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株式会社ゼスト代表 一色 淳之介氏

  • 10/23/2025
  • 10/23/2025
  • 仕事
  • 3回

今回は株式会社ゼスト代表、一色 淳之介氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

会社名称 株式会社ゼスト
代表者 一色 淳之介
設立 1988年
主な事業 在宅医療・介護事業者向け収益改善プラットフォーム『ZEST』の提供
社員数 54名 (2025年4月1日時点)
会社所在地 東京都新宿区新宿二丁目3番11号 VORT新宿御苑4階
会社HP https://zest.jp/

 

事業内容を教えてください

株式会社ゼストでは、在宅医療・介護事業者向けに、収益改善プラットフォーム『ZEST』の提供をしています。ZESTは看護師さんやヘルパーさんの訪問スケジュール管理ツールとしては、国内導入数No.1の企業です。

 

 

もともと介護・在宅医療業界は紙の書類が多く、思うようにデジタル化が進んでいませんでした。特にスケジューリングは業務の中でも負担の大きいものなのに担当者が紙で管理をしていたので、この問題を解決するためにシステムを開発しました。

超高齢化社会が進む中、看護師さんやヘルパーさんの働き手がどんどん少なくなっています。だからこそ、ヘルパーさんが一日に訪問できる件数が増えれば、人手不足の解消につながります。しかし、ただ闇雲に訪問件数を増やすのではなく、待機や移動時間のロスを減らすことが重要だと思っています。

 

サービスを提供する中で大切にしていることはありますか?

人間には限界があるので、どこを効率的にするかを見極めることを大切にしています。

例えば、訪問には必ず「移動」が伴いますが、その移動に関しての負荷が見落とされることが往々にしてあります。そのため、ZESTでは一人ひとりのスタッフが担っている業務の負荷が偏っていないかもしっかりと判断できるようにしています。訪問数は担保しながら、高い質のサービスを提供できるような環境づくりに貢献しています。

 

 

また、弊社は「訪問スケジュールから収益を最大化する」という視点でサービスを提供しています。訪問介護や看護の事業は安定しているように思われますが、2024年の介護報酬改定の影響で訪問介護事業者の廃業や倒産、統廃合が過去最高レベルです。事業を続けるためには、限られた時間で効率的に訪問し、収益性を確保することがこれまで以上に重要です。だからこそ、一日に訪問できる件数が増えれば、そのまま事業所の収益が増えることになります。そして事業所の収益が増えていけば、一生懸命訪問してくださっているスタッフに還元することができます。給与で還元できれば、最終的には「この業界で働き続けたい」「目指してみたい」と思ってくれる人を増やすことにつながると信じています。

しっかりと人を抱えて、潰れない組織をつくるための基盤として当社のサービスを提供しています。

 

 

 

 

詳細は下記サイトをご覧ください。

https://zest.jp/

 

ここからは一色社長のことをお聞かせください。学生時代の思い出はありますか?

小学生の頃は本当に算数が好きな子どもでした。祖母が元々学校の先生で、退職後は自宅で地域の子どもたちに勉強を教えていました。私は幼稚園の頃から遊び感覚で勉強を教わっていたこともあり、小学6年生のときには「算数オリンピック」の国内本選にまで進出しました。

また中学は開成中学校に進学しましたが、それまではずっと一番頭の良い子どもだったので、自分よりさらに上がいることに驚きました。その後東京大学に進学し、学生時代はサークル活動に力を入れました。さまざまな大学の学生が集まるオールラウンドなサークルの代表を務め、多種多様な企画をしました。その頃からの仲間が現在の仕事でもつながっていたり、支えてくれたりしています。学生時代は、自分の世界を広げられる貴重な時間だったと思います。

 

就職活動はどのように進めましたか?

最初から外資系しか行かないと決めていました。大学院生活を経て経営に興味を持っていましたが、日本企業で経営に関わるとなると時間がかかりますし、自分が年功序列の日経企業でずっと働いていられるのか? と疑問を持っていました。そのため、我が道を進める環境を選ぼうと投資銀行、コンサル、P&Gのマーケティングのいずれかで考えていました。

 

どのキャリアを選択しましたか

P&Gを選びました。決め手は新卒でもブランドの経営者になれると聞いたからです。特にマーケティングがロジカルで戦略的なところが自分に合っていました。感性より科学に基づく手段で成績を出すことをしていたので、自分に向いていると思いましたね。また先輩方や同期との相性が良かったのも決め手になりました。

入社後は、シンガポールでの駐在を経験し、何十億・何百億と予算があるヘアケアブランドのマーケティングを担っていました。

 

そこから転職されるきっかけは何だったのでしょうか

P&Gは資金力もあり成功法則も整えられていることから、個人の力の成果ではなく、会社の力であることを実感しました。大規模な仕事を経験できましたが、もっと自分らしさを発揮できる企業で働きたいと思ったのが転職のきっかけです。

そしてヤマトキャピタルパートナーズ(現:YCP Group)に転職しました。今は立派な企業ですが、私が転職した当時はオフィス=マンションの一室でした。創業者は大学時代からの先輩でしたし、メンバーは投資銀行やコンサル出身の創業メンバーで構成されており、優秀な仲間と一緒に会社を大きくできるチャンスだと思っていました。

良い経験だと思ったのは、経営の根幹である資金管理のほか、契約書の製本、バックオフィス業務なども経験したことです。前職はそれぞれ専門の部署がありましたが、ここではすべて自分で行うため、資金繰りや契約書作成など初めて触れる業務が多く、わからないことだらけで大変でしたが、有意義な時間を過ごすことができました。

 

いつ頃ゼストを知りましたか?

2022年5月です。学生時代から縁のある方からの紹介でゼストを知りました。ちょうど前職が上場したタイミングだったこともあり、転職するつもりはなかったのですが、話を聞いてみることにしました。

市場規模や成長性、会社のステージ、私自身は医療・介護業界の資格者ではありませんが、自分自身の経験をある意味で活かせるのではないかという点、何よりも社会的な意義を感じ、転職を決意しました。

 

代表就任後に一番力を入れたことはなんですか?

私が入社した当時のゼストは、社員が3人でオフィスすらないという状況だったのでやることは山積みでしたが、中でも特に人材獲得に注力しました。

YCPでも感じていましたが、やはり優秀な人がいることが組織にとって大きな力になります。

しかし、中小企業で優秀な人材の獲得は至難の業です。給与面や社名では差別化できないので、優秀な人間を惹きつけるビジネスモデルであること、社会的意義の大きい事業であることを強くアピールしました。

今のビジネスがどのように飛躍し、将来どんなビジョンを描いているかを伝え、一緒にやりたいと思っていただくことが大事だと思います。在宅医療・介護という分野は誰しもいつか直面する領域でありながら課題が山積みの世界なので、破綻してしまったら将来の自分たちが困ります。だからこそ、当社が社会問題を解決できる事業であることも、優秀な人間を集められるフックになると思いました。

会社として100億円規模を目指していくのではなく、1000億円規模での上場、その先の時価総額を目指していけると面白いと考え、そのために何をするかを丁寧に説明するよう心がけています。

 

大変だった時期はありましたか?

1番目は、代表就任当初のオフィスも人手もほぼゼロの時期です。特にエンジニアの確保には苦戦しましたが、幸いにもCROの河合やCMOの丸田、そしてCTOの豊島がチームごとジョインしてくれたことで、会社の状況は一変しました。

2番目に大変だったのがプロダクトの入れ替えをした時期です。旧プロダクトは限界が見えていたため、新プロダクトをゼロから開発する決断をしました。そのとき営業チームは旧プロダクトを販売してもらいながら、新しいものが出るまで耐える必要があったので、とても苦しかったと思います。組織もプロダクトもゼロから作るのは大変でしたが、今振り返るととても良い経験ができたと感じています。

 

今後のご展望を教えてください

介護・在宅医療事業所の収益を改善できるようなシステムを作っていくことです。2024年にはケアマネージャーや病院と連携・営業活動をデジタル化するプロダクト「ZEST RRM」をリリースしました。

これまで担当者の感覚や記憶に頼っていた情報が、RRM(リージョナル・リレーションシップ・マネジメント)によりデジタルで一元管理されるようになりました。今後もデジタルやAIを活用して、時間をうまく使って収益を上げられるような仕組みを目指します。

当社のプロダクトは、結果としてスタッフだけでなく利用者さんやその家族を支えるのではないかと思っています。今まではBtoBでの提供がメインでしたが、これからはご家族に向けたBtoC領域のサービス展開にも注力していきたいです。

高齢化が急速に進む中で、今や誰しもが介護に関わっていきます。だからこそ、時間や労力が無駄に費やされている非生産的な部分を洗い出し、テクノロジーの力で支援をしていきます。

 

おすすめの本を教えてください

アル・ライズ氏とジャック・トラウト氏の共著『マーケティング22の法則 売れるもマーケ 当たるもマーケ』です。マーケティングにおける本質的な22の法則を教えてくれます。コカ・コーラやマクドナルドなど誰もが知っている企業の具体例が入っているのでわかりやすいと思います。

今のようなデジタル時代の本ではないのですが、マーケティングの本質は変わっていません。私はP&G時代からこの本の内容を実践していますし、今も変わらず大切にしている考え方を学んだ一冊ですので、ぜひご一読ください。

 

『マーケティング22の法則 売れるもマーケ 当たるもマーケ』アル ライズ (著), ジャック トラウト (著), 新井 喜美夫 (翻訳)

https://www.amazon.co.jp/dp/4884970233

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。

企業出版のノウハウを活かした記事制作を行うことで、社長のブランディング、企業の信頼度向上に貢献してまいります。