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己書花屋敷道場 ”にゃんこ先生”こと吉村尚子氏

今回は、己書花屋敷道場の”にゃんこ先生”こと吉村尚子氏にお話を聞いてきました。

己書(おのれしょ)とは文字を捉えたままに、思うがままに書くことです。字が苦手だったけれど己書の魅力に取り憑かれ、気付けば師範として第2の人生をスタートしていた吉村さんのお話を己書の魅力と共にご紹介していきます。

 

会社概要

会社名称 ・己書花屋敷道場
・メーロン合同会社
代表者 吉村尚子(よしむらなおこ)
主な事業 己書の教室運営
心理カウンセリング
所在地 〒535-0011
大阪府大阪市旭区今市2丁目7-14
会社HP https://www.onoresho.jp/shihan/s1342/
https://onoreshohanayashiki.com/
https://ameblo.jp/r09087533311/

 

現在の事業内容を教えてください。

己書といって、筆ペンで味のある字を書くことを教えています。習字などを習いにいくと、自分の書いた字を朱色のインクで直されたり、「この字はこういう風に書かなければいけない」という指導をされると思うのですが、己書は形も書き順を完全に無視して良いし、字の書けない子でも、日本語の読めない子でも、見たまま感じたままを筆ペンで書きます。書き終わった字に関しては、一切否定しません。繰り返していくうちに、凄く自己肯定感も上がっていくし、自信のなかった人も自信が生まれるし、書くことが嫌いだった人にも字の楽しさを知ってもらうことができるのです。

 

己書や授業について詳しく教えてください。

元々は名古屋の御器所が発祥地です。私は1342番の師範で、師範はまだ2000人もいません。

習字にはお手本がありますが、己書はお手本ではなく「お題」が出されます。初級からはじまり上級になるにつれて字が難しくなったり、水彩の絵が入ったりします。最初は「格好良く書けた」みたいな自己満足から入れば良いんじゃないかなと思います。

今は海外にも進出しており、字の読めない人でも真似して書けばよく、海外でも漢字のお題で書いてもらっています。Tシャツなど海外では漢字も人気ですし、既に外国人の師範も出ています。

年齢も様々で、一番若い方で高校生の方、最高で88歳の方まで所属されています。高校生は、この前お母さんに連れられて始めて来て、最初は嫌々という感じでしたが、帰る時には笑顔でした。ルールがないのでのびのびと取り組むことができたようです。高齢の方もゆっくりマイペースに取り組んでいます。お子さんが使わなくなった色鉛筆など、お持ちの道具も好きに使ってもらっていますし、完成した作品はポストカードにもできるので、お孫さんなどに送ることができるのがとても嬉しいようです。また、普段使わない脳の部分を使うので、認知症予防にも良いことが証明されています。

 

海外にも広まっているということは、オンライン教室なども盛んなのでしょうか?

コロナ渦で普及したZoomによって、かなり各地に広まってきました。基本は実際にお会いしてという形ですが、海外の方や遠方の方、また、主婦の方や子供のいる方など、どうしても決められた時間に教室に来れない方はZoomで講座を受けられるようになっています。Zoomは自宅やコンビニでそのお題を印刷できる方に限りますが、書いているところをPCやスマホで映してもらいながら、今度は「ここはこうすると書きやすいよ」ということを私の手元を映して教えていく形です。

 

これまでの経験や己書との出会いを教えてください。

私は元々大阪の北新地で35年間ラウンジをやっていて、バブルもあり良い時代だったので楽しく儲けさせてもらいました。ただ、お酒を飲む仕事なので、年齢や健康の心配もあり思い切って辞めて心理学を勉強し始めました。兄が心理学を専攻していたことと、セミナーへ行ってみて面白いと思ったことがきっかけです。約2年間勉強して、カウンセラーになろうと思って他にも色々な資格を取りましたが、ハッキリ言ってどれも大してモノにはならず、それでは生活が成り立ちませんでした。そんな頃、参加していた異業種交流会で己書の師範と出会いました。

私は物凄く字が汚くそれがかなりコンプレックスだったのですが、己書を体験してみると「字ってこんなに面白いのか!」と驚きました。そして己書を続けていくうちに「私も師範になって己書の楽しさを教える側になりたい」と思い始め、当時はコロナ禍だったこともありZoomを使って一生懸命講座に参加して師範の受験資格を得ました。

(ラウンジ経営時代の吉村さん)

 

師範の資格とはどういったものなのでしょうか?

師範試験は、お題を3時間半で色紙に仕上げることと、その時によって変わる課題がもうひとつ出題されます。今まで習ってきたことをやるだけなので、真面目に通っていた人は殆ど通るんじゃないでしょうか。

私も無事師範になり、コロナ禍ということもあり副業だった己書が今ではメインの仕事になりました。

というのも、己書は起業を凄く応援してくれるんです。「師範の資格を取った後、起業したいならまずこれをしたら良い」といったことや、集客方法、Facebookの使い方など親切に教えてくれるんですよ。余計なことをしなくともそれを信じてやっていたら本当に人が集まって、気付いたら今7か所で教室をやっています。収入もそこそこ安定してきたので、空いた時間に再びカウンセリングもやろうかなと思っているところです。

ころっと前職と全然違うことをしているので、人生はどこでどうなるか分かりませんね。ラウンジで働いていた頃は毎日着物を着ていたので、己書も初めの頃は着物を着てやろうかと思っていましたが、着物を着るのも時間がかかるので、最近では帽子をパパっとかぶりその辺のおばちゃんの格好をしてやっていますよ(笑)。親しみを持ってもらうため、生徒さんには「花屋敷道場のにゃんこ先生」と呼んでもらっています。前職の頃と比べると収入は少ないですが、年齢と共に行動範囲も狭まっているので財産が減ることはなく、さほど苦労せずやっていけそうです。

 

ラウンジとは全く異なるお仕事ですが、心境の変化などはありますか?

とにかくストレスがなくなりましたね。前職は多い時で5人~10人雇っており、景気が悪くなると持ち出しが増えました。その時にふと「なんでこの子たちの給料を私が補わなければならないのかな」と思ってしまっていたのです。でも、そう思うこと自体、もう既に気が弱くなっているんですよね。実際は「この子たちに稼いでもらうにはどういったフォローをしたら良いか」と考えたら良かったのに、私自身も気弱になっているから逃げに走ってしまっていました。そしたら、ラウンジを辞めた途端肩こりは治るし良く眠れるし、「これならもっと早く辞めたら良かったわ!」と思ってしまいましたね(笑)。

ただ振り返ればその頃も良いことは沢山ありましたから、良い人生だなとは思っているんですよ。今は1日中、字を書いたり絵を描いたりしているのですが、逆にしんどい時にそれをすると楽になるし、己書って凄いなと思います。だから人にも勧めていけます。

 

経営者として大切にしていることやポリシーを教えてください。

異業種交流会に行った時に60代手前だったのですが、やっぱり高齢者として「もうあなたの時代ではないよ」という扱いを受けまして、凄くショックでした。その交流会は辞めて違うところに入ったのですが、そこでは主催もやらせてもらい、凄く尊重してくれているので頑張り甲斐もあります。合わないところに執着する必要はなく、自分の住める場所は自分で探すということだと思います。

 

今後こんな道場にしていきたいという展望を教えてください。

私は今の仕事は死ぬまでできる仕事だと思っています。

ただ、今はまだ足腰がしっかりしているので車に乗ってあちこち教えに行っていますが、そのやり方でいつまで続けられるかは分からないので、テラスのついた雰囲気の良い教室を作って、教室に人を呼べるようにしたいですね。

 

余談ですが、にゃんこ先生はどんなシチュエーションで己書を書くのがお好きですか?

私はお寺で教える時があるんですが、お寺は全体的にひんやりしていますが、縁側に行くとぽかぽかしていて凄く気持ちが良いです。大きな鐘があって、草木があって、日差しが当たって。そのお寺の前には普通の民家が多いのですが、自転車が通る音だとか、時にはおばちゃんの喋り声だとか、生活音が心地良いんですよ。更に鳥のさえずりも聞こえるし、私はその瞬間が凄く幸せに感じるんです。そういう場所で己書を書いていると、「この世界に入って良かったな」と思います。

他には、昔ながらの古い区民センターで教えるときもあれば、建て替えや塗り直しをしたばかりの綺麗な区民センターとの時もあったりと様々ですが、古いセンターも味があるし、綺麗なところは明るくて清潔感があってわくわくしたりします。この前はホテルでランチ会と一緒に己書をやったり、遠方へ伺ったり、色々コラボをやったり、場所によっていろいろな楽しさがあるのも魅力の一つです。

 

己書を始めてみたいと思った方はどこに問い合わせれば良いですか?

“己書”でググっていただければ色々な師範の名前が出てきます。誰に習うか迷った方は、お住まいや職場から行きやすい場所で検索していただいたら良いかなと思いますが、個人的には、花屋敷道場のホームページもありますから、是非私”にゃんこ先生”へお問い合わせをお願いします(笑)。

 

にゃんこ先生おすすめの一冊はこちら!

『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン  (著), 村上 春樹  (翻訳)

幼い男の子が成長し、老人になるまで、温かく見守り続ける1本の木。木は自分の全てを彼に与えてしまいます。それでも木は幸せでした…。

無償の愛が心にしみる村上春樹訳の世界的名作絵本。

Amazon URL:https://www.amazon.co.jp/dp/4751525409/

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!