今回は富山ターミナルビル株式会社代表、水田 整氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 富山ターミナルビル株式会社 |
代表者 | 水田 整 |
設立 | 昭和60年(1985)4月2日 |
主な事業 | ショッピングセンター「マリエとやま」「とやマルシェ」「マルート」「牛島パーク」の運営・管理 |
会社所在地 | 富山市桜町1丁目1番61号 |
会社HP | https://toyama-stationcity.jp/ |
事業内容を教えてください
富山ターミナルビル株式会社は約40年前に「マリエとやま」という駅ビルの開発・運営から始まった会社です。
2015年北陸新幹線開業以降、新規開発を推進し、県・市等と緊密に連携をとり地域の中心としてサステナブルな富山の未来づくりにチャレンジしてきました。
現在は「とやマルシェ」「マルート」などの駅ビル一体を運営管理しています。
また、富山に新幹線が開通して10年ほど経ちましたが、駅前は急激に新しい開発が進んでいるので、「富山ステーションシティ」という名前をつけて、少し離れたエリアにも手を伸ばし、点と点をつなぐ街づくりをしています。
また、2024年5月には官民連携まちづくり団体である一般社団法人トヤマチミライを設立し、富山駅周辺や富山市の魅力向上とにぎわい創出にも取り組んでいます。
富山の魅力を教えてください
景観と水の綺麗さ、その水に育まれた食べ物が魅力です。
富山は50キロの範囲に標高3000メートルの立山連峰から、水深1200メートルの富山湾までがギュッと凝縮しており、日本や世界でも珍しい地形です。また、富山は他の観光地と比べてもかなりリーズナブルに美味しいものを食べることができます。
しかしながら、富山の方は控えめな人柄の方が多く、自分たちの良さを伝えるのに苦手意識を持っていらっしゃいます。だからこそ、当社が主体となってこれからもどんどん富山の良さを発信していきたいです。
当社の取り組みや富山の魅力は下記よりご覧ください!
富山ターミナルビル株式会社コーポレートサイト:https://toyama-stationcity.jp/
一般社団法人トヤマチミライ 公式HP:https://toyamachimirai.com/
富山ターミナルビル株式会社Instagram:https://www.instagram.com/toyamastationcity/
富山ターミナルビル株式会社X(旧:Twitter):https://toyama-stationcity.jp/sns
ここからは水田社長のことをお聞かせください。学生時代に頑張ったことはありますか?
中高生の頃はサッカー部に所属していましたが、大学では一転して合唱部に入りました。母がピアノの先生だったので小さいころから習っていたこともあり、元々クラシック音楽が好きでした。そして、3年生の時には学生指揮者になりました。当時の合唱団は人数も減り、あまり活気がなかったため、現状を変えようと年11回のステージを2回に絞って質を高めたり、運営の仕組みを見直したりしました。すると、だんだんと環境が良くなっていき、私が卒業した後も発展が続いているようです。
合唱団ではどのような演目を行うのでしょうか?
オーケストラの伴奏付きで歌う合唱団でした。モーツァルトの『レクイエム』など、名だたるクラシック作品を同大学の管弦楽団と一緒に演奏をしていました。
大学卒業後はどのようなキャリアを歩むのでしょうか?
東京大学法学部で学んでいたので、私の周りの友人は国家公務員になりたい人が多かったですが、私は人のために何かするよりも自分で何かを作り出したいという想いが強くありました。
そのため、民間でありながら公共的な仕事がき、街づくりもできる「JR西日本」を選びました。当時は、本当にバブルの終わりの頃で引く手あまたでした。JRは旧国鉄から新たな民間企業へと大きく舵を切るタイミングだったので、地域と関わりながら仕事ができるかもしれないと思っていましたね。
日本に住む人たちが幸せになるよう、国の基盤づくりをしたいと思っていました。
JR西日本に入社してからは、どのような仕事をされてきましたか?
入社後は関連事業・開発部門に配属されました。
入社当時は自分で起業をするなんて思っていませんでしたが、会社の中でリーダーになって、大きな開発をしたり、駅を変えることが自分のやりたいことだと思っていました。
その後、2002年に富山ターミナルビルに出向したことが今の仕事につながっています。当時の富山はイオンモール発展の影響で、商店街や駅ビルは一気に過疎化していました。「マリエとやま」も売上がピーク時の半分まで落ち込んでおり、なんとか売上が下がるのを止めるのに必死でした。
これらの業務では財務や労務の知識や株主対応など幅広い知識が必要で、若いうちにそういう経験をできたのは大きかったと思っています。
そうなんですね。以来ずっと富山にいらっしゃるのでしょうか?
いいえ。2005年に富山からJR西日本の本社に帰ってきました。
「ビジネスプロデュースグループ」という新規事業部門を立ち上げ、課長からスタートしましたが、最終的には部長まで昇進しました。ホテルの立ち上げ、サバの養殖、農業連携までやれることはなんでもやりました。
そこから再度、17年ぶりに富山に配属が決まり、当社の社長に就任しました。
最初の仕事は富山駅前に開業した駅直結型の商業施設「マルート」の開発です。当時はコンパクトシティの考え方と相まって、中心市街地をもう1回再生しようという動きが始まっていました。土地は半分が市の所有で、とても公共性の高い仕事だったと思います。
富山は妻の出身地でもあり、私のキャリアにも大きく影響をしていることから、第二の故郷だと思っています。
当時は富山を再生する最後のチャンスだったので、駅前の新たな開発は絶対に失敗できませんでした。
社長に就任してから大変だったことは何ですか?
今もなお悩んでいるところですが、誘致に苦労しています。
社長就任当初は「富山ステーションシティ構想」という、駅周辺全体を一体化して再生させる構想があり、マルート開業に向けてテナント誘致を進めていく中でコロナ禍になってしまいました。元々は、4月28日にオープンするはずが大分遅延をしてしまいました。その結果、当社は4期連続の赤字となり、利益を社員に還元できず、そのせいで人材の入れ替わりも多く苦しい数年間になりました。
また、やっとコロナが終わったと思ったところに地震が起き、一部天井が落ちたり、エレベーターが潰れたりと修復が大変でした。しかし経営を続けていかないといけないので、悩みながらも前に進み続けました。
どのような会社を誘致されていたのでしょうか?
元々、「マリエとやま」はファッションビルでした。
しかしアパレルは昔に比べたら半分ほどの売上しかありません。なぜなら、富山では、個性的なファッションよりもベーシックな服装が好まれるため、売上が出にくい環境だからです。一方、現在は飲食系が好調で、特に魚系などが非常に良い客入りとなっています。
駅前にあるので集客力が強いビルとなっており、出店するなら北陸だったら金沢と富山だと言ってくださる飲食関係の企業様も多くいらっしゃいます。今後は、魚介だけでなくスイーツなどにも力を入れていきたいですね。
東京でも人気なスイーツが入ると学生などの若い世代が来てくれるので、これからも誘致・集客に力を入れていきます。
経営者にとして大切にしている考えを教えてください
私は改革をしていくことを大切にしており、仕組みを変えて、軌道に乗せたら次の人に渡すようにしています。
悪者になってでもガラッと変える方が性に合っていますし、チャレンジをしたり、自分で行動したりすることを通して、やりきることを1つの信条にしています。成功するか成功しないか5分5分でも、私は緻密に積み上げていくタイプなので、必ず成功するに違いないと思って取り組んでいます。
他には、今まで時代を先取りしすぎてしまったことがあるので、時期を待つことも大切にしています。2010年代に越境ECの立ち上げを行いましたが、日本のものを海外に直接売ることは当時はまだほとんど例がなく、配送のコスト面でマネタイズできずにうまくいきませんでした。
しかし、失敗を恐れずにどんなことにも日本を代表してやっていきたいと思っています。
今後の展望を教えてください
富山ターミナルビルとしては、まだまだテナント誘致の余地があります。富山駅前のポテンシャルを評価していただくことでこれから埋まっていくとは思いますが、もっと駅前に来る楽しさを届けられるようにしたいです。
そして、私個人としては、2025年6月に富山を離れ、株式会社新大阪ステーションストアの社長に就任しましたが、第二の故郷であるこの地域の発展に、トヤマチミライを通して貢献し続けます。
立石社長に引き継いだ後も、ステークホルダーと協調し、富山という街を元気にすることをミッションにしていきたいです。人口は減っていくかもしれませんが、「富山は元気だよね」と周りから言ってもらえるような街を作っていきます。
おすすめの書籍を教えてください
城山 三郎さんの『男子の本懐』がおすすめです。命をかけてでも仕組みを変えるという姿勢が自分の経営スタイルに似ていると思っています。危機的なことが起こった時に、経営者としてどう動くかが参考になると思うので、ぜひ読んでみてください。
そしてもう1冊が二ノ宮知子さんの『のだめカンタービレ』です。指揮者をやってたこともあって好きな漫画の1つです。指揮者の千秋さんが葛藤しながら音楽をまとめ上げていく姿がすごくリアルに感じられます。実際に指揮をしたり、経営していくと軋轢が生まれますが、それを乗り越えていくところに成長があると共感する1冊です。
ぜひ2冊合わせて読んでみてください!
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投稿者プロフィール

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企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
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