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株式会社大川印刷代表取締役社長 大川哲郎氏

今回は明治14年からの歴史がある、横浜の印刷会社、株式会社大川印刷代表取締役社長、大川哲郎氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!

 

株式会社大川印刷 会社概要

会社名称 株式会社大川印刷
代表者 大川哲郎
創業 1881年(明治14年)
主な事業 環境印刷
医薬品の効能書きや食品の包装紙の印刷
社員数 41名(取材時)
会社所在地 〒245-0053 横浜市戸塚区上矢部町 2053
会社HP https://www.ohkawa-inc.co.jp/

 

 

どのような印刷をされているんですか?

元々は医薬品関係で薬の効能書きやお弁当の掛け紙、食品の包装紙を印刷していました。
アレルギーの表示など最悪、人の命に係わる印刷物ですので品質に特化した印刷物を得意としています。
また、2004年から環境印刷に力を入れてきました。

紙やインキ、電力など、環境に正しいことにこだわって印刷物を作っています。
そのため、これまであまり出版物などの印刷依頼は少なかったのですが、環境印刷で刷りたいというお声を多くいただくようになり、最近は書籍の印刷も多数受けています。

 

 

環境印刷について教えてください

2016年に、弊社の印刷事業において年間に使用される電気、ガス、車両燃料によって排出されるCO2を算定し、その全量にあたる180tをオフセット(打消し)し、「CO2 ゼロ印刷」を始めました。

また、2019年には自社太陽光発電20%、青森県横浜町の風量発電の電力の購入80%で「再生可能エネルギー100%工場」を実現させました。インキや紙だけでなく、段ボールを使わずに納品をすることで配送等、仕事として関わる全ての部分で環境に正しい取り組みができるように努めています。

 

 

SDGsにとても力を入れていますが、何かきっかけはあったのですか?

これはただ「やりたかったからやった」というだけです。必要であると思われることは、なるべく率先してやっていこうという思いを大切にしています。
どんなことでも経済的、技術的に可能なら臆さずに挑戦しています。
それに環境に配慮した取り組みは従業員さんの健康を守る取り組みにもなり、お客様よりも先に従業員さんが喜んでくれています。

小さい会社でもできることは最大限挑戦していきたいです。

 

 

学生時代について

小さいころから自然と触れ合って過ごしてきました。学生時代の大きな変化というと、大学に入学してからすぐに父親が亡くなった時です。
大川印刷は父が経営をしており、専業主婦であった母が事業を引き継いでくれたおかげで大学には通い続けることができましたが、暗い大学時代を過ごしました。

しかし、21歳の頃にアメリカ南部へ行ったとき、人種差別を目の当たりにしたことがきっかけで我に返りました。それまでは自分がとても不幸で大変だと思っていましたが、アフリカ系アメリカ人の方たちは差別が日常的にあったとしても前を向いて生きていて、私のことも受け入れてくれたんです。

日本に帰ってから人種差別の歴史を調べると、自分よりもアフリカ系アメリカ人たちのほうがよっぽど大変な思いをして生きていることを知りました。
元々音楽が好きでギターを弾いていましたが、アフリカ系アメリカ人の人たちが奏でる音楽の魅力に気づき、今では会社の理念に合致したブラックミュージックのアーティストの名言をクレドとして取り入れています。

 

 

社会人時代について

元々印刷会社を継ぐと決めていたので、修行も兼ねて別の印刷会社に研修生として入社しました。
非常に忙しい部署に配属されて、製造から工程管理、営業、物流など、様々な仕事を経験しました。

その分、残業も多く、週に1回はカプセルホテルに泊まるような生活でしたが、逆にそれを楽しむ力をつけさせてもらいました。今から考えると働きすぎているように思いますが、当時はそれしか知らなかったので、ただがむしゃらに仕事をしていました。

そしてその印刷会社に3年勤めた後、大川印刷を継ぎました。

 

 

会社を継いで大変だったことは

今も楽ではないですが、人を動かすことが一番大変です。
「人を動かす」なんて、おこがましくて言えたものではありませんが、人は簡単には変わらないのに最初の頃は「なんでわかってくれないんだろう」ともがいていました。
継いだ頃はバブルが崩壊した直後で、売上が下がっていました。

当時の社員さんの多くは良い時代を知っている人たちで、私が経営改善のために提案をしても、「なぜこんな細かいところまで改善しなければいけないんだ」と反発の声が大きかったです。そのため、退職を選択した人も多くいました。
もちろん、自分の責任も大きいですが、人に理解してもらうこと、それに賛同して動いてもらうことはとても難しいと感じていました。

 

 

社員の皆さんに対してどのような思いを持っていますか?

私の前に5人の経営者が大川印刷にはいましたが、ここまでこれたのは、これまで働いてきてくれた従業員さん、社員さん皆のおかげです。

大変な時代になって、従来の資本主義社会が限界と言われていますが、どのようにしたら従業員が生き生きと働けるかということを常に考えています。幸せは人それぞれですが、みんなが自分の幸せを創造できるよう、会社としてサポートをしたいと考えています。

 

 

課題はありますか?

コロナによってクライアントだけでなく私共にも影響が出ています。
時代が変わってきているだけでなく、どのようにお客様のお役に立てるのかを検討し、経営をシフトしていかなければなりません。

また、社員さん一人ひとりが個々に課題意識を持って行動していけるようにこれからもしていきたいです。現在も社員さんが主体となって、様々な取り組みをしていますが、それが今後も途切れないように人間力をつける教育、SDGsに関する教育をしていきます。

弊社が掲げている環境問題に対する取り組みは、従業員さんが主体となって議論し、何年までに達成するかを決めています。難しい部分もありますが、会社としてサポートできる部分は全力で応援していきます。

 

 

今後の展望について教えてください

2つあります。

1つは持続可能な社会の形成ができるよう、印刷を通して社会に貢献していきたいと考えています。
言われたものをただ言われた通りに印刷するのはもう過去の仕事で、今は数多くの社会課題解決の提案を行っています。

どんなことをしているかというと、脱炭素や環境負荷を軽減する印刷方法、及び用紙の提案です。
ごみから紙を作ったり、お客様から排出されるごみをアップサイクルする提案などもしています。
様々な社会課題解決のために具体的な行動が取れるような提案をしています。

もう1つは今後の持続可能な社会の実現のために、横浜駅東口の事務所を地域の社会課題解決においてハブとなるような施設にすることです。テレワークが進んだ関係で、事務所の半分を動画スタジオにしました。

通常の動画スタジオと違う部分は、社会の課題解決に関心のある方が、ここに来ると情報収集、情報発信できるという点です。展示機能を持たせたのでギャラリーのように環境に配慮した取り組みや商品を紹介できるようにしていきます。

これは現在既に進行中ですが、2022年2月にはバージョンアップして「with Green Printing」と言う名称の施設として皆さんにご利用いただける予定です。

 

 

大川さんに、経営者におすすめの本を教えていただきました!

『あんなぁ よおぅききや』 玉置 半兵衛(著)

創業300年にわたり、麩を作りつづけてきた京の老舗「半兵衛麩」。そこに語り継がれる、心を育み人をつくる珠玉の言の葉52編。形だけしか見ない現代にあって、京の人々が何よりも心を大切にしているさまがよくわかる一冊。

Amazon URL:
https://www.amazon.co.jp/dp/4763805142/

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!