今回はアトピヨ合同会社代表、Ryotaro AKO氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | アトピヨ合同会社 |
代表者 | Ryotaro AKO |
設立 | 2021年3月15日 |
主な事業 | アトピー性皮膚炎分野における
ソフトウェアの開発 情報処理・情報提供サービス 調査・研究・製品開発・疾患啓発の支援 |
会社所在地 | 千葉県市川市 |
会社HP | https://www.atopiyo.com/ |
事業内容についてご紹介をお願いします
元々2018年7月にAppStoreから「アトピヨ」という日本初のアトピー見える化アプリをリリースしました。私が自分でプログラミングを勉強して開発したアプリです。
事業内容は、日本最大級になったアトピー患者向けアプリ「アトピヨ」の開発・運営と、製薬会社、医療機関と共にアトピー性皮膚炎分野における調査研究・製品開発・疾患啓発の支援をしています。
HPに市販品のモニター調査、広告宣伝はしていないと明記されていらっしゃいますが、その理由について教えてください
アトピー性皮膚炎は病気であるため、治療を最優先に考えており、現在は製薬会社、医療機関との連携を優先しているためです。
学生時代はどのようにすごされていましたか?
キャリアとしては変わっていまして、私は大学で機械工学を専攻し、大学院では管理工学・経営工学と言われる分野を専攻しました。
理系の学部は論文を書かないと基本的には卒業できないのですが、今思い返すと大学、大学院では卒業論文に一番力を入れていたと思います。
大学時代は「輸配送問題」という配達業者が配送を行う地域でどのルートを使えば素早く全員に荷物を届けられるかといったルート最適化についてのモデルをつくり、プログラミングをして、シミュレーション結果を研究していました。
大学院では「サプライチェーンマネジメント」について研究していました。例えば、携帯電話が作られて消費者の元に届くまでに、メーカー→卸売業者→小売業者→消費者という流れがありますが、生産者価格、卸売価格、小売価格をそれぞれいくらに設定すれば、最終需要が大きくなるか、各参加者の利益が多くなり共栄できるかをモデル化し、プログラミングして、シミュレーション結果を研究していました。
なぜ会計士を目指されたのでしょうか?
公認会計士になる方の多くは、大学の商学部、経済学部、経営学部、稀に法学部といった文系の学部出身です。そんな中、理系出身の人間が公認会計士を目指すことは珍しいのですが、実は私の大学院の研究室が比較的経営と関わりのある分野だったため、先輩に会計士としてキャリアを積まれている方や、同級生で目指している人もいて身近な資格、職業でした。
将来を模索する中で自分が公認会計士として働く未来を想像したとき、入社したばかりの若い人でも監査という業務では必然として会社の金庫や経営会議資料などの、いわば会社の中心を見ることができ、経験が積めると考えました。
その時、会計士としてキャリアを積むのもいいし、コンサルへの転身や起業してもいいと色んな未来が想像できたことで、大学院卒業後に専門学校で学んで公認会計士の資格を取得しました。
社会人時代のお仕事について教えてください
8年ほど大手監査法人の1つであるEY新日本有限責任監査法人に勤めていました。
私は中でも国内監査事業部で上場企業から未上場の企業まで様々な企業の監査を経験しました。
監査というのは、数字を後追いする業務です。取締役会資料、経営資料、金庫などを見て後追いで間違いがないかを確認をするのですが、ある時から数字を作っている人たちがどんなことをしているのか、売り上げがどうやってあがっているのかがとても気になりました。
そこで、数字を見る側から作る側に行こうと思い、ベンチャーを含めた様々な企業を調べ始めました。
その中で一番興味を持ったのが、株式会社レノバです。
再生可能エネルギーの発電施設を開発・運営する事業をしており、私がいた6年ほどで想像をはるかに超える成長をした企業です。レノバでは管理部門に所属して財務、経理、子会社管理、内部監査を経験しました。
社会人時代のお仕事で印象に残っていることはありますか?
レノバの「やりきる力」はとても勉強になりました。
レノバは、再生可能エネルギーの発電所を作っているのですが、発電所をつくるためには様々な問題が出てきます。
まず、土地を確保したら地元の方々に説明しなければなりません。理解が得られた後も建設会社と建物をたてて、メーカーに発注して発電機を入れるのですが、多額の費用がかかりますので、銀行から借り入れ、また、発電に際して国からの許可も必要です。色々なステークホルダーを巻き込んで進めていかなければなりません。
国、自治体、地元の方、建設会社、メーカー、銀行と関わる人も多く、金額も大きいので予期せぬ事態も起こるのですが、レノバは最後までやりきるので本当にすごいと感じました。
アトピヨを作るきっかけについて教えてください
元々私がアトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎で悩んでいました。その中でも一番問題意識が高かったのがアトピーです。なぜかというと、喘息やアレルギー性鼻炎と比べてアトピーは見た目に影響がでたり、24時間かゆみが発生して、日常生活への影響が大きかったからです。
2015年9月に家族旅行で伊豆へ行ったのですが、カーペットやソファがあり、子どもたちがはしゃいだことで私は息があがり上半身が腫れあがるなどのアレルギー症状が出て救急車で運ばれました。
元々ハウスダストアレルギーがあったのですが、実際に私自身が苦しんだことでアレルギー疾患に対する問題意識が芽生えました。
それから少し時間が空きましたが、育児休暇を取得したタイミングで私はSNSで112名に「アトピーのどんなことに悩んでいるか」「アプリにどんな機能がほしいか」などをアンケート調査しました。
その後実際にアトピーで悩まれている方々とお会いした際、様々なお話しを聞きました。
1人の方がアトピーのブログを書いていたのですが、7~8年かけて治療を行い、その経過を部位ごとに画像で記録していました。アトピーは慢性疾患で良い状態と悪い状態を繰り返すので先の見えない病気ですが、その方のブログは治ることが言葉だけでなく写真でもわかるのでアトピー患者さんからとても人気でした。
また、センシティブな内容でもあるので、匿名性が重要であることも分かりました。
アンケート調査だけでなく、生の声を聞けたことでアトピヨの原型を思いついて、アプリ化に向けて動き出しました。
制作時のエピソードについて教えてください
アプリを作りたかったのでプログラマーを探したのですが、結局見つからず、自分でプログラミングを学んでリリースをしました。
大学時代もシミュレーションでプログラミングをしたことがあったのですが、当時はスマホやアプリのない時代でしたので、あらためて iPhoneアプリのためのプログラミングをゼロからTechAcademyというプログラミングスクールで学びました。アトピーは、部位ごとに症状を比較表示することが大事だと気付きまして、実現できるよう少しずつ改良を重ねていき、現在のアトピヨに近いものができあがりました。
起業してからのご苦労は何かありますか?
アトピヨは2018年7月に個人ボランティアでアプリ開発から始めましたので、社会性からスタートをしています。その後、順調にダウンロードが増加し、日本最大級のアトピー患者向けアプリに成長しました。
そして、2021年3月に会社を設立したことで、現在は事業性を追っているような状態です。
そもそも日本には、アトピー患者向けSNSといった患者SNS自体が少なく、事業化している成功例も少ないのが現状です。
多くのユーザーがアトピヨを支持してくれていますが、これをサステナブルな状態にすることに、現在取り組んでいます。
今後どのようなビジネスプランをお考えですか?
現在アトピヨを通じてアトピー患者さんたちが情報を発信し励まし合っています。
ただ、製薬会社や医療機関の協力がないと治療まで繋がりません。
今は必死にどうやったら患者さんにより還元ができるのか、役に立てるのかを模索している状態です。
1つ目は、製薬会社の「疾患啓発」に注目しています。信頼性の高い正確な情報、エビデンスに基づいた治療の手順、薬の塗り方など製薬会社のHPでは公開されていますので、それをアトピヨに連携することで患者さんが正確な情報、新しい治療を知ることに繋がります。
また、アトピヨとして、製薬会社向けに個人情報を除いた患者さんの「情報提供」を行うことで、新薬の開発・マーケティングなどに役立てていただけます。
2つ目は、医療機関の「オンライン診療」に注目しています。アトピー性皮膚炎は、慢性疾患であるため継続治療が基本となります。例えば、オンライン診療事業者と連携させていただくことで、会社や学校で平日なかなか病院に行けない患者さんがご自身でアトピーの経過を記録し、それをシステムでつなげてオンラインで医師に見せることで円滑かつ高精度な診療を継続できるようになります。
これからアトピヨを使われる方々へメッセージをお願いします
アトピヨは私自身の経験と多くの患者さんの生の声を基に、100%患者さんのほうを向いて作った、匿名性の無料アプリです。現在、製薬会社や医療機関にご協力いただき、もっと患者さんに役立つことができないかと色々なプロジェクトを進めているところです。
アトピー性皮膚炎は、孤独に闘病生活を続けている方も多いですが、アプリ内で、新薬で劇的に良くなっている方々の治療の経過などを写真で見ることで、色々な治療の選択肢があることを知ってもらうことができます。また、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性疾患ですが、同じ患者さん同士で励まし合うことで、前向きになってもらえれると嬉しいです。
座右の銘について教えてください!
日本とアメリカで2つあります。
1つは江戸時代の米沢藩の大名の上杉鷹山の「為せば成る 為さねば成らぬ何事も」です。アトピヨは、個人ボランティアでのアプリ開発からスタートし、会社を設立して1年を超え、試行錯誤しながら事業化を進めています。「頭で考えるだけでなく、何事もやってみる」ことが大事だと感じています。
もう1つは先日、経産省・JETROのプロジェクトで、シリコンバレーへ行ってきたのですが、現地の真ん中にあるスタンフォード大学の「Change Lives. Change Organizations. Change the World.」というミッションです。「個人の人生を変えて、組織を変えて、世界を変えよう」という意味で、今の自分自身やアトピヨのチャレンジに重ね合わせています。挑戦し続けていきたいです。
投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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