株式会社いきる 柴田氏

今回は株式会社いきる代表、柴田駿氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

会社名称株式会社いきる
代表者柴田 駿
設立2026年2月
主な事業家族未来会議の運営 企業向け福利厚生導入支援 行政書士向け研修
会社所在地東京都世田谷区用賀4-9-12 BIZcomfort用賀
会社HPhttps://ikiru-life.jp/

事業紹介をお願いします

株式会社いきるは、相続・不動産・介護といった領域で家族間のコミュニケーションをサポートする事業を展開しています。「家族未来会議」という、早い段階で家族会議を開いていただき、行政書士が司会進行役として同席しながら、介護の役割分担・実家の取り扱い・相続・お墓・親戚付き合いといった、家族内では話しづらいテーマを専門家の進行のもとで話し合っていただく場を作るサービスがメイン事業です。

直接ご相談に来られるのは子ども世代、40〜50代の方が多く、その方が親や兄弟を巻き込みながらサービスを利用していただく形が多いですね。きっかけとして多いのは、親が一度体調を崩して「元気なうちに話しておかなければ」という意識が高まったケースや、祖父母の相続が発生し親世代の兄弟間でもめているのを見て「自分たちはそうなりたくない」と思って連絡いただくケースです。すでに問題が顕在化しているというよりは、漠然とした不安や兆候を感じた段階でご相談いただくことが多い印象です。

アドバイスにとどまらず、専門家が話し合いに立ち合うメリットについて教えてください

「終活は早めに」「家族会議をしておくべき」という情報は世の中に増えてきています。厚生労働省が推進する人生会議(アドバンス・ケア・プランニング)もその一つですし、メディアでも記事の最後が「ぜひ家族で話しておきましょう」といった結びで終わるものをよく目にするようになりました。

ただ、いざ実行しようとすると、親にどう切り出せばいいか、いつ家族が集まればいいか、集まったとして何をどこまで決めればいいか、という「じゃあ実際にはどう進めればいいの?」という部分が抜け落ちていることが多いと感じています。家族未来会議は、現場に入って実行を支援するサービスです。大事だとはわかっているけれど踏み出せていない方の背中を、中立な専門家として押していく点に特化しています。

そして、話し合いを終えると今度は具体的な行動が必要になるケースも少なくありません。遺言書や契約書の作成はもちろん、リフォームや住み替え、節税対策としてのお墓の購入、生命保険の加入など、出てくる困りごとは多岐にわたります。そういった問題に対してもパートナー企業と連携しながら一緒に解決していくことができます。

司会進行役に行政書士を起用されているのはなぜですか?

一番大切にしているのが、司会進行役の中立性です。家族の話し合いは、どちらかの利益の方向に結論を誘導されてしまうと本来の目的を果たせなくなってしまいます。お客様からしても、「この司会の人は自分たちに何かを売りたいのではないか」と感じた瞬間に、本音が出づらくなってしまうと思うんです。

行政書士の主な仕事は遺言書や契約書の作成です。家族がどんな結論を出しても行政書士自身の利益には直接影響しない。明確な利害関係を持たない国家資格者がファシリテーションするからこそ、家族が安心して本音を話せる場になると考えています。この中立性こそが、家族未来会議の根幹です。

個人(家族)向けの家族未来会議以外にはどのような事業がありますか?

家族未来会議のコンセプトを「介護と仕事の両立支援」という文脈に寄せて、企業の福利厚生として導入いただく取り組みも進めています。早めに家族で話し合っておくことで、いざ介護が始まったときに兄弟間の役割分担が明確になり、仕事を続けながら介護に向き合いやすくなります。

また、家族未来会議の司会進行ができる行政書士のパートナー育成にも力を入れています。全5時間の養成講座と実地の認定試験を設け、合格した方に案件をお願いする仕組みです。

家族未来会議にご興味をお持ちいただけたら、下記URLからお気軽にご連絡ください。

https://ikiru-life.jp

ここからは柴田社長ご自身のことをお聞かせください。学生時代に打ち込んだことはありますか?

テニスです。小学校から始めて、中学・高校の6年間をテニス部で過ごしました。国立小学校に通っていたんですが、テニス部がある中学校に進学するために進学先をわざわざ変えたくらい熱中していましたね。キャプテンも務め、関東大会に出場した経験もあります。今も趣味で週2回ほどテニスをしていて、去年は区の大会で準優勝しました。

起業したいという思いは学生の頃からありましたか?

元々はまったくありませんでした。都内で生まれ、父は会社員、母は専業主婦というごく普通の家庭で育ち、受験も就職活動も「教科書通りのタイミングで教科書通りのことをしていく」という感覚で進んできたと思います。

就職先も、学生時代から関心があったまちづくりや空間づくり、人と人とのコミュニケーションという観点から不動産デベロッパーを選びました。高校でのテニスで燃え尽きてしまい、大学時代は正直あまり充実していなかったのですが、社会人になって状況がガラッと変わりました。チームがあって、志を同じくする仲間がいて、目標に向かって一緒に打ち込める環境がとにかく楽しかったですね。仕事自体にも、しっかり打ち込めていたと思います。

仕事に打ち込んでいた中で、転職を決めたのはどんなきっかけがあったのでしょうか?

社会人5年目のときに、6歳の頃から一緒に育った同級生の友人が、突然亡くなりました。頭ではわかっていたつもりでしたが、人がいつ死ぬかわからないということを、そのとき本当に強く実感しました。

そこで気づいたのが、「生きようと思って生きているんだ」ということです。交差点で赤信号に止まるのも、事故に遭って死んでしまう可能性を減らしたいからですよね。生きるために意識して信号で立ち止まっている。そうした日常のあらゆる行動が、生きるためにやっていることなんだと感じて、せっかく生きているなら、もう少し意識的に、客観的に良いものではなく自分の直感で選んでいく生き方をしたいと思うようになりました。

仕事にも慣れてきた時期だったこともあり、大企業の中で既存の価値を少しずつ良くしていく仕事よりも、もっと革新的なことをやりたいという気持ちも重なり、転職を決意しました。

転職先ではどんな仕事をされていましたか?

不動産クラウドファンディングの仕組みを提供するベンチャー企業に転職して、古い空き家をリノベーションしてホテルに転換したり、シェア型保育園を作って子育て世帯を誘致したりと、今あるものを活かしながら社会に価値を生み出す仕事をしていました。

ただ、そのベンチャー企業がコロナ禍の影響で経営が悪化していったんです。立ち上げメンバーではなかった私は、詳細がわからないまま敗戦処理のような状況に置かれることになってしまって。そのとき、「自分が好きな事業に最初から関わりたい、ちゃんと責任を持てるポジションで仕事をしたい」という気持ちが強くなって、起業を意識し始めました。

実際にはどんな事業で起業したのでしょうか?

亡くなった友人のこと、周囲で聞こえてくる相続トラブルの話。そういった経験から、相続・終活の領域に人生をかけて取り組みたいと思いました。最初に立ち上げたのは、オンラインで終活や家族間コミュニケーションができるサービスです。

コロナ禍で死生観への関心が高まっていた時期でもあり、ビジネスコンテストや投資家の方からも好意的な評価をいただけていたのですが、売上は上がりませんでした。「遺言書を書く、相続対策をする」というのは、大事だとわかっていても緊急性を感じにくい行動です。運動が大事だとわかっていても今日走るかは別の話と同じで、テクノロジーだけでは人の心は動かせなかった。今思えば、当時は理想ばかり追い求めてお客様の気持ちを考えきれていなかったと反省しています。

また、この事業には共同創業者がいたのですが、最終的に喧嘩別れになってしまいとても苦しかったです。一緒にやってきたメンバーと袂を分かつことになり、精神的に一番つらかった時期でした。

その後、行政書士の資格を取得して独立されていますよね。行政書士を選んだ理由を教えてください

最初の事業は失敗に終わりましたが、「大切な人と話せるうちに話す」という信念は変わりませんでした。その信念を事業として成り立たせるために、まずは目の前の人を直接助けられる職種として行政書士を選びました。

資格取得後すぐに独立し、年間200〜300件のご相談を受ける中で、もめてからご相談いただくケースの多さを実感しました。「生きているうちに親の希望を聞いておけばよかった」「家族で話しておけばよかった」という後悔を何度も聞くうち、家族単位でご相談に来るケースも自然と増えてきて、一緒にサポートしてみると選択肢も広がり推進力もあって、非常に効果的だと感じました。このサポートをパッケージ化できないかと考えたのが「家族未来会議」の原点です。

家族未来会議に関する印象的だったエピソードを教えてください

家族未来会議のプロトタイプが生まれたときのことをとてもよく覚えています。ある企業の忘年会の二次会で40代と50代の経営者の方と3人で話す機会があって、私が事業内容をお伝えしたら「実は自分も親と相続のこととか話したいと思ってるけど話せていないんだよね」とおっしゃったんです。お二人とも素晴らしい経営者で、頭も切れて人格も素晴らしい方だったので、こんなに優秀な方でも家族の中での立ち振る舞いは難しいんだなと驚きました。その場で家族未来会議のプロトタイプのようなものをご説明して、「こういうサービスがあったら興味はありますか?」とお聞きしたら、「絶対やる」と即答いただけて。プロトタイプとファーストクライアントが同時に生まれた瞬間でしたね。なので、実はパッケージ化のきっかけは、ご相談に来られた方ではないんです。

今後の展望を教えてください

「大切な人と話せるうちに話したほうがいい」。この一点はずっと変わりません。その手段として、家族未来会議という選択肢をもっと広げていきたいと思っています。

親に「相続の話をしよう」と直接切り出すのはなかなか難しいものです。でも、たとえば「会社の福利厚生として導入されているサービスだから使ってみようよ」と言えれば、親御さんも受け入れやすくなると思うんです。すでに福利厚生として導入してくださっている企業様もいるので、企業の福利厚生としての展開をさらに広げていくのが1つ目の注力点です。

もう一つは、パートナーの輪を全国に広げることです。家族未来会議はオンラインでも受け付けていて、奈良県や秋田県など遠方の方からご相談いただくケースも出てきました。ただ、話し合いの後の問題解決フェーズでは地場の事業者と一緒に動く必要が出てきますし、地元を知っている行政書士のほうが頼みやすいということもあるかと思います。なので、地域ごとにパートナーのコミュニティを作っていくことに注力していきたいと考えています。現在のメインエリアは1都3県ですが、司会ができる行政書士のパートナー育成とあわせてエリアを広げていく方針です。

民間パートナーの面では、お墓の販売会社やお寺とも提携していて、檀家さんや契約者さん向けに家族未来会議を提供する取り組みも進めています。最近では地方のお寺からも反響が来るようになってきていて、このルートは今後さらに広がっていくと思います。

自分はこの領域では、経営者としてもプレーヤーとしてもかなり若いほうだと思っています。でも、人は若くして亡くなることもありますし、「死」は全世代が向き合うべきテーマだと感じています。現在のご相談のメイン層は40代以上ですが、まだ相続や終活を自分事と思っていない同世代を引っ張っていけるような存在になりたいと思っています。

最後に、おすすめの1冊を教えてください

ビル・パーキンス著『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』です。直訳すると「ゼロで死ね」という、なかなか衝撃的なタイトルですよね。

いつ病気になるかわからないから、老後の生活費が心配だから、亡くなった後に相続で感謝されたいからなどの理由から、資産を増やしきった状態で亡くなることが現代社会のスタンダードになっています。この本はその真逆で、「資産を切り崩しながら、亡くなるときにゼロの状態でいることが家族や社会にとって良い」という考え方を提唱しています。まさにその通りだなと思っていて。

長寿社会だからこそ、自分の子どもだけでなく周りの人や社会にとって何が良いかを考える。幸福度を最大化するために若いうちにお金を使って経験を積み、それを数十年先の楽しみとして蓄えておく。同じ100万円を使うにしても、80〜90代の自分が使うより、40〜50代の子どもたちが使ったほうが社会全体の幸せの総量が増えるという発想です。

テクニックとしても面白いんですが、何より考え方がとても素敵だなと思っていて。自分だけでなく、家族の、社会の幸せを願うことが自分の幸せでもある。そういう生き方を示してくれている一冊として、ぜひみなさんに読んでみていただきたいです。

『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』ビル・パーキンス(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4478109680

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
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