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ALIVE(アライブ)総合格闘技道場社長、鈴木陽一氏

今回は愛知県名古屋市でALIVE総合格闘技道場を経営されている、鈴木陽一氏にお話を伺ってきました。

格闘技好きが開いたこの道場からは多くの世界チャンピオン、日本チャンピオンが生まれており、経営とスポーツを見事に融合させたその手腕について深堀りしてきました。

また、健康運動指導士としても活躍されている鈴木陽一氏に経営者、働く人の健康についてもお聞きしてきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

会社名称 ALIVE(アライブ)総合格闘技道場
代表者 鈴木 陽一
設立 1998年9月
主な事業 格闘技道場、パーソナルトレーニングジム、経営コンサルタント
社員数 5名(取材時)
会社所在地 〒461-0003愛知県名古屋市東区筒井2丁目11-24 葵ビル2階
会社HP https://aliveacademy.net/

 

学生時代はどんなことに熱中されていましたか?

小学生では野球のリトルリーグで活躍したり、脚が速いのを認められて名古屋市の陸上競技100メートル走に選抜されて3位になったりと、小さい頃からスポーツが好きでした。小学生の時に陸上連盟の方の目に留まり、中学校では陸上部を作り陸上に励み、高校も体育科のある学校で寮生活をし、陸上競技に没頭していました。小さいころからスポーツアスリートとして暮らしてきました。

 

社会人になってからはどんなお仕事をされてきましたか?

スポーツクラブのフランチャイズ運営会社に勤め、トレーナーから支配人を務め、新規オープンの企画運営をしていました。

10年の間で10店舗のオープンに携わりました。

どんなことをするかというと、ある市でジムを作りたいというオーナーがいたら、まず市役所に行って市場調査をします。過去10年の人口推移から、今後どんな人が利用するのか予測を立て、地場の特性を活かしたジムを提案します。

例えば、ファミリー層に住みやすい街を目指している場所なら、今後子どもが増えることを見越してスイミングができるジムを作ったり、都市部なら一人暮らしの単身赴任が多いので、大きなお風呂をジム内に作りましょう、といった提案をしていきます。

 

なぜご自身で道場、ジムを作られようと思ったんですか?

スポーツクラブの企画運営をしていく中で、1990年代にK-1とPRIDEが始まり、スポーツクラブのお客さんの中に格闘技やってみたい人が増えてきました。ですが、当時格闘技ができる道場は夏でもストーブを焚いて道場長が竹刀を持っているような、選手育成のための本格的な道場しかなく、一般の方が気軽に取り組める環境はありませんでした。

そこで、一般の人でも気軽に格闘技ができる道場を作りたい、格闘技好きな人が集まれる場所を作りたいと思い、時間割制の格闘技道場を作りました。この時間割というのはスポーツクラブと同じシステムです。ALIVEでは「キックボクシング」「グラップリング(関節技有りのレスリング)」「ブラジリアン柔術」「MMA(総合格闘技)」を時間ごとに学ぶことができます。

格闘技道場の多くは元世界チャンピオンが開くことが多いですが、私は色んな先生を呼んで道場を運営していました。そのため、普通道場をやっていると「道場長」と呼ばれることが多いですが、私の場合、同業者から「社長」と呼ばれています。

 

鈴木さんご自身はいつから格闘技をされ始めたんですか?

実は33歳で道場を開き、34歳から格闘技を始めました。

元々スポーツクラブのエリアマネージャーをやっていた時期にトライアスロンやダイビングやスキーを教えており、普通の30代よりは体力はあったほうだと思います。

 

鈴木さんはジムの経営以外にも様々な取り組みをされていますよね。
健康面での活動についても教えてください。

私はトレーナーとしては34年目、健康運動指導士としては約26年、企業のコンサルとしては20年ほど仕事をしています。

一般社団法人日本セルフケア推進協議会、SPORTECなど各団体のお手伝いも行っています。特に、SPORTECは経営者の方におすすめです。日本最大のスポーツ、フィットネス、健康の産業総合展です。最新の健康器具やサプリ、美容などが集まり、私は会場で講演会を行っています。

 

働く人の健康面で何が問題となっているのでしょうか?

「プレゼンティズム」が問題となっています。体調が悪くても会社に来て仕事をしている人のことです。高血圧や糖尿病などだけでなく、寝不足や二日酔いなどの症状も含まれます。

健康には「運動・栄養・休養」が大事なのですが、日本人はこの「休養」が苦手です。休まずに頑張ることが美徳とされていますが、これからの時代はいかに作業効率を上げること、短時間でより良いひらめき、アイデア、イノベーションを起こすかを求められる時代になってきます。

また、これは事業承継の問題にも関わります。例えば先代が30年間1日3時間睡眠で働いていました、と言われて、後継者はそんな会社を継ぎたいと思うでしょうか?

ALIVEのパーソナルトレーニングには多くの経営者の方が来ます。そこで私が経営者の方に伝えていることは、「いかに良い休養をとって、よい活力を得て、短時間で効率的に働くか、いかに健康面を維持するかが大切だ」ということです。

 

日々の生活をより良いものにするために何かアドバイスはありますか?

具体的な目標、目的を持つことが大事です。

私が懇意にさせて頂いている日本リカバリー協会では「運動・栄養・休養」のほかに「活力」が必要だと言っています。

例えば、日曜の夕飯に美味しいレストランへ行くとします。食材を上手く扱って手が込んだフレンチを食べたとしたら、その食材の下ごしらえや料理の研究、盛り付けなど1品を作り出す労力を見つけて「素晴らしい」と感動し自分に反映することが大切です。

休養を取る中で、人に感動や癒しを与える人の努力を考えて、自分も頑張ろうというポジティブなエネルギーに転換し活力を得るのです。

 

活力は他にもどんなことで得られますか?

人間がデスクワークをし始めたのはせいぜいここ2~300年の間の出来事です。稲作が始まったのは2万年前からと言われていますが、サルから分かれた時点から考えると600万年の歴史があり、稲作を始める前まで、ヒトはマンモスや猪を狩る狩猟民族でした。この本能は現代の私達にも残っています。

村でチームが猪を狩り、待っている側も心配をしつつ帰りを待ちます。そこに獲物を持ったチームが帰ってきたら喜びますよね。これはサッカーや野球の応援と同じ現象です。応援しているチームが勝ったら喜び、自分にもそれでエネルギーを貰い、日々の生活に活力が沸きます。

仲間の活躍をエネルギー、活力に変えるのが人類の本能だと思います。

 

ALIVEでは経営者や働く人のために取り組んでいることはありますか?

ALIVEでは人間ドッグの医療機関と提携をしています。道場に来ている経営者がそれを受けて、問題があったら私がアドバイスをしています。また、人間ドッグの結果に対してアドバイスをする人間を今育てています。

また、現在、一般社団法人日本セルフケア推進協議会の研究チームと一緒に仕事をしています。

一般社団法人日本セルフケア推進協議会は興和株式会社代表取締役社長、三輪芳弘氏直轄の社団法人です。

国民の健康を第一に考え、関係団体、関係機関と連携し、情報収集と情報発信を行っています。

どんなことをしているかというと、働いている人の健康づくりをよりサポートできるよう取り組んでいます。現状の日本の問題として、生まれてからの健康のデータの保管先がまとまっていないことが挙げられます。生まれたときは病院なので厚生労働省、小中高の健康と運動のデータは文科省、働きだすと厚生労働省になりますが、うつ病や心筋梗塞などの労災は経産省に保管されます。このように日本では健康に関するデータがバラバラなため、トータルして原因をつきとめるのが難しいです。

国の政策として「データヘルス」や「スーパーシティ」などがあり、一般社団法人日本ヘルスケア推進協議会ではそれらのリンクを行っています。

経営をされてきた中で大変だったことはありますか?

元々アスリートだったので、考え方は少し普通の経営者の方と違ったかもしれません。

なぜかというと、スポーツの世界では、勝者はほんの一握りです。そもそも1位になることが難しい世界でずっと生きてきたので、経営理念としては最初から「勝つまでやる」でした。

 

私が格闘技道場を始めた頃は、実は日本では3番目の道場だったんです。私の後にも格闘技道場はできましたが、どれも元世界チャンピオンなど格闘技で実績のある人たちがやっていました。

私はノウハウもなければ支援者もいない状況から始めたので、苦労という言葉1つでは言い現せないほどの生活でした。しかし、日沖が世界チャンピオンになったあたりから流れは変わり始め、世間の目が変わりました。

 

世の中に注目されたポイントはどういった部分でしたか?

科学的トレーニングについて注目を浴びましたね。

徹底的にデータ管理をするんです。例えば、次の対戦相手が分かったらデータをとっていきます。

1ラウンドにジャブが何回、ミドルキックが何回、対戦相手が右利きの時の勝率と左利きのときの勝率、試合場所別での戦績なども見ていきます。試合場所での戦績は、例えばラスベガスでの勝率がほかの場所と比べて高ければ、その選手の出身が標高の高い場所で酸素の薄い場所での戦いに慣れているから試合が長引くと相手のほうが有利になるな、といった予測を立てます。試合前は対戦相手の過去10試合分のデータを元にプランを練ります。

この話をジムに来ている経営者の方に言うと、経営と同じ理念だというお声をいただきます。

データを見て予測を立てて実践し、改善していくのは、格闘技も経営も一緒です。

なので、ジムに来る若い経営者さんにはよくこの話をして意見交換しています。

 

選手のブランディングではどういったことをしていますか?

運動生理学とマーケティングに則った選手の育成をした結果、良い結果がでました。

加えて、スターを育てるということにも力を入れています。

特に、何万人という観客がいる会場で選手が勝利してインタビューを受けたときに、しっかりと社会性のある発言ができるように指導をしています。

なぜそういった指導しているかと言うと、先ほど話した人の活躍を活力に変えるという部分で、見る人のメンタル面の健康をフォローしたいと考えているからです。

そういったブランディングをしっかり行っていることから、会社の規模のわりに株主や支援者が多いのがうちの特徴です。海外や国内の遠征のときも支援者からお金を出してもらえるから、選手は移動時などにストレスが少なく試合に集中でき、よりよいパフォーマンスが出来ているんだと思います。

また、規模が小さいながらにも、うちで頑張っているプロ選手は社員雇用や契約社員をしています。もちろん福利厚生もしっかりとあります。選手が試合に集中できるような環境づくりをするためにもブランディングに力をいれています。例えば、パーソナルトレーニングはRIZINやPRIDEやK-1などプロの試合に出ている選手が担当しています。強く正しい選手を作ることが大事だと思います。

経営者の方へ健康のアドバイスをお願いします。

健康は日々の積み重ねです。

綺麗な食事をして、タイムマネジメントもしっかりと行い、運動習慣をつけることが大切です。

私はよくジムに来る経営者に「2次会、3次会には行くな」と言っています。良い食事をとって早く寝て、朝はウォーキングや読書をして、よい活力作りをし、自分が頑張れるための目的を持ちなさい。」と言っています。「運動・栄養・休養・活力」をバランスよく取り入れてみてください。

 

おすすめの本を教えてください。

日本リカバリー協会の『休養学基礎: 疲労を防ぐ! 健康指導に活かす』です。

健康のためには「運動・栄養・休養」が大事ですが、運動には「運動指導士」、栄養には「管理栄養士」がいるのに、休養には「休養士」がいません。休むための専門的なアドバイスをする人がいないんです。大学でも運動や栄養は学びますが休養は学ばないですよね。

現在、日本リカバリー協会が「休養学」を作るために専門家達と動いています。私もそのお手伝いをしていきたいと思います。

『休養学基礎: 疲労を防ぐ! 健康指導に活かす』

世界的にも疲労度が高いとされる日本。新型コロナウイルス感染症により、人々はさらにストレス耐性が求められている。ストレス軽減に必要な事柄やそのメカニズム及び効果的な休養の取り方などについて、「休養」を科学的に体系化した良書である。健康指導に関わる全ての方々、健康志向の高い一般人必読の書。

Amazon URL

https://www.amazon.co.jp/dp/4840475660/

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!