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ニューロネット株式会社代表者 前川博文氏

今回はニューロネット株式会社代表者、前川博文氏にお話を伺ってきました。

コロナ禍のいまでこそ当たり前となりつつあるウェブ会議ツール・在宅勤務ですが、2010年から自社でウェブ会議ツールを開発し完全在宅勤務を実施されている前川氏の取り組みや、サービス開発の経緯をお伺いした「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!

 

 

ニューロネット株式会社 会社概要

会社名称 ニューロネット株式会社
代表者 前川 博文
設立 第一創業:2002 年 3 月

第二創業:2010 年 1 月

主な事業 ・Web会議WebRTCクラウドサービス『VivaMeetin』の運営
・会わずに面談・簡単ビデオチャット『mendan.net』の運営
・テレワークに関するコンサルティングサービスの提供
社員数 5名(取材時)
会社所在地 〒194-0045 東京都町田市南成瀬5丁目1番地6号

台益ナルセビル 2F

会社HP https://www.neuronet.co.jp/

 

事業内容を教えてください

遠隔のWebRTC型Web会議システム『VivaMeetin(ビバミーティン)』の運用と、会わずに面談・簡単ビデオチャット『mendan.net(メンダンドットネット)』というシステム運用の二つを、主な事業としています。
『VivaMeetin(ビバミーティン)』以前のWeb会議システムは、『SaasBoard(サースボード)』というものを提供していました。ですが、そのサービスで使用していたAdobeのFlash基盤サポートサービスが2020年末で終了することも見据え、3年掛けて『VivaMeetin(ビバミーティン)』へ一新。2020年の終わり頃からトライアル期間なども経て徐々に移行し、2021年に完全な状態でスタートしました。コロナ禍でZOOMなどのwebミーティングが普及している現在、違和感なく使って貰える、似て非なる画期的なシステムになっています。
次に『mendan.net(メンダンドットネット)』ですが、webミーティングの中でも“一対一”を極めて便利に成り立たせられる機能をつけたものだと思ってください。メールアドレスやLINEなど、個人情報を知り得ない人と円滑にやり取りするにはどうしたら良いだろう…?というところから考え付いたシステムがmendan.net(メンダンドットネット)です。

“お店”対“お客さん”という関係を例に出し、使い方を詳しくお話ししますね。まず、お客様がお店に電話をします。電話を受けたお店の方は、「“mendan.net”と、検索欄に入力してください」と伝えます。お客様がサイト内の“面談開始ボタン“をクリックすると“面談番号”が出てくるので、その番号を店員に伝えます。それだけで面談の準備は完了です。住所やアドレスなど細かく面倒な登録が不要で、スムーズに対面での会話が可能になります。
これは今までのwebショップの概念を覆すシステムです。現代はネットで買い物をする機会も多いと思いますが、商品を買うとき店員の説明や意見をリアルタイムで聞けることは無いでしょう。その点mendan.net を使えば、リアルで店員にいろいろ聞けるんです。ネット上でリアルタイムの接客が可能になることにより、実際の店舗へ出向いて買い物するのと同じ、『本当の意味でのWebショップ』が実現できるようになるのです。

 

起業に至るまでの経緯やきっかけを教えてください

自分で会社をスタートさせる前は、国の機関であり研究所である『産業技術総合研究所』で、スタートアップアドバイザーをしていました。
そのスタートアップアドバイザー制度がスタートしたのは小泉首相の時代だったのですが、首相は、「もっとベンチャー企業が出てこないと日本経済が発展しない」という危機感を持っていたんですね。それで産業技術総合研究所(=産総研)に、ベンチャー企業の起業と育成という役割を課したんです。でも産総研にいる人たちは、いわゆる“お役所の人”か“研究者”ですから。起業やビジネスからは正反対の位置にいるわけです。

そんなとき、僕が外資系の会社を2社スタートアップさせ、事業を軌道に乗せ成功させたという実績をヘッドハンターから産総研に紹介され、産総研のスタートアップ事業に携わるようになりました。「産総研および国立大学の特許や技術を使ってベンチャー企業を沢山スタートアップさせてくれ」ということで、抜擢されたんですね。結果的にそれが、起業するきっかけになりました。

 

起業する過程の中で、どのような苦労がありましたか?

“外資系の会社を2社スタートアップさせた“と言いましたが、ドイツに拠点を置く会社でした。その会社は、経営、営業、マーケティング、技術などのトップミーティングが開かれ、合計すると週一くらいの頻度で世界中の会社(現地法人のトップ)と会議をするんですが、世界単位になると時差の問題があるじゃないですか。そこは主要国であるアメリカとドイツの都合の良い時間に合わせて行われたんです。
その時日本は夜中の3時。今みたいに「自宅のPCを使って気軽にweb会議!」が無い時代ですから、会議に参加するためには会社へ行き、夜中の3時までにスタンバイ。会社のテレビ会議システムを使って朝の5時頃まで会社で会議。そしてまたその日の朝9時からは仕事、なんてことをしなきゃならなかった。自宅へ帰れずに会社で仮眠するということはいつもの事でした。
だから、本当は会社のテレビ会議システムで顔を合わせながら会議したかったけれども、自宅から電話で参加をしていたんです。いわゆるテレコンファレンス(テレカン)ですよね。また、英語を使ったコミュニケーションの壁もありました。声のみの情報である電話だと、表情や様子を見ながら会議に参加するのに比べて、3倍くらいの英語力が必要なんですね。それってとても大変なことでしたから、「自宅でテレビ会議みたいのが出来ないか…」と思っていました。

 

どのように乗り越えたのでしょうか?

そんな日々を過ごす中、産総研の仕事の関係で京都大学へ行ったんです。そこでWeb上でのミーティングが行えるものに近い研究している人に出会って。事業化するつもりはないか、と言ったところ賛成してくれたんです。それがきっかけで、新たに起業することになりました。彼が研究しているシステムに、コンテンツ共有だけでなく映像音声もくっつけて。「PC版のテレビ会議みたいの作りませんか?」と提案し、開発を進めた結果、 Web会議の原型『SaasBoard(サースボード)』が完成しました。まさしく今の事業のきっかけですね。
これをもとに休眠させていた会社を再起業(第二創業)させ、『SaasBoard(サースボード)』を中心としたWeb会議事業を展開していきました。

 

会社の特徴を教えてください

2012年から『完全在宅勤務』『残業ゼロ』で仕事をしています。オフィスに出社する人は誰もいません。この時代に、そんなことをやっている企業はほぼゼロだった。テレワークが普及した今でも「一度も会社に出てこなくて良い」、しかも「残業ゼロ」というのは、日本中でも極めて少ないんじゃないですかね?それが評価されて、2019年に『テレワーク先駆者百選』に選ばれました。『完全在宅勤務』『残業ゼロ』と言うことは簡単だけれど、実はこのハードルは極めて高いんです。孤独な仕事環境などで精神的なケアが必要になってくるんですが、それをクリアするノウハウも、うちの会社は持っています。

『完全在宅勤務』『残業ゼロ』のスタンスに関して深堀りしていくと、我々が提供しているのは様々な『価値』であることがわかると思います。完全在宅で仕事が可能になるなら、小さなお子さんを持つお母さんや、年配のご両親を介護しているような方にも、何の問題も無く雇用の機会が与えられるんです。また、通勤などで使う“エネルギー”の節約にもなります。“エネルギー”とは、体力だったり電車賃だったり。車通勤ならガソリンなどですね。環境保全にも関わってくる。通勤時間のカットや、都心と田舎とでほぼ変わらない環境で仕事が出来るようになることも『価値』です。我々は仕事をする上で、『価値を提供しているんだ』という事業軸がありますね。

 

会社としての今後の夢や、個人のキャリアプランを教えてください

人が介在するWebショップを展開していきたいと思っています。初対面の人が簡単に繋がって、安心して取引ができるところに僕らのシステムが使ってもらえれば…というのはあります。膨大なネットショップ需要に、人が介在するさらに便利なネットショップの仕組みを提供していきたいと考えています。
僕個人の夢としては…仕事になるかどうかわからないが、趣味である“音楽“を通じて何かできないか?と考えています。友達作りや慰問、ボランティア…?『何か』の、その形は見えないけれど、音楽とネットを使って第二の人生的な…今の企業とは違う別物の『何か』ができれば良いなと、フワッと考えてはいます。
仕事にせよ、音楽にせよ、『コミュニケーション』というものは大事なものとして根底にあるかもしれないですね。音楽活動なら『音を通じたコミュニケーション』、みたいな。

 

おすすめの本を教えてください

一冊を薦めるのは難しいですが…若い頃に読んで感動した本は、
ディール・カーネギーの『人を動かす』という本です。
「人を動かすためには相手の立場に立って話し、相手に共感しなければ」ということが書かれています。『相手の立場でものを話しているか』という、コミュニケーションをする上で最も重要なことを教えてくれる。僕自身のポリシーを、カーネギーの言葉で表現してくれているような本です。

「相手の立場」は、常に分かっておかないといけない。起業する人に関わらず、サラリーマンをやっていても何をしていても、これは重要。例えば、池袋で発生した高齢ドライバーが母子を事故死させてしまった事件を例にとると、高齢ドライバーは周りから「もうそろそろ自動車の運転はやめたらどうか?」と言われていました。しかしその高齢ドライバーは運転をやめずに事故を起こしてしまった。その結果何の瑕疵もない母子を死に追いやった。多分そのドライバーは「運転するのは自分の自由」という側面だけ考えて、自分の運転の結果、周りに迷惑をかけるのではないか?ということに関心がなかったのではないか、と思われます。
しかし、事故で被害をうける側にとってはどうでしょう? それは「自由」ではなく「自分勝手」な行動ではないですか?ということになる。つまり、相手の側の立場を考慮していない「自由」は「自分勝手」を「自由」と言い換えているだけなんですね。
自分が「自由」であるだけで周りの迷惑を考えていないわけです。ビジネス活動においても絶えず「自由」の反対には「義務と責任」がある。「義務と責任」とは、当事者意識を持って全てのことが出来るということ。『良いとこ取りすること』と『自由であること』を、履き違えないようにしたいですね。
弊社ではそういった『常識』がきちんと分かった人を採用し、活躍いただいております。

 

前川氏が経営者におすすめする本を教えていただきました!

『超訳 カーネギー 人を動かすエッセンシャル版

 

Amazon URL

https://www.amazon.co.jp/dp/4799326961

 

 

 

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!