどんどん営業をしてもらいました。ダスキンさんの仕事というのは、お客様と契約後、定期的に商品の交換が必要になります。よって、新しいお客様が増えれば増えるほど定期的に商品の交換をする人材が必要になるんです。
これも集まった優秀な学生さんに、「週に1日でいいからアルバイトをやらない? こんな高給になるよ」と口説くのです。配達しながらお客様を紹介してもらうと、通常のアルバイト代の2倍以上の収入を得られる仕組みも作りました。すると、どんどん優秀な人が集まってきて、新規のお客様獲得と顧客維持の両方で力をつけることができました。
さらに、優秀な学生さんが学校を卒業する頃に「うちの会社はこんなに伸びているんだから、一緒にやらないか?」と口説くと、10人中1人は「わかりました」と言って入社してくれました。そのようにして人材を積み重ねていきました。
その後、クリーンケア事業は順調にいきましたか?
当時、ダスキンさんの代理店は約2,000社ほどありましたが、その中で日本一になりました。
日本一になった後は、若い社員に大きな夢を与え、次の目標を掲げるため「今度は自分たちがフランチャイズの本部になるような、新しい事業をやろう」ということになりました。
ダスキンさんの事業の良さは、積み上げビジネスであることです。そしてダイオーズが業務用市場で成功した理由は、新しいニーズを開発したからです。
そこで、新しいニーズを先取りするような商品、事業を考えた抜いた結果、かつて欧米での流通研修のときに見かけた、「オフィスでのコーヒーサービス」を日本でチャレンジしようとなったのです。
欧米ではオフィスで本格的なレギュラーコーヒーを飲むのが当たり前でしたが、その頃、日本のオフィスといえば、お茶が当たり前で、せいぜいインスタントコーヒーや喫茶店から出前をとってコーヒーを飲む時代でしたが、ちょうどその頃「マクドナルド」をはじめ海外の外食がどんどん入ってくるようになり、銀座のマクドナルド一号店では、若い人たちが行列をなすほどでした。日本でもいずれは職場で本格的なレギュラーコーヒーを飲む時代が必ず来ると思ったんです。
そして、日本に持ち込むために本場アメリカに行きノウハウを学び、1977年に、日本初のオフィスコーヒーサービス事業を開始しました。
改めて株式会社ダイオーズの事業内容を教えていただけますか?
当社は、創業から50年以上にわたり、一貫してBtoBの継続サービス事業領域に特化し、さまざまな事業所向けサービスを通じて、働きやすい環境づくりに挑戦してきました。
現在ダイオーズは、国内事業と海外事業に分かれ、国内事業は「飲料サービス」と「環境衛生サービス」の二つの柱があります。
具体的な事業内容として、まず国内部門の飲料サービスは、パイオニアとしての「事業所向けコーヒーサービス事業」、数種類のお茶やコーヒーを1台のマシンで提供できる「ティーサービス事業」、世界中で最も安全・安心な水であるピュアウォーターの「ボトルウォーターサービス事業」などがあります。
環境衛生サービスでは、玄関マット、清掃モップ等、環境衛生商品の定期的な交換及び、サービスの提供を行う「クリーンケア事業」、癒し空間を演出する「グリーンレンタル事業」、そして熟練された技術を持ったFCオーナー自らが定期清掃サービスを提供する「ダイオーズカバーオール事業」などを展開しております。
コロナ禍のなか、特に大きく注文を集めたのが環境衛生関連商品で、なかでもウイルス除去では高評価の空間除菌サービス「ナノシード」がお客様から大きな支持をいただいております。
また、海外部門においては、米国において、西海岸1位、全米3位の規模を誇る米国オフィスサービス事業を展開しており、2019年からはカナダにも進出いたしました。
また、アジア・ASEAN地域においても、中国・韓国・香港・台湾・シンガポール・マレーシアにて飲料サービス事業を展開しております。
ビジネスを展開する上で、大久保さんが大切にしていることは何ですか?
一つ目は、BtoBに特化することです。
二つ目は、お客様と継続する必然性のある事業を行うことです。
例えば、水のサービスであれば、私どもはペットボトルに入った水をワンウェイで売ることはしません。私どもは業務用のウォーターサーバーをお貸し出しし、その機器のメンテナンスをしながら、定期的にガロンボトルに入ったお水を納品し、空ボトルは回収してリユースをさせていただきます。
三つ目は、新しいニーズを先取りして、新しいマーケットを創造するということです。
コロナの時代に合わせた現在のニーズで言うと、オフィスに社員が戻りつつあるなか、社員の皆さんが「出社して良かった」と思っていただくため、戻りたくなる職場づくりがとても重要になります。飲料サービスでも、環境衛生サービスにしても、そうした新しい時代に合った商品のニーズが拡大しています。社会環境が変化すれば、お客様のニーズも変わります。今、求められているニーズを先取りすることが重要です。
今までにどんなご苦労がありましたか?
今まで苦労を苦労だと思ったことがないんです。私自身はそういったこともすべてチャレンジだと思っています。
例えば、釣りでなかなか釣れなかったら、どうすれば釣れるかを考えるし、ゴルフがうまくできなければ、どうすれば上手になるかを考えます。同じように、ビジネスでも苦労ではなく「どうすればうまくいくか」のチャレンジだと思っています、
お陰様でダイオーズの国内事業は創業以来53年間赤字を出したことはありません。
苦労を苦労と思わない秘訣というのは何でしょうか?
まずは健康管理が一番重要だと思います。自分が病気になるとどうしても弱気になりますし、気力もなくなりますよね。常に健康管理を大事にして、いかに自分がいつもポジティブに考えられるような仕組みをつくるか、これは昔からずっと心掛けています。
まず、第一にコンスタントな運動です。私はどんなときでも1日最低1万歩、平均1万5千歩を歩いています。
それから暴飲暴食をせずに、朝昼晩の三度の食事を必ずきちんと取ります。睡眠も大切です。私は早寝・早起きで、夜は9時前に寝て、朝は3時に起きるんです。世界中どこに行っても、365日、この習慣を守っています。その甲斐あってこれまで大きな病気にかかったこともありません。
最後に未来の展望、夢を教えていただけますか?
前期の連結売上は約280億の予想です。東証プライム上場企業としてダイオーズは2026年3月期、売上385億円、税前利益28億円を予想しています。そのために、「BtoB」[継続の必然性]「新しいマーケットの創造」というダイオーズが大切にする三つのことをしっかり守り、そして活かしながら、これからもさらにグローバル企業としてチャレンジしていきたいと思っています。
大久保さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!
『何でも見てやろう』 小田 実(著)
若さと知性と勇気にみちた体当り世界紀行。 留学生時代の著者が、笑顔とバイタリティーで欧米・アジア22ヶ国を貧乏旅行して、先進国の病根から後進国の凄惨な貧困まで、ハラにこたえた現実を、見たまま感じたままに書いたベスト&ロングセラーの快著。 Amazon URL:https://amzn.to/3v10s6R |
投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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