今回は株式会社仙台秋保醸造所代表、毛利 親房氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 株式会社仙台秋保醸造所 |
代表者 | 毛利 親房 |
設立 | 平成26年3月10日 |
主な事業 | 農産物の生産、加工販売業務
ワイン、果実酒の製造、販売 セミナー開催、研修受入などワイン文化の普及活動 ぶどう栽培、ワイン製造指導、コンサルタント業務 ワイン、食に関する商品の企画開発 ワインツーリズムの普及活動 ぶどう栽培(2017年現在2haに16品種7,000本を栽培) |
社員数 | 10名(取材時) |
会社所在地 | 宮城県仙台市太白区秋保町湯元枇杷原西6 |
会社HP | https://akiuwinery.co.jp/ |
事業内容を教えてください
メインはブドウの栽培とワインの製造販売です。その他に飲食業の許可を取ったのでワインの試飲や軽い食事を提供しています。他にはボランティアで担い手の育成やワイナリーを立ち上げたい方の視察も受け入れています。
株式会社仙台秋保醸造所のおすすめのワインはありますか?
Japan Wine Competition(日本ワインコンクール)2022で甲州部門で甲州シュールリーが銀賞、欧州系品種 白部門でシャルドネが銅賞を受賞しました。ご購入はこちらからどうぞ!
https://akiuwinery.co.jp/itemall/?category_id=1
学生時代打ち込んだことはありますか?
高校時代は剣道をやっていました。英語が得意でしたが部活仲間から「理系に行こうよ」と誘われて理系に進みました。数学や物理にあまり興味がなかったので、悩んだ末建築学部を志しました。
その後日本大学 理工学部建築学科に入学しましたが、授業が結構忙しかった記憶があります。大学時代は、設計事務所でアルバイトしていました。バブル全盛期が丁度就活の時期で、最初はゼネコンの現場監督を志望していました。しかし、先輩の建築のデザインやデザインコンペの手伝いをしている中で、施工よりも設計の方が面白いな、と思い進路を変更しました。そこから前田建設工業株式会社の本社の設計部に就職が決まりました。
思い出深い仕事はありますか?
Uターン転職をして株式会社山下設計の東北支社に入社しました。そこで最初に携わった仕事が温泉施設「女川温泉ゆぽっぽ」です。仕事が終わると私も個人的によく利用していました。
そこからどうしてワイナリーを始められたのでしょうか?
東日本大震災が起きて、私は設計を担当した建物に現地調査へ行きました。被災の爪痕がひどく、建物は基礎だけ残って上の建物は津波で流されていました。映画のドキュメンタリーに出てくるような映像をリアルで見てるような感じでした。その時に消防団の人たちが泣きながら作業しているのを見て「私も復興のためになんとかしなきゃ」という強い使命感が沸き上がりました。
その後、宮城県にワイナリーがあったということを知りました。震災でワイン産業が途絶えてしまったという話を聞き、ワイン産業を復活させたいと思いました。また復興会議などで漁師さんや農家の方と触れ合う機会が多かったので「食」の部分を応援したいと考えました。ワイン産業の復活は、ワインツーリズムを並行して企画することで世界中から旅行でお客様が来てくれて経済が回るので、宮城県を復興させるためには何件かワイナリーが必要だと思いました。
そこからワイナリーは復興計画としてうまくいったのでしょうか?
復興計画の案としてワイン産業の復活を提案しましたが、どこの自治体の復興計画にも採用されることはありませんでした。しかし私はワインツーリズムによる復興への可能性を確信していたので、ワイナリーの計画は民間で担うことにしました。最初は試験栽培で23本のブドウの栽培から始めました。最初は失敗も多く心が折れて諦めようとしたのですが「ここで諦めては絶対だめだ」と思いました。今までの人生を振り返ると、私は妥協することが多かったのですが、こればかりは今ここで辞めたら絶対後悔すると感じたので踏ん張りました。
どのようにワイナリーを続けてこられましたか?
それまで沿岸部でワイナリーの計画をしていましたが、場所を変えて自宅付近でブドウの栽培を始めることにしました。うまく事が運び、仙台市長の視察やニュースでの報道もあり、自治体、民間企業からの支援も受けられるようになりました。その結果ワイン事業を始めて3年後には黒字を達成することができました。
ワイナリーを始めてから大変だったことはありますか?
新型コロナウイルスが広がり、旅行者が全くこない状況になり、売上が8割下がってしまったことです。社員を守らなければならない気持ちや銀行への相談でとても忙しい日々を過ごしていました。しかしそのストレスや疲労が重なり、私がくも膜下出血で倒れてしまいました。
取締役が代わりに動いてくれたのですが、ちょうどコロナで面会もできず、2週間ICUにいて携帯も持たせてもらえない状況が続き、とても不安でした。早く元気になるためにも出された食事は全部食べて、治すために頑張っていました。私の周りにいる方が支えてくれたから今の私がいると思います。一人で悩んでいても不安が抜け出せないと思うので、信頼できる人や先輩社長に相談してみることで新しい視点が生まれると思います。
現在はどのように工夫してワイナリーを経営されていらっしゃいますか?
最初はレストランを始めようと計画していましたがなかなか難しく断念しました。しかし敷地内で試飲や軽食を出せるようにしたり、マルシェなども始めたりして、ワイナリーに来てくださるお客様を増やそうとしています。
また昨年からECサイトでキャンペーンを打ったり、FacebookやInstagramなどでの情報発信にも力を入れています。その結果ECサイトでの売り上げが400%ほどアップし、まだ赤字ですが過去最高売上になったので、自信を持って進めていきたいです。他にも「テロワージュ東北」という活動に力を入れているのでそちらも頑張りたいです。
テロワージュ東北とはどんなものでしょうか?
生産者、飲食店、酒蔵、自治体などと連携した食のPR、食をテーマにしたツーリズムです。実際に漁師や生産者、シェフに来てもらってお客さんの前で話をしてもらいます。産地に旅行者が来ることで採れたてのものを食べれるし、生産者にも会うことができます。最初はワインだけのツーリズムを考えていましたが、ビールや日本酒の生産者、他の地域の方、行政から声がかかり現在は東北全域に活動が広がっています。
私たちの目標は大阪万博でテロワージュ東北のブースを出して世界中の人に東北の人、食、風景、文化の魅力を伝え感激させることです。またAIを使った東北旅行のコンシェルジュサービスを作りたいですね。1週間東北をめぐる最高のプランを提供するようなシステムを構築したいです。
今後の展望について教えてください
まずは会社を軌道に乗せたいです。そのためにもワインの品質を認めてもらうことは絶対的に必要なので、世界のコンクールでも賞を取れるようなレベルに持っていきたいです。コンクールに入賞することで、東北=美味しいものがある場所と認知度を上げていきたいです。
経営者におすすめする本はありますか?
落希一郎さん著書の「僕がワイナリーをつくった理由」です。落さんはブドウ畑が何もないところからワイナリーを始め、今では何十万人もの人がワイナリーを訪れる地域を作った方です。私のロールモデルで何度も読み返しています。
15年前、家族で新潟に移り住み、まったくのいちからワイナリーを作った著者によるワイナリーの創業期。大量生産、大量消費とはまるで反対の一定数の「ファン」だけを相手にした美しいワイナリーは、どうやってつくられたのか? 食、農業、地域、ビジネス……と、さまざまなテーマを考えさせられる一冊。
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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