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林エンジニアリング株式会社代表取締役 林政広氏

今回は、林エンジニアリング株式会社 代表取締役林政広氏にお話を伺ってきました。

林エンジニアリング株式会社 会社概要

会社名称 林エンジニアリング株式会社
代表者 林 政広(はやし まさひろ)
設立 平成29年7月
主な事業 産業機器分野
・機械設計業務(3D/2D)
・3Dモデリング業務
・各種3次元解析業務
・設計/組立調整/設置搬入/デバッグ
・産業機器向け電磁ブレーキ開発農業分野
・営農型太陽光発電事業(ソーラーシェアリング)
・農業機械電動化事業
社員数 9名(取材時)
会社所在地 〒399-4102
長野県駒ヶ根市飯坂1丁目32−2
会社HP https://h-eng.nagano.jp/

 

まずは林様のご経歴と御社の事業についてお話いただけますでしょうか?

高校を卒業して、電子部品の卸売の商社に就職しました。でも、3ヶ月でいきなり辞めることになったんです。営業所には社員が5人いたのですが、私が入社して3ヶ月後に、所長を含めた上層部の3人が独立のため辞めてしまいました。
入社して早々、仕事を辞めなくてはいけない状況になった私は、それから不動産屋さんや現場仕事、洋服屋、バーテンなどのサービス業、長距離のドライバーや、オリンピックを目指すスノーボーダーなど、本当に色々なことをしてきました。
なかでも20代前半にやっていた訪問販売の営業マンの経験が現在の自分に一番役立っていると思います。

40代になって地元の長野に戻り、製造業の会社に就職しました。
そこでは今までの職業経験から、仕事の効率が悪い点によく気づくことができました。「こっちのほうが効率いいですよ」とアドバイスをしていたら、部長や技術者が集まる会議に呼ばれるようになり、工程改善や省力化を提案するようになりました。
それがきっかけで係長に昇進し、その後幾つかの部門を経験したのち、営業的な部署で新規のお客さんを獲得しに行ったり、会社の若い社員との交流を深めたり、精力的に働いていました。

しかしある時期から、保守的な経営幹部と意見が対立するようになり、思うような改革ができなくなりました。それが嫌で会社を辞めました。結果的に当時所属していた部署のメンバーも何人か退職し、後に設立した会社へ合流することになり、今の会社があります。

 

御社の事業内容を教えていただけますか?

ファクトリーオートメーションと言われる生産工場の省力化、省人化をしています。省エネのための設備装置の設計・製造をして、その後の運用メンテナンスまで、一貫したサービスを提供しています。

簡単に説明しますと、お客様から「この工程の作業者を1人減らしたいんだけど、どうすれば良い?」とご依頼いただいたら、作業工程を確認して「ここにロボットを置いて自動化しましょう」と提案・予算を提示します。
無事に決済をいただければ、製造に入って設計・製造・組み立てをし、運転が安定するまで伴走して、問題がなければ納品します。

 

今、興味を持っている分野などはありますか?

農家さんが高齢化で衰退していることが気になっています。キツいし儲からないということで次の担い手がいない現状ですが、そもそも農場がないと、僕らの生活は成り立ちません。
自分の事業だけではなく他の業種も含めて、地域全体がみんなで良くなっていくことが大切だと思います。

違う視点を持つ製造業の人間が、何か農業のお手伝いができないかと考えている時に新型コロナが蔓延しました。農家さんから、コロナのせいで収穫作業が人手不足で困っているということを耳にして、地元自治体と相談し、うちの従業員がボランティアで手伝いに行くことになったんです。

そうしたら、農家さんの課題や省力化に必要なことが少し見えてきました。農業の効率化で僕らの技術を使えると考えましたが、設備に投資する余力のある農家さんは少ないので、まずは儲かる仕組みを考えなければと思いました。

今はソーラーシェアリングで売電しながら農業を行い、利益率を少しでも底上げするためのプラン開発準備をしています。我々が農家さんの設備投資をお手伝いし、その先でさらに設備投資をする余力を作っていただく感じです。

 

現在までに苦労されたことはありますか?

お金の面での苦労は、立ち上げの際はどの会社も必ず抱えるものだと思います。
従業員を抱えてスタートしたはいいものの、手形で決済されるお客様がいらっしゃると、その影響で運転資金が足りなくなって手元に現金が用意できません。
それによって、従業員の給料が払えないことが一度ありました。その時は、自分や家族のクレジットカードのキャッシングを使って、財布の中のお金も足して従業員の給料を支払うようなこともありました。

仕事の面では、自分の弱さから同業者に余り良くない案件を手伝わされ、金銭面・工数面で苦労したことがありました。最初、僕は気がつかなかったのですが、従業員が怪しみ「あの人たちとは仕事をしたくない」と言い出したんです。自分でも調べていくうちに、その会社は僕らを踏み台にして、美味しいところだけ自分達で取ろうとするような事業者達でした。
そのことに早めに気づけて契約を解除できましたが、やっぱり一番苦労したのは経験不足から来る経営者としての力のなさですね。

 

社員さんに、こんなふうになって欲しいという思いはありますか?

自分の会社は世襲ではなく、社員みんなの会社として成長させていきたいと考えています。会社が順調に成長していったら、従業員の中から次の代表者を出そうと考えていて、社員のみんなにもやって欲しいという話をしています。
なかにはサラリーマンがいいという人もいるけど、野心があって社長をやってみたいという人がいるなら是非うちでやって欲しいと思います。

うちの会社が重いというなら、この会社に拘らずそれぞれが持つ得意分野を活かして会社を作ってもいいよ、関連会社や兄弟会社としてやってみて資本が欲しければ出資はするから欲がある人は自分で経営者になっていいよ、というような話はしています。

 

現状の課題というものはありますか?

一番はお金です。資金力がないので大きな装置を受注すると毎回苦労します。

それ以外でいうと人の問題ですね。エンジニアを雇っているんですけど、エンジニアを目指している若い子が減っていると痛感します。業界全体で見ても、メカ設計ができる、電気機器に触れられるといった若いエンジニアが足りないので、今後はもっと雇ったり育てたりしたいと考えています。

現在は、工学系短期大学と共同研究をしたり、インターンシップをしたりして若い子たちに少しでもエンジニアの道に進んでもらうためのお手伝いをしてみたり、一旦ドロップアウトした人をアルバイトとして呼び込んで、アルバイトから社員にしたりと、コツコツと活動しています。

 

今後の夢はなんでしようか?

事業を地域貢献に繋げていきたいです。
もちろん、自分の会社がしっかり経営できて、社員みんなの家族の生活が維持できて、なおかつ周りよりいい給料が払えるようになることが前提です。結果、僕らの事業そのものが地域の人たちに好影響を与えられるような会社にしていきたいです。

 

 

林さんに、経営者におすすめの本を教えていただきました!

『営業は断られた時から始まる (Life & Business Series)』 E.G. レターマン(著)、Elmer G. Leterman(原著)、松永芳久(翻訳)

本書はいまから遡ること37年前の1964年に弊社から発行された『販売は断られた時から始まる』の改訂復刻版です。
40年近く前に発行された本ですが、営業の基本概念を知るという意味ではいまだ色あせていません。その内容はセールスマンと顧客という1対1の営業を想定し、顧客に商品を売るための心得やプロセスなどを18のキーワードから章立てし、解説しています。種別としてはもちろんマーケティング書に分類されますが、内容は消費者へのセールス営業に特化しているため、交渉の話が中心となっています。
「3回目の『ノー』までは、まだ説明が足りないと考えよ」「失望はセールスマンの最大の敵である」「仕事に惚れ、商品に惚れ、顧客に惚れよ!」などのフレーズからは、何となく「セールスマンは足と粘りだ!」という昔ながらの体育会的な営業スタイル(?)を思い浮かべてしまいますが、逆にやれインターネットだ、やれ携帯電話だと便利なハイテクに頼り切ってしまっている最近の営業マンにはこの手の心構えがたしかに不足しているかもしれません。日本人がいま目指している「タフ・ネゴシエーター」とは、本書の18のキーワードをすべて満たしている人物のことなのでは…?

Amazon URL
https://www.amazon.co.jp/dp/4478540500/

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!