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株式会社職場風土づくり代表 中村英泰氏

今回は、株式会社中部キャリアコンサルティング普及協会にて代表を務める中村英泰氏にお話をお聞きしました。

 

株式会社職場風土づくり 会社概要

会社名称 株式会社職場風土づくり
代表者 中村英泰(なかむら ひでやす)
設立 2016年
主な事業内容 キャリアコンサルティング事業、
キャリアコンサルタント育成事業、
人事制度構築事業、
研修事業、
学校支援事業
スタッフ数 約70名(取材当時:業務委託含む)
会社所在地 〒460-0011 名古屋市中区大須1-7-14パークIMビル2F
会社HP https://shokuba-fuudozukuri.co.jp/

 

 

まずは起業までのご経歴を教えてください。

 

1976年の2月29日、4年に一度の閏年に生まれ、愛知県春日井市で育ち、海洋土木を専門とする学部がある静岡の大学に進学しました。

大学では、波力について学んだり、テトラポットを設計したり、海にあるコンクリートが海洋動物の浸食や塩害によって受ける影響について研究しました。

「海への興味や、護岸に関心が…」あったわけではなく、もともと父親が獣医で、長男である僕が家業である動物病院を継ぐ雰囲気だったなかで、それに反発したくて全然違う進路を選びました。

当然、そんな有様だったので入学後も目標が見つからず、このまま何となく時間が過ぎることに嫌気を感じ、大学3年のときに中退しました。

 

その後 働き始めた人材サービス会社をきっかけに、職業人生の18年間を人材サービス業界の計4社で働くこと(3回の転職)になります。

最初は地元のベンチャー系の会社、続いてNTTの子会社(業界では中堅)、3社目がみずほ銀行と丸紅が出資する人材サービス会社(業界大手)、最後がアフリカ人就労支援の小規模企業です。

この18年間で営業の考え方や、社会人の基礎などを徹底的に学ばせていただきました。また、今思えば、中小から大手までバランスよく転職できたお陰で、地元の中小企業から、大企業まで取引を通じた関わりを持つことができました。この経験が、人生の大転機になり、キャリアコンサルタントの資格を取得(2013年)、そして2016年に中部キャリアコンサルティング普及協会の設立へと繋がります。

 

起業されるにあたって、何かきっかけはございましたか?

 

起業を意識し始めたのは、3社目のみずほ銀行と丸紅が出資する人材サービス会社で働いていた頃です。その頃、常に「働くことを通じて、誰かの役に立っていると実感できるような組織や企業をつくりたい、あるいはそういう組織づくりのサポートをしたい」ということを考えていました。

地元の小さな企業から、大企業との関わりを持つことで気付いたのは、企業の規模に関わらず、「お疲れさん」、「ありがとう」、「助かったよ」、「期待しているよ」とタイミングよく声を掛けることが働く人のモチベーション向上に繋がるという事実です。そして、元気のある職場や、皆が気持ちよく働いている組織は、結果生産性の高い企業となり、自然とお互いを労う言葉がけができているのです。

 

考えてみれば、僕らが当たり前に使っている商品やサービスの多くは、誰かの仕事に支えられて成り立っています。

例えば、ものづくりの町工場で、3Kと言われる仕事をしている人や、冬は寒く、夏は暑い仕事をする人、更に火を使っていれば、暑いどころか40分毎に休憩を取らないと倒れてしまうような環境で働く人もいます。

私たちが初詣で投げたお賽銭を勘定する人。休みの日に参加したイベントで警備をする人。建物の建設だって、最初は何もない土地を整え、柱を立てることから始まるんです。そういう様々な仕事を実際に見て、働いている人達とかかわってきた中で、働く人たちにとって「明日も頑張ろう」と思える活力になるのは、職場で誰かの役に立っているという実感や、認めてもらえたときの達成感だと思ったんです。

 

私達も、上の人に「すごいなぁ、もうここまでできるようになったのか!」って言われたら、やっぱり嬉しかったですよね。もちろん「何やってんだ! お前はダメだな!」って言われたら、退職が頭をよぎりますよね。だから、労働者の立場に立って、働く人のモチベーションを支援できる企業の職場風土づくりをサポートするための会社をつくりました。

 

改めまして、中部キャリアコンサルティング普及協会の事業内容を教えてください。

 

現在は、職場風土づくりのサポートを目的に、三つの柱を軸にしています。一つ目が、メインである第二人事部(企業の人事担当の方と、一緒に働く人のモチベーション向上を整えるための外部機能)としての役割です。これは、従業員数が10人から1,000人までの中小企業に対して、人事評価制度を整えたり、組織内のキャリアデザイン(キャリアパスとも呼ぶ)に沿って階層別研修の仕組みをつくったり、企業の骨子を具体的に形にする事業になります。

企業は、従業員が単に収入を得るためだけではなく、お金では買えない充実感を得られるようにする必要があります。そのためには、仕事を通じて、自分が何者であり、この仕事が何に繋がっていくのかという自己理解を深められるような“風土”という、ある種の仕組みが必要になります。

ですが、そのことをわかっていても、人事担当の方々も並行して取り組むべき他の仕事を抱えていて、そこまで手が回らないんですよね。そこで、我々が外部機能として、“風土づくり”に向けた仕組みを整えたり、時には部署同士の横軸を通すようなコミュニティーなどの骨子を具体的にゼロからつくるのです。

 

二つ目は、研修としてのワンポイントリリーフです。急速な人口減少と働く価値観の多様化が進む中で、企業は働き方改革とともに新たな仕組みづくりに取り組んでいます。

例えば、人事評価を年功序列から取り組みをしっかりと評価できる成果・能力主義にシフトしている、上司部下の対話の機会として1 on 1をより効果的にしようとしている、次世代人財の育成に取り組んでいる、などです。

その実現に、他企業の事例を知っている講師として、フルオーダー研修を行うのです。最近は、単なる知識研修にならないように、事例を設定し対話を通じて検討する場面を多く取り入れる要望が多く、デザインの段階からそれを研修に取り入れるようにしています。他には、4月の新入社員研修や、法改正に伴うハラスメント関連の研修も担当しています。

 

最後の柱は、社員の交流を目的とした、サードプレイス/コミュニティーを組織内につくる活動です。サードプレイスというのは、家庭をファーストプレイス、職場をセカンドプレイスとしたときの、第三の居場所という意味になります。

家庭や職場では、父親や母親、部長や課長などの役割を自らに当てはめる必要性があり、そこには義務感が生じます。そして、日々をファーストやセカンドだけの往復で過ごしてしまうと、個人は閉塞感を感じ、逃げ出したくなってしまうのです。そこで、自らが本当にやりたいことに取り組んだり、仲間と一緒に何かをつくり出したりすることができる場所として、サードプレイスを組織内につくります。それは、組織や立場、性別や経験を越えて、同じ目的を持つ人たちが繋がるための場として活用されています。

 

これまでに苦労されたご経験や、現在取り組んでいる課題などはございますか?

 

独立して最初に苦労したことは、自分の思いを形にして、理解してもらえるように伝えることでした。モノ売りとは異なり、弊社が実現したい「働くことを通じて役に立っていると実感できる職場風土づくり」の価値を相手に伝えるには、まずそれが“どんな効果をもたらすのか”ということから知っていただく必要がありました。

 

サポートすることで、「どんな企業の、どのような場面で、何に繋がり、どんな効果をもたらすのか」を、例示できるようになるまで、事例を重ねて行く過程が本当に大変でしたね。

また、今でも苦戦しているのが、本当に必要としている企業へ届けるための営業活動です。主軸事業である第二人事部が、少しずつスケールしはじめているものの、まだまだやれることはあると感じています。企業の「職場風土」が好転することにより生み出される企業価値を、より多くの方々に届けられるための試行錯誤は続いてゆくと思います。

 

最後に、未来に向けた展望や夢がございましたらお聞かせください。

 

はい。最終的には、やはり私自身のライフテーマでもある、「健全に悩める社会をつくる」ことに尽きると思います。

 

誰もが自分自身に向き合い、未来の自分について真剣に悩み考え、そして、それを当たり前に行動に移したり、新しいことに挑戦したりできるような社会を築いてゆきたいです。

 

仮にある社員が、組織で新たな取り組みを始めたい、より良い考え方を思いついて提案したいと思っても、それを口に出すことでどう思われるだろうか、他の誰かや何かを否定することにならないだろうかと、実行する前に悩んで止めてしまう・・・。

そんなとき私たちが、伝え方を一緒に考えたり、伝える際にファーストフォロワーが現れやすいような環境を整えたり、伝えるための場を設けたりすることで、その悩みや考えを具体的な行動に変えやすくなります。そうした変化は確実に、社会や企業にとって大切なイノベーションの種になります。

 

誰もが、「社会や組織をより良く変えて行くための選択を悩める社会」を創りたいと思います。

 

中村さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!

『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』 田中研之輔(著)

年功序列や終身雇用が崩壊する一方で、人生100年時代に突入し、ビジネスパーソンが「現役」として働き続ける時間はかつてよりもぐんと長くなりました。

技術の進化や社会の変化に伴い、私たちはこの先「これまでと同じ仕事だけを続けていく」ことが難しくなります。

刻々と変わる環境に応じて、自分の働き方も変幻自在に変わること。それが「プロティアン・キャリア」です。

もしあなたが、変化に適応して変幻自在に変わるキャリアを構築できれば、きっとこの先の人生も生き生きと、第一線で”現役”を続けることができるでしょう。

 

本書ではこれまで培ったスキルをベースに、あなたがこの先、どのように「プロティアン・キャリア」を構築していけばいいのか、考えるためのいくつものツールを用意しています。

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!