今回は一般社団法人CATTI日本実施委員会代表理事の屈博煒氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 一般社団法人CATTI日本実施委員会 |
代表者 | 屈 博煒 |
設立 | 2021年 |
主な事業 | CATTI国際試験 |
社員数 | 5名(取材時)日本3人、中国2人、アルバイト3人 |
会社HP | https://www.catti.jp |
事業内容についてご紹介をお願します
当社は、中国外文局主催の、CATTI国際試験を運営しています。中国と各国の国際交流促進の一環としてスタートしたものです。
2020年12月に始まって以来、現在では約85ヶ国・地域で実施されていまして、延べ5.8万人(2023年6月)が受験しています。数年でここまで増加した背景には、2点があると思います。
1点は、中国語の即戦力を測る唯一の試験になっています。2点はCATTIが中国の国家資格のため、知名度が非常に高いです。外国語能力証明の管理・登録がされていますから、 中国国内外の進学・就職活動に非常に役立つのです。このことは、中国はもちろんのこと東南アジア等においても国際ビジネスを行う際に外国語能力の判断指標となっています。
CATTI国際試験の特徴は中国語と日本語の相互通訳及び相互翻訳の能力を、一つの試験を通して測定できることです。受験生の日本語及び中国語の「聞く・読む」能力はもちろんのこと、一般的な語学試験で評価しにくい「話す・書く」能力を測ることもできます。
どのような経緯で作られたのでしょうか?
中国のグローバル化が進んで久しいのですが、しばしば語学のコミュニケーションエラーが発生することがありました。語学資格試験の上級者でも、実際にビジネスをする際に、双方の意思疎通が上手くとれていないことから、不利益となることがありました。つまり、双方のコミュニケーションをいかにしてとるのかが課題となっていました。こうした課題を解決するためには、双方の国の言葉を理解し合う必要があります。そこで、通訳やコミュニケーション能力を高めることを主眼に、試験がつくられました。
屈さんは日本に来られたきっかけはなんでしょうか?
日本に来たきっかけは、留学でした。当時、トヨタの、「JUST IN TIME」が中国で流行っていまして、教科書にも日本企業の事例が多く取り上げられていました。私の大学の専攻が物流管理学と金融学のダブル学位だったこともあり、日本の「ロジスティクス・マネジメント」に興味を持ちました。したがって、何の迷いもなく留学するなら、日本となりました。
10年前に留学した当初は、横浜国立大学に入りました。ところが、私が入ったゼミは中国人留学生ばかり、先生も中国語が堪能だったこともあって、中国の大学と変わらない環境でした。これでは、日本に留学した意味がないのではないか、と考えるようになりました。いろいろな大学を検討しましたが、結果的に私が選択したのは法政大学の修士課へ、その延長上で博士課程へ行きました。その後、IT関係の会社にリサーチャーとして就職しました。
会社員時代のエピソードを教えてください
就職が決まり一安心していた時に、会社から「よかったら早めに会社に来てくれ」と言われました。ちょうど私が担当することになっていた案件のメンバー全員が退職したそうで、予定より早めに仕事に取りかかることになりました。こうやっていつの間にか、新人であるにもかかわらず、複数の人が協力して進めてきた仕事を1人でやるようになって、オフィスに寝泊まりすることも体験しました。とても辛かったですね。ただ、当時はこれがおかしいと思わなかったんです。逆に、自分の学生生活が長すぎたせいで、社会人の生活にはもう適していないのではないかと思い込んで自分を責めていました。
ある日突然に、社長から呼び出されて、「海外事業をはじめるので君にやってみてほしい」でした。職場で悶々とした日々を送っていた私が、新たな海外事業(中国)に関われる機会が与えられたことは、「水を得た魚」でした。
CATTIの事業はいつからスタートしたんですか?
コロナ禍により日中の交流が途絶えてしまった頃、中国外文局が共同主催した小型の交流会に参加しました。私が自身の経験から、「国際交流において翻訳・通訳のミスで起こるコミュニケーションの誤解とそれによる双方にとって不利益のケース」を紹介したのですが、この内容が非常に好評でした。
後日に外文局試験センターから、「屈さんの見解にすごく同感しています。実は今、私たちが従来の国家資格であるCATTI試験に基づき、国際交流促進を目的に中国以外でも受験できるCATTI国際試験を開発しています」と言われました。そして、「日本国内で受験できるようにしたいが、屈さんにお願いできますか」との話をいただきました。日中の国際交流に興味を持ち、何らかの貢献できたらいいなと思っていましたので、引き受けました。日本国内でこの事業のスタートは、2021年でした。
全く何もないところからのスタートだったんですね
そうなんです。委任状だけでお金も支給されず、全部自力で始めなければなりませんでした。ノウハウももちろんなく、一から模索したんですので、非常に苦労しました。しかし、多くの仲間の知識や知恵が大きな助けになりました。
一番大変なのは何でしょうか?
最も大変なのは、組織的な運営体制づくりでしたね。でも正直、全部が大変でした。その大変さは言葉には言い表せないほど難儀をしました。
当時はお金がなかったため、自力でいろんなことをやるしかありませんでした。ホームページを作成するために、私はwixとwordpressを猛勉強して、wixの達人と言えるぐらいの技を身につけました(笑)。数多い宣伝資料についても、チームメンバーと一緒にゼロから作りました。しかも日本語バージョンと中国語バージョンの両方を作らないといけません。
こうやって、試行錯誤を繰り返しながら、模索して徐々に改善しています。最初の受験者がいてもどう申し込めば良いのかもわからないという段階からスタートして、今、受験生が順調に増えながら、試験監督アプリを導入したり、マイページの運用を始めたりして、試験環境を整えてきました。
今年、一般財団法人中国語検定協会に誘われて、学会で「オンライン試験の可能性を問う」というテーマでCATTI国際試験の経験を紹介させていただきました。日本国内のオンライン試験の中で、うちは先頭に立っていると思います。
当時はお一人で運営されていたのでしょうか?
当然ですが、この仕事は一人では無理です。友たちと後輩に「お金が出ませんが新しい事業をやってみませんか?」と声をかけていました。最初は3人ほど一緒に働いてくれる仲間が見つかって、彼らは今もう、うちの中心メンバーになり、毎週定例会議を行なっています。思い起こせば、私は本当に人の縁に恵まれていたと思います。
今、新しい優秀な仲間がどんどんきてくれて、チームが大きくなりつつある中で、情報の共有とノウハウの蓄積についてすごく研究しています。何故なら、うちのメンバーは全員遠距離でリモートですから。現時点で一つのオフィスに集まることが一度もなかったです。(笑)
いろんなツールを活用して、うちは「データの見える化」に力を入れています。このように、積極的にIT技術を運用することによって、CATTI日本実施委員会は小規模の精鋭部隊で効率よく機能しています。
今後の展望を教えてください
日中の円滑な国際交流を促進する目的で、CATTI国際試験の実施運用によって、翻訳・通訳のミスによる誤解を減らして、両国間の社会・経済・文化交流がより円滑になるための役割を果たすことです。
それに、日中のかけ橋を目指す個人にとっても、両国で事業を展開している機構や企業にとってもCATTI国際試験は活用しやすい指標になることです。
中国語を勉強するコツはありますか?
日本の皆さんに伝えたいことは、知っている単語を声に出して言ってみるだけでも良いので、「真面目に考えすぎないで、中国語を使ってみてください」です。つまり、論理的に考えてから話すのではなく、肌感覚で外国語の言葉を身につけていくことが重要です。
当社は、即戦力になる実用的な中国語講座をさらに充実していきますので、活用してくだされば嬉しいです。
他の経営者におすすめの本を教えてください
経営者になって感じたことは、人間の真心の大切さでした。そこで、以下の3つの本を紹介します。金谷治さん著書の『論語』、度阴山さん著書の『知行合一王阳明大全集(定制,精装全4册)』、英語の本ですがリチャード・ニクソンさん著書の『Leaders: Profiles and Reminiscences of Men Who Have Shaped the Modern World (English Edition) 』です。
ぜひ気になった本から読んでみてください!
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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