アールケイエンタープライズ 沢田氏

今回は株式会社アールケイエンタープライズ代表取締役社長、沢田登志雄氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

会社名称株式会社アールケイエンタープライズ
代表者沢田登志雄
設立1954年4月1日
主な事業小売事業、買取事業、質事業、卸売事業、修理事業、オークション事業、海外事業
社員数約225名(取材時)
会社所在地  神奈川県横浜市中区蓬莱町3-104 RKセントラルビル
会社HPhttps://www.rk-enterprise.jp/

株式会社アールケイエンタープライズの事業内容について教えてください

当社は、横浜に創業以来、70年以上にわたりブランド品・貴金属の販売・買取・質預かりを手がけてまいりました。

現在は、名古屋に本社を置く「株式会社コメ兵ホールディングス」のグループ企業として、「ロデオドライブ」の店名で、時計・バッグ・ジュエリーを中心に、新品・中古品の小売販売・買取・修理を行っています。

事業内容は、「小売事業」「買取事業」「質事業」「卸売事業」「修理事業」「オークション事業」「海外事業」などを行っています。

株式会社アールケイエンタープライズが特に力を入れている点や、他社にはない強みはどこですか?

ブランドリユースの市場には近年たくさんの企業が参入していますが、当社には70年以上の歴史と、横浜で積み上げてきたお客様との信頼関係があります。これはそう簡単に真似できるものではないと思っています。

それから、時計修理を自社でできることも強みの一つです。普通はブランド時計の状態を整えるのに外注が必要なのですが、当社では時計の自社修理工房を設け、国家資格を持つ「時計修理技能士」が多数在籍しているので、スピーディーに、かつ精度高く対応できます。お客様をお待たせする時間が短くなりますし、修理コストをダウンできることでその分、買取額に上乗せできるのも他社にはない強みとなっています。

もう一つは、法人向けの自社オークションを運営していることです。RKオークションは15年以上の歴史があり、月間出品点数1万点超・出来高20億円超と国内有数の規模となっています。仕入れて売るだけでなく、業者様とともに市場をつくっていくという姿勢が、当社らしさだと思っています。

御社はBtoCとBtoBの両方を展開されているとのことですが、それぞれどのような形で事業を行っているのでしょうか?

BtoCは一般のお客様に向けた店舗・ECでの小売販売や買取が中心です。

BtoBはオークション事業と卸売事業がメインです。当社が一般のお客様から買い取ったリユース品や、他社のオークションで仕入れた商品を、業者様へ販売しています。

また海外事業では、香港の店舗での時計を中心とした現地業者様への販売や、現地で開催される時計やジュエリーの展示会(ショー)にも参加しています。

「社長の履歴書」をご覧になる経営者の方々に向けて、特にPRしたいことを教えてください

一番伝えたいのは、1954年の創業から70年以上続いてきた歴史と信頼です。長年の経験の中で磨いてきた「本物を見極める力(真贋力)」と、オークション運営を通じて培った「相場を読む力」は、当社ならではの強みだと思っています。

そして2024年10月、ブランドリユース業界のトップランナーであるコメ兵ホールディングスのグループに加わりました。全国規模のネットワークやノウハウを共有できるようになり、当社としての総合力もさらに高まっています。

今年(2026年)5月には渋谷センター街に新店舗をオープン。グループ企業のK-ブランドオフと同じビルへの出店となります。時計・ジュエリー・バッグなど、幅広い商品の購入・買取をワンストップで楽しんでいただける場所です。こうしたグループとしての広がりも、今後の当社の強みの一つになっていくと考えています。

当社の事業の詳細についてはこちらをご覧ください。
https://www.rk-enterprise.jp/

ここからは沢田社長ご自身のことについてお伺いします。学生時代に、何か打ち込んでいたことはありましたか?

学生時代は自分の大学のサークル活動だけでなく、名古屋を中心に東京や関西の大学生とも一緒になって、スキーや軽井沢でのテニスのツアーを企画・運営していました。大手ツーリスト会社にツアーを手配してもらい、バスをチャーターして各大学を回りパンフレットを配って参加者を集める。そういったことを自分たちでやっていたんです。

スキーが得意なメンバーが現地でコーチ役を買って出て、夜はみんなでパーティーをする、という感じで毎シーズン志賀高原や八方尾根に出かけていました。学生なのでお金もなく、旅費を浮かせたいという動機もあったのですが(笑)、それが自然と企画や運営を経験することにつながっていました。

自分の大学だけでなく、いろんな学校の人たちとコミュニケーションを取りながら一つのことをやり遂げる経験は、今振り返っても大きかったと思います。そういう経験を重ねるうちに、在学中から「早く社会に出て働きたい」という気持ちが出てきていましたね。

新卒でコメ兵に入社されてからアールケイエンタープライズの代表に就任されるまでの間、どのようなお仕事をされてきたのでしょうか?

コメ兵に入社した当時は、今ほどリユース産業が確立されておらず、テレビや冷蔵庫といった家電製品を扱う「地域密着型の中古品販売店」からのスタートでした。私は早い段階から時計部門の責任者を任されるようになり、その頃からアールケイエンタープライズの前代表・原幸雄顧問とも交流があって、真贋情報など業界の情報をお互いに共有し合う関係が続いていました。

リユース市場が注目を集めるようになると、名古屋の事業が大きく拡大しました。売場面積、1フロア250坪、6フロアで構成された大型店舗を立ち上げ、商品の調達から販売まで自分の足で動き回りながら事業を育てていきました。名古屋の売上が200億円規模になった頃、今度は東京・関東エリアの開拓を任されることになりました。

東京では有楽町に200坪の店舗を出した後、新宿にも800坪の大型店を構えました。

ようやく軌道に乗りかけた頃にリーマンショックが直撃して、抱えていた在庫が一気に不良資産になるという厳しい経験をしました。そのピンチを機に、東京・名古屋でバラバラに動いていた商品部を統合し、名古屋に大型の物流センターを設けて全国に商品を供給できる体制を整えました。会社の仕組みをゼロから作り直すような経験でしたね。

その後はコメ兵グループ内でオークション事業会社の代表を務めたり、タイヤ・ホイールの販売会社など異業種の事業会社の代表も兼務したりと、グループ全体の成長に幅広く関わってきました。

また、業界団体である一般社団法人日本流通自主管理協会(AACD)の代表理事(現在は名誉顧問)として、偽物の流通を業界全体で排除する活動にも長く取り組んできました。ゲオやブックオフなど約130社が参加するこの協会の活動は、「日本の中古品は信頼できる」という評価を国内外に広める取り組みでもあります。

その後、コメ兵ホールディングスとアールケイエンタープライズのM&Aが成立しますが、M&Aが成立するまでの間、コメ兵とアールケイエンタープライズはどのような関係だったのでしょうか?

ビジネス上はライバルでしたね。ただ、アールケイエンタープライズが横浜・関東エリアを軸にした専門特化型だったのに対し、コメ兵は全国約300店舗を展開する全方位型でしたので、真っ向からぶつかり合うというよりは棲み分けがある部分もありました。

オークション事業はほぼ同時期に立ち上げていたので競合することもありましたが、それでもアールケイエンタープライズには運営システム面などで助けてもらったこともあります。原顧問と顔を合わせるたびに感じていたのは、企業としての文化がとても近いということです。お客様を大切にすること、誠実であること、同業他社とも協調していくスタイル――こうした価値観が両社に共通していました。

当社の経営理念「感謝・絆・睦(むつみ)」と、コメ兵が大切にしてきた「誠実・協調」という考え方はとても重なるものがあります。その近しさは現場の社員一人ひとりにも伝わっていると感じています。

コメ兵時代の経験の中で、特に今の自分につながっていると感じるエピソードを教えてください

一番大きかったのはリーマンショックの経験です。例えば20万円で仕入れたロレックスが一気に半額の価値になってしまうような状況で、在庫に大きな含み損が生じました。そのときに学んだのは、ピンチのときほど早く動くことが大事だということです。損を恐れて立ち止まるのではなく、在庫をできるだけ早く売り切り、3年・5年後の姿を描きながら次の手を打つ。そういう「切り替えの早さ」が、その後の自分の経営スタイルの基本になっています。

コロナ禍も同じような経験でした。そのとき行っていたオークションは買い手が一堂に集まって行うスタイルでしたが、三密を避けなければならなくなり、そのやり方がまったく通用しなくなりました。そこでオンライン化に踏み切ったところ、これが大きな転機になりました。買い手が現地に来なくても商品を確認できるようになり、海外の業者様も参加できるようになって、オークションの利用者が一気に広がったんです。ピンチが、事業の可能性を広げてくれた形になりました。

こうした経験から、環境が大きく変わったときこそ成長のチャンスだと思っています。今でいえばAIの急速な広がりがまさにそれで、産業革命に近い変化だと感じています。それをどう使いこなして、5年・10年後の会社をどう作っていくか、今まさに考えどころだと思っています。

もう一つ印象に残っているのが、コメ兵が2000年頃に株式上場を果たしたときのことです。当時、中古品を扱う仕事は社会的な評価が低く、「中古を扱いながら上場できるのか」と周囲からずいぶん驚かれました。でも今では、中古品ビジネスで起業する方も珍しくなくなり、日本の中古品は「品質が信頼できる」として海外からも高く評価されるようになっています。そういう業界の変化を間近で見てきた経験は、今の仕事への自信にもつながっています。

2024年のM&Aを経て、アールケイエンタープライズの代表に就任された経緯を教えてください

アールケイエンタープライズは、これまでブランドリユース業界の中でも安定して成長してきた、規模感のある会社です。コメ兵ホールディングスとしてM&Aを進めるにあたって、業界の歴史や文化を知りながら両社をつなげる人間が必要でした。そこに、私が適任だと判断されたようです。

私はそれまでコメ兵グループ内でオークション事業会社などの代表を務めていましたが、各事業が一定の成熟を迎え、オークション事業はコメ兵本体に統合されることになりました。そういったタイミングも重なって、今回の役割が回ってきた部分があります。

もう一つ大きかったのは、アールケイエンタープライズの前代表・原顧問との長い関係です。私より一つ年上の原顧問とは20代・30代の頃からの付き合いで、業界のオークション市場でお互いに競い合いながら、相手の仕事のスタイルや考え方をよく知っている間柄でした。一緒にやるなら同じ志を持った人間がいい、という思いは原顧問にもあったと思いますし、私自身も同じ気持ちでした。

M&Aの場面では、現場のメンバーが不安を感じることも多いものです。そんなときに、コメ兵のことも、当社のことも肌感覚でわかっている人間が間に立つことで、社員の皆さんに安心して仕事に向き合ってもらいやすくなるのではないかと思いました。原さんから直接お声がけをいただいたときは、コメ兵への恩返しという気持ちもありながら、責任を持って役割を果たさなければという思いで引き受けました。

代表に就任されてから、苦労されていることはありますか?

文化が近いとはいえ、やはり別の会社として歩んできた部分は当然あります。アールケイエンタープライズはこれまでずっと安定した成長を続けてきた会社で、その堅実さは大きな強みです。ただ、急激にギアを上げて伸びていくことには、組織としてまだ慣れていない面もあるなと感じています。

そこで今取り組んでいるのが、社員の意識を少しずつ変えていくことです。「計画通りに着地できればいい」という守りの姿勢から、「自分たちで考えて動く」という姿勢へ変えていきたいと思っています。そのために人事制度も見直して、目標や取り組むべきことを制度の中に落とし込み、社員が自発的に動きやすい仕組みを整えているところです。

変化に不安を感じる社員がいるのは当然のことです。ただ、コメ兵グループの一員になったことで、K-ブランドオフなどグループ各社のメンバーと交流できる機会が増えてきました。これまで社内だけで過ごしてきた社員にとって、同じような立場で働く他社の仲間と刺激を与え合える環境は、きっとプラスになると思っています。お互いの強みを活かしながら、グループ全体で一緒に成長していける文化を、これから少しずつ育てていきたいですね。

株式会社アールケイエンタープライズとして、今後はどのような方向を目指していますか?

大きく2つあります。1つはグループ全体としての方向性、もう1つは当社独自の取り組みです。

まずグループとして掲げているのが「リレーユース」という考え方です。これはコメ兵ホールディングスが作った言葉で、「物は人から人へと受け継がれ、きちんと活用されてこそ、その使命を全うできる」という思想です。単に中古品を売り買いするだけでなく、物が人の手を渡り続けることに意味があるという考え方で、これをグループ全体で1つの「思想」から「文化」に変えて世界に広げていきたいと思っています。当社が長年積み上げてきた真贋力や時計修理の技術、質業のノウハウも、グループ全体に活かしていくことで、その文化づくりに貢献できると考えています。

当社としての具体的な目標は、売上300億円以上を達成することです。現在の200億円規模から、個人からの買取強化やオークション事業の拡大などを通じて成長を目指しています。関東・横浜エリアでは「ロデオドライブ」ブランドをさらに強化し、横浜DeNAベイスターズへのスポンサードなど地域との結びつきも大切にしながら、エリアでの存在感を高めていきます。

コメ兵グループの仲間になったことで、当社単独では越えられなかった壁を一緒に越えていける可能性が広がりました。70年以上守り続けてきた伝統はしっかり受け継ぎながら、グループの力も借りて新しい一歩を踏み出していく。そのバランスを大切にしながら前に進んでいきたいと思っています。

最後に、これまで読まれた本の中で、他の経営者にもぜひ読んでほしいと思う一冊を教えてください

稲盛和夫さんの『生き方』です。普段からそれほど本を読むほうではないのですが、この本は逆境に立たされたときや、「さて、どう向き合えばいいか」と迷ったときに、ふと手に取りたくなります。自分にとっての「困ったときの哲学書」みたいな存在ですね。

稲盛さんが大切にしている「利他の精神」、自分のことよりも相手のために考えて動くという姿勢は、活字で読むと改めて胸に響くものがあります。当社の「感謝・絆・睦」という理念や、コメ兵が大切にしてきた価値観とも重なる部分があって、そういう意味でも自分には近しい一冊です。

頭の中を整理して原点に戻りたいというときに、ぜひ手に取ってみてください。

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『社長の履歴書』編集部
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