
今回は株式会社ストリーム代表取締役社長、市村智樹氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
| 会社名称 | 株式会社ストリーム |
| 代表者 | 市村智樹 |
| 設立 | 1999年7月23日 |
| 主な事業 | インターネット通販事業、ビューティー&ヘルスケア事業、各種販売支援事業等 |
| 社員数 | 連結126名 単体80名(2026年1月末) |
| 会社所在地 | 東京都港区新橋六丁目17番21号 住友不動産御成門駅前ビル5階 |
| 会社HP | https://www.stream-jp.com/ |
御社の事業内容と、他社にはない強みについて教えてください
当社のメイン事業は、家電を中心としたEC通販です。
強みとして真っ先に挙げられるのが、EC運営に必要なシステムを自社で保有し、運用していることです。
EC事業者の多くは、外部のシステム会社と契約してサービスを運営しています。ただ、この方法だと何か変更したいときに手間がかかります。
クライアント側としては、まず依頼を出して、相手から工数や費用の見積もりが返ってきて、それをもとに社内で稟議を通して……と、時間もコストも相当かかってしまうんですね。
当社の場合、システムは社内にあります。何か対応が必要になれば、社内のシステム部門に直接伝えればいい。余計な手続きが不要な分、動きが速いんです。これが一番の強みだと思っています。
EC業界は変化が激しく、対応スピードが競争力に直結します。1999年の創業時にEC事業を始めて以来、この自社システムの体制をずっと続けてきました。お客様の声や現場の意見を可能な限り早く反映できるこの「速く動ける仕組み」が、当社の根幹にある強みだと思っています。
弊社の事業の詳細についてはこちらをご覧ください。
https://www.stream-jp.com/
ここからは市村社長ご自身のことについてお伺いします。学生時代に打ち込んでいたことを教えてください
地元・福岡の高校生のとき、夜テレビでジャッキー・チェンの映画を観たのがきっかけで、アクション俳優を目指すようになりました。私はブルース・リー世代ではあるんですが、正直そこまで感動した記憶がなくて。でもジャッキー・チェンのアクションを観たときは「なんじゃこりゃ!」と、本当に衝撃を受けました。
その勢いで、アクション系のプロダクションのオーディションを受けたんです。約300名の応募者の中から9名合格という狭き門でしたが、なぜか通ってしまって。
そこでの一番の思い出は、黒澤明監督の映画『乱』に出演できたことです。CGがほぼない時代に、非常に多くの馬や大勢の人が動く大がかりな作品で、今でも記憶に残っています。
その後、ある空手団体からスカウトを受けました。最初は「試合で戦うなんて無理です」と断っていたんですが、何度も誘われて(笑)。思い出にと一度試合に出てみたら、アクションで身についた動きを体が覚えていて派手な技が受けたのか、試合後にはサインを求める列ができるくらい盛り上がりました。
それをきっかけに、空手に本格的にのめり込んでいきました。
大学に入ってすぐ、デビューすると同時に自ら空手道場も開きました。空手の経験はほとんどないのに道場を開くというので、親にはものすごく反対されました。それでもなぜか自信だけはあって(笑)。
その後、本部道場の指導も任されるようになり、週に5回ほど指導を行いながら残りの時間は自分のトレーニングという毎日でした。大学在学中は、「大学の仲間と楽しく遊びたい」という気持ちもどこかにありましたが、大学生活はほぼ格闘家に費やしたと言ってもいいかもしれません。
また、道場運営を通じて、生徒を集め、教え、収益を上げるという経験もしました。今思えば、商売の基本を学生のうちに自然と学んでいたんだと思います。
4年生になって進路を考えたとき、格闘技で世界を目指すには体格の壁があると感じました。当時やっていた空手はボクシングのような細かい体重別階級がなく、体の大きい選手が有利な世界だったので、就職に切り替えることにしました。
ちょうど地元・福岡に日本一の家電量販店があると知って。それがベスト電器でした。受験してみたら採用してもらえて、そのまま入社することになりました。道場は、その後知人に引き継ぎました。
ベスト電器への入社から株式会社ストリームの代表になるまでのキャリアを教えてください
私自身は、その当時上昇志向が強くて、入社初日から配属された店の店長に、「係長になるにはどうすればいいですか?」と聞いたんです。「君、変わってるね」と言われましたが(笑)。
昇格するには会社への貢献が必要だと言われたので、まずは結果を出そうと考えました。当時、ベスト電器では日本信販(現・三菱UFJニコス)等との提携カードの会員獲得キャンペーンをやっていて、新入社員たちは新規会員を獲得するようにハッパをかけられていました。私としては、自分一人の力だけでは限界があると思い、親戚や知人だけでなく、ちょうどそのときに営業で来られていた方々にも協力をお願いするなど、とにかく行動しました。その結果、新入社員の中でもトップクラスの成績を残すことができました。すると、本社の方にも顔を覚えてもらえて、さらに学生時代のアクション系の経歴もあったので、写真を撮られてリクルート用のパンフレットに載ったこともありましたね。
入社3年で係長、その後フロア長になり、27歳で本社の商品部に異動しました。商品部は花形部署で社内でも経験豊富な人ばかりが集まる部署でした。最初は何でもやらされましたが、必死に仕事を覚えて業務を行っていくうちに「これは市村じゃないとわからない」と言っていただけるようになり、新入社員や店長の教育も任されるようになりました。
商品部での一番の思い出は、20代でエアコン担当を任されたことです。本来は部長や次長クラスが担当することも多い重要なカテゴリーで、夏場は2〜3ヶ月ほぼ休みがないほど忙しい毎日でした。久しぶりに自宅に帰ったら子供に「こんにちは」と言われたくらいです(笑)。
その後、課長・次長と昇進し、ベスト電器がさくらやを買収したタイミングで、事業の立て直しのため取締役として東京に赴任しました。福岡育ちの自分には、東京の商談スタイルやスピード感は大きな刺激であり、多くの学びを得た経験でした。
東京に来て1年ほど経ったとき、今度はベスト電器と株式会社ストリームが資本・業務提携を行ったことをきっかけに、役員として株式会社ストリームに赴任しました。当時は事業拡大に向けてさまざまな取り組みに携わり、今でも当時の成果を覚えてくれている社員がいることは嬉しく思っています。
ストリームで約3年間役員を務めた後、ベスト電器へ戻り商品部長を担当しました。ところがその直後、経営環境の変化に伴いヤマダ電機への吸収合併について、新聞で報道されて初めてそれを知るという状況になりました。そして、ヤマダ電機の本社に異動になりましたが、本当にやりたい仕事や挑戦したいことを改めて考え、1年で退職し新たな道を選ぶことにしました。
ちょうどそのタイミングで、当時のストリームの経営陣から「化粧品を扱う子会社のエックスワンを手伝ってほしい」と声をかけていただきました。渡りに船だと思って引き受け、管理本部長兼社長室長として入社し、その後、営業本部長、代表取締役社長を務めました。
エックスワンで約7年間経営に携わった後、株式会社電響社を経て、昨年ストリームから再び声をかけていただき、代表取締役社長として戻ってきた、というのが今に至る流れです。
「この経験があったから今の自分がいる」と思えるエピソードはありますか?
一言で言うと、「みんなが嫌がることを全部やってきた」ということに尽きますね。
さくらやの立て直しもそうですし、ヤマダ電機への異動もそうでした。周りから見ても大変だと思われるようなポジションを任されることが多くて…(笑)。でも今となっては、その経験が全部自分の糧になっています。今でも社員によく言うんですが、「めんどくさいことをたくさんやった人が一番成長する」というのは、本当にそうだと思っています。楽な仕事ばかりしていても成長は限られますし、誰もやりたがらない仕事の中にこそ学びがあると感じています。
キャリアを振り返ると、ベスト電器では郊外の大型店舗を経験し、その後さくらやでは駅前型店舗の運営を経験しました。同じ家電量販でも、郊外店と駅前店では商売のやり方やお客様のニーズがまるで違う。その違いを肌で感じることができたのは大きかったですね。
その後、ストリームでEC事業を経験して、エックスワンでは化粧品メーカーとして商品づくりや販売を学びました。さらに電響社では商社の仕事も経験しています。
家電量販、EC、メーカー、商社と、それぞれ業界も業態も異なる道をこれまで歩いてきたわけですが、当時はどの仕事も大変でした。でも気づいたら、その一つひとつの経験が今の経営の仕事へと全部つながっています。遠回りに見えた経験もありましたが、結果的にはそれが自分にとって一番の財産だったなと思っています。
株式会社ストリームの代表に就任して、苦労したことはありましたか?
一番大変だったのは、社内の雰囲気を変えることでした。
着任初日に全社員の前で挨拶したとき、社員の皆さんの表情を見て、将来に対する不安や閉塞感のようなものを感じました。まずは社員に前向きに働いてもらえる環境をつくることが、自分の最優先課題だと思ったんです。当時は、社員の処遇についても見直すべき点がありました。着任した際に、夏の賞与についてまだ決まっていない状況だったため、社員の前でボーナスは前年の約2倍の額を出し、昇給についてもしっかり実施する方針を伝えました。まず経営者としての覚悟を示したかったんです。
それと同時に始めたのが、日報の改革です。もともと日報制度はあったのですが、実際には誰にも見られていないように感じられました。それを改めるべく、私自身が毎朝6時に出社して、全社員約100名分の日報に目を通すようにしました。日報を閲覧したことを各社員へ知らせる“リアクションボタン”や必要に応じてコメントを返す取り組みを今も続けています。
続けていくうちに、社員からいろんな意見や提案が出るようになってきました。「どうせ言っても無理なのかな」という雰囲気が変わってきて、小さな悩みや困りごとも共有されるようになりました。そういう声にはその日のうちに必ず対応するようにしています。
また、働く環境の整備にも取り組みました。全社員にデータ容量無制限の私用で家族の利用も可能な「ポケットWi-Fi」を無料で貸与したり、オフィスの入口に観葉植物やいい香りのするディフューザーを設置したり、大型の空気清浄機も導入しました。一つひとつは小さなことかもしれませんが、社員が毎日過ごす場所だからこそ、少しでも気持ちよく働ける環境をつくりたいという思いがありました。
就任からまだ1年足らず(2026年現在)ですが、社員の表情や日報の内容が少しずつ変わってきたのを感じています。現場から改善提案が上がる機会も増え、組織の雰囲気も前向きになってきました。
業績もおかげさまで堅調に推移しており、少しずつ取り組みの成果が表れ始めていると感じています。
「社長の履歴書」の読者でもある経営者の方へ、何かアドバイスをいただけますか?
おこがましいですが、私がこれまで大切にし、社内で社員にも伝えている3つのことをお話しします。
1つ目は「現状打破」です。裏を返せば、現状維持は衰退だと思っています。これだけ時代の流れが速い中で、去年と同じこと、先月と同じことをやり続けているだけでは、気づかないうちに取り残されてしまいます。常に何かを変えていく、新しいことに挑戦する姿勢が大切だと思っています。
2つ目は「スピード重視」です。どれだけ良いアイデアや戦略があっても、動き出しが遅ければ意味がありません。まずやってみる、走りながら修正する。そのくらいのスピード感が必要だと思っています。「現状打破」とセットで、とにかく速く動くことが重要です。
3つ目は「ホスピタリティ」、つまり相手の立場に立って考え、気を利かせることです。以前の会社で「なぜ広報部隊がないんだろう」と報告書に書いたことがありました。すると、会長から電話がかかってきて「それならお前がやってみろ」と言われたんです。気づいたことを指摘するのは簡単ですが、「じゃあ、自分がやる」という行動が伴うかどうかが大事だと思っています。この経験は今でも私の考え方の原点になっています。組織の中に1人でも周囲に気を配り、自ら動ける人がいれば、その組織はちゃんと良い方向へ進んでいくと考えています。
「現状打破」「スピード重視」「ホスピタリティ」。
業種や会社の規模に関係なく、私自身が大切にしてきた考え方です。少しでも参考になる部分があれば嬉しいですね。
今後の展望を教えてください
具体的な内容はまだお話しできないので、方向性だけお伝えしたいと思います。
まず力を入れているのは、当社の中核事業であるEC通販をさらに成長させることです。そのために一番重要なのが、品揃えを増やすことだと思っています。
社内でよくこんな話をするんです。「今の当社の品揃えは町の八百屋。大手はイオンモールのようなものだ」と。もちろん八百屋にも強みはありますが、より多くのお客様に選んでいただくためには、取り扱う商品の幅を広げていく必要があります。その一環として、近年は家具カテゴリーの拡充や、ギフト販売大手のシャディとの業務提携を行ったりしています。今まで扱ったことのない商品をどんどん取り入れて、お客様にとって魅力あるECサイトへ成長させていきたいと考えています。
もう一つのテーマは、EC通販以外の新たな事業領域への挑戦です。家電量販店が家電だけでなく、住宅関連事業へ事業領域を広げているように、当社もEC通販を軸に、次のステップに向けていろんなことに挑戦したいと思っています。頭の中には10個くらいアイデアがあるんですが、具体的にはまだ言えなくて(笑)。一つひとつ着実に実現していくつもりです。今後も「現状打破」と「スピード重視」を大切にしながら、ストリームの新たな成長ステージをつくっていきたいですね。
最後に、経営者の方におすすめの本を教えてください
実は最近はあまり本を読む時間がなくて、情報収集はYouTubeなどを活用することも多いんです。
ただ、経営者の方におすすめしたい一冊を挙げるとすれば、大前研一さんの『企業参謀』ですね。
高校生の頃に初めて読んだ本なのですが、今でも非常に印象に残っています。大前さんはマッキンゼー日本支社長を務められた方で、物事の考え方や発想のスケールが当時の私には衝撃的でした。
読んでいて「こういう視点を持った人が日本にもっと増えたら、日本はもっと良くなるんじゃないか」と感じたことを今でも覚えています。
経営戦略の本としてはもちろんですが、物事の見方や考え方を広げてくれる一冊だと思います。
今読んでも学ぶことが多い本ですので、経営に携わる方はもちろん、これから経営者を目指す方にもぜひ読んでいただきたいですね。
『企業参謀―戦略的思考とはなにか』大前 研一(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4833416948/
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企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
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