今回はAtCoder株式会社代表、高橋直大氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | AtCoder株式会社 |
代表者 | 高橋直大 |
設立 | 2012年6月20日 |
主な事業 | プログラミングコンテストサイト「AtCoder」の開発・運営 |
社員数 | 13名(取材時) |
会社所在地 | 東京都新宿区新宿4-1-23新宿SKYビル7階 |
会社HP | https://atcoder.jp/ |
事業内容を教えてください
当社はプログラミングコンテストサイト「AtCoder」の開発・運営を行っています。日本最大の競技プログラミングコンテストである「AtCoder」は毎週土曜日夜9時の定時開催をはじめ、様々なコンテストを頻繁に開催しており、現在では、理系学生やITエンジニアを中心に世界で50万人を超えるユーザ―が登録しています。
「AtCoder」ではカテゴリーごとにプログラミングコンテストが行われ、アルゴリズム部門では参加者は与えられた問題に対してプログラムを書いて、問題を解くまでの時間、正解した問題数、得点が「AtCoderレーティング」というランキングに反映されます。「AtCoderレーティング」はプログラミングスキル評価のデファクトスタンダードとして採用活動において企業、求職者双方に活用されています。
他にもヒューリスティック・コンテストという部門があります。正解が必ずしもあるわけではない難解な課題に対して誰が1番良い解まで辿り着くかを競うものですが、面白いアイデアも沢山生まれ、プログラミングそのものを楽しんでいる方も多い部門です。
「AtCoder」を通して、プログラミングの面白さを多くの方に知っていただけるよう努めており、またプログラミングコンテストを通じたITエンジニアの採用、就活の支援も行っております。
学生時代に熱意を持って取り組んでいたことを教えてください
もともとスポーツが得意で小学校4年生から野球を始めました。
中学でも野球部に入ったのですが、部活でグラウンドが使える日が決まっていたため、野球ができない日は別の部活動にも顔を出していました。中でもパーソナルコンピュータ研究会によく参加しており、思い返すとその頃から漠然とコンピュータに対して愛着があったのだと思います。
そして中学3年生の時、学校の授業でプログラミングを習ったことがきっかけで、元来の競争好きな性格も相まって、競技プログラミングの世界へと足を踏み入れることとなります。
ちなみに、学校の授業で習ったプログラミングはプログラミング言語ではなく、4bitマイコンという0からFまでのボタンの組み合わせで音が鳴ったりライトを光らせたりすることができるものでした。私は限られた文字を駆使して80文字のプログラムを作っていくなかで「プログラミングが面白い」と心から感じ、学んでからすぐにクラスメートの誰よりも上達することができました。この中学の授業での経験が私のプログラミングに対する興味関心の原点となっています。
どうして学生時代に起業されたのでしょうか?
競技プログラミングを本格的に始めて3年程経った大学1年生の時にマイクロソフト主催の競技プログラミング大会で世界3位を取りました。
競技プログラミングが楽しかったので、プログラミングコンテストを友人やプログラミングをしている方々に紹介したのですが、当時の主流なプログラミングコンテストがロシアや米国主催のものだったために言語の壁があり、なかなか始めてくれる人がいませんでした。また、プログラミングコンテストに出場される人はとても優秀なのにも関わらず、仕事の面接などでアピールできる人が少ない印象を持っていました。
そこで、日本でも気軽にプログラミングコンテストに参加して競技プログラミングを楽しんで欲しい、そして優秀なプログラマーの方たちの就職の充実を目指そうと思い、起業を決意しました。
起業してから大変だったことはありますか?
数えきれないほどありますが、強いて言うならば、開始した当初、プログラミングコンテストの知名度が低かったため、参加者を集めることに苦戦しました。無料であればプログラミングコンテストに参加する人はいますが、有料で参加することに躊躇する方が多かった印象があります。
また、スポンサーを獲得することを目指していましたが、協賛のメリットである「プログラミングコンテストが採用に繋がる」という価値が理解されにくかったため、当初は苦労しました。
日本の新卒一括採用の文化の中で、海外で経験がある方やプログラミングコンテストで良い結果を残しているプログラマーをどのように企業に提案していけばよいのか、どうすれば実力を評価してもらえるのか、という部分に随分悩みました。
大変だったことをどのように乗り越えましたか?
スポンサー企業を探すよりも、沢山のプログラマーが競技プログラミングに参加してくれれば、当社の話が企業の人事担当者に伝わるだろうと考え、とにかくプログラミングコンテストを毎週開催し続けることにしました。しばらくすると参加してくれたプログラマーがTwitter(現:X)で呟いてくれて、人事担当者が見てくれるようになり、企業間でも知名度が上がったことで、企業と参加者双方の利益も生み出せるようになりました。
また、当時リクルートが大きなプログラミングコンテストを連発したことも、大きな転機になりました。リクルートがindeedを買収したことで、優秀な若いエンジニアとのコンタクト機会を多く求めていたのだと思います。こうした機会がちょうど良いタイミングで訪れることが多く、とても運が良かったと振り返っても感じます。
経営する中で一番大事にしている考え方はありますか?
会社を運営する際、自身の使命や信念に忠実であることを大切にして、それに賛同する人々を引き寄せることを重要視しています。特に競技プログラミングを皆さんに楽しんでもらうことが当社にとって一番大切な考えです。ビジネス感を出しすぎると参加者が付いてきません。だからこそ、できるだけ誠実に私の想いを参加者に発信するようにして、参加者からの声も聞く様にしています。起業時は4人で、最も少なかったときは私ともう1人のスタッフだけで運営しており、どうしても2人の意見だけだと偏ったり視野も狭まってしまうので、ユーザーの皆さんに意見を聞く環境作りを始めました。
今後の展望を教えてください
今も昔も変わらず、競技プログラミングを発展させることです。最初は参加者200人程だった規模が現在では1万4000人になっておりますが、これからもさらに拡大していってほしいです。またプログラミングコンテストの参加者を増やすだけでなく、観戦者もいたらもっと面白くなると思っているので、観戦コンテンツを作ってスポーツ観戦のようにみんなで応援することができるように、実況中継があったら良いと考えています。ビジネス的に儲かるからやるというよりは、何ができたら面白いかを模索していきたいです。
おすすめの本を教えてください
秋山久義さん著書『算数おもしろ大事典IQ 増補改訂版』、米田優峻さん著書『【フルカラー図解】 高校数学の基礎が150分でわかる本』がおすすめです。前者は私がアルゴリズム的な考え方を養うのに役立った本であり、後者は最近出た本ですが、数学が苦手な人にも取り組みやすく書かれている本だと思います。プログラミングは数学的な工夫が必要なのですが、そのベースとなる算数や数学の知識をこの本で学ぶことができます。
数学は必要ないとお考えの人も多いのではないかと思いますが、論理的思考を鍛えることはビジネスにも役立ちますので、あらためてこれを機会に学び直してみるのも良いのではないかと思います。そして興味を持っていただけたら、ぜひプログラミングコンテストにも参加してみてください!
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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