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株式会社パークフォーアス代表取締役 永松 謙使氏

今回は株式会社パークフォーアスの代表取締役、永松 謙使(ながまつ けんし)氏にインタビューをしました。

5歳から剣道をはじめ、大学卒業後に証券会社に入社した後も、社内の剣道部に所属していた永松さんは、その後、2016年に退職して株式会社パークフォーアスを創業。

剣道用具を専門に扱うECモール「KENDO PARK」の運営や、外国人向け剣道体験ツアー「SAMURAI TRIP」など、剣道関連で様々なサービスを提供しています。

そんな永松さんの起業までの道のりと今後の展望をインタビューで詳しく伺いました。

 

株式会社パークフォーアス 会社概要

会社名称 株式会社パークフォーアス
代表者 永松謙使
設立 2016年4月
主な事業 ・剣道関連WEBサービスの運営

・訪日外国人向けツアーの企画および運営

・その他Webサービスの運営

・各種動画撮影アレンジ

・事業戦略およびマーケティングコンサルティング

会社所在地 〒143-0025 東京都大田区南馬込1-46-7
会社HP https://www.parkforus.co.jp/

 

主な事業内容を教えてください

剣道をテーマに様々なサービスを提供しています。

メインはモール型の「KENDO PARK」というECのサービスで、もうひとつが今コロナで止まってしまっていますが、外国人旅行客向けの剣道体験ツアー「SAMURAI TRIP」です。

その他、地方自治体向けのサービスやオンラインサロン、YouTubeチャンネルなどの剣道関連の様々なサービスを企画立案、運営しています。

 

起業のきっかけを教えてください

会社員として働いていた時、会社の中にいると、その会社だけの視点になってしまうなと常々思っていました。

事業をやっている高校や大学の友人や、転職をしている友人がいる中で、自分も何かにトライしたいという気持ちが出てきました。自分が大きく成長したいという気持ちも強く、当時は現状に対する焦りの気持ちもあったかもしれません。

また当時、新卒入社した証券会社で営業の仕事をしていたのですが、たまたま剣道具店にうかがう機会があり、そこで経営が厳しいことをお話いただいただきました。

よくよく聞いてみると、剣道具は海外製品が9割近くを占めているため、単価が安くなってしまっていたり、職人の技術後継者がいなかったりといった話を聞いて、これは剣道をずっとやってきた身として何かできることはないかなと考え始めました。27歳くらいの時だと思います。

 

そこから起業にいたるまでの経緯をお聞かせください

最終的には剣道に関する事業で起業することになるのですが、「剣道に関する仕事をしよう!」と最初から決めていたわけではありません。

まずは、今後を考えて自分の棚卸をしました。

私はトップの営業マンだったわけでもないですし、かといって何かバリューがあるか?スキルがあるか?と聞かれると、そうではありませんでした。

それまでの証券会社での経験を活かし、引き続き金融業界に携わるという選択肢もあったかもしれませんが、「金融」という広いマーケットに挑むには自分では力が及ばないなと思っていました。

「では自分にはどんな強みがあるんだろう?」と考えた時、剣道をずっと大学までやってきたこと、剣道界でも有名な方に師事させていただいていること、そういったところから剣道業界の裏側もよく知っていることが強みかなと思い当たりました。前述の剣道具店のこともありましたし、そこから、剣道に関連する仕事を調べ始めたのが始まりです。

 

調べながら、剣道の事業を本格的にスタートされたんですね

そうですね。剣道業界というのは、競技人口が極めて多いのが特徴です。
有段者ベースですが、国内でいうと柔道の10倍くらいの人口がいるといわれています。
海外でも剣道はすでに広く普及していて、例えば東南アジアのミャンマーやアフリカのマラウイにもチームがあるほどです。

かつ剣道は3歳から4歳の幼少期から90歳まで、男女問わずできるというのも特徴です。
それにも関わらず、そこに関わる剣道具店や剣道具メーカー、道場等はマネタイズがうまくいっていないのではないかと思いました。

 

その結果、剣道具店の後継者がいなかったり、自前道場が維持できずにほとんどのチームが学校の体育館で稽古をしていたりというようなことが起きています。
そこで、剣道を構成する各プレイヤーがちゃんとマネタイズできて、経済圏として成立するようにするのがゴールだと思っています。

 

現在の事業は、いずれのそのゴール設定に向けて展開しているものです。
そのひとつであるモール型ECサービス「KENDO PARK」は、剣道家向けに展開しているサービスです。
一方で、外国人向け剣道体験ツアー「SAMURAI TRIP」は、剣道をやっていない人を取り込んでいくサービスです。

これらを通して、それぞれの接地面でできちんとマネタイズし、経済圏として成立させていきたいと思っています。

 

起業して苦労したことは何ですか?

証券会社にいた頃は、メールすら使ったことがなく、完全にオフラインでの営業に特化していました。メールも使用したことがないくらいでしたので、当然ながらいわゆるIT知識もまったくゼロという状態でした。

また証券会社では、業務に必要な資料や契約書が用意されている状態で、自分で新たにプロダクトや資料を作るという経験がほとんどありませんでした。

このような状態でしたので、事業を始めようとはしたものの、何からやれば良いのか分からない、そんなところからのスタートでした。

これはまずいと思い、知り合いからベンチャー企業を紹介してもらい、そこで働かせていただきました。
その中でベンチャーの戦い方のようなものを学ばせていただき、本当に良い経験をさせていただきました。

 

サービスローンチ後も、苦難の連続でした。
ECサイト「KENDO PARK」も、リリース当初は全くアクセスがありませんでした。
と言いますのも、当然SEOの知識もゼロでしたので、サイト名である「KENDO PARK」で検索しても、やっと6ページ目くらいに表示されているような状況でした。
そのため、当然注文も来ないですし、サービスを出しただけでは誰にも認知もされないという状況でしたが、色んな方にお聞きして、記事メディアをリリースしたりして徐々にSEOを強めていきました。

また、外国人剣道体験ツアー「SAMURAI TRIP」は、コロナを期にまさに今大打撃を受けているサービスです。
コロナ前は、世界各国から訪日外国人の方々を受け入れており、約年間2,000名ものお客様に来場していただいておりました。
それが2020年の1月末頃、日本ではまだコロナ事態があまり認知されていない時期でしたが、中国からの海外渡航禁止が発令され、あらゆる業種の中で最も速く打撃を受けたのではと思います。
当時は中国からの団体のお客様の予約がかなり多かったため、キャンセルが数百人単位で発生し、返金対応に追われたり、見込みの売上が全部蒸発するという状況になりました。
あの時は、かなり大変だったなあと思います。

 

コロナ禍の時はECサイトも影響を受けましたか?

そうですね。

緊急事態宣言が出た時は試合や稽古も中止になりましたし、日本の場合、ほとんどの剣道チームが学校の体育館を使ってやっているので、多くの会場が閉鎖になり、稽古が無くなるのに伴って売上も落ち込みました。

 

今後のビジョンについてお聞かせください

先述の通り、「剣道の経済圏」を作っていきたいと考えています。

今はあらゆるターゲットに対してサービスを個別に作っている状態で、各サービスが分断されています。それを循環させていきたいです。「経済圏」と言っている以上は、ちゃんと循環するようにしたいなと思っています。

また、これからは地方自治体と一緒に様々な取り組みを行っていく予定です。
例えば、現在地方で推進している「武道ツーリズム」のように、「剣道をフックに地方に人を呼び込む」という施策や、各地方の剣道連盟等を巻き込んで、地域の剣道の活性化や人を呼びこんでいけるような取り組みをしていきたいと思っています。

 

最後に、おすすめの本を教えてください

ドイツの哲学者であるオイゲン・ヘリゲル氏による『弓と禅』という本です。

私の剣道の師匠から、「剣道の本質を知るにはこれを読みなさい:と勧められた本で、武道を修練することで「禅」の思想に行き着くプロセスが詳細に書かれています。

剣道は斬り合いから発生しているので、どうしても運動的要素が強い側面があります。

当然「禅」の思想も多分に含まれているのですが、なかなかそこの領域には辿り着きにくいという側面があります。

 

本書は、滞在されたドイツ人哲学者の著者が、日本に滞在する間に弓道を修練し、その中で気付いたことが書かれています。

弓道は武道の中でも非常に動きが少ない分、深い精神世界が存在しています。

その精神性が剣道と共通するところも多く、読むことでより一層剣道への理解が深まったと思います。

『弓と禅』 オイゲン・ヘリゲル (著)  https://www.amazon.co.jp/dp/4571300271

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!