
今回はMRT株式会社代表取締役社長、小川智也氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
| 会社名称 | MRT株式会社 |
| 代表者 | 小川智也 |
| 設立 | 2000年1月26日 |
| 主な事業 | 医療人材(医師など)と医療機関のマッチングサービス、 オンライン健康医療相談アプリ「Door. into 健康医療相談」の提供 |
| 社員数 | 237名(取材時) |
| 会社所在地 | 東京都渋谷区神南1-18-2 フレーム神南坂3階 |
| 会社HP | https://medrt.co.jp/ |
MRT株式会社の事業内容について教えてください
2000年に東京大学医学部出身の医師の互助組織として設立されました。当時から病院では医師不足が深刻で、大学病院の若手医師に空いている時間を利用してサポートしてもらうため、医療機関と医師を結ぶマッチングサービスを提供したのが始まりです。
そしてコロナ禍を経て、事業の幅はさらに広がっています。現在は東大卒の医師の3人に1人がご登録いただけるまでに成長し、医師約10万名を含む医療従事者約20万名(グループ全体)が集まるプラットフォームになりました。医療機関への人材紹介だけでなく、行政・自治体・企業とも連携し、オンライン診療やオンライン健康相談といった医療DXサービスも展開しています。
他社と比べた際、MRT株式会社ならではの強みはどこにありますか?
一番の強みは、創業時から医師や医療従事者が事業に直接深く携わっていることです。私自身も医師出身ですが、医療現場を知っているからこそ、業界外の方では気づきにくい細かなニーズにも寄り添ったサポートができます。
もう一つは、24時間365日の対応体制です。医療に休みはありません。それをサポートする立場として、当社も24時間体制で事業を動かしています。この2点が、他社との大きな違いだと思っています。
社長の履歴書の読者である経営者の方へ向けても、PRをお願いします
当社のサービスは、医療機関だけでなく、一般企業の皆さまにもご活用いただけます。
たとえば、従業員のメンタルヘルスチェックや健康診断後の後追いサポート、職場での集団感染を予防するワクチンの職域接種サービス、オンライン診療を使った健康管理など、「社員の健康を守る」という面で幅広くお手伝いが可能です。また、お子様をお持ちの社員にもご活用いただける「オンラインこども診療」サービスも展開し、“社員”だけでなく“社員のご家族”の健康もお守りする幅広いサービスを提供しています。社員が健康で働ける環境づくりに、ぜひ当社をご活用ください。
MRT株式会社の事業の詳細についてはこちらをご覧ください。
ここからは小川社長ご自身のことについてお聞かせください。学生時代に打ち込んでいたことはありますか?
高校3年生になるまで、ほとんど勉強していませんでした。ボーイスカウトの活動でキャンプやアウトドアに明け暮れていて、「大学に行こう」という気持ちすらなかったくらいです。教室で座って学ぶよりも、自然の中での体験や仲間との活動を通じて多くのことを学んでいた気がします。
大学に入ってからは部活一色でした。ウインドサーフィンに夢中になって、真っ黒に日焼けしながら海に出ていましたね(笑)。
もともと医師を目指していたのですか?
まったく考えていませんでした。きっかけは、高校3年生のときのアメリカへのホームステイです。ホストファーザーが医師という家庭だったのですが、ある日「将来、お前は何をしたいんだ」と真剣に問いかけられました。何も考えていなかった自分がとても恥ずかしくなりましたね。
人や心理学に興味があるという話をしたら、「であれば、まず医学を学びなさい」と言われたんです。「医者になれ」ということではなく、「人間の体と心を理解することから始めれば、自分が目指すものが見えてくる」という意味でした。その言葉が深く刺さって、帰国後すぐに医学部を目指すことを決めました。そこからは気持ちを切り替えて勉強に向き合い、医学の道へ進みました。
MRT株式会社に入社される前、医者としてどのようなキャリアを歩まれていたのでしょうか?
医学部を卒業後、日本赤十字社で2年間の研修医生活を送りました。その後、自分が興味を持っていた救命救急の道へ進み、大阪にある日本でも有数の忙しい救命救急センターに飛び込みました。
救命救急を選んだのには、医学部生の頃の経験が大きく影響しています。実習中に、激しい腹痛で運ばれてきた患者さんに対して、当直の専門医が「自分の専門ではない」と一言も声をかけずに立ち去ってしまうという場面を目の当たりにしたのです。医師なら一通りの処置ができるものだと信じていた自分には、大きなショックでした。
その経験から、「専門を極める前に、幅広く患者さんを診れる医師になりたい」と思うようになりました。救命救急なら、年齢も性別も診療科も関係なく、あらゆる患者と向き合えます。研修医時代から多くの診療科を回って基礎を固め、大阪へと移りました。大学の医局という組織には属さず、自分で道を切り開いていくスタイルを選んだのも、その頃からです。
救急医から、MRT株式会社へ転職された経緯を教えてください
救命救急の現場では、毎日のように死と向き合います。人の命を助けたくて医師になったのに、それが続くうちに、自分の中でどこかモヤモヤしたものが積もっていきました。
そんなとき出会ったのが、「小医は病を癒し、中医は人を癒し、大医は国を癒す」という言葉です。現場でどれだけ頑張っても、一人でできることには限りがある。それなら、医療の仕組みや制度を変える側から貢献できないかと考えるようになりました。
また、大阪で働きながら東京の救命救急現場を訪れた際、同じ日本なのに仕組みがまったく異なることに強い疑問を感じました。現場で活動し続けるよりも、事業や制度改革の側から医療を変えていきたい。その思いがMRTへの参画につながりました。
当時の私はMRTの会員ユーザーで、非常勤の仕事を紹介してもらう側の立場でした。その立場の人間がいつの間にか社員になっていたので、MRTの既存社員たちもかなり驚いていましたね(笑)。現会長や前社長が理解を示してくださり、参画が実現しました。
救急医時代やMRT入社後の経験で、今の経営に活きているエピソードはありますか?
大阪の救命救急センターにいた頃、尼崎の列車事故がありました。事故現場で最後の生存者の一人を救助した、まさにあの現場に自分もいたんです。
事故が発生したのは朝の通勤時間。その日は当直明けでヘトヘトの状態でした。深夜から続いていた救急業務を終え、ようやく帰れると思っていたところに、上司から「お前がドクターカーに乗って現場へ行け」と言われたんです。そのとき上司から教わった言葉が「First in, Last out」です。アメリカの消防士が使う言葉で、「真っ先に現場へ飛び込み、最後の最後まで離れるな」という意味です。当直明けだろうが関係ない、最後の生存者を病院へ運び終えるまで戻ってくるなと言われ、そのまま現場へ向かいました。リーダーとして、マネジメントする立場として、それが一番大切なことだと体で覚えた瞬間でした。
この経験は、コロナ禍での経営にそのまま活きました。当社の事業は医療機関の外来があってこそ成り立ちます。コロナ禍でその基盤が大きく揺らいだとき、真っ先に課題と向き合い、経営が安定したと確認できるまで最後まで踏みとどまる。救命救急の現場で叩き込まれた「First in, Last out」の精神を、経営の場でも実践しようと心がけました。
経営者として、最も苦労した時期はいつでしたか?
やはり、2019年に代表取締役社長に就任してすぐのコロナ禍が一番大変でした。事業が急激に落ち込む中で、「社員にちゃんと給料を払えるだろうか」と毎日ひやひやしていましたね。
ただ、そんな状況でも社員たちは前向きでした。当社にはもともと上下関係なく何でも言い合える社風があって、「この状況だからこそMRTにできることを全部やろう、最初は採算が合わなくてもいい」と経営陣で話し合うと、社員からも「そうだよね」という声が上がり、医療機関や自治体の困りごとをどんどん拾い上げてくれるようになりました。
そこから事業は大きく変わっていきました。コロナワクチンの大規模接種会場の運営や自宅療養患者の健康相談、オンライン診療を活用した発熱センターの運営など、医療の社会インフラそのものを支える仕事へと広がっていったんです。東京都や大阪府、国とも連携しながら、毎日何千人もの医師・看護師を現場へ送り出していました。
一番しんどい時期でしたが、社員一人ひとりが「医療を想い、社会に貢献する。」という弊社のミッションを胸に動いてくれたことが、今につながっていると思っています。自分の経営手腕というより、社員が作り上げてくれた会社だと、心からそう感じています。
今後の展望について教えてください
大きく2つあります。
1つ目は、日本の医療現場への新しい技術の導入です。日本の医療は世界的に見ても水準が高いですが、制度の問題や医療従事者の地域偏在課題など、まだまだ解決できていない課題がたくさんあります。AIなどの新しい技術も、医療現場ではまだ十分に活かせていないのが現状です。全国の医療インフラを担う「医療人材」の適正配置という本業をしっかり続けながら、新しい技術やサービスを医療現場へ届けるお手伝いをしていきたいと思っています。
2つ目は、海外への展開です。東南アジアでは人口増加に伴い、医療へのニーズが急速に高まっています。しかし、医師や看護師の数がまったく追いついていない地域がたくさんあります。MRTがこれまで日本で積み上げてきたノウハウを、そういった地域でも役立てていきたいと考えています。東南アジアを入り口に、東アジア全体の医療課題の解決に貢献していくことが、MRTの次の成長につながると思っています。
経営者の方におすすめの本を一冊教えてください
ウィリアム・オスラー博士の『平静の心』です。ずっと手元に置いて読み続けてきた本です。
医療の現場でも、経営の場でも、予測できない事態や危機的な状況は突然やってきます。そんなときに大切なのは、慌てず、自分自身を保ちながら、物事を冷静に見る力だと思っています。この本からは、まさにそういった心の持ち方を学びました。医学寄りの本ではありますが、書かれていることは経営者の心構えにもそのまま通じます。どんな業界の方にも読んでいただきたい一冊です。
『平静の心―オスラー博士講演集』ウィリアム・オスラー(著)、William Osler(著)、日野原 重明(翻訳)、仁木 久恵(翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/426012708X/
投稿者プロフィール

-
企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
企業出版のノウハウを活かした記事制作を行うことで、社長のブランディング、企業の信頼度向上に貢献してまいります。
最新の投稿
仕事05/08/2026MRT株式会社代表取締役社長 小川 智也氏
仕事05/07/2026KYCコンサルティング株式会社代表取締役社長 飛内 尚正氏
仕事04/30/2026株式会社キャンプ代表 榊原 美歩氏
仕事04/16/2026株式会社アテンドライフ代表 熊倉 健太氏

