今回は株式会社LOCUS代表取締役社長、瀧 良太氏にお話を伺ってきました。
会社名称 | 株式会社LOCUS |
代表者 | 代表取締役 瀧 良太 |
設立 | 2010年4月2日 |
主な事業 | 動画制作・コンサルティング 「シニアード」調剤薬局デジタルサイネージ 採用コンサルティング 広告代理業動画コンテンツ配信 YouTubeチャンネルコンサルティング |
社員数 | 約60名 |
会社所在地 | 東京都渋谷区道玄坂2-10-7 新大宗ビル2号館15階 |
会社HP | https://www.locus-inc.co.jp/ |
自己紹介を含めた事業内容の紹介をお願いします。
2010年に設立した、『LOCUS(ローカス)』という動画ベンチャーとなります。
主な事業領域は、動画を起点としたコンサルティングと全国の調剤薬局 約1,000店舗(2021年末時点)をネットワークしたデジタルサイネージ「シニアード」となりまして、その他介護関連の動画コンテンツ配信「ふくくる」等、動画関連ビジネスを展開しています。
動画コンサルティング事業は約40名の営業やプロデューサー、プランナーと、800名以上のフリーランスクリエイターさん、各種パートナー企業様で構成されておりまして、クライアント様が抱える幅広い課題解決を目的とした動画の企画制作や活用のコンサルティングを年間約1500本程プロデュースしております。創業以来1,700社以上のクライアント様にお取引いただくリピート率は70%以上と、ビジネスツールとしての動画活用において圧倒的な信頼と実績を誇っています。
800名以上のクリエイターさんは書類選考と面接を経て厳選した仲間となりまして、実写からアニメーションなどの幅広いスキルを保有しているため、動画はもちろん、Webやグラフィックも含めて目的に応じたクリエイティブをかたちにする表現力やキャパシティを有しています。
調剤薬局デジタルサイネージ「シニアード」はインターネット広告ではリーチしづらい60歳以上のシニア100万人以上に動画で届くメディアとなりまして、2021年末時点では、主にクオール薬局様および、なの花薬局様を中心とした全国の調剤薬局約1,000店舗の待合スペースにデジタルサイネージを設置しています。
調剤薬局の来局者は約55%が60歳以上となるため、シニアを対象とした商品・サービスの認知拡大などシニアマーケティング・市場調査に最適なメディアと位置付けています。
その他、動画関連の新たなサービスを現在準備中となります。
起業したタイミングを教えてください
私が前職で責任者を務めていた事業を承継したのが起業のきっかけとなります。
前職は、ビースタイルという人材関連の企業に2006年4月に新卒で入社をしたのですが、最初はインナーコミュニケーションの活性化やエンゲージメント向上を目的とした社内SNS事業を立ち上げました。
当時はまだスマートフォンは無く、フィーチャー・フォン全盛期でしたが、パソコンでの動画視聴環境が少しずつ整ってきた時代の変化から、社内コミュニケーションでも動画の活用が増加するのではと着目し、独自で開発をした社内SNSに動画配信の機能を搭載したのが、私がビジネスで動画と出会った発端となります。
当時、動画制作の知識やクリエイターさんの繋がりは全くない状態からはじめたのですが、mixiなどのコミュニティなどを通じてフリーランスの動画クリエイターさんに声をかけて、少しずつ動画クリエイターネットワークは拡大していきました。
社内SNSは1年ほどやっていたのですが、計画していた収益を上げるまでの事業にはならず、ピボットせざるを得ない状況となり、事業に巻き込んだ責任があるので、動画クリエイターさんの雇用も維持しつつ、彼らの保有する力を活かしながら、まずはシステム開発での投資額などの赤字を回収するために新たな事業を模索することとなります。
いくつかの事業プランがある中で、選択をしたのが新卒採用向けの動画制作事業となりまして、それが現在の動画コンサルティング事業の原型となります。
新卒採用領域に絞った理由としては、動画制作といってもクライアント様社内向けの制作実績はありましたが、私自身が広告や販促などプロモーションの知見は無く、前職が人材業界であり、私自身が就職活動時代に就職支援の学生団体の活動をしていた経験もあったので、新卒採用向けの動画に絞ることとしました。
今となっては新卒採用活動でも動画を活用する企業様が増えていますが、当時、動画は高いという印象が今より強く、且つwebでの視聴環境が整備されていなかったため、誰もが知る大手企業様が会社説明会で動画を活用されている程度でした。
当時のメンバーの頑張りと参入タイミングが良かったのもあり、大手からベンチャー企業様まで多数の新卒採用動画や関連商材のお取引をいただき、事業は少しずつですが成長曲線を描いていました。
そのタイミングで、リーマン・ショックによる金融危機が発生します。
リーマン・ショックは幅広い業界に影響を及ぼしましたが前職も経済不況の煽りを受け、私が管掌をしていた採用動画は新規事業であり、全社の売上比率も低かったため、事業の選択と集中の観点から事業撤退の決断が下されました。
当初は他社への事業譲渡の可能性もありましたが、最終的には経営陣と議論を重ねて私個人が事業すべてを受け継ぐことで合意することとなりました。
その時の判断理由は下記3つとなります。
・多重型制作が主であるため動画制作は高いという業界構造への課題意識
(広告代理店さんを頂点としたピラミッド構造)
→この構造が悪いのではなく他の選択肢もあっても良いのではないかという想い。
・今後の動画マーケットに対する成長ポテンシャル
→SF映画が好きなのですがマイノリティリポートやマトリックスのような街中に動画が溢れる未来が来るのではないか。
・動画クリエイターさんにもっと光が当たる業界になるべきではないか
→多重型構造では、どうしてもトップクリエイターさん以外は下請けという位置づけが強い印象を抱き課題を感じた。
これらの理由から、入社3年前後で起業する計画だけは持ち合わせていましたが、たまたまの巡り合わせで動画ビジネスと出会い、魅了され、撤退対応と併せて、会社登記を行い、ビースタイルと事業譲渡契約書を締結し2010年4月に株式会社LOCUSを創業することとなります。
どのように事業を拡大して行ったのでしょうか?
創業時の2010年の動画制作の市場環境としては、動画制作ベンチャーは数えるほどで、極端な表現かもしれませんが、「動画=テレビCM=高価格」という印象を抱いている企業担当者の方が多かったと記憶しています。
大手CMプロダクションさんを中心に、沢山の動画制作会社さんは今と変わらず存在はしていましたが、LOCUSのように広告代理店さんを介さず企業に直接営業をかける会社は珍しく、当時は新卒採用や教育研修・マニュアル動画が中心でしたが、企画とクオリティ、価格のバランスでは優位性がありました。
創業から数年が経ち、新卒や中途採用で出会った仲間が増え、新たなオフィスを構えてと、徐々にですが会社組織としての体裁が整っていく一方で、動画市場に注目をした多くの動画ベンチャーが誕生します。
それと同時に、スマートフォンの普及やYouTubeを代表とする動画メディアの台頭、デジタルサイネージの普及、通信の高速化など、テレビ以外での動画配信インフラが整備され、業界では「動画広告元年」というキーワードが取り沙汰されるなど、ビジネスとしての動画の注目度が高まってきました。
フリーランスのクリエイターさんを多数ネットワークするビジネスモデルから、我々も一時期は「動画クラウドソーシング」という括りで、メディアに取り上げられることも珍しくはなくなってきました。
そのタイミングまでは自己資金のみで経営をしていましたが、ベンチャーキャピタル数社からもお声がけをいただく機会があり、結果的に出資をいただき、エクイティで調達をした資金で更なる事業拡大に向けてアクセルを踏む決断をすることとなります。
苦労ポイントやエピソードがあれば教えてください
現状維持であれば苦労と呼べることは無いと思っていますが、取り上げるとすると「FastVideo」、そして、「新型コロナウイルス」に関する事かなと思います。
ご出資頂いた資金の大半は複数あったビジネスプランの中で、新規ビジネスとして投資を決断したのがBtoB向けテンプレート動画制作ツール「FastVideo」です。ゼロから設計・開発をし、2015年11月にリリース。大手ECモール様の公式ツールとして採択されるなど幸先良いスタートを切ることができました。詳細は割愛しますが、クライアント様が動画に求めるニーズとのマッチングがテンプレートでは限定的。動画制作未経験でもセルフで簡単に作れるコンセプトでしたが、クライアント様の社内に動画制作の専任担当がおらず、我々の力不足も踏まえてプロダクトマーケットフィットせずに撤退をする決断をいたしました。
新型コロナウイルスに関しては、2020年春、最初の緊急事態宣言時においては、ご発注いただいていた撮影は全てを延期となり(我々からの自粛打診も含む)、アニメーション動画など撮影が伴わない動画制作以外のお仕事がすべて止まりました。新規のお仕事のご相談もほぼストップした状態となったのは、我々の業界だけではないですが、事業計画は全て白紙となり多大なるマイナス影響を受けることとなりました。
どのように苦労を乗り越えたのでしょうか?
新たなビジネスを事業化することは到底簡単なことだとは思っていませんが、現在は調剤薬局デジタルサイネージ「シニアード」にその可能性を感じ、現在もパートナー企業と共に取り組んでいる状態となっています。もちろん第3、第4の柱を見据えて、シニアードと並行してその他ビジネスも2022年にはリリースできるよう準備を進めている状態です。
2020年は予実管理ができない予測不可能な厳しい1年でしたが、新型コロナウイルスを起因にビジネスのオンライン化が多方面で加速をし、結果的にDX文脈での新たな動画活用ニーズが産まれたのも事実です。
業界団体の基準に則り、独自に撮影時の感染予防マニュアルを整備し、2021年以降は通常撮影に戻りつつあります。コロナ禍で加速した動画広告やオンライン営業向け動画、Webセミナー、オンライン展示会、ビデオラーニングなど動画ニーズは高まっていますので、新たな時代の動画活用をLOCUSがリードすることができるよう日々努力していきたいと捉えています。
2つとも創業してから10年弱で最も悔しく、そして苦しい瞬間だったと、今でも当時の事は鮮明に覚えていますし、乗り越えたという表現が正しいとは思いませんが、大切な仲間がいてくれて、わたしは身体さえ元気であれば、何とかなるというより、何とかするという気持ちが勝るので、これは性格もありますが、運が良い方だと思っているので、特に思い悩んだりは、そこまでしたことは無かったりしますね。
そもそも、思い悩み過ぎてしまう人は経営者に向いていないのではと個人的には思っています。
今後の夢やビジョンを教えてください
『動画をもっと手軽に、動画クリエイターをもっと身近に』というビジョンを掲げて創業をしましたが、当時とは時代が変わり、今ではYouTuberさんから個人まで、経験が浅くともプロクオリティの動画制作がしやすくなるなど機材のレベルが発達し、動画制作も手軽になってきました。
その時代の変化に伴いLOCUSのビジョンを『動画がビジネスを動かす』に改定する事としました。
時間と空間を超えた情報伝達ができ、時には人を感動させる事ができるなど圧倒的に情報量が多いコミュニケーション手段である動画だからこそ、未だ世に知られていない商品・サービス・技術の魅力を届けることができるし、採用においては人と企業の出会いを紡ぐこともできます。他にも、本来人間がしなくても良いことを代替してくれる役割も動画は担えるなど、影響力が大きい反面、動画を扱う我々の責任も重大だと捉えています。
動画市場全体を見渡すと、未だ動画制作をして活用することが目的になっているケースが見受けられる状態ですが、我々は様々な企業課題に対し、動画を軸に解決するコンサルティングにこだわり、常にクライアント様のビジネス成長に寄与する存在であること。そのような想いも込めて、現ビジョンに改定をすることとしました。
そして、LOCUSにとって800名以上のフリーランス動画クリエイターさんは決して欠かせない仲間となりますので、もっと動画クリエイターさんが輝くことができるマーケットにしていきたいとも創業時から変わらずに強く思っています。
これら一つひとつに真摯に取り組み、BtoBマーケティングや採用、研修、シニアマーケティング、YouTubeなど、ノウハウや実績を保有する特定領域を増やし、近い将来、 “ビジネスで動画を活用するならLOCUS”と第一想起される存在となり、豊かな社会の発展に少しでも寄与したい。
それがLOCUSで成し遂げたい夢であり現時点でのビジョンとなります。
一緒に働く人たちへ向けてのメッセージをお願いします
今後もますます進化する動画の可能性を信じ、中期的にはスマートコンタクトレンズやデジタルサイネージ、ホログラム、AR、VRなどテクノロジーの進化に合わせて「動画×◯◯」をテーマに、グローバル規模で動画関連の新たな事業を仕掛け、社会的意義のある事業を創造し続けていきたいと考えています。
新型コロナウイルスの影響により社会の在り方が変革し、ビジネスにおいてもオンラインでのコミュニケーションが急増した中で、情報量が豊富な動画のニーズが高まっている変革期に、テクノロジーと我々の強みである動画を組み合わせて、大切な仲間であるクリエイターさんと共に新たなチャレンジをしていきたい。そんな志と気概で共に働いていきましょう!
おすすめの本を教えてください
「起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートを作った男」です。
まるでドラマのような壮絶なストーリー自体が読み物としても面白いのですが
尊敬する起業家である江副さんの考え方やリクルートさんの成長の秘訣やDNAがどのように培われたのかを時系列で知ることもでき、起業を志す方にとっても一つのロールモデルとして学びがあるかと思いますので最近読んだ中でのお勧めの1冊です。
『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートを作った男』 大西 康之 (著)
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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