今回は、セントウェル印刷株式会社の代表取締役 中井利夫氏にお話を伺ってきました。
家業を継ぐことに抵抗を覚え、大手企業に飛び込んだものの、やはり商売が肌に合っていると感じた中井氏。
父親から事業を譲り受け、今後は息子に事業承継を行っていく中で、さまざまな課題が待ち受けています。
安定し、持続可能な事業を行っていくために、日々試行錯誤を繰り返しながら進んでいます。
今後、動画やリアルSNSなどの新しい媒体を取り入れた新規事業はどんなカラーになり、セントウェル印刷株式会社に入ってくるのでしょうか?
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください。
セントウェル印刷株式会社 会社概要
会社名称 | セントウェル印刷株式会社 |
代表者 | 代表取締役 中井利夫(なかい としお) |
設立 | 昭和31年9月29日 |
主な事業 | カタログ、パンフレット、ポスター、チラシ、ダイレクトメール、その他印刷物全般の企画、デザイン、印刷及び加工。 ホームページの企画 制作。 |
社員数 | 10名(取材時) |
会社所在地 | 〒530-0015 大阪府大阪市北区中崎西2-2-1 東梅田八千代ビル |
会社HP | https://www.centwell.co.jp/ |
まずは、中井さんが現在の事業を継ぐまでの経緯を教えてください。
私は大学の社会学部を卒業後、シャープ株式会社に就職しました。
家業があり、幼い頃から長男として家を継ぐプレッシャーもあり、それに対する反抗心からなるべく家から離れた場所に就職したいという思いがありました。
ですので、勤務希望地を北海道、九州と遠隔地にしたのですが、大学在学中、社会学部でマスコミの勉強などをしていたこともあり、東京にある広報部に入ることになりました。
その後、家電不況になり、本社組織から営業に数名、人を出すということがあって、その際に私がメンバーの1人となりました。
上司に1年~2年の辛抱だからと促され、東京の家電量販店の統括をする東京シャープ事務機販売という会社に出向することになりました。
商売人の息子であるせいか、出向先の営業の仕事がとても楽しくなってしまい、そのあと本社に戻ることはありませんでした。
営業成績で表彰を受けたこともあり、ますます営業職が自分の肌に合っていると感じるようになりました。
しかし、そう思ったのも束の間、父親の体調が悪くなったのをきっかけに、家業を省みるようになったんです。そして、「今帰って会社を継がないと一生後悔するかもしれない」と思うようになりました。
そのとき、たまたま学生時代からお世話になっていた旧友のお父様と会う機会があり、相談をしたところ、「中井くんならできるよ」という言葉に後押しされ、父親から事業を引き継ぐ意志を固めていきました。
事業を引き継ぐ意思を固めたあとは、いかがだったでしょうか?
初めは父親と喧嘩ばかりで、会社の決算もままならない状態でしたので、私が別にアルバイトをしながら、家業に携わっている状況でした。
また、私には父親の仕事とは違う人脈があったので、そちらからお仕事をいただけるようになり、不動産の折込チラシの仕事を中心に、多くの仕事が入ってくるようになっていきました。
その後、知り合った女性と結婚し、3人の子どもができたこともあり、さらに事業を継いでいく意志を固めざるを得なくなりました。
そして、父親が作った社名から、承諾をもらって今の「セントウェル印刷株式会社」に社名を変更しました。
セントはセンターで中、ウェルは井戸の井で、セントウェルです。ブリジストンやサントリーみたいな感じです(笑)。
「セントウェル印刷株式会社」の事業内容について教えてください。
紙媒体やホームページ制作がメインの事業内容になります。
名刺、封筒、ポスター、チラシやフライヤー、ロゴ、ノベルティ制作など、さまざまなものを制作しています。
「セントウェル印刷株式会社」ならではの特徴やサービスはありますか?
ファブレス経営という体制を取っており、現場をもたない形でやっています。
在庫をもたない、設備をもたないという身軽な経営をさせていただいています。
今はどの印刷会社も仕事が欲しくて、バンバン営業に来る時代です。それは小規模な会社だけではなく、大企業に至るまでさまざまです。
そんな状態ですから、仕事があれば、こちらが指定した値段に近い価格でやっていただけます。
例えば、新しい会社を立ち上げるとして、そのためには色々なツールが必要になります。
名刺、封筒、チラシ、看板、会社の案内のパンフレットなどの印刷物、ホームページなどさまざまです。その時に、一気通貫して、色々な仕事を受けることができるのも弊社の強みです。
「情報発信の提案によりお客様の発展に貢献する」というのが、弊社のパーパス(存在意義)です。
また、企業に対する宣伝などのマーケティングを主に行い、弊社自体は営業部隊を全く持っていないのも特徴になります。
事業を引き継いだあと、どのようなご苦労がありましたか?
バブルが弾けた頃、今までお付き合いさせていただいていた広告代理店が、不動産に関わっていた部分があり、倒産が相次ぎました。
手形を持っていて、キャッシュフローが回らなくなったり、しまいには自分の社会保険まで支払えないような状態に陥った時もありました。
そんな中、子どもを3人育てながら、借金をして何とかやりくりをした時期もありました。
仕事を取ってくるために営業で走り、資金繰りで走りなど大変でした。
事業が好転したターニングポイントは何だったのでしょうか?
経営者の団体に参加し、勉強をしに行ったことと、マーケティングに目覚めたことです。
朝礼、人材に対する思い、マーケティングの重要性を学びました。
ここ7年、おかげさまで増収増益できていますが、人材育成の仕組みとマーケティングの仕組みがしっかり確立したということに尽きます。
会社としての現在の課題は何ですか?
私は現在会長職で、弟が社長でこの会社を2人で今まで支えてきました。
昨年(2021年)の1月から息子が家業に興味を持ってくれるようになり、営業部長として一緒に働くことになりました。
私たち2人がやってきたことを息子に丸投げして継がせるというよりは、息子の能力が最大限発揮できる場を作ってあげてから、経営者として引き継がせるほうがいいのではないかと考えています。
印刷業界の今後を考えると、縮小していく傾向が強いと思いますので、動画やリアルSNSの制作など、紙媒体とホームページ以外の別の媒体にも事業展開していくことが必要だと思っています。
今後の事業の展望や夢を教えてください。
数字的な面ではありますが、2年後には今の売上の1.5倍を達成したいと考えています。
息子に今、事業構想大学院大学という学校で学んでもらっていますが、印刷業以外の事業で長期的に安定が望める事業を作っていければと思っております。
その事業のサポートに、自分も少しでも加われたらいいですね。
また、これは個人的な夢にはなりますが、私が70歳ぐらいになったら、平日は仕事をして、土日は里山保全ボランティア活動や野菜や花つくりなどができるような、のんびりした生活をしたいと考えていました。
今でもそういったボランティア仲間から、「中井さん来てよ」という声がかかりますが、少しずつ事業承継していき、自分が現場から離れて、個人的な夢が実現できたら良いと思います。
最後に御社のPRをお願いします。
先ほども言いましたが「情報発信の提案によりお客様の発展に貢献する」というのが、弊社のパーパスです。
その時代、その時代に合った媒体を取り入れて、ますます皆さんに安心信頼を置いていただき、お仕事をいただけるように努力していきますので、よろしくお願いいたします。
中井さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!
『小予算で優良顧客をつかむ方法』 神田昌典(著)
『あなたの会社が90日で儲かる!』『60分間・企業ダントツ化プロジェクト』などのベストセラーで知られる気鋭の経営コンサルタント、神田昌典の処女作。 初めての著書ということもあってか、ほかの著書に比べると文章にぎこちなさを感じるが、自分の持つノウハウを出し切ろうとする姿勢には好感が持てる。 これまでのセールスやマーケティングの方法を否定している点はほかの著書同様であるが、著者自身が仕事を通じて得た「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」の実践方法と効果について言及している点はとくに興味深い。 「無料お試し」と「無料モニター」ではレスポンス件数が18.8%違ったという話や、「オイルの点検をしていいですか」では断られていたのが、「エンジンオイルが安全なレベルにあるか、チェックしてもよろしいですか」ではOKしてくれるなど、興味深い実験結果がいくつも掲載されている。 セールスパーソンや中小企業経営者なら、ぜひとも読んでおきたいところだ。 Amazon URL:https://amzn.to/3zpYhfh |
投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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