今回はカーネマン株式会社の代表取締役、村田真生氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!
カーネマン株式会社 会社概要
会社名称 | カーネマン株式会社(旧社名:HOSHINE株式会社) |
代表者 | 代表取締役 村田真生 |
設立 | 2015年8月4日 |
主な事業 | 動画を中心とする採用・販促・公共支援
|
社員数 | 15名(取材時) |
会社所在地 | 〒100-0004 東京都千代田区大手町1-5-1 大手町ファーストスクエア イーストタワー4階 |
会社HP | https://www.kahneman.co.jp/ |
まずは御社の事業内容についてお聞かせください。
カーネマン株式会社は、動画を活用して企業や官公庁の課題解決を支援する「動画ソリューション」を事業の核としています。
単に映像作品を作るのではなく、施策の目的(課題解決)から逆算した企画・戦略構築と、長年の広告運用で積み上げた「ターゲットが行動を起こす理論」を用いて制作から運用まで行い、お客様のビジネスを成長させることが動画ソリューションの役目です。
文字や画像だけで訴求するのは今から5年ほど前までの定石で、今は動画で訴求するのが顧客や求職者との接点作り・行動喚起の新しい定石となっています。
私たちが普段サポートしているのは、大手・上場企業を中心に、ベンチャーや手堅い事業基盤を持つ老舗企業、医師やメジャーアーティストなどの個人事業主まで多岐にわたります。
昨今の目まぐるしいほどの広告・情報量に対して、いかに動画を中心とした訴求でお客様を魅力的に差別化できるか、プロモーションの費用対効果を高められるか、という点に力を入れています。
学生時代から社会人を経て起業し、現在に至るまでのお話を聞かせてください。
高校へ進学後、1年目の夏休みに都内のミュージカル俳優事務所で歌のレッスンを受ける機会がありました。
歌い終わった直後、事務所の社長が『今すぐにでも舞台に立てる実力があります。このまま大学へ行って劇団四季へ行くという一般的なルートじゃなくて、同世代の誰よりも早く本番経験を積んだほうが良いと思います』と、まったく予期していなかったスカウトを受けました。
千載一遇のチャンスと思い、高校の先生からは休学を勧められましたが、迷わず中退を選びました。家族や友人たちも夢を後押ししてくれて、スカウトされた翌月に上京し、16歳から4年ほどミュージカル俳優として活動しました。
超一流の俳優・演出家の方々の作品を中心に出演させていただきましたが、主要な役を演じるには実力もチケット販売力も足りない自分には、そうした役は一向に回ってこず、生活も安定しませんでした。
そこで、修行という名目で事務所の許可を得て、俳優として生計を立てやすい劇団四季のオーディションを受け、結果は最年少合格。
しかし、プレイヤー個人として伸び伸び活動できると勘違いしていた私は、団体としての行動や様々なルールの徹底を求められる劇団の仕組みに馴染むことができず、すぐに自主退所してしまいました。
上京した時から成功を先取りしようとしすぎていた自分にとって、劇団四季を退所した頃には「理想と現実とのギャップ」にかなり滅入っていたと思います。
自分自身を俯瞰して見ることができませんでしたし、どうすれば良い方向へ進むのか全くわかっておらず、ひたすら迷走、葛藤し、苦しい日々でした。
そんな時、偶然観たアニメ作品『るろうに剣心〜追憶編〜』(音楽:岩崎琢さん)の世界観や音楽の素晴らしさに感銘を受け、こういう感動を世の中に届けたいと思い立ちました。
そこで、脚本家や演出家に用意された役を演じる俳優ではなく、生み出す側、クリエイターになりたいと価値観がガラリと変わり、20歳を節目に俳優を無期限休止し、作曲家に転身しました。
作曲家を始めた数年後にはテレビ番組やコンサートの楽曲を提供できるようになり、仕事内容はそれなりに充実していましたが、収入は安定しませんでした。
当時、私は23歳で高校時代の同級生の多くが一流企業へ就職しているのを横目に、このままでいいのか? と無意識に焦りを感じていきました。
そこで、収入基盤を持ちたいという考えから、まずは一般企業に就職しようと決めました。
総合人材サービスのアデコに応募し、学歴もなかった私は門前払いを受けるところでしたが、当時の人事責任者の方が私の経歴を面白がってくださり、契約社員として採用いただきました。
ちなみに、アデコと聞くと人材派遣をイメージする方もいらっしゃると思いますが、アデコは実は「BPO」という、大手企業などが経営効率化のために事業・部門ごと外部へ委託する仕組みに関するノウハウが特に優れていました。
私は入社半年後に、そのBPO部門で10名チームを束ねる管理職に抜擢していただいたので、そこでビジネスマナー・コンプライアンス・セキュリティーといったビジネスの基本はもちろん、企業の課題解決はこういう視点で、このように進めるといったノウハウを学べたことも大きかったです。
当時の現場で得た知識と経験は現在でも非常に役立っており、感謝してもしきれません。
その後、会社員としてキャリアアップを目指そうと思い、人生初の転職活動を始めました。
ところが、学歴フィルターによって書類選考で落とされ、面接で強みをアピールする機会さえ与えていただけない現実が待っていました。いわゆる「学歴の壁」です。
もちろん、学歴以外にも落ちる要因はあったかもしれませんが(笑)。
どうにもこうにもならない中で、子供の頃からの趣味である囲碁の友人(といっても人生の大先輩方)にも相談に乗っていただきました。ご高齢の方が多く、良いアドバイスをいただけそうだと思ったからです。
その中の、80歳の経営者の方から、『転職は人生への甘え、起業は成功への門出。君は人に好かれるから、可能性あるよ』との言葉に背中を押され、2015年、25歳を節目に起業することを決めました。
これまでに苦労したことを教えてください。
創業3年目に一念発起で新規事業を2つ立ち上げた時のことです。
2017年、創業前からいつも応援してくださっていた方が急逝してしまいました。その方に対して、いつまでも「起業家ごっこ」の域を出ず、大したことも実現できず、恩返しができなかったことに、不甲斐なさで涙が止まりませんでした。
そこで、当時27歳でしたので、『30歳になるまでに事業を軌道に乗せよう、ダメなら会社を畳もう!』と一念発起し、エンジェル投資をいただいて2つ事業を立ち上げました。
一方は今も手掛けている動画ソリューション事業、もう一方はクラシックを盛り上げるためのオーケストラ事業です。後者は、もともと私がクラシック家系で育ったこともあり、低迷するクラシック業界の復興に貢献したいという想いで立ち上げた事業でした。
動画ソリューション事業は、営業開始後、すぐに大手企業様を含む数社の導入が決まるなど一定のニーズがあり、すぐに軌道に乗りました。ところが、オーケストラ事業は全く売上が立たず、固定費だけが膨大にかかり、赤字を動画ソリューション事業であがった利益で補填せざるを得なくなりました。
毎月大赤字で給料も支払えなくなるため、各銀行に融資をお願いするも「返せる保証のない会社には1円も貸せません」と一蹴されました。やむを得ず、消費者金融数社から個人で限度額いっぱいまで借り、社員の給料や固定費の支払いに充てるという、その時はボロボロの自転車操業でした。
会社も自分自身もギリギリでしたが、若気の至りといいますか、見栄を張って社員には平静を装っていました。しかし頭の中では、どうやって業績を伸ばすか、どうやって社員を育てようか、資金繰りをどうしようか…などの考えでいっぱいでした。3〜4ヶ月、眠れない日が続きました。
今となってはかけがえのない経験・思い出ですが、当時は本当に苦しかったですね。
それをどのように乗り越えたのでしょうか?
まず、助っ人としてジョインしていただいた財務担当社員に、『すぐに極限までコストカットをして、オーケストラ事業も清算して人員整理をしないと会社倒産しますよ!』と言われました。
このまま自転車操業の末に倒産してしまうと、動画ソリューションを導入いただいているお客様にも大変な迷惑がかかる。
そこで、社員にたびたび経営状況を説明し、なんとかして人員整理を進めようとしました。しかし、これまで就業経験のない新卒や若手が中心だったため、行く宛がないのもあって拒否される日々。社員の気持ち・立場も重々わかるので、つい同情してしまい身動きできない自分。そうこうしているうちに資金はどんどん枯渇していきました。
なかなか思い切った改善を進めきれない甘い自分でしたが、財務担当社員から喝をもらい励まされながら、最終的に大幅な業務改善と事業転換を決行・完了できました。
結果、多くの社員を失い、家賃の高いオフィスも解約し、初めて自分の本当の実力・身の程を思い知り、これまでにない挫折を味わいました。
夜中にひとり、徒歩でオフィスから手に食い込むような重い什器を家まで運びながら、『経営者が勉強不足だと、自分だけでなく他人の人生も不幸にしてしまう』という懺悔の思いとともに、自分のこれまでの生き方・考え方・価値観すべてをリセットして1からやり直そうと決心しました。
そこから偶然、経営のメンターに出会い、実践経営を1から学びました。
その甲斐あって、それまでは興味を持つことさえなかったであろう、経営者としての生き方の指針になる様々な本などにも出会い、ひたすら勉強・実践。
そして、今ではお客様やパートナー様に恵まれ、ご紹介やリピートも数多くいただけるようになりました。
現在はコロナ禍の影響も受けてはいますが、数十年スパンで立てている社会問題や将来を見据えた計画をもとに、荒波を乗り越えられる筋肉質な経営を心がけています。
今後の展望や夢を教えてください。
まず今後の展望についてですが、私たちが展開するBtoBかつ課題解決型のビジネスは、量より「圧倒的に質」だと考えています。
さらに言えば「ノウハウ(Know-How)=その会社が持っている全体としてのノウハウ」よりも「ノウフー(Know-Who)=その会社で誰がノウハウを持っているか」が重要な視点になります。
課題解決型のビジネスでは、会社が大きくなるほど本当にノウハウを持っている担当者の割合が少なくなり、お客様側からすると、担当者によって最適な支援を受けられたり・そうでなくなったりという実態があります。
さらには、拡大して固定費が膨らむほど粗利をあげる必要があるので、拡大するためには必然的にお客様のためにならない無理な営業もせざるを得なくなります。
そういうわけで、私たちは「自社ファーストで拡大して脂肪・無駄の多い会社になる」のではなく、「貢献ファーストで、小さくても筋肉質で無駄の少ない強い会社になる」ことを目指しています。
最後に今後の夢についてです。
インターネット上のマーケティングは、グローバル規模で規制・審査が強化されてきているものの、まだまだ詐欺まがいのセールス手法や効果のない商材、ブラック企業による採用広告など、いかがわしいプロモーションが溢れています。
受け手のリテラシー・判断能力は年々向上してきてはいますが、企業・個人を問わず犠牲になっている方々がまだまだ多いのが実態です。
私たちは一貫して「優れたヒト・モノの魅力を広げ、社会をより良く豊かに」という理念を掲げていますが、その裏には「いかがわしい商材・広告を出せない、出しても売れない社会をつくる」という裏の使命もあります。
動画ソリューションを通じて素晴らしい企業と人とをつなぎ、より良い社会・暮らしに貢献する――。
それが、一貫した私たちの夢です。
村田さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!
私にとっての人生指南書の一つ『渋沢栄一「論語」の読み方』です。
孔子が「人が生きる上で大切なもの、目指すべきもの、守るべきもの」を説いた論語に、実業家・渋沢栄一さんの解釈と実践例が記された一冊。
まだまだ私も修行中ですが、我が子(この4月に誕生予定)にも伝えていきたい珠玉の教えが満載です。
『渋沢栄一「論語」の読み方』 渋沢 栄一(著)、竹内 均(編集)
孔子の生き方、つまり「論語」のエキスをそのまま日常生活、仕事に応用して成功した代表が、渋沢栄一である。 「論語」をなめるように読み、実践していったのである。 人生への取り組み方、自分の長所を磨き育てる工夫、そしていい人間関係の築き方など、この本との“対話”には、面白い感動的な発見がある。 AmazonURL:https://amzn.to/367Q6Ik |
投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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