今回はCraif株式会社代表、小野瀨 隆一氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | Craif株式会社 |
代表者 | 小野瀨 隆一 |
設立 | 2018年創業 |
主な事業 | 次世代がんリスク検査「マイシグナル・スキャン」、がんに特化した遺伝子検査「マイシグナル・ナビ」の提供 |
社員数 | 61名(取材時) |
会社所在地 | 東京都文京区湯島2-25-7 ITP本郷オフィス5F |
会社HP | https://craif.com/ |
事業内容を教えてください
当社は「がん」の社会課題を解決するために誕生したディープテック企業です。主に2つの検査を「マイシグナル・シリーズ」として提供しています。1つ目はがんに特化した遺伝子検査で、体質的にどの部位にがんが生じやすいか手軽に検査できる「マイシグナル・ナビ」です。
2つ目は現時点のがんリスクを高精度に判定する「マイシグナル・スキャン」です。自宅または提携医療機関で尿を提出するだけで、膵臓がんや大腸がん、肺がん、乳がんなど7種のがんリスクが、がん種別にステージ1から判定できます。尿のマイクロRNAをAIで分析するがんリスク検査の実用化に、当社が世界で初めて成功しています。
何かPRしたいことはありますか?
検査会社は世の中に多く存在しますが、どこも検査をすることを目的とされている会社が多いのではないかと思います。しかし、私たちは生まれてから、病気になるまでの一連の流れにおいて、本質的に病気の問題を解決することを重視して商品を開発しています。まずは自分自身の病気のリスクを知ること、病気になったとしても早期に発見し、治療できることを目指しています。。今後はどれだけ遺伝子のダメージが蓄積されているか分かる検査も新たに提供していきたいと考えています。
Craifでは、人の人生を「点」ではなく「線」で考え、サービスを展開し、「がん」という社会課題の解決を目指していきたいと考えています。
学生時代に熱中したことはありますか?
高校生までずっとスポーツに打ち込んでおり、小学校はサッカー、中学校から高校は野球をしていました。特に高校での野球経験が私の生き方に大きく影響を与えています。朝は始発でグラウンドに向かい、午後もがむしゃらに練習し、土曜日も朝から筋トレをして、午後は部活後に残って特訓していました。頑張りすぎて高校生の途中でヘルニアになってしまいましたが、野球からは生産性の大切さ、そして継続性を身につけました。
大学時代は英語劇に挑戦し、アジアで1番大きい大会で優勝しました。ひたすら英語劇に打ち込んでいた学生時代でした。
英語は元から話せたのでしょうか?
幼少期からインドネシアとアメリカで過した後、バックパッカーもしていたので英語はできました。2000年から2005年の間アメリカに住んでおり、日本製品の存在感が大きかったのを覚えています。中国製品は安くて壊れやすいけれど、日本製品は本当優れていると評価されており、子供ながらに誇らしく思っていました。今では中国製品や韓国製品が台頭してきて、メイドインジャパンという言葉を全く聞かなくなりましたが、これからは世界の人にもう一度「日本はディープテックの国だ」と言われるように復興させたいと思ったことも、起業を決意した理由の1つです。
大学を卒業してからどのようなキャリアを歩むのでしょうか?
新卒では三菱商事株式会社に入社しました。4年間アメリカからシェールガスを日本に輸入するLNG船事業を担当していました。また2016年にはサイドビジネスとして民泊の会社を経営し始めました。
当時は本業がうまくいっていない時期でした。そんなときに「民泊だったら自分でビジネスできるらしい」と友人から聞き、外国人を受け入れる観光業に興味があったことや、何より自分で稼ぎたいという思いから起業しました。
民泊経営で独立しようかと思うこともありましたが、将来を考えるとなかなか三菱商事を辞めることができませんでした。
しかし、そんな時に祖母が大腸がんになって亡くなり、すぐに祖父が肺がんを患ってしまいました。ちょうどシンガポールの長期出張から戻り、また次の異動先が決まるというタイミングだったのですが、「今、独立しなかったら一生サラリーマンとして生きるんだろうな、後悔はしたくない」と強く思い、辞表提出しました。
起業をしてから大変だったことを教えてください
独立はしましたがヘルスケアに関して本当に知識がなく、とても苦労しました。最初は4人でチームを組んでいましたが、前職のやり方で仕事をしていたら、2人が退職してしまい、頼れる人が共同創業をした名古屋大学の安井 隆雄准教授(現:東京工業大学 教授)だけになってしまいました。安井准教授は本業があるので、私だけで共同研究先を開拓していくのが厳しかったですね。なんとか現CTOの市川を採用できたので、研究が一気に進みましたね。
日本ではまだまだ勝てる研究チームを作ることが難しく、商品化するための研究過程で何度もつまずきました。研究者のスタッフにはとにかく実用化させることの重要性を伝え続けました。
どのように乗り越えたのでしょうか?
創業当初は会社に勝てる戦略がないことに気がついていましたが精緻に計画のステップを作るのがとても難しかったので、1年目はとにかく行動量を増やしてましたね。データを出すことにフォーカスし、共同研究や資金集めなどに奔走しました。その後、経営していく中で、検査の本質的な価値である「簡単であって、早期に見つかる」という筋は変えずにいかに早く実用化するかに重きをおきました。研究開発段階に時間をかける会社もありますが、私たちの想いとして人の役に立って初めて価値があると思っているからこそ商品化するスピードにはこだわりました。
ビジネスサイドと研究者はそれぞれ仕事への考え方や進め方に対して違う価値観を持っているかと思います。貴社ではどのようにコミュニケーションをとってゴールに向かって動いているのでしょうか?
それぞれのスタッフの仕事の進捗を理解し、それぞれの業務におけるアグレッシブなタイムラインをひき、仕事に取り組んでもらうことを意識して、スタッフに伝えています。マインドセットが伴ってない状態で伝えると反発がでるので、バリューを設定して会社に浸透させる運営を徹底しています。半年に1回はバリューをもとに振り返りを行っています。またが新しい社員が入社するタイミングでは独自のカルチャー試験を受けてもらい、どれくらい会社のバリューを理解しているかをチェックします。その後はカルチャーコーチがつき、6ヶ月間かけて対象者にフィードバックをしながら会社のバリューを浸透させていきます。
今後のご展望について教えてください
当社は技術や検査はあくまでも手段で、会社の根本は社会の問題解決をしていくことだと思っています。そして面倒臭いことや非効率なことを破壊するというミッションを持っているので、とにかく「簡便に問題解決をしていく」ことを重視しています。生活習慣病は何十年かけて積み上げてきた結果です。薬ですぐに解決できるわけではないので、予防することで病気が防げる可能性が高くなります。しかし、人間は怠けもので、タバコを吸わない方が良いと思っても人はタバコを吸うし、健康診断に行った方が良いと思っても行きません。ビジネスとして最も難易度が高い予防をどうやって社会に実装していくかが課題となります。
病気は生まれた瞬間からアプローチすることが大事で、一人一人がどのようなリスクを持った体質か理解して、どのような行動をすべきか知ってもらうこと、そして予防に向けて生活習慣を変えてもらうことが大切だと考えています。検査というサービスを「点」ではなく「線」で提供できるように今後はサービスラインナップを拡大していきます。
他の経営者におすすめの本はありますか?
『The Founders: The Story of Paypal and the Entrepreneurs Who Shaped Silicon Valley 』です。PayPalの会社を創業した際のストーリが書かれており、この本を制作するのに何百人がインタビューを受けています。スタートアップの大変な面が書かれており、とてもリアルだと思っています。成功だけでなく苦労も分かる本です。
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
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