株式会社エバー 渡邊氏

今回は株式会社エバー代表取締役社長、渡邊伸一氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

会社名称株式会社エバー
代表者渡邊伸一
設立2003年1月20日
主な事業MS法人、美容コンサルティング、化粧品の製造販売など
社員数約60名(取材時)
会社所在地東京都渋谷区円山町3-6 E・スペースタワー10階
会社HPhttps://e-ever.com/

株式会社エバーの事業内容と強みについて教えてください

主な事業はベル美容外科クリニック(医療法人社団ベル)の運営です。それ以外に、化粧品の卸販売を行っており、美容と健康の両面から幅広く事業を展開しています。

今後、他のクリニックへのサポートやコンサルティング事業を広げていく考えはありますか?

今のところ、その予定はあまりありません。

「行列のできるラーメン店がチェーン展開をしたら、途端にお客さんが来なくなった」という話はよく聞きますよね。弊社も同じ考えで、あちこちに出店するより、本拠地をしっかり大きくしていく方針です。昨年(2025年)9月の移転では、以前の3倍の広さの拠点に移しました。日本はもちろん、国内外から「ここでなければ同じ結果は得られない」と言っていただけるクリニックを目指して、一点集中で取り組んでいます。

御社の強みの一つでもある「金の糸美容術」について、その独自性を教えてください

金の糸美容術」はもともと日本にはなかった技術で、当時はロシアでしか受けられないと言われていました。おそらく私が日本人・アジア人として初めて顔・首・胸への施術を体験しまして、その効果を見た周囲の人たちが「自分も受けたい」と言い始めたのがすべての始まりです。そこから希望者をロシアへ案内する美容ツアーを2年間手がけ、約240名のお客様をお連れしました。

その過程で、医療技術そのものには特許が取れないことを知ったんです。特許が取れない理由は、技術に特許をつけると医療の進歩が止まってしまうためです。

それならば「金の糸美容術」は日本に持ち込めると考え、賛同してくれた医師にその技術を伝授し、ロシアでの研修も受けてもらいました。十分なモニタリングを経て2004年にベル美容外科クリニックを開院すると、「ロシアでしか受けられなかった技術がついに日本で受けられる」と、開院当初は予約が殺到するほど盛況でした。

その後、他のクリニックも同じ技術を取り入れるようになりましたが、現在続けているところはわずかです。金の糸は基本的に一生に一度の施術で効果が持続するため、お客様がリピーターになりにくいという事情があります。溶ける糸であれば効果が切れたらまた来てもらえますが、金の糸はそうではありません。経営面だけを考えれば、リピートが生まれる施術のほうを経営者が選ぶのは自然なことかもしれません。

そもそも私が金の糸の施術を受けた理由は、株式会社エバーを立ち上げる前に俳優・司会者として人前に立つ仕事をしていて、それを長く続けたかったからです。一度の施術で長く若々しくいられるなら、それが一番いいと思っていました。施術から20年が経った今も、口コミでお客様が広がり続けているのは、そうした思いが間違っていなかった証だと感じています。

御社の事業としてはBtoB、BtoCのどちらになるのでしょうか?

どちらとも言えますが、弊社は集客の仕組みが独特です。大手クリニックのようにCMを打って一般の方に直接来てもらうのではなく、弊社ではエステサロン・ネイルサロン・鍼灸院・整骨院・美容院・歯科医院など、美容に関わる事業者と事業提携を結ぶ形をとっています。現在、提携先は約1万社にのぼります。

提携のきっかけは毎月開催している美容医療勉強会です。参加と登録をしていただくことが唯一の条件で、費用はかかりません。毎月50〜60名の新規の方が参加され、金の糸や幹細胞といったテーマについて学んでいただいています。

勉強会を通じて理解を深めたオーナー自身がまず施術を受け、その変化をサロンのお客様が目にすることで、自然と紹介が生まれていきます。最初はBtoB、そこからBtoCへと広がっていく流れです。CMに頼らず、人と人とのつながりを通じて広げていくこの集客モデルが、大手との一番の違いだと考えています。

改めて御社のPRをお願いします

例えばサロンオーナーの方でしたら、サロンを経営しながら医師と組んでビジネスをするというのは、普通はなかなかできないことだと思います。医療は医師にしか扱えないものだからです。ところが弊社では、MS法人という仕組みを通じてそれが実現できています。

ですので、サロンオーナーの方などにはぜひ、弊社が「どうやって医師とこんな形で組んでいるのか」を一度見に来ていただきたいと思っています。

医師というのは、正直なところ個性が強く、なかなか人の言うことを聞かないものです。「医者は医者の言うことしか聞かない」とよく言われるくらいですから。それでも弊社がうまくやれているのは、金の糸の結果がきちんと出続けているから。これに尽きます。最初は半信半疑だった医師たちも、4万人以上に施術を行ってクレームがないという実績を前にすれば、認めざるを得ません。医師とここまで良好な関係を築けていることは、私自身、奇跡に近いと感じています。

ただ、弊社だけでは成り立ちません。これらは提携してくださるサロンオーナーの方々がいてこそのビジネスモデルです。医師・弊社・サロンオーナー、三者がそれぞれにメリットを得られるWin-Win-Winの関係が、弊社の根幹にあります。

もう一つ、弊社が大切にしているのが「予防」という考え方です。通常、医師とのお付き合いは病気になってから始まります。しかし金の糸も幹細胞も、病気にならない・老いを緩やかにするという「予防」の領域にある施術です。治療だけが医療ではない――その考え方を実践しているのが弊社の最大の強みです。

私自身は医師ではありませんが、医師の考え方もお客様の気持ちも、両方わかる立場にいます。美容とクリニックの間の架け橋になれるのが、弊社ならではの役割です。美容と医療がこうして一緒にやっていける——そのことをぜひ多くのサロンオーナーの方に知っていただければと思っています。

弊社の事業の詳細についてはこちらをご覧ください。

https://e-ever.com/

ここからは渡邊社長ご自身のことについてお伺いします。学生時代から株式会社エバーの代表になる前までのお話を聞かせてください

私は、もともと役者になりたくて東京に出てきました。大学も演劇科に進み、5年ほど演劇漬けの日々を送りました。

卒業後は、劇団青年座に所属する演出家に「新しく劇団を作るから来ないか」と声をかけてもらい、その劇団の創立メンバーとして参加しました。伊藤蘭さんと同じ舞台を踏んだこともあります。小劇場系の劇団でしたが、当時それなりに注目されていました。

ただ、舞台だけでは食べていけません。年に3回ほど公演があり、稽古と本番を合わせると1回につき2ヶ月以上つぶれてしまうので、その合間はずっとホテルで皿洗いをしていました。劇団俳優だった西田敏行さんや竹中直人さんのように売れれば話は別ですが、それはやはり一握りの人たちだけの話です。

そんな中で始めたのが司会の仕事でした。演劇のように稽古期間もなく単発で動けるので、無理なく続けられました。特に明治記念館では10年以上、主に土日の結婚式の司会を担当しました。おかげで生活が安定し、結婚もでき、家も買えました。「これは天職だ、長く続けよう」と思っていた矢先に、テレビで「金の糸美容術」と出会うことになります。

司会業は何年くらい続けられたのでしょうか?

大学を出たのが24歳で、そこから6年ほど劇団に在籍しました。劇団を辞めてから司会業に入り、15年ほど続けていましたね。

ただその間は役者を完全に辞めていたわけではありません。劇団は離れましたが、プロダクションには所属していたので、声優やアフレコ、コマーシャルといった仕事も少しやっていました。『もののけ姫』の声優を務めたこともあります。とはいえ仕事の大半は司会で、結婚式をはじめとする「喋る仕事」が安定して入ってきていたので、そちらを中心に生計を立てていました。

株式会社エバーの代表になるまでの仕事の中で「この経験があったから今の自分がいる」と感じるものはありますか?

真っ先に思い浮かぶのは、俳優・司会者としての経験です。弊社では毎月、美容家向けの勉強会を丸一日かけて開催しています。金の糸や幹細胞の仕組みをわかりやすく説明したり、クリニックの施術内容を伝えたりと、「人に伝える」場面が日々たくさんあります。

そこで本当に役立っているのが、舞台で身につけた表現力と、司会業で鍛えた話す力です。あの経験がなかったら、今の会社はここまで大きくなっていなかったと思います。若い頃に夢中でやっていたことが、まさかこんな形で活きるとは当時は思っていませんでしたが、今となっては何よりの財産です。

改めて、株式会社エバーを立ち上げるまでの経緯を教えてください

最初は「金の糸美容術」を商売にするつもりなんて全くありませんでした。司会業を長く続けたくて、自分のために施術を受けただけです。それで満足していたんですが、1年ほど経つと周囲から「若くなったね」「何かやったの?」と声をかけられるようになって。「ロシアに行けば私も受けられるの?」と聞いてくる人まで現れました。

そのときに「これは仕事になるかもしれない」とピンときて、もう動かずにはいられなくて。人を連れていくツアーを始めるなら会社を作っておいたほうがいいと思い、施術を受けた2002年の翌年、2003年に株式会社エバーを設立しました。私は1959年生まれなので、43歳での起業、そして会社勤めも初めてでした。

会社を立ち上げてすぐにロシアへ飛び、現地の施術機関と契約を結びました。「毎月必ず10人以上の日本人を連れてくるから、他の日本人が来ても自分を通してほしい」と交渉し、価格も下げてもらいました。その約束をきっちり守り続け、2年間で延べ240名のお客様をご案内しました。

かつては「司会業は天職だ」と思っていたとのことでしたが、司会業を辞めて起業するということに迷いはありませんでしたか?

未練はなかったですね。「金の糸美容術」に対する周りの反応があまりにも良かったので、「やっぱり司会に戻ろう」という気持ちにはなりませんでした。それに、長年「伝える」仕事をしてきたことが、ここでも存分に活きました。金の糸に興味を持ってくれた人に説明すると、面白いくらい「受けてみたい」と言ってもらえるんです。「プロの司会者をやっていてよかった」と、そのとき改めて感じましたね。

株式会社エバーの経営者として仕事をする中で、どのような苦労がありましたか?

一番大変だったのは、やはり金を探しに行ったトレジャーハンター時代ですね。最終的には顧問弁護士から「自己破産したほうがいい」と言われるところまで追い詰められました。

ロシアツアーが始まった頃、中部地区で50店舗を展開するエステサロンの社長と出会い、その方が会社を挙げて次々に金の糸を広めてくれました。

ところが、金の糸は一生に一度の施術です。50店舗のお客様が全員受け終わったら、もう誰も戻ってこない。そうなったら会社が立ち行かなくなる――そう考えた私は、貯めたお金をもっと大きくしなければと焦り始めました。

そんなとき、取引先の貴金属会社の担当者から「金を扱っているなら、金があれば買い取れますよ」と聞いて、単純な私はすぐに「じゃあ金を探しに行こう」と動いてしまったのです。英語が話せるパートナーと2人で、香港をベースに中国・フィリピン・バンコクなどを飛び回り、金があるという情報を聞きつけては現地へ確認しに行く日々が続きました。

しかし、持ち込まれる話はすべて詐欺まがいで、お金を騙し取られ続けたんです。それでも懲りずに5年間探し続けた結果、ついにお金を使い果たして日本に戻り、弁護士に自己破産を勧められました。あの時期が、人生で一番しんどかったですね。

自己破産寸前まで追い詰められて、そこからどうやって立て直したのでしょうか?

お金も何もかも失って、本当に何もできない状態でした。それでも、クリニックだけは残っていた。金の糸も残っていた。それだけが手元にあるものでした。

そこでようやく気づいたんです。「一つのサロンに頼りきっていたからダメだったんだ」と。同じことを他のサロンとやればいい。もうそれしか残っていませんでした。大きなサロンを探すのではなく、近くにある小さなエステサロンに片っ端から飛び込み営業をかけていきました。7〜8年間クレームが1件もなかったという実績がありましたから、金の糸の効果には自信を持って話せました。

地道に動き続けるうちに、提携してくれるサロンが少しずつ増えていきました。オーナー自身が施術を受けてくれるようになり、そのお客様も紹介してくれるようになって、今に至ります。まさに原点回帰でしたね。

実は、トレジャーハンターとして海外にいる間も、クリニックでは金の糸の施術を細々と続けていたんです。そこで貯まったお金を持っては「今度こそ大丈夫」と妻に電話して500万円を持ち出し、また海外へ飛んでいってやられる。それを5年間繰り返していました。妻も信じてついてきてくれていたので、今となっては本当に申し訳なかったと思っています。

それでも、どんな状況でも金の糸の結果だけは出続けていた。その揺るぎない実績があったからこそ、どん底から立ち上がれたんだと思っています。

今後の展望について教えてください

おかげさまで、金の糸に関しては結果も含めて世界で一番施術を行っているクリニックだと、自他ともに認められるくらいになりました。発祥の地であるロシアをはじめ、ヨーロッパにも金の糸を扱うクリニックはありますが、技術力・実績ともに今はここが世界一だと思っています。実際、ロシア人のお客様がわざわざ来院されることもあって、日本人ドクターの技術力が本家を超えたということだと思っています。

金の糸は、形を変えて若く見せる施術とは根本的に違います。体が金の糸を排出しようとする働きで代謝が上がり、自分自身の力で肌を作れるようになる。肌が10年前・15年前の状態に戻っていく。それが「金の糸美容術」の本質です。

今後はこうした「予防」の考え方を、もっと多くの方に知っていただきたいと思っています。幹細胞治療も同じです。病気になってから使うのは医師の領域ですが、病気にならないために・いつまでも健康でいるために活用するという考え方もあります。「治療」だけが医療との関わり方ではない。そういう新しい医療との付き合い方を、弊社を通じて広く知っていただきたいですね。美容と医療がこうして一緒にやっていける――そのことを一人でも多くの方に伝えていくことが、これからの弊社の使命だと思っています。

最後に、他の経営者におすすめの本を教えてください

久保華図八さんが書かれた『人が育つゴールデンルール64』をおすすめします。久保さんは北九州にある美容院「BAGZY(バグジー)」を経営しており、私が心から尊敬している経営者のお一人です。

実際に美容院に伺ったことがあるのですが、スタッフの方々の素晴らしさに驚きました。お客様への接し方はもちろん、従業員をとことん大切にする姿勢が、お店全体に自然と染み渡っているんです。「お客様が喜ぶことなら何でもやっていい」という考え方がしっかり根付いていて、リッツカールトンのような高級ホテルと同じ精神を感じました。

弊社もスタッフをとても大切にしていますが、久保さんの姿勢はまさに目標です。人を育てることを経営の中心に置いているこの本は、業種を問わずすべての経営者に読んでいただきたい一冊です。

『人が育つゴールデンルール64』久保華図八(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4862574386/

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
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