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株式会社コトバノミカタ代表取締役 本下瑞穂氏

今回は、株式会社コトバノミカタの代表取締役、本下瑞穂氏にお話を伺ってきました。

デザインの力で教育を面白くしたい、子どもたちに楽しく学んでほしいと思って、教材の開発に励まれています。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!

株式会社コトバノミカタ 会社概要

会社名称 株式会社コトバノミカタ
代表者 代表取締役 本下瑞穂(ほんげ みずほ)
設立 2017年6月
主な事業 教材・文具の企画開発・販売
教育・研修・コンサルティング
各種デザインツールの企画制作
社員数 3名(取材時)
会社所在地 〒665-0003 兵庫県宝塚市湯本町2-20-103 BASE宝塚内
会社HP https://kotobanomikata.jp/

 

聞き手:まずは本下様のご経歴を教えていただけますか?

 

本下さん:京都の芸術大学を卒業後、グラフィックデザイナーとして大阪で働き始めました。その後、フリーランスのデザイナーとして、在宅でチラシやホームページを作るようになりました。

自分自身、学校があまり好きではなかったんです。それで、デザインの力でもっと楽しい教育活動ができないかなと思って、2013年に「マナビノミカタ」という個人事業を始めました。

夏休みの宿題として出される読書感想文が子どもにとっても、保護者にとっても大きな負担となっていることを複数のママ友から聞き、2014年に「読書感想文が、よく書ける原稿用紙。」をクラウドファンディングで資金調達して商品化しました。

 

現在、会社の事務所を置く宝塚市は、女性の起業や女性活躍の応援に力を入れている町です。市や商工会議所主催の創業セミナーや、創業スクールで、「商品を売っていくためには、法人化して書店様とお取引をしたほうがいい」ということを学びました。

それで、2017年6月に「株式会社コトバノミカタ」を設立して、現在に至っています。

 

聞き手:教育というものに興味を持ち始めたきっかけは何ですか?

 

本下さん:一つは、自分に子どもが生まれたことです。

教育は親の義務なので、子どもの教育に関して真剣に考えるようになりました。自分自身が学ぶためにも、教育をデザインで面白くできないかなと思いました。

 

もう一つは、出産後にたまたま見た動画がきっかけでした。

産後の肥立ちが悪く、半年くらいまともに働けない状態でした。そのときに、アメリカのTED(Technology, Entertainment, Design)というプレゼンテーション番組をYouTubeで見たんです。その中に、「学校教育は子どもの創造性を殺してしまっている」というケン・ロビンソン氏の世界的に有名な動画がありました。

 

それを見たときに「私が学校を嫌いだったのは、創造性を殺されたくなかったからなのかな」と納得したんです。それなら、創造性を育める教育活動ができたらいいなと思いました。私はデザインが好きなので、デザインの力で何か面白い事業をしてみることにしました。

 

聞き手:株式会社コトバノミカタの事業内容を教えてください。

 

本下さん:デザインで教育を面白くしたいというのが一番の思いです。

デザインで考える力・伝える力を育むということをミッションに掲げています。ビジョンとしては、社会全体のコミュニケーションが良くなったらいいなと思って活動しています。

組織としてはまだ小さく、私が代表取締役で、夫の本下真次が取締役・営業、脳科学に知見のある谷本祐真が取締役・チーフブランディングオフィサーという役割です。

 

商品としては、「読書感想文が、よく書ける原稿用紙。」と、「小論文が、よく書ける原稿用紙。」という教材を開発、販売しています。あとは、企業や学校に対するセミナー、コンサルティング、教育・研修のサービス提供を行っています。それから、デザインツールの企画・制作という三本柱で事業展開しています。

 

主なお取引先は、Amazon、TSUTAYA、紀伊國屋書店、大垣書店、ナガサワ文具センター、日本出版販売などです。

 

聞き手:あえてご自身が苦手な読書感想文に注目して、それを商品化されたのはなぜですか?

 

本下さん:創業スクールやビジネスプランコンテスト、そしてファイナリストに選んでいただいたLED関西(女性起業家応援プロジェクト)では、学歴や事業内容など、すごい人ばかりが集まってきます。そんな中で、自分の強みは何かと考えてみると、のび太君的なできない子どもの気持ちを一番経験しているという部分が、自分の強みであり、個性であると思ったんです。

なので、できなかった私が使えたり、楽しめたりできるものだと、学校の勉強に苦手意識を持つ子も楽しめるのではないかなと思って開発しました。

 

聞き手:起業してからどんなことに苦労しましたか?

 

本下さん:やはり新型コロナウイルスの世界的なパンデミックには影響を受けました。

 

「株式会社コトバノミカタ」の主力商品、一番特徴のあるオリジナル商品は「読書感想文が、よく書ける原稿用紙。」です。

コロナ禍で非常事態宣言が出され、小学校が休校になると夏休みが短縮されました。そうすると、読書感想文という課題そのものが、多くの学校で廃止になってしまったんです。

各書店では通常7、8月に、夏休みの児童向けに、読書感想文や自由研究催事などの特設コーナーが設置され、イベントが開催されます。そういう催事関連で、読書感想文セミナーを開いて、子どもたちに「読書感想文が、よく書ける原稿用紙。」の紹介などもしていたのですが、そういうスケジュールが全て白紙になってしまいました。

 

さらに、課題図書の印刷部数も通年の半分くらいだったと聞いています。そのため、「読書感想文が、よく書ける原稿用紙。」は約130店舗とお取引していましたが、取り扱いが約8割減になりました。コロナの影響で閉店になった書店もあります。ですから、数字的にはかなりの試練でした。そのため、必死で教育事業以外の収入確保の道を探したり、助成金を活用したり、様々なランニングコストの削減を行い、生き残る道を模索しました。

 

聞き手:「株式会社コトバノミカタ」としての現在の課題は何ですか?

 

本下さん:実は、そのコロナ禍で、「漢字キャラクターあめかちゃん」という新規事業を立ち上げました。作文教育と同じ国語教育の一環で、漢字の部首を擬人化したキャラクターのコンテンツです。今はその事業化に向けた活動をしています。

「漢字キャラクターあめかちゃん」はセミナーやイベントが開催できなくなってできた時間に、「好きなことに注力しよう!」と思い、昔から温めていたアイデアを形にしたキャラクターなんです。

 

作文教育事業は国内向けの事業ですが、あめかちゃんはキャラクターなので、コンテンツ事業として海外進出も目指しています。また漢字の教育、そして活動としても、中国や台湾の漢字文化圏、世界に約300万人いると言われる日本語学習者の方、そういう方面へ展開していきたいなと思っています。

 

コロナ禍という世界規模なあおりを受けたのを逆手にとり、世界に向けた事業展開に挑戦しようと思うようになりました。これを形にしていくことが今の課題です。

 

聞き手:今後の展望、夢を教えていただけますか?

 

本下さん:「漢字キャラクターあめかちゃん」の活動は、大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025」共創チャレンジに登録されています。2025年の大阪万博をきっかけに、あめかちゃんの事業をより世界に広めていけたらと思っています。

 

そして、世界の子どもたちに自分の作ったデザインを楽しんでもらい、彼ら彼女らの創造性を育んでいけたら、というのが私の夢です。

 

本下さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!

『饗宴』 プラトン(著)、久保 勉(翻訳) https://amzn.to/3rbK94S

原題の「シンポシオン」とは「一緒に飲む」というほどの意味。

一堂に会した人々がワインの杯を重ねつつ次々にエロス(愛)讃美の演説を試みる。

最後に立ったソクラテスが、エロスは肉体の美から精神の美、さらには美そのものへの渇望すなわちフィロソフィア(知恵の愛)にまで高まると説く。

さながら1篇の戯曲を思わせるプラトン対話篇中の白眉。

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!