今回は、株式会社GMSSヒューマンラボ 代表取締役、安藤裕一氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。ぜひご覧ください!
会社名称 | 株式会社GMSSヒューマンラボ |
代表者 | 代表取締役 安藤裕一 |
設立 | 2015年12月25日 |
主な事業 | 医療・スポーツ・健康に関するアドバイスの提供
医療・スポーツ・健康に関する調査・研究・講演 医療・スポーツ・健康に関する研究会・セミナーの企画、実施 国内外におけるスポーツ・文化・教育に関わるイベントの支援 |
社員数 | 3名(取材時) |
会社所在地 | 東京都目黒区 |
会社HP | https://www.gmss.jp/ |
まずは御社の事業内容についてお話を聞かせてください。
株式会社GMSSヒューマンラボは、2015年に創業しました。『GMSS』とは、「グローバル」・「メディカル」・「スポーツ」・「サイエンス」の頭文字をとったものです。事業内容もそれらに関することを行っていて、主に3つの軸があります。
1つ目は、医療・スポーツ・健康に関する講演・調査・研究等の活動。
現在、筑波大学ヘルスサービス開発研究センターと共同研究しているのですが、「“健やかに生きる“とはどういうことか」を主たるテーマとして大学院生らと研究したり、企業や学会などで講演を行っています。
2つ目は、医療・スポーツ・健康に関するアドバイスの提供です。
2000年からNPO法人として活動している『スマイルクラブ』という総合型スポーツクラブがあるのですが、この団体は「障害者と健常者がスポーツの場以外でも繋がり合い、助け合って生きていける社会作り」を理念としています。このクラブの活動に共感したこともあり、メディカルアドバイザーとして協力させていただいています。他にはスポットで、団体や自治体からご依頼をいただき、「働く人の健康づくり」「ドーピングとスポーツマンシップ」「健やかな地域づくり」などのアドバイスや講演をさせていただくこともあります。
3つ目は国内外におけるスポーツ・文化・教育に関わるイベントの支援です。
2018年より続けているのが『スポハグカフェ』というセミナーで、「スポーツ」と「育む」・「hug(ハグ)」…この3つの言葉を掛けた造語です。開催のペースとしては2ヶ月に1回くらいですね。「スポーツを通して支え合い、「人」として育っていくこと」を目指していこうと、私を含め同世代である3人で始めました。スポーツをしてもその人の人生に役立っていないのはとても残念なことです。例えば、行き過ぎた勝利至上主義の陰で、怪我やハラスメント、また「燃え尽き」などが発生しています。何のためにスポーツをするのか、このスポハグカフェというセミナーを通して、指導者や保護者に考えてもらうきっかけになればと思っています。また、他団体イベントの手伝いをさせていただくことも年に数回程度あります。
なぜスポーツに強く関与しているかというと、私が学生時代から熱心にハンドボールなどのスポーツをしていたことが大きいですね。心や身体の健康とともに、地域も健やかになり、社会が豊かになることを目指しているので、スポーツだけでなくアートも取り入れていきたいと考えています。これが「文化」に関わる理由です。
また、産業医として、企業の従業員の健康管理や健康経営の推進に関わりながら、ヘルスリテラシーを高める「教育」(啓蒙)をここでも行っています。
学生時代から、社会人を経て起業し、現在に至るまでの経歴を教えてください。
性格的には昔から、「やりたいと思ったら前に進む!」というタイプです。筑波大学在学時は、勉強よりもハンドボールに熱中していた時間が長かったのですが、卒業してからは20年以上仕事に没頭。
都内にある三井記念病院で外科医の研修を受け、がん患者が多かった消化器外科を経験後、移植免疫の研究をするために2年間ボストンで過ごしました。当時のがん患者は、高い確率で再発しました。手術しても救えない方も多かったのです。そこで「救える」という夢がある『移植』を学びたいと考えたのです。
帰国後は、東京大学医科学研究所で臨床と研究を行いました。この研究所の病院は腎移植の手術数が日本国内で有数であり、また当時日本で行われていなかった肝移植を最初に実施するだろうと言われていた病院だったことが選んだ理由です。
1年間ほど休職してオーストラリアで肝移植の勉強と研究をする機会もいただきました。東京大学医科学研究所病院の外科が移植から、がんの免疫治療に方向転換をしたのを契機に同病院を退職し、学生時代から関心があった国境なき医師団に参加することにして、内戦下のコートジボワールで外科医として働きました。
その後インターナショナルSOSという外資系のアシスタンス会社に12年間勤務しました。ここでは、海外で病気や事故に遭った人たちへ医療アドバイスや病院の紹介、重症患者の「医療搬送」などを行っていました。かなり忙しかったのですが、国ごとに異なる医療事情を経験できたことに加え、各国のスタッフと交流することからも多様性を学びました。海外赴任や出張における危機管理の必要性を日本企業の人たちに啓蒙することにもやりがいを感じていました。
また、同社を一時休職し、国境なき医師団の大阪のホームレスの健康を支援するミッションに参加したこともありました。2007年のことです。
「仕事をしないホームレスが困っていても自業自得」と言う人もいますが、それぞれ事情があるので見捨てることはできません。ホームレスに関わったことをきっかけに、様々な困窮者が日本に大勢いることを学び、国内の人々の健康について問題意識を強く持つようになりました。そこで「まずは日本人と日本の社会を健康にしよう」という想いから、2015年の創業に至りました。
医学部を卒業すると勤務医や開業医など臨床現場の医師としての道を歩み続ける人が多いのですが、私の場合は様々なことに興味があったので、その都度寄り道をして経験を積んで色々なことを学んできました。
2010年頃より自分の経験を振り返りながら何ができるかいろいろと考えた結果、『GMSS』すなわち”Global” “Medical”” Sports” ”Science”をキーワードとして、豊かで健やかに暮らせる社会を目指したい。病気の治療だけではなく、生活や仕事の環境も含めて、死ぬ間際まで自分らしく生きていくことができる社会を作る、そのために役に立てることがあれば、今までの経験を活かしていきたいという思いで起業しました。
これまでで苦労したことなどを教えてください。
起業して7年目になりますが、事業を大きくするためにどういった方向でやっていくか、ビジネスの形には試行錯誤しています。ネットワークが広がったこともあり、やりたいことがすごくたくさんあるんです。そのうちのどれがビジネスとして成り立つか、社会の役に立つか、自分に本当に興味のあることなのかは、いつも悩みながら考えています。
それから、私は医者ですが、少し毛色の変わった立場であるため、よくある『専門』というものがありません。その代わり、対応する分野は内科・外科に限らず、精神科なども含め多岐にわたります。守備範囲が広いだけに最新の医学知識を学ぶ時間と仕事の時間の割り振りには苦労します。
会社としての課題を教えてください。
事業を大きくしていくために、資金面をどうやって増やしていくかが一つの課題です。また、どうやって人を雇い育成するかということも課題です。そして、これらと同時に大切な課題は、会社としての信頼を獲得するというものがあります。課題解決に向けて、力を入れていかなければと感じています。
今後の展望や夢を教えてください。
会社の成長とともに従業員が楽しく仕事に打ち込めるようになることが希望としてあります。自分の会社に限らず、社会がそうなって欲しいと願っています。
日本全体、さらには途上国を含めた世界の人たち、病気や障害を持つ人を含めて、あらゆる人が自分に誇りを持って自分らしく生きていける社会になって欲しい。一人で歯を食いしばって生きる必要がない、助け合うことができる社会、そういう社会になるために自社が貢献できればと思っています。
安藤さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!
坂井律子さんが著者の「〈いのち〉とがん:患者となって考えたこと」です。
50代で膵がんを発症、手術や抗がん剤による治療をしながら仕事を続ける中での出来事や心情を、テレビ番組制作者かつ主婦という視点を持ちながら記録した一冊です。
日本人の2人に一人ががんにかかり、3人に一人ががんで亡くなる時代ですが、この本は治療しながら働く人がどんなことに苦労するか理解できると同時に、「生きること」の意味を深く考えさせてくれます。経営者として自身ががんになったときのことを考える、また従業員ががんになったらどうサポートするかを考えるきっかけになると思います。
実は坂井さんは中学と高校で同級生だったのですが、聡明な彼女が自分らしく生きる姿勢を最期まで貫いたことを知り、読み終わったときには涙しながら心の中で拍手を送りました。しかし、私情を差し引いても素晴らしい記録です。多くの経営者の方に読んでいただきたいと思います。
“絶体絶命”の状況を人はいかに生き得るのか。突然の膵臓がん宣告、生きるための治療選択、届かぬ患者の声、死の恐怖。患者となって初めて実感した〈いのち〉の問題を、赤裸々に真摯に哲学した「がん時代」、未来への提言。
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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