
今回はSNS株式会社代表取締役社長、田中祐輔氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
| 会社名称 | SNS株式会社 |
| 代表者 | 田中祐輔 |
| 設立 | 2008年3月13日 |
| 主な事業 | イベント・店舗・企業などの販促(SP)に関わる、グッズ・ノベルティ・商品・記念品の製造・販売 |
| 社員数 | 36名(取材当時) |
| 会社所在地 | 東京都千代田区神田錦町2-9 安田不動産コンフォール安田ビル9階 |
| 会社HP | https://www.sns-sp.co.jp/ https://www.hansoku-mall.com/ |
まず、御社の事業内容と強みについて教えてください
当社が扱っているのは、イベントや店舗の集客・装飾に使うオリジナルグッズです。企業向けのユニフォームや展示会ノベルティ、クリアファイル、ボールペンといったものから、飲食店の幟旗・提灯・暖簾まで、お客様の屋号や社名、キャンペーン内容などを入れた「一点物」を専門に扱う商社です。
自社工場は持たないファブレス経営で、国内を中心に全国の協力会社と連携しながら物づくりをサポートしています。
強みの一つが、Web制作とSEOを完全に内製化していることです。「この商品が売れそうだ」と思えば、自社でスピーディーにサイトを立ち上げ、検索上位への表示まで対応できます。広告費に頼らず、自社で集客の仕組みを持っているのは大きな武器です。
もう一つの強みが、Web経由の問い合わせにも、あえて営業担当者が対応するという方針です。今の業界はEC完結・自動化が主流になりつつありますが、当社はあえて「人」を介在させています。
理由はシンプルで、お客様の不安に寄り添えるのは人だけだからです。当社の商品はデザインが入る一点物ばかりで、イベント前日や店舗オープン日など、絶対に納期を外せない案件が多くあります。「このデザインで本当に大丈夫か」「この日までに確実に届くか」――そうした不安は、自動応答では拭いきれません。お客様のニーズをしっかりヒアリングし、プロとして答えられる営業担当者を育てて配置することが、当社の一番の差別化だと考えています。
売上の中心は、広告代理店やイベント会社、飲食チェーン本部といったBtoB取引です。一方で、受注件数でいえば、個人店のオーナーやクラスTシャツを作りたい高校生まで、幅広いお客様からご依頼をいただいています。規模の大小を問わず、一点物をお客様の期待通りに届けること。そこに一番のこだわりを持っています。
経営者の読者に向けて、PRできることがあれば教えてください
生成AIの進化で「人がいらなくなる仕事」が増えているのは事実だと思います。ただ、当社が扱う販促品やノベルティは、お客様の思いが詰まったものが多く、納期や品質のミスが許されない商品ばかりです。そういう領域では、人が関わることにまだまだ大きな価値があると考えています。
ただ、社内ではAIも積極的に使っています。見積もりのスピードアップや新人教育への活用はもちろん、生成AIの顧問とも契約していて、全社員向けの勉強会も定期的に開いています。ただし、お客様への対応だけは、オリジナルデザインが絡む案件や納期が厳しい案件ほど、人が丁寧に動くことを大切にしています。
経営者の方にぜひ知ってほしいのが、当社の「一社完結」という強みです。イベントや販促物を手配するとき、幟旗はA社、TシャツはB社、ボールペンはC社……と複数の業者に連絡して、納期もバラバラに管理する、という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。当社では、そうした複数カテゴリの商品を担当者一人がまとめて対応します。
既存の取引先では融通が利かない、扱える商品の幅が狭い――そんな悩みがあれば、ぜひ一度声をかけてみてください。当社の強みを実感していただけると思います。
当社の事業の詳細についてはこちらをご覧ください。
https://www.sns-sp.co.jp/
https://www.hansoku-mall.com/
ここからは田中社長ご自身のことについてお聞かせください。学生時代に熱中していたことはありますか?
中学時代はバスケットボールに打ち込んでいましたが、高校に入ってからはオートバイにはまりました。お金のかかる趣味なので、それを買うために必死にアルバイトをする毎日でしたね。
通っていたのが日大の付属校で、周りには中小企業の経営者の息子が多かったんです。私はサラリーマン家庭でしたから、友人の家が豪邸だったりして、「自分もお金を稼げる人になりたい」という気持ちが、なんとなくその頃から芽生えていました。
大学も日本大学に進みましたが、正直、勉強よりもいかにスムーズに卒業するかを優先していました(笑)。その代わり、アルバイトにはほぼ毎日のように打ち込んでいて、複数をかけもちしながら社会人1年目の人と同じくらいの収入を稼いでいました。
お弁当のデリバリーのアルバイトをしていたときは、朝から晩まで働き詰めの店長や社員が愚痴をこぼす場面を間近で見ることもありました。そういうときは、閉店作業を自分たちバイトが引き受けて店を閉める。店長のそばで仕事をする機会も多く、社会の良い面も厳しい面も、学生のうちから肌で感じることができました。
上場自動車部品メーカーからキャリアをスタートされて、現在のSNS株式会社代表になるまでの経歴を教えてください
最初に入ったのは、トヨタやホンダといった大手カーメーカーに安全部品を納品する上場企業でした。売上は当時で約5,000億円、世界中で3万人規模の会社でした。
私は東京生まれ・東京育ちなのですが、入社説明会でちゃんと話を聞いていなかったせいで(笑)、新卒で滋賀県の工場に配属になりました。命に関わる安全部品を扱う現場なので、精度の単位はミリメートルではなくマイクロメートルの世界。ボルトやナットの順番が少しでも違えば、各カーメーカーへ選別対応に行かないといけない、という非常に厳しい環境でした。品質管理の厳しさや、ものづくりの本質を、ここで徹底的に叩き込んでもらいました。
一方で、年功序列の壁にも直面しました。自分より明らかに働いていない人が高い給料をもらっている現実に、どうしても納得できなかったんです。「自分の実力で稼ぎたい」「ちゃんと評価される環境で働きたい」という思いが強くなり、入社した同期の中で一番最初に会社を辞めました。丸4年、お世話になった会社でした。
転職先は、売上2億2,000万円・従業員8名の小さな会社です。前職が5,000億円規模でしたから、2,500分の1の規模ですね。ただ、実力主義でインセンティブもある。自分の頑張りが直接評価につながる環境でしたので決めました。その会社は、当時まだAmazonが本しか扱っていなかった時代から、インターネットで集客して販促品を販売するという、今の当社のビジネスの原点となる事業をやっていました。毎日終電で帰る生活でしたが、充実していました。
入社して10ヶ月ほど経った頃、会社を分社化するという話が持ち上がります。業界経験はまだ浅かったのですが、その新会社の第1号社員として転籍することになりました。それが今のSNS株式会社です。
スタート時は、今思い返すと笑えるほどゼロからの出発でした。元の会社のオフィスの隅に仕切りを立ててもらい、その向こう側がSNS株式会社のスペース。パソコン1台、家庭用コードレス電話1台、ウェブサイトが2〜3個。それが全財産でした。
経理以外は何でも自分一人でやる日々で、採用会社への連絡も、事務所探しも、銀行口座の開設も全部自分でこなしました。銀行の窓口では「法人口座を開設したいのですが」と言ったら「代表者様ですか?」と聞かれ、「従業員です」と答えた、なんてこともありました(笑)。
ただ、この経験があったからこそ、経営者がどれだけ多くのことを一手に担っているかを肌で理解できました。協力工場の社長さんたちと直接やり取りするうちに、裁量を持って仕事をする面白さにも気づき、自分でこの会社を大きくしていきたいという気持ちが自然と芽生えていきました。
これまでの仕事の中で、「この経験があったから今の自分がいる」と感じるエピソードはありますか?
一番印象に残っているのは、売上ゼロからスタートした当社で、自分だけの固定客が少しずつ増えていったことです。
新規のお客様を一件一件積み上げていく中で、「田中さんのところは動きが早い」「今まで断られていた案件が、田中さんと組むことで受注できるようになった」と言ってもらえるようになりました。自分を指名してくれるお客様、いわば“ファン”ができていく感覚は、シンプルに嬉しかったですね。
自動車部品メーカー時代は、受注や契約は上の人間が決めるもので、自分の仕事は「決まったことをいかにうまくこなすか」でした。お客様と直接向き合って関係を築く経験は、ほとんどできなかったんです。
販促の仕事はその真逆です。お客様自身も「何が最適かよくわからない」という状態で相談に来られます。「こういうものを作りたい」という漠然とした要望を一緒に形にして、「またお願いします」「他の店舗でも使いたい」と言ってもらえたとき、この仕事の手応えを強く感じました。自分の動き次第でお客様との関係が育っていく。その経験が、今の自分の原点になっていると思います。
2025年に代表取締役社長に就任された経緯を教えてください
第1号社員として入社した日から、ずっと責任者として会社を動かしてきました。採用も事務所の移転も営業も、とにかく何でも自分でやる日々です。現在のオフィスで4件目になりますが、そのすべての移転を自分で段取りしてきました。2019年に取締役、2022年に専務取締役と、少しずつ役職は上がっていきました。
もともと、創業オーナーから「最終的には野見山(現・代表取締役会長)と田中の2人でやっていってほしい」という話は、早い段階からいただいていました。それを受けて、2020年頃には「2025年に事業承継を完了させる」という目標をすでに決めていたんです。
それに向けて、当初は野見山が代表取締役社長として会社を引っ張りながら、私が実務全般を担う形で準備を進めてきました。野見山も基本的には私に任せてくれるスタイルで、数字が大きく崩れたときや問題が起きたとき以外は、あまり口を出してくることはありませんでした。
そして2025年、予定通りに事業承継が完了し、代表取締役社長に就任しました。特別ドラマチックな話があるわけではないのですが(笑)、第1号社員として積み上げてきた16年間が、そのまま今につながっている、という感じです。
経営者として仕事をする中で、どのような苦労がありましたか?
2025年に社長に就任したばかりなので、正直まだ苦労の真っ只中です(笑)。ただ、取締役・専務取締役の時代を振り返ると、大きな転換点はやはりコロナでした。
それまでの私は、とにかく自分が前に出てゴリゴリ引っ張るスタイルでした。売上も粗利も伸びていましたが、今思えば「自分が引っ張っているだけ」という状態でしたね。そこにコロナが直撃して、Web経由の問い合わせがピタリと止まりました。イベントも店舗も販促もすべてが止まる、業界全体にとって本当に厳しいタイミングでした。
ところが、そんな状況で先に動いたのは私ではなく、社員たちでした。マスク不足が深刻だった頃、社員が協力会社と連携してオリジナルプリントマスクの供給ルートを確保し、自社のWeb制作チームが専用サイトをすぐに立ち上げたんです。企業名やロゴの入ったマスクが飲食店や運送会社などに次々と売れて、結果的に売上は前年を超えました。業界全体が止まっていたのに、です。社員の頼もしさを改めて感じた出来事でした。
同じ頃、営業の責任者から言われた言葉も刺さりました。「社長が全員を背負わなくていい。全員に同じ期待をかけ、平等に幸せにしようと考えないでください」という言葉です。それまでの私は、自分が考える「幸せになるための価値観」を社員に押し付けていたんだと気づかされました。
お客様に対しても、反省がありました。新規の売上を追いかけるあまり、固定客づくりやファンづくりが後回しになっていたんです。目の前の数字を追うことと、長期的な信頼関係を築くことのバランスが取れていませんでした。
この2つの課題――社員一人ひとりを尊重する組織づくりと、固定客・ファンを増やす営業スタイルへの転換――は、専務時代から少しずつ取り組んできました。社長に就任してからは、さらに大きく舵を切っています。まだ道の途中ですが、これが今の一番の取り組みであり、同時に一番の苦労でもあります。
今後の展望を教えてください
中期ビジョンとして、「強みのある売上25億円企業」を目指しています。ただ、こだわっているのは「25億円」という数字よりも、「強みのある」という部分です。
お客様に対しては、「SNS株式会社に頼めば何とかしてくれる」と思ってもらえる会社でありたい。スピード、納期、品質、提案力――「あそこに相談すれば大丈夫」と安心してもらえる存在を目指しています。
協力工場との関係も大切にしています。当社はファブレス企業で、ものづくりはすべて協力会社の皆さんに支えていただいています。だからこそ、「お金を払う側」という上下関係ではなく、「SNS株式会社と一緒に仕事をしたい」と思ってもらえる関係を築いていきたい。支払いの安定や発注実績の積み重ねも、その信頼づくりの一部です。
社員に対しても、「この会社で働いていてよかった」と感じてもらえる環境を整えていきたいと思っています。給与や福利厚生はもちろん、面白いことに一緒に挑戦できる会社でありたいですね。
25億円の次は30億円を目指していきますが、売上を伸ばすことよりも、強みを増やすことを優先したいです。お客様にも協力会社にも社員にも「SNS株式会社と一緒でよかった」と思ってもらえれば、売上は後からついてくると思っています。
新卒時代に納品先の一つであった、あの世界のトヨタでさえ改善を続けているわけですから、当社なんてまだまだ改善点だらけです。お客様・協力工場・社内に向けて、昨日より今日、今日より明日と、日々の改善を繰り返していく。数字を追うのではなく、地道な改善の積み重ねによって、関わるすべての人に喜んでもらえる経営を続けていくことが、私の一番のビジョンです。
最後に、経営者におすすめの本を1冊教えてください
稲盛和夫さんの『生き方』です。
この本を通じて、「利他の心」という考え方がずっと自分の中に残っています。経営って、突き詰めると自分が儲かるかどうかという話になりがちですよね。でも、まず周りの人に価値を提供することが、最終的に自分のところに返ってくる。そのシンプルな考え方が、今でも刺さります。
当社が大切にしている「三方よし」の考え方とも重なっていて、お客様、協力会社、社員――関わるすべての人に喜んでもらえることを追いかけていれば、売上は後からついてくると信じています。この考え方は、これからも変わらないと思います。経営で迷ったときに、ぜひ手に取ってみてください。
投稿者プロフィール

-
企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
企業出版のノウハウを活かした記事制作を行うことで、社長のブランディング、企業の信頼度向上に貢献してまいります。
最新の投稿
仕事07/16/2026SNS株式会社代表取締役社長 田中 祐輔氏
仕事07/16/2026株式会社ボールド代表取締役社長 澤田 敏氏
仕事07/07/2026株式会社ディライト代表 高橋 亮氏
仕事07/02/2026株式会社クランピーリアルエステート代表 大江 剛氏

