今回はZenGroup株式会社代表、スロヴェイ・ヴィヤチェスラヴ氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | ZenGroup株式会社 |
代表者 | ナウモヴ・アンドリイ
コーピル・オレクサンドル スロヴェイ・ヴィヤチェスラヴ ソン・マルガリータ |
設立 | 2014年4月 |
主な事業 | 越境EC事業、海外向け物流事業、海外向けプロモーション事業 |
社員数 | 169人(2025年1月時点) |
会社所在地 | 大阪府大阪市中央区瓦町1丁目7番7号大阪堺筋Lタワー |
会社HP | https://zen.group/ |
事業内容を教えてください
当社は「世界の越境EC販売額20%を日本に」を理念とし、日本の商品を海外の消費者に届ける越境ECサービスを提供しています。
ZenGroupでは、ZenMarket、ZenPlus、ZenPop、ZenPromo、ZenLink、ZenStudioの6つのサービスを展開し、お客様の持っているあらゆるニーズをカバーしています。
ZenMarketは販売者様と海外ユーザー様を仲介する購入代行サービスです。当社が海外ユーザー様の代理で販売者様から購入、 支払いや海外発送も全て代行します。 国境を越えたお取引上で懸念される「外国語対応」「決済」「発送」対応上のトラブルに遭う心配がなくなります。
ZenPlusは海外へ販路拡大を目指し越境ECにチャレンジしたいという日本の企業様向けのサービスです。
海外のお客様とのやり取り、決済、海外発送はZenPlusが 行いますので、販売者様は国内取引と同じご対応で海外に販路を拡げることが可能です。 ZenPlusなら、ノーリスクで簡単に海外進出できます。
ZenPopは海外向けの文房具を中心としたサブスクリプションボックスサービス(定期購入)に加え、単品販売にも対応した越境ECサービスです。 2016年10月に立ち上げたサービスで、特に文房具ボックスは継続的に高い評価をいただいています。 会員登録者数は20万人。北米の利用者が7割を占めますが、ヨーロッパや南米など、128か国に利用者がいます。最近では、定期ボックスだけでなく個別購入のニーズにも応えるべく、単品販売の展開も強化しています。
ZenPromoは越境ECに伴う課題を3つのステップで解決するサービスです。①国民性、競合情報等の分析②運用できる 仕組み作り③商品と相性の良い施策、という越境ECの課題を商品の認知~興味~検討の各フェーズにあわせた施策を一貫して実施します。
ZenLinkは集客支援型越境ECバナーです。国内ECサイトにタグを埋め込むだけで 越境ECに必要な作業を一括サポートします。19言語に対応した多言語対応、カスタマーサポート、不正決済対応、海外配送などを初期・月額費用無料でできるサービスです。
ZenStudioは、越境ECの成否を左右するクリエイティブ制作に特化したサービスです。商品撮影、SNS動画制作、LPやバナーのデザインなど、海外市場を意識したビジュアル・コンテンツ制作をワンストップで提供します。現地トレンドや消費者インサイトに基づいたクリエイティブは、認知拡大や購買促進に貢献します。
最近は、商品の調達、物流、海外向けの法規制対応など、どれも専門性が必要となり、複雑化するばかりです。
中小企業が自力で越境ECをやるのは益々難しくなっていくと思ったからこそ「当社が持っているノウハウを、他の企業と共有していこう」と決めました。
スマートフォンの普及・インターネット人口の増加・ 決済方法の簡素化・インフラ整備により、 場所や時間を選ばないオンラインショッピングの利用が世界中で拡大しています。
越境ECはハードルの高いものだと思われるかもしれませんが、当社に依頼いただければ一気通貫で支援可能です。
ご興味のある方はぜひこちらをご覧ください。
ZenGroupが展開する事業の特徴を教えてください
4つ特徴があります。
①世界各地にオペレーターを置き、19か国の言語で24時間サポート *月間4万件以上のメッセージを対応
②自社開発の倉庫管理システムでコストダウンと柔軟性
③自社開発の詐欺防止システムで不正利用率:0.05%程度
④決済方法:100通り以上
まず言語面ですが、主要言語の他、アラビア語・ポーランド語などのマイナー言語にも対応しており、母国語もしくはビジネスレベルの語学力を持つスタッフがサポートします。出品者が使用する言語は、出品からお問い合わせ、クレーム対応まで日本語のみなので、国内取引と同じご対応で海外に販路を拡げることが可能です。
そして、当社では倉庫管理システムや物流等の基盤を整えています。
出品者は国内の弊社倉庫(大阪府)へ配送するのみで、海外への配送は当社にお任せいただけます。
また、海外との取引で懸念されるクレジットカード等の不正利用への対策ですが、自社開発のシステムがあり、安心してお買い物いただけるよう、日夜勤めています。購入者様からの代金受け取り(クレジットカード決済)は弊社が行いますので、出品者様は不正利用やチャージバックの心配は一切ございません。
加えて、様々な国と地域の買い手がいるので、機会損失を起こさないよう決済方法も100通り以上用意しています。
また手数料が明確になっているのも特徴の1つです。
その他、どこの国で売れるか、何が売れないのかといったナレッジも溜まっているので、インフルエンサー、Web広告、SNS運用、市場調査、プロモーションまでお任せいただけます。
日本の素晴らしい商品が海外で売れるようなシステムを作り、世界中で確実に売れるための道を整えています。
お客様の売り上げ・商品の拡大を目指してサービスを展開していますので、お困りの際はいつでもご連絡ください!
ここからはスロヴェイ社長のことをお聞かせください。学生時代から起業を考えていましたか?
6歳の頃は一時的に社長になりたいと言っていましたが、大学生以降は修士2つや博士も取得して、アカデミアの道を進んでいました。周りの友人も9割以上が研究者を目指していたので、その頃はあまり起業は考えていませんでしたね。
ですが自分で何かサービスを作ってみたいとは考えており、色々挑戦をしました。
1つは、オンライン辞書の開発です。
共同創業者のコーピルと共に、ウクライナ語-日本語、ロシア語-日本語のオンライン辞書をつくっていました。当時、紙の辞書はたくさんありましたがちゃんとしたオンライン辞書はまだなかったのでニーズがあると感じ、数年かけて真剣に取り組んでいましたね。
また、知り合いが社長をやっていた会社で、翻訳や通訳の仕事にパートタイム的に受ける形で携わっていました。翻訳のデータを整理して、辞書に加工したりもしていました。地道な作業でしたが、語学や言語の構造に興味があったので、楽しさもありました。
そして、「ゼロから何かを作る面白さ」に何度か触れたことで起業ができるのではないかと思うようになっていきました。
ZenGroupは大学時代の友人4人と創業した会社です。私は1人で代表をやるようなタイプではなかったので、頼れる仲間たち共に代表として仕事をしています。4人であればストレスや大変なことも分け合えるので心強いです。
他にはどのような仕事をしたのでしょうか?
オンラインペット霊園を開発しました。当時、母国のウクライナは日本ほどペットにお金をかける状況ではなく、日本だからこそできるサービスだと思いました。ペットに服を着せたり、ストローラーで一緒に散歩したりとペットとの繋がりが強いですよね。なので、ペットが亡くなった時に弔いの方法で困っている人がいることを知った時、オンラインでペットのお墓を作ろうと思いました。このサービスはパソコンで利用する前提で開発していたのですが、開発が完了したころには、多くの人が流行し始めたiPhoneを使うようになっていました。スマートフォン対応に作り直すだけのリソースがなく、そのまま断念せざるを得ませんでした。
面白いアイディアですね。ちなみに、大学、大学院で学んだことで役立っていることはありますか?
言語学や翻訳の研究を通して、また多国籍な学生とコミュニケーションを育むなかで、グローバルマインドが培われたと感じています。
例えば、現代文芸論の授業では南米の文学やヨーロッパの古典、現代の文学から物事の捉え方、考え方が時代、国、地域が変わることで異なることを知り、常にボーダレスな情報を習得したことで、私の思考が柔軟になりました。
現在当社には34か国から集まったメンバーが在籍していますが、1つの見方に捉われずに様々な文化を受け入れて経営ができているのも、この時に学んだことが役立っていると思います。
どうして越境ECを事業にされたのでしょうか?
起業した当初は、多くの選択肢が頭の中にありました。ちょうど起業当時、日本に観光客が一気に増えはじめていた時期だったので、インバウンドの旅行事業を考えていました。
一方、周りにも貿易や越境EC関連の会社で働いていた友人が何人かいて、ある程度業界のことも知っていましたし私自身が外国人として日本に住んでいて、「日本の商品って、人気があるんだな」と肌で感じていました。例えば、ウクライナでは、日本製のデジカメや電化製品にとても高い評価がありましたが、簡単に手に入れる環境が整っていませんでした。そこで「欲しい人がいるのに、手に入らない」というギャップをビジネスチャンスにしました。
2025年現在、日本の商品はどのようなものが海外で人気なのでしょうか?
電化製品よりもアニメ関連やポップカルチャー関連グッズがメインになってきました。また国によっては、日本の釣具やファッションなども人気です。
起業してから大変だったことを教えてください
当社の始まりはマンションの一室からですし、社会人の経験がない学生が始めたビジネスだったので大変なことが多かったと思います。資金もほぼゼロで、スタート地点としてはかなりハードでした。色々と学びながら経営をしてきたと思います。カスタマーサポートも自分でやってましたし、事務所の配線も手作業、詐欺防止システム、倉庫の管理システムも自作で作っていました。自分たちの規模やニーズに合ったものを作る方向で進めていました。
他にもコロナのパンデミックもありましたし、母国ウクライナで戦争が起きたことで物流ルートが途切れて大変な時期もありました。
起業直後はどのような状況のなか働かれていらっしゃいましたか?
最初は給料が出ない状態で、ようやく最初にお給料をもらえたのは、起業から9ヶ月後でした。「もしかしたら生活できるかもしれない」と思えた瞬間でしたね。
そこから最初のアルバイトスタッフを雇ったときには、自分でやるのと誰かに依頼するのでは感覚が違うことを経験し、マイルストーンになりました。また、大きな倉庫に無理して引っ越した時も、最初は3階中、1階の4分の1しか使っていなかったのですが、絶対拡大できると信じていました。
今思えば無謀でしたが、自分で学びながら新しいチャンスを掴んできました。
代表が4人いらっしゃいますが、起業直後の成果がなかなか形にならない期間、大きな判断を相談することはありましたか?
ありませんでした。最初の1年給料が出ない日々が続いて、「このまま続けて大丈夫なのか」と考えたこともあります。ですが、みんなの中で「1年やってダメならやめよう」といった約束はありませんでした。
なぜなら、少しずつでも前に進んでいる実感があり、「きっと大丈夫だろう」と思えるタイミングが何度もあったからです。
今後の展望を教えてください
創業してから10年が経ちますが、まだまだニーズと供給のギャップは埋まっていないと感じています。
たとえば、日本のポップカルチャーや伝統製品に興味を持つ人は年々増えているのに、世界中のユーザーが簡単に手に入れられる環境が整っていません。コロナウイルスや戦争を体験して、物流の安定はとても難しいことを知りました。だからこそ当社が越境ECの架け橋になっていきたいです。より多くの日本企業と海外をつなぐ仕組み作りを進めていきたいと考えています。
おすすめの著書を教えてください
ジョン・ドーアさん著書の『Measure What Matters: 伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法OKR』です。GoogleやYouTube、Intelなどの企業が導入した「OKR(Objectives and Key Results)」という目標管理手法が書かれています。目標設定だったり、目標のためにどのようなことができるか考えるシステムです。当社でも6年前に導入して今に至っていますが、皆さんの会社でも導入できると思っています。
ぜひ読んでみてください。
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企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
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