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株式会社パッケージ松浦代表取締役 松浦陽司氏

今回は、株式会社パッケージ松浦にて代表取締役を務める、松浦陽司氏にお話をうかがいました。

 

株式会社 パッケージ松浦 会社概要

会社名称 株式会社 パッケージ松浦
代表者 代表取締役 松浦陽司(まつうら ようじ)
設立 1990年
主な事業内容 パッケージマーケティング業
社員数 6名(取材当時)
会社所在地 〒771-4261
徳島県徳島市丈六町山端10-1
会社HP https://www.p-matsuura.co.jp/

 

 

まずは、松浦さんが代表取締役に就任するまでのご経歴を教えてください。

 

僕は2代目なんですが、小さい頃から先代に「大きくなったらお前が継ぐんだぞ」と言われていたこともあって、昔から特に何の疑問も抱かずに会社を継ぐつもりでした。親父の敷いたレールとは違う業界で活躍しようという反骨精神もなく、むしろ線路があるなら、その上を走らせてもらおうという気持ちでしたね(笑)。大学卒業直後は、修行として別のパッケージ関連の会社で働いていたんですが、27歳のときに戻ってきて、30歳のときに代表取締役に就任しました。

 

株式会社パッケージ松浦の事業内容を教えてください。

 

はい。現在はパッケージマーケティング業を展開しています。創業時は、パッケージ資材の卸売業として、袋やシール、箱のメーカーさんから仕入れたものを納品していたので、デザインはほとんどせず製作・納品のみだったんですが、現在は製作の前段階となる企画・デザインも行うことで、総合的なパッケージマーケティングを提供しております。パッケージを通じて、商品の売り上げを伸ばしたり、ブランド力を高めたりするお手伝いをしています。

 

例えば、徳島県鳴門市北灘町にある北灘生活交流会の会長さんから、焼き肉のたれのパッケージをリニューアルしたいというお問い合わせをいただいたときには、元々青色だったラベルの色を変えたり、商品のネーミングを変えたりすることで販売数を大きく増やすことができました。

最初は、商品の特徴や独自性を引き出すのが難しく、着地点を見つけられずにいたんですが、会長の松本さんが30年前に主婦を辞めて組織を立ち上げたきっかけをお聞きしたところ、松本さんのお孫さんが「今夜は焼肉じゃ、おばあちゃんのたれで焼肉じゃ」と言って喜ばれたというエピソードを語ってくださったんです。

これだと思い、元々の『焼肉のたれ』というネーミングから、『今夜は焼肉じゃ』に変更することにしました。呼びかけ系の商品名は消費者に響きやすいですし、何より商品が生まれるきっかけになったストーリーが詰まっているので、道の駅などの売り場に置いてもらうために営業するときにも伝えやすいんですよね。パッケージリニューアル後は、売り上げが8倍に増えて、徳島新聞にも掲載されるほど好調になりました。

 

これまでに何か苦労されたエピソードはございますか?

 

修行先のパッケージ関連の会社を退職して戻ってきたときは、上手くいかずに挫折しました。事務所が実家の近所だったので、幼い頃から事務所によく行っていたものの、実際の仕事を全く知らなかったんです。パッケージにも様々な種類があるんですが、卒業後に入社したのが箱を扱う会社だったのに対して、戻ってきてから任されたのは袋を扱う仕事でした。同じパッケージの企業と言えど、袋の材質や印刷の知識はなかったので、OPとかCPとか、貼り合わせてラミネートだとかって言われてもわからないことだらけだったんです。パニック状態の僕を見た親父は、「お前は一体何を勉強してきたんだ?」と呆れ返っていましたね。

それに、営業も昔ながらのやり方で、毎日のように足繁く営業先に訪問して、「低価格で早く納品しますから、発注していただけませんか?」という感じで回っていたので、見積もりを出させてもらっても、すごく値切られるんです。交渉に応じて価格を下げても、「それができるなら最初からやれ」とか、「松浦くんのところじゃなくても業者なんかいくらでもある」なんて言われる始末でした。

それでも仕事を取って来なくてはと営業に出たものの、お客さんからの「松浦くんの仕事って、ゴミを作ってるようなもんだよね」という言葉に追い討ちをかけられました。確かに、お菓子を食べた後の包装は捨てますし、嘘じゃないんですけど、自分の仕事がゴミを製造する環境破壊業だと思ったら、途端にやる気がなくなって、仕事に行くのが本当に嫌になりましたね。当時は、朝一番に営業に出掛けてから夕方になるまで一件も訪問せずに、コンビニや本屋で立ち読みしたり、昼寝したりを続けていました。父親も母親も、よう諦めんとおってくれたと思います。

 

その後、困難をどのように乗り越えられましたか?

 

この仕事の意義を見出せる出来事があったんです。2011年3月の東日本大震災がきっかけだったんですが、プラスチックの原材料であるペレットという素材を作る工場の大元が被災してしまった影響で、通常、袋物なら3~4週間で納品できるところを、3~4ヶ月経っても納品できない状態が続いたんです。

当時、僕が担当していたお饅頭屋さんからは、「欠品を起こしてしまうから、せめてこの日までに数千枚だけでも納品してくれませんか。お願いです」と言われたものの、袋メーカーさんに電話をしても納品見込みが立たないということでした。それでも、何とかしなければと袋メーカーさんの元に足を運び、切実な思いで直談判したところ、何とか間に合わせることができたんです。そのときに、お饅頭屋さんから「松浦さんのおかげで、100年近く続いてきた伝統あるお菓子を出荷できます。ありがとうございます」と言われて、商品は中身だけじゃなく、パッケージがあってこその商品であって、パッケージがなければ出荷することさえできないんだと気付かされました。

中身が割れたり、湿気ったり、腐ったりするのを防ぎ、安全な状態を守るために必要な物で、商品の一部を担っているのがパッケージなんだと。それに、わざわざデザインを凝らしたパッケージで包装するのは、そのデザインが販売促進に繋がるからなんですよね。僕の中で、パッケージの存在意義は、安心安全と販売促進にあるという考えに至ったときに、ようやく自分の仕事に誇りを持てるようになり、他社との差別化を図る意味で、パッケージマーケティング業として仕切り直せるようになりました。

 

それからは、モチベーションが下がる一因だった営業方法についても考え直すようになったんです。価格や納期について多くを要求されるのは、こちらが足繁く通った上で頭と価格を下げて、注文してもらえるようにお願いするからだと気付き、こちらから出向くのではなく、お客さんのほうから依頼されるようにならなければと考えるようになりました。そこで、本当に微々たることですけど、ブログを書き始めたんです。それから2年ぐらい掛かりましたが、ブログを見て依頼してくださる方がいらっしゃいました。件数は稀でしたけど、それでも更新を続けていたときにお問い合わせいただいたのが、先ほどお話した焼肉のたれの会長さんだったんですよ。おかげさまですごくお役に立てて嬉しかったですし、それまでのように値切られることも一切なく、利益率を上げることができたので、ブログ以外の営業方法も試してみることにしました。

 

実際に、セミナーや公演活動を始めてみたり、本を出版したりしたところ、セミナーが面白かったからと声を掛けていただけたり、本を読んだ方からご依頼いただけたりするようになったんです。2冊目を出版したときはコロナ禍で、2020年5月の緊急事態宣言前後だったんですが、出版記念パーティーを兼ねてオンラインで記念セミナーを開催しました。全国からたくさん参加してくださったおかげで、それを機にzoomで打ち合わせをすることも増えましたし、営業の仕方も大きく変わりましたね。

以前は打ち合わせの日程を決めて直接訪問していましたが、zoomで完結させられるようになったので、新規のお客さんと一度も会わずに納品まで完了することも珍しくなくなりました。それに、注文することを決めてきてくださっている状態でお話しできるようになって、以前までの価格競争や値切りの問題もなくなったんですよね。

 

現在の課題や、困っていることはございますか?

 

そうですね。レジ袋有料化に伴って、売り上げが2,000万円ぐらい落ちたという影響はありましたが、SDGsに向けてプラスチックを削減していこうという動きが目に見えてわかるので、これはとても良いことだと思っています。有料化する前に比べると、レジ袋を受け取る人は1/4にまで減っているみたいですよ。あとは、ものすごく身内の話にはなりますが、従業員の高齢化が進んでいるので、若い人材を増やしていきたいとは思います。

 

今後実現していきたい夢や、未来の展望がございましたら教えてください。

 

はい。パッケージ松浦のビジョンの一つである『パッケージを変え、世界を変える』ことを実現させていきたいです。安全で美味しく、素晴らしいストーリーもある商品なのに、パッケージが理由で思うように売れていないという状況は多いので、そういう商品をもっとアピールするお手伝いができたらなと思います。

 

以前、渋谷にある『真武咲弥』というラーメン屋さんの、国産鶏肉を使った餃子のパッケージを任せていただいたんですが、この餃子が売れれば、消費者の方をハッピーにできて、真武咲弥さんの規模が大きくなる上に、養鶏業者さんの売上にも繋がって、パッケージ松浦の実績にもなるんですよね。正直、弊社は大企業とお取引できるほど大きな規模ではありませんが、中小企業のパートナーとして、商品を一緒に育てていきたいと思っていますし、その上で、商品に関わった人や企業に喜んでいただけたら嬉しいです。

 

 

松浦さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!

『売れる! 楽しい! 「手書きPOP」のつくり方』 増澤美沙緒(著)

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!