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株式会社 fit group代表 田尾 昭憲氏

今回は、愛媛県松山市で学習塾を運営されている株式会社 fit group代表、田尾 昭憲氏にお話を伺ってきました。

4人の高校生たちによって作られたこの塾の始まりから現在までの紆余曲折が聞けるのは「社長の履歴書」だけです。ぜひご覧ください!

 

会社名称 株式会社 fit group
代表者 田尾 昭憲
設立 2004年8月3日(法人化)2011年2月2日
主な事業 学習塾、予備校、体育の家庭教師、英会話、大学講義講師派遣
社員数 50名(取材時)
会社所在地 愛媛県松山市大街道2-5-9 久保豊ビル1F・4F
会社HP http://fit-group.net/

 

 

学生時代に好きだった教科はなんですか

英語ですね。中学生になって、英語の先生に「どうやったら英語ができるようになるんですか?」と聞きました。すると、先生は「教科書の中にあるものを全部食べちゃいなさい(=覚えちゃいなさい)」と言ったので、先生の言うことなら間違いないと思い、英語は丸暗記をしていました。

中学の時は丸暗記のおかげで英語は良い成績だったので、担任の薦めもあり高校は英語科に進学しました。しかし、そこでは英語部の文量も多くなり、単語も難しくなり、当然丸暗記などできず、英語の勉強に行き詰まってしまいました。

そんなある時、学校で外国人留学生と話をする際に、「どうして日本ではあんな風に英語を教えているの?お父さん、お母さんがあなたに日本語を教える時、文法なんて教えないよね。」と言われ、「確かにそうだ。」と納得をしました。それから、じゃあその留学生が英語をどう捉えているのか、ということを気にしたことをきっかけに、英語を文法でなく、感覚で学ぶ方法を考えました。これが、今も私が全国で教えている「超感覚英語講座」のルーツです。

 

塾でのアルバイトはどうでしたか

塾でアルバイトを始めたきっかけは、英語を伝えたいという気持ちからです。英語は、文法を知らなくても喋れるようになりますし、喋れるようになったら逆に読み書きや文法も理解できるんですよね。それを、「文法が嫌いだから英語が嫌い」という人たちへ伝えたかったんです。

20代の半ばまで、地元の香川県の塾でアルバイトをしていましたが、周りの皆は就職しているのに、自分だけ先行きが見えないことに虚無感を感じ、24歳で愛媛大学に入りました。大学で勉強しながら自分のやりたいことを見つけようと思っていたんですけど、ある程度のお金は必要だったので、愛媛に来てからもやはり塾で働きました。その時に働いていた塾の方針が、私の考え方とは相容れない点が多く、働きにくさを感じていました。例えば、その塾は授業後の個別質問を禁止していて、質問をしたかったら追加料金を生徒に支払ってもらうという方針でした。私としては、自分の授業で分からないところを質問に来ているのに、追加でお金を頂くということがどうしても納得できませんでした。そういったことの積み重ねで、塾のオーナーと衝突することもしばしばありました。

 

塾を始めるきっかけについて教えてください

大学4年のときに、アルバイト先の塾生4人が突然辞めてしまうということがありました。私が受け持っていた生徒たちだったので、驚きました。すると、私の携帯にその生徒たちから一斉に「塾をやめます」という内容のメールが届き、話を聞いてみると「塾が嫌だ」という理由でした。しかし塾を辞めてからどうするのかと聞いたら、「生徒にとって通いやすい塾を作って欲しいです。」とお願いされました。

もちろん起業をするという発想は無く、お金も無く、残り半年で卒業のため進路も決まっていたこともあり、断りました。でも彼らは全然諦めませんでした。話し合いの末最終的に、彼ら4人が大学受験をするまでの半年間の面倒を見る、程度の気持ちで引き受けました。

とはいえ、当時は時間も余裕もお金もなかったので、テナントを借りて塾を開くという考えはなく、思いついたのが、大学の空き教室で勉強を教えるというものでした。今考えれば非常識ですが、当然大学側にバレて注意をされました。そうなると場所を借りるしかなく、とはいえ資金が無く、あちらこちらを走り回り、いろんな人に相談をし、紆余曲折があり、今塾を構えているテナントビルの社長の厚意で、塾を構えました。しかし、場所があっても机など備品は全くありません。全財産は5万円しかありませんでしたからホワイトボードを買ったら資金は底をつきました。親戚一同は私が塾を開くことに大反対だったため資金援助はしてくれません。そこでも私は走り回るしか出来ず、これもまた紆余曲折を経て、大量の学習机と学習椅子が手に入り、そして一緒に塾で働く同志が集まりました。いろんな人との出会いや助けを受けて、今日まで続いています。

 

塾の名前や方針はいつ頃できたんですか?

最初の4人の生徒たちが塾を「fit(フィット)」という名前で呼ぶようになりました。私はもっとカッコいい名前をイメージしていたのですが、「誰でも知っている語」「意味が良い語」「呼びやすい語」という彼らなりの考えから行き着いた名前です。大文字で「FIT」としなかったところにもこだわりがあり、今思えば絶妙な名前だったなと思います。今でも、生徒たちは「塾へ行く」と言わずに「fitへ行く」と言います。

そもそも、「生徒が通いやすい塾を」と言ったのは彼らですから、授業のスタイル、授業料、塾の方針も、全て彼ら4人が話し合いを重ねて決めました。

あれから18年経ち、4人だった生徒は600名以上に増え、片手ほどしか居なかったスタッフは50人を越えました。スタッフの9割は元生徒です。もともとfitの生徒だったからこそ、「自分がやってもらったこと、やって欲しかったことを、してあげられる」という、需要が供給を行っているという奇跡的な状態が出来上がりました。だからこそ、18年経っても、創立当初の気持ちが受け継がれ、「生徒が主体性を持って、自分たちの居場所を作っていく」という変わらないスタイルのままfitが続いています。

 

塾を始めてからのことについてお伺いしてきましたが、大変だったことはありますか?

fitでは、新聞折込やTVコマーシャルを一切行っていないので、不特定多数の子が一気に入ってくれるシーズンというものがありません。そしてどうしても3月になると受験生が卒業し、生徒が一気に少なくなります。3月を迎えるたびに「今年が最後かなと」思ってしまうのが辛かったですね。今までは運良く生徒も来てくれたけど、いよいよ年貢の納めどきか、という気持ちになります。果たして今年も生徒が来てくれるのかどうか、というのは毎年悩みますね。

あとは、保護者からなかなか理解してもらえないことがあるのは辛いですね。勉強だけでなく、コミュニケーションを目的としてイベントや交流会も多数置いているのですが、「どうして勉強に行ってるのにイベントに参加するのか」「イベントで子どもを釣ってるんじゃないのか」など、いわれのない不信を買うこともありました。

今でこそ、fitの知名度も地元では広まってきましたが、10年前ぐらいまでは「広告もしていないのに生徒が大勢来るので怪しい集まりじゃないか」と言われたこともありました。

 

広告、宣伝なしで経営されるのはすごいですね!

不特定多数を相手にした宣伝をしないからこその良さもあります。「紹介された相手が、紹介した人に対して“教えてくれてありがとう”と思ってもらえるような場所にしよう」と思っています。目の前の生徒の裏には多くの人の想いや期待があり、その気持ちを受け止めて生徒と向き合うことがfitらしさで、現場の見えないパワーとして出てきているんだと思います。

また、口コミというのは、良い口コミだけでなく悪い口コミも広まる時は一気に広まります。だからこそ、生徒が多数来てくれても慢心せず、気を締めて日々を過ごせます。

 

田尾さんの新しい夢や展望はありますか?

今の雰囲気で、今のスタッフたちと塾を続けていくことです。「続けていくことを続けて」いきたいです。何かを始める時は、勢いで始めて進められることも多いですけど、続けていくことは勢いだけでは難しい。だから、時代に合わせつつ、続けていくことを続けていきたいと思います。そうしながら、一緒に働くスタッフが、自分のキャラクターを活かして自分らしく過ごせるような職場を創っていきます。

英語の面では、「こんな英語の学び方がある」ということを1人でも多くの人に知って欲しいです。今までは、学校の先生や他塾からも「奇抜な教え方」と言われることもありましたが、、今では松山市の教育委員会からの要請で、学校の英語の先生に対して参考授業をしています。この学び方が少しずつ認められてきたことが形として現れて、嬉しく思います。儲け話や綺麗事ではなく、一人でも多くの人に、「英語って難しくない」「こんな学び方がある」ということを知ってもらって、英語を使える人が増えて、世界を広げて欲しいです。

 

最後にお勧めの本はありますか?

ブラックジャックの考え方にかなり影響を受けています。

 

ブラック・ジャック 1 (少年チャンピオン・コミックス)(手塚治虫・著)

謎の天才外科医B・Jが、その鋭いメスで人間の心の奥の本性をえぐる不朽のヒューマン大作!!

Amazon URL

https://www.amazon.co.jp/dp/4253031609

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!