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湯澤社会保険労務士事務所代表 湯澤悟氏

今回は湯澤社会保険労務士事務所代表、湯澤悟氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

 

会社名称 湯澤社会保険労務士事務所
代表者 湯澤悟
設立 2002年8月1日
主な事業 社会保険労務士、パワハラ予防コンサルタント、パワハラ対策研修講師
社員数 1名(代表除く。取材時)
会社所在地 東京都中央区東日本橋3-6-6 さつきビル5階
会社HP https://office-yuzawa.com/

 

 

事業内容を教えてください

大きく2つの事業を展開しています。1つは中小企業向けの高難度労務問題の解決支援です。もう1つは、主に大手上場企業向けにパワハラ対策研修の講師業をしています。高難度労務問題とは、①前例の無い労務問題(その会社にとってイレギュラーな問題)、②恣意的・感情的労務問題、③行政機関や専門家に質問しても杓子定規の回答しか得られない労務問題を、現在、その会社にある規則・規程の中で解決支援しなければならない労務問題です。しかも「泥沼化させない」がポイントです(注:労働基準法違反等の公序違反トラブル(例:適正に残業代を支払っていないのに“支払いたくない”)は高難度労務問題からは排除されます。)

こういった労務問題は「白黒ハッキリする定型の問題ではないため、その意図・本質的問題解決には、法的思考力は勿論のこと、クライアントの規則・規程の読解力に加え、高難度労務問題解決に向けた仕組みと考え方(型)が必要で、まさに「落とし所」を見つけて、会社も社員もある程度の納得感・腹落ち度のある業務になります。

例えば、会社サイドとしては「ルールに則って対応しているのになぜ社員は納得しないのか」という苛立ちと、社員サイドは「なぜ私の主張を理解してくれないか」というコミュニケーションエラー(ボタンの掛け違い)が起きて解決に向かわないことがあります。そして、時間の経過と共に社員がどんどん感情的になってしまい、手に負えない問題になってはじめて専門家に頼ることになります。感情的問題になると法律論での解決は難しいので、会社、社員それぞれの立場や考えを尊重し合意形成を図るコンサルティングが必要になります。根本的な原因を特定して問題解決していければ、労働審判や裁判までいかずに済むわけですから、高難度労務問題を未然に防ぐためにどうすれば良いのかについてもレクチャーしています。

 

学生時代はどのように過ごされたのでしょうか?

小学校中学校では野球に打ち込み、プロ野球選手を目指していました。

しかし、高校を卒業したらすぐに働きたいと思っていたので、商業高校へ進んで会計や簿記を学び税理士を目指していました。親戚の中に税理士がいて、私にとっては税理士が身近な職業でした。私の通っていた高校は、成績上位者であれば希望する就職先に強く推薦してくれる学校でしたので、成績をキープするために勉強に力を入れていました。そこから高校を卒業して、証券会社に入社し、働きながら夜間の短期大学に入学し証券学を学びました。

 

いつから社会保険労務士になろうと決めたのでしょうか?

最初の配属先が人事部で、そこで社会保険労務士という資格があるというのを初めて知りました。当時は通信教育で社会保険労務士の資格が受けられたので、勉強を始めました。証券会社は18歳で入社して人事部と経理部と営業部を経験しましたが、22歳で退職しました。

 

その後は転職されたのでしょうか?

証券会社からベビー用品のコンビに転職しました。証券会社を退職してから、「今後は人事の仕事か経理の仕事のどちらかでできたら良いな」と思いながらコンビの採用面接を受けました。そこで、2次面接で人事部のマネジャーの方から「君は甘い! 人事か経理の仕事かどっちかにしなさい!中途半端にやってるからうまくいかないんだ。」とこっぴどく叱られました。当然に、コンビの面接は落ちてしまったと思っていましたが、何と最終面接に呼ばれて、結果的に採用していただき、そこから人事の仕事を本気でやってみたいと思うようになりました。今から30年近く前の話ですがとても記憶に残っていますね。

 

コンビではどのような仕事をされていたのでしょうか?

コンビでは人事部のマネジャーや諸先輩方から「人事とは何たるか」ということをしっかりと学ばせていただきました。人事部の先輩が社会保険労務士の資格を活かして、社内サービスを担当している方だったのですが、その方が退職されることになり、私が後任者として業務を引き継ぐことになりましたが、私には専門知識もなかったので、明らかにサービスの質が落ちてしまうと考え、本気で社会保険労務士の資格を目指すことになりました。

 

そこから独立することになったのでしょうか?

そこからは持ち帰り弁当を展開するほっかほっか亭に転職しましたが1年ほどして退職しました。高卒から働いていたので20代までに3社経験して、4社目の転職活動をしていましたが転職回数が多いのをみた人事の方が「貴方はいずれ独立するために転職を繰り返しているジョブホッパーなんだろう」と言われてしまい、面接で合格することはありませんでした。80社近く応募をしても採用されなかったことと、社会保険労務士の試験に合格することが出来たこともあって、いわゆる「金なし・客なし・コネなし」の状況の中で独立することにしました。当時は実家に住んでいて両親に「3年やってダメなら社会保険労務士事務所はたたむ」と宣言し覚悟は決めたものの、最初の2年は、顧問先も出来ず本当に大変でした。

 

社会保険労務士になってから1番大変だったのはいつですか?

正直な話、「(事務所の預金通帳を見たときに)このままいくと、来月の事業資金がショートする(月末にお客様からお金が振り込まれなかったらアウトだなと)」と思った時、そして採用した人材がまったく定着しなかったことですね。特に、人材の問題では、私が開業した当時、2002年は、まだまだ長時間労働が当たり前だったこともあり、私の事務所でも労務トラブルが起きていました。

 

どのように解決されましたか?

基本的には自分の力で解決してきました。当然に私の事務所の問題ですから、逃げずに真正面から問題と向き合ってきました。人の問題は、法律で解決するのではなく、人と人との問題。コミュニケーション力なくして問題解決なしという強い意思と覚悟を持って解決してきました。また、労務トラブル解決の書籍も数多く読みましたし学びましたので、その書籍に載っている労務問題を自分の中でシミュレーションして類似の問題をどうやって解決していくのかも日々考えていました。それが今の高難度労務問題解決の業務内容にもつながっていますね。

 

どうやって高難度労務問題を専門にされていったのでしょうか?

ある会社でリーガル面の顧問をやっていた方から「会社に席を用意するので週3日ほど業務委託で人事マンとして来てほしい」と依頼がありました。人事の仕事は長年経験があったので、人材紹介会社の再開拓に始まり、採用の面接、規則・規程の整備等の問題に取り組む「常駐型社外人事」の仕事をしていました。社員ではなく、コンサルタントという客観的な立場でありながらも「元企業人事マン」として経営にも現場にも寄り添う心(バランス感覚を重視)で仕事をしていきました。すると私の中でも新たなノウハウが溜まってきて、他の会社でも「常駐型社外人事」の仕事と通して高難度労務問題のサービスを展開できるようになりました。

 

今後の展望を教えてください

2013年からパワハラ問題に取り組んできました。10年ほどパワハラ問題に取り組んでいますが、実はパワハラは高難度労務問題の一種です。私は、管理職教育用Web適性検査「パワハラ傾向振り返りシート」の共同開発者として、無自覚のパワハラ行為者に自覚を促し、その後の自発的行動変容を起こすという活動をしています。新型コロナウイルスが蔓延し、パワハラ研修もオンライン研修でも対応しています。そして今後はパワハラだけでなく高難度労務問題で苦しんでいるお客様の支援をもっと精力的に行っていきたいです。2023年3月からは某企業とJVセミナーを行います。人と人、人と組織のコミュニケーションエラーを少しでもなくすことが高難度労務問題に発展させない入口ですから、そこに尽力したいです。目指すビジョンは「高難度労務問題の根絶」です。経営の効率化(儲かる仕組みをどう作るか)と人間性の尊重(人権重視)の併存と調和こそが労務管理の原理原則ですから。

また個の時代と言われる現代ですので、これからは個人に向けてのサービスも展開していきたいです。「この人の潜在的な価値観は何なのか」をしっかりヒアリングし、また、コーチングしていき、これからは問題が発生しないようにするにはどうすれば良いのか考えたいですね。

 

他の経営者におすすめの本はありますか?

柴田昌治さん著書の『なぜ会社は変われないのか: 危機突破の風土改革ドラマ』です。組織風土改革やる上で必要になる本です。30年前に出版されましたが、今読んでも全く色褪せていない本ですね。今でも、私の組織風土改革のバイブル書籍です。

 

【AmazonURL】

https://www.amazon.co.jp/dp/4532192048

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!