今回は、株式会社ウチらめっちゃ細かいんで代表取締役、佐藤 啓氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!

 

株式会社 ウチらめっちゃ細かいんで 会社概要

会社名称 株式会社 ウチらめっちゃ細かいんで
代表者 代表取締役 佐藤 啓(さとう けい)
設立 2017年(平成29年) 12月1日
主な事業 ひきこもり当事者等に対する教育事業(プログラマスタースクール運営)
ホームページ・スマートフォンアプリ等の開発・制作事業
ITエンジニア等の人材紹介・人材派遣事業
社員数 30名(取材時)
会社所在地 〒102-0083
東京都千代田区麹町3-5-2 ビュレックス麹町
フロンティアリンク株式会社内
会社HP https://mechakoma.com/

 

 

まずは、御社の事業内容についてお話を聞かせてください。

 

『教育事業』と『制作事業』の二つがメイン事業になります。

 

教育事業の内容としては、ひきこもりの方にITスキルを身につけていただき就職に繋げることです。具体的にはプログラミングを教えたり、オンラインでのプログラミング講座を運営したりしています。

また2018年4月からは、親会社のフロンティアリンク株式会社が、精神的な障害を持つ方や発達障害の方向けに、IT特化型の就労移行支援事業所「フロンティアリンク キャリアセンター」を運営しており、厚生労働省が定める障害福祉事業の枠組みを使った「職業訓練学校」として、ご本人の負担が、ほぼゼロの状態で最長2年間スキルアップに取り組むことが可能になっており、めちゃコマの講師がこちらのキャリアセンターの外部講師を務めています。

 

制作事業は、プログラミングスキルを活かしたHP等の制作や開発になります。現在は社内やグループ関連会社のHP制作を一手に引き受けています。

 

これらメインの事業の他には『メディア事業』、非営利に近い『ひきこもりの方向けのイベント事業』があります。

『メディア事業』は、自社メディアの運営を行っています。在宅の仕事を探したい方向けの、在宅ワークに関するポータルサイト「ひきワーク」の運営が主な内容です。

弊社で働くひきこもりの方が、クラウドソーシングサイトに掲載されている仕事を見極め、“これはできそうだ“とか、“難しそうだ“など、同じひきこもりの方向けに評価して点数付けをしています。その情報を踏まえてリンクを貼って申し込みを促し、ひきこもりの方の就労支援をしています。

そして『イベント事業』は、毎週実施される完全無料のオンライン当事者会です。ひきこもりの方が集まり、テーマに沿って2時間くらい話をするんですね。この活動は4年間続いていて、今までに150回ほど開催しています。

 

現在に至るまでの佐藤さんのご経歴を教えてください。

 

学生の頃は、東京工業大学の工学部でAIの研究をしていました。卒業後はプログラミングスキルを活かし、セイコーエプソンに就職。エンジニアとしてプリンター関連のソフトウェア開発などに関わりました。エプソン在籍時に、社費留学で2年間ワシントン大学でMBAの勉強をさせてもらう機会がありました。帰国後は経営企画部に戻り、社内の新規事業の立ち上げなどをしました。

 

入社して10年経った頃、当時33歳。元々独立したいという想いはあったのですが、 MBAを学んだことや自分の力を試したいという気持ちが強まったことで、会社を立ち上げることに。それが“株式会社 ウチらめっちゃ細かいんで“の親会社となるフロンティアリンク(株)です。

そこではITのバックグラウンドを活かし、社会人向けの教育事業を行いました。エクセルやパワーポイントなどのソフトやプログラミングが学べて、ビジネスに活用する方法をお伝えするような事業です。これは2007年に始めたサービスで、今でも継続しています。

 

その後、なぜ引きこもりの方向けのサービスを行うようになったかというと、私の従兄弟が二人、ひきこもりだったからです。そこで自分が『教育』に携わってきた経験を活かして、従兄弟たちのような、ひきこもりの方の力になりたいと思いましたし、実際に力になれると思い付いたんです。

 

フロンティアリンクでは、教育に使うシステムもコンテンツも自前で作っているというところが特色です。そのシステムを作るには、エンジニアが必要になります。ところがIT業界は、常にエンジニア不足であるという状況。

エンジニアを育てるにしても、素質がある人を選びたい。そんなことを考えていたとき、ひきこもりの従兄弟たちが思い浮かんだんです。

フロンティアリンクは創業当時から、完全在宅オンラインの会社なんですね。ITの仕事なら在宅でできるし、弊社の受講システムを使えば、在宅で学ぶこともできる。つまりひきこもりの方でもやる気さえあれば仕事ができるし、“ひきこもり×在宅×IT“の組み合わせで色々と面白いことができるのでは? と思い付きました。そして、後々は従兄弟たちが活躍できる場を提供できるのでは…という思いもありました。

 

そんな中、2017年4月頃から、ひきこもりの方々が集まるイベントへ行くようになりました。ひきこもりの方ってそもそも働く気があるのだろうか? と、ふと思ったんです。

イベントへ足を運ぶようになって今までに200〜300人の当事者に話を聞きましたが、6〜7割の方は「やれることがあればやりたいと思っている」という状況を知り、ひきこもりの方向けの事業に手応えを感じました。

 

彼らが働くことに関して妨げとなっているのは、『安全・安心に働ける場がない』ということです。ひきこもりの方はコミュニケーションが苦手だったり、昼夜逆転生活だったりなど、一般的な方とは違いがあります。そこで2017年の12月に、「場がないなら作ればいいんだ」と作ったのが、“株式会社 ウチらめっちゃ細かいんで”です。

 

佐藤さんが、これまで苦労したことを教えてください。

 

2018年の5〜6月頃に、当時11名いたスタッフのうち7名がやめてしまったことがありました。お客様がいる状態で事業の提供が難しくなったので、とても苦労しましたね…。

 

思い返せば2018年はイベントも多く、仕事の量が多くなってしまっていました。ひきこもりの方は真面目で責任感が強い方が多いので、「できない」ということがなかなか言えないんです。

許容量以上の仕事をやってしまった結果、メンタルの調子を崩す結果に。当時は会社も徐々に大きくなってきている時期で、責任が増したり、仕事が増えたりすることで、未来に対するプレッシャーも大きかったと思います。

 

働く人たちの不安を私がキャッチできていなかったと反省しています。一般の方と同じようなマネジメントをしてしまっていたのでは…とも思っています。

在宅の難しいところですが、仕事量がそこまで多いことも把握していませんでした。社名にもなっていますが、ひきこもりの方特有の“細かさ”にも、仕事をする上では配慮すべきでした。特性をまだわかっていなかったことと、コミュニケーションが不足していたことが、一番の問題だったと思っています。

 

どのようにして、その状況を乗り越えたのでしょうか?

 

コミュニケーションを改善しました。具体的にはマンツーマンのコミュニケーションの機会を、週イチで持つようにしました。また、ひきこもりの方と、一般の方のマネジメントの違いを理解するよう努めました。

 

大事なのは、働くひきこもりの方の体調やメンタル面。適切な納期や仕事量の見極めができているような『安全・安心に働ける場』が確立されていないと、ひきこもりの方は安定して長く働けません。仕事で深く付き合うようになって初めて、ひきこもりの方について理解できました。学ばせていただいたと感じています。

 

現在の会社としての課題を教えてください。

 

ひきこもりの方主体の会社としてやってきましたが、一般の会社に近付けていくことを中長期的なプランとして考えています。

現在は9割5分がひきこもり経験者で成り立っていますが、ひきこもり経験のない一般の方の比率を高めていくことが課題です。

メンタルが安定している一般の方にマネージメント層や、開発の分野などでパワーやスキルを発揮していただき、そこを中心にひきこもりの方々が脇を固めるイメージ。そうすれば、もっと会社を大きくしていくことができると思います。短期的には、外注の仕事を増やしていきたいですね。

ひきこもりの方主体の『安全・安心に働ける場』という最初の指針は忘れずに、一般の会社に近付けていくことが必要だと思っています。

 

今後の展望や夢を教えてください。

 

ITにこだわらず、それ以外の仕事の可能性を見つけたいです。全てのひきこもりの方がIT好きというわけではないので。

 

今はまだ個人的な事業の範囲ですが、農業を始めました。国内初の、自然栽培のコーヒー豆の生産です。うまくいけば新たな就労の場として提供できると見込んでいます。

 

また、弊社のような会社が日本にもっとできてほしいと思います。ひきこもりの方が安心して働けるということは、一般の方も同じように働けるということでもあるので。

介護のため仕事を諦めた方やシングルマザーなど、ひきこもりの方に限らず普通に働くことが難しい人々に優しい社会になってほしいと思います。

 

 

佐藤さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!

『ひきこもり×在宅×IT=可能性無限大! 株式会社ウチらめっちゃ細かいんで』 佐藤 啓(著)

日本初! ひきこもり当事者・経験者主体の会社代表による初の著書!

代表である著者が、会社設立に至った経緯、今日までの紆余曲折、ひきこもりの方の可能性、ともに仕事をする中で気づいたこと、感じたこと、学んだこと、社会への提議などを1冊にまとめました。

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
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