今回はアイティアスリート株式会社代表、中村 学氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | アイティアスリート株式会社 |
代表者 | 中村 学 |
設立 | 2018年8月21日 |
主な事業 | ・情報通信戦略の立案支援
・通信ネットワークシステムの提案/設計構築 ・コンピュータクラウドの導入支援/サービス提供 |
社員数 | 41名(取材時) |
会社所在地 | 〒101-0051東京都千代田区神田神保町3丁目2番4号 田村ビル8階 |
会社HP | https://www.itathlete.co.jp/ |
事業内容を教えてください
アイティアスリート株式会社は、2018年に設立し、現在8期目を迎えました。主に通信キャリア様やナショナルメーカー様を対象に、ネットワークおよびセキュリティの設計・構築サービスを提供しています。
具体的には、新しい工場や大型ビルが竣工する際に、そこで働く方々が快適に業務を行えるよう、パソコンやインターネット環境、Wi-Fiなどのネットワーク基盤を数千~数万人規模で導入するための設計・構築を担っています。利用者が安心してシステムを活用できるよう、確実で高品質な導入を行うことが当社の役割です。
当社の強みは、社員数約40名という小規模ながら、通信キャリア様やナショナルメーカー様の基幹システムに深く関わっていることです。要件定義や基本設計といったグランドデザインの段階から携わり、ワンストップでサービスを提供しています。このような体制を持つ企業は多くなく、当社ならではの特色として高く評価いただいています。
現在採用に注力されているとのことですが、どのような方と働きたいですか?
私たちが最も重視しているのは、「当社の強みであるグランドデザインをお客様に提供していくこと」に情熱を持てる方に仲間になっていただくことです。
当社に入社してくれたエンジニアの多くは、以前は他社の指示を受けながら詳細設定や構築といった下流工程を中心に担当していました。しかし現在は、教育や実務を通じて、グランドデザインのような上流工程にも携わり、設計そのものを自ら担えるよう成長しています。今後は、こうした上流工程に挑戦したい、スキルを広げたいと考えている方にぜひ加わっていただきたいと考えています。
背景にあるのは、「エンジニアを幸せにする会社をつくりたい」という想いです。これまで下請けで働いていたために給与水準がなかなか上がらず、やりがいを感じにくかった方も少なくありません。しかし、上流工程に携わることでスキルが広がり、結果として給与面でも改善される。そのこと自体が幸せのすべてではありませんが、大切な要素のひとつであると考えています。
当社は、エンジニアがこれまでできなかったことに挑戦し、成長を実感できる環境を整えています。その積み重ねが「エンジニアを幸せにする会社」につながると信じています。
働きやすい環境づくりのために、具体的にどのようなことをされているかを教えてください
実際の現場を想定した環境で検証やトレーニングを行えるよう、ラボスペースの完備と検証機器の購入支援の他、社員同士の交流や働きやすい環境づくりにも力を入れています。例えば、月に1回「いいものを食べよう会」と称して、皆で食事に行く機会を設けています。また、オフィスにはフリービールサーバーやフリービールタワーを設置しています。もちろん、ビールだけでなくノンアルコール飲料も用意しているため、お酒を飲まない方でも気軽に交流を楽しむことができます。
さらに、部活動としてゴルフ部やボルダリング部があり、参加を希望する社員には活動費の補助も行っています。この仕事は体を動かすことは少ないため、部活動を通して心身のバランスを整えられるよう、サポートしています。
また、仕事の進め方についても特徴があります。一般的にエンジニア派遣会社では1人で顧客先に常駐するケースが多いですが、当社はそのスタイルを取っていません。必ずチームで案件に取り組むことを基本方針としており、顧客にもその点を明確にお伝えしています。現場で働くエンジニアに加え、経営陣や社内の技術スタッフもメーカーやセキュリティベンダーと連携しながら、技術的なフォローを行っています。
こうした取り組みにより、エンジニアが孤立することなく、安心して力を発揮できる環境を整えています。他社の「1人派遣」とは一線を画した体制が、当社の大きな強みです。
ここからは中村社長のことをお聞かせください。学生時代はどのようにお過ごしでしたか?
小中高を通じて、私はさまざまなことに熱中してきました。
小中学校時代は、いわゆるオタク的な生活を送っており、ゲームやアニメに夢中でした。ちょうど中学1〜2年生の頃にWindows95が登場し、社会全体でインターネットが認知され始めた時期でもありました。
その時、近隣の大学が中学生向けに開いていた「サマースクール」に参加し、インターネットやウェブサーバーについて学ぶ機会を得ました。これをきっかけに「インターネットはすごい」と強く興味を持ち、自分なりに勉強を進めるようになりました。
そして、高校時代はインターネットへの関心を深めつつ、同時に音楽にも熱中しました。合唱部に所属していたのですが、その仲間とバンドを組むことになり、バンド活動を本格的に始めました。当時はビジュアル系が流行していたこともあり、私自身も強く影響を受けました。
こうして、インターネット分野で学びを続ける一方で、音楽活動にも打ち込み、どちらかで将来を切り開ければと考えていました。そして高校卒業後、多感な時期でもあったことから、自分の夢を追いかける気持ちが強くなり、音楽の道に挑戦するために上京しました。
高校卒業後から社会人としてご活躍されるまでの経緯を教えてください
25歳頃に結婚を意識するようになり、実際にそのタイミングで結婚することになりました。相手からは「バンドをやめてほしい」とずっと言われていたこともあり、この時点でバンド活動をやめる決心をしました。
一方で、21歳頃からネットワーク関連の仕事を始めており、ちょうど25歳の頃には、自動車メーカーのネットワーク設計、いわゆるグランドデザインを担うという、大きな仕事を任されるようになっていました。バンドと並行して続けられるような内容ではなく、結婚やキャリアの節目と重なったこともあり、この時点で音楽活動を完全にやめることにしました。
実は20歳の頃から「25歳で結婚、30歳で家を建て、35歳で会社を設立する」という人生設計を立てており、その計画通りに進んでいた部分もあります。当時は、独立して会社を興すか、あるいはスタートアップ企業に参画するかを模索していましたが、マイクロネットワークテクノロジーズという会社を知り、入社を希望しました。面談の際には社長に直接「ICT部門全体を任せてもらえれば成果を出せる」と直談判し、2014年に部長職として迎え入れていただくことになりました。
社会人として働く中で印象に残っている出来事を教えてください
良かった点としては、当時知り合った責任者の方々と今でも繋がりが続いていることです。その頃責任者を務めていた人たちはその後別の会社で新しい事業を立ち上げたり、事業責任者として活躍しています。今でもさまざまな話ができる関係性を持てているのは非常にありがたいことだと感じています。
一方で、苦労した点も多くありました。特に当時の社長が非常に破天荒な方で、とにかくなりふり構わず社員を増やし続けていました。私自身はプレイングマネージャーとして現場を支えながら、急増した20〜30名の部下を抱えることになりました。ところが、その部下たちには会社のためとはいえ本人がやりたくない仕事を任せざるを得ない場面が多く、現場では「もう辞めたいです」という声を数多く聞くことになり、非常に辛かったです。
さらに、管理職には何も知らされないまま、月に十数名単位で新しい社員が入社し、そのうち数名がすぐに辞めていくという状況が繰り返されていました。手当たり次第に採用し、手当たり次第に営業させ、うまくいかなければそのまま退職してしまう…。そうした管理不能な状態の中で、私はひたすらスタッフのケアに追われていました。
キャリアアップや成長の支援よりも、「どうすれば辞めずに続けてもらえるか」を説得し続けることが仕事の中心になってしまった点は、当初想定していた役割と大きくかけ離れており、非常に厳しい経験だったと思います。
そこから2018年にアイティアスリートを設立されましたが、そもそもなぜこの社名にしようと思われたのでしょうか?
私がよく社員にも伝えているのは、ITエンジニアではなく「ITビジネスパーソン」になろう、ということです。社名の「アスリート」という表現には、単に身体を動かす人という意味ではなく、研鑽を積み重ねて自らを高めていく人という意味を込めています。ITの世界においてもスポーツと同じで、自分自身でスキルや知識を高めていき、それをプロフェッショナルとして発揮していくことが重要だと思っているため、この社名に決めました。
経営者としてご経験された苦労を教えてください
おかげさまでお客様には恵まれており、営業面で大きく困ることはありませんでした。ただ、最も大変だったのはコロナ禍です。2019年に会社を立ち上げてから1年ほど経った頃にコロナが流行し、フルリモートでの業務に切り替えざるを得ない状況となりました。
当社は「チームで活動し、お客様にビジネスを提供する」という点を強みにしてきましたが、コロナによってメンバー同士が完全にバラバラに働かざるを得なくなり、エンジニアのケアや直接的なコミュニケーションが難しくなってしまいました。その結果、離職者が増えてしまい、自分としても手足をもがれたような感覚があり、とても苦しい時期でした。
それでも事業を何とか維持するために、できることを模索しました。その一環として、以前から行っていた「いいものを食べよう会」をリモート形式に変えて実施しました。メンバーそれぞれが食べたいものを取り寄せ、リモートでつなぎながら一緒に食事をし、雑談を交わすといった取り組みです。わずかではありますが、少しでもメンバーの気持ちが和らぐよう工夫していました。
その後は先述した部活動をスタートさせたり、レクリエーション活動として、年に一度の社員全員など、業務を忘れて楽しめるイベントを実施しています。以前はバスツアーを企画し、いちご狩りやワインセラーの見学を行い、みんなでワインを味わって帰るといった催しをしました。
今年は体育館を借りて運動会を行う予定で、少しずつ準備を進めています。社員同士が一緒に楽しみ、リフレッシュできる機会を大切にしており、そうした活動を通じて社内の一体感を高めることを重視しています。
人生のうち、およそ3分の1から半分は会社で過ごすことになります。そのため、職場で心の安全が保たれないと、とても辛い時間になってしまいます。だからこそ、社員一人ひとりが安心できる環境を整えることが最も大切だと考え、常に工夫を重ねながら取り組んでいます。
今後の展望を教えてください
第一に、現在取り組み始めているのが「地方創生」です。具体的には、2025年10月から関西支社(大阪)を営業開始する予定であり、これを契機に関東で培ってきたグランドデザインの技術を関西や南日本、さらに北陸といった地域へも順次展開できるよう準備を進めています。
私が掲げているのは「ユニット型経営」という考え方です。単なる営業所の出先機関としてではなく、各地域に権限を委譲し、現地で採用や経営を行えるようにしていく方針です。つまり、それぞれの地域で独立性を持ちながら事業を展開できる体制を目指しています。
地方にも当然ながらIT市場は存在します。私たちが属するICT(情報通信技術)分野は、お客様の事業拠点があるところにこそビジネスがあると考えています。関西には大規模企業も数多くあり、九州では海外から半導体メーカーが進出しています。また、北陸でも十分に支援が行き届いていない企業が多く存在しています。そうした地域に対して、関東で培った技術力やサービスを届けることができないかと考えています。
当社としては、まず2030年までに売上規模10億円を目指し、その先2040年には、関西・九州・北陸といった地域において「アイティアスリート」の名が広く認知され、地域に根差した事業展開を実現することを目標としています。
経営者におすすめの本を教えてください
やはり多くの方が読まれていると思いますが、ピーター・F・ドラッカーの『マネジメント』は基本的な一冊としてまず挙げられます。これは経営に携わる人であれば当然押さえておくべき内容だと思います。
加えて、私が特におすすめしたいのは松下幸之助の『道をひらく』です。『マネジメント』が具体的にいかに経営を進めるべきかを体系的に示しているのに対し、『道をひらく』は商売人として、あるいは人としての「心構え」に重点を置いて書かれています。
私自身、松下幸之助氏の書籍を折に触れて読んでおり、そこに綴られている「商売や人付き合いに臨む際の心の持ち方」には強く共感しています。そうした心構えを共有できる人が周囲に増えることで、商売はより健全でやりやすいものになると感じていますので、ぜひご一読ください。
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『道をひらく』松下 幸之助 (著) |
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企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
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