今回は株式会社プラスワンインターナショナルの代表取締役、新開 強(しんがい つよし)氏にインタビューをおこないました。
新開さんは、まだインターネットを介しての通信販売がそれほど普及していなかった2004年にオリジナル制作のTシャツやポロシャツ、制服のユニフォーム等の販売をスタート。以来、ECサイトや店舗運営を通じて、「オリジナルプリント商品」を提供し続けています。
時勢の動きを先読みし、実行に移してきた新開さん。どのような経緯で起業し、どのような展望を見据えているのか、今回のインタビューで詳しく伺うことができました。
株式会社プラスワンインターナショナル 会社概要
会社名称 | 株式会社プラスワンインターナショナル |
代表者 | 新開 強(しんがい つよし) |
資本金 | 5,000万円 (2020年11月現在) |
業務内容 | <オリジナルプリント商品・各種販促品の製造・販売事業> Tシャツ・制服ユニフォーム・スポーツユニフォーム・タオルなどの衣料品 マグカップ・タンブラー・文具・日用品などのグッズ のぼり・横断幕などの販促品 タグ・下げ札 縫製(OEM生産) <消耗品販売事業> |
会社所在地 | 〒760-0080 香川県高松市木太町5116番地20 |
電話番号 | 087-869-8080 |
会社HP | https://www.p1-intl.com/ |
新開さんが起業された経緯を教えてください
大学3年の時に今の事業の前身となる、個人輸入のセレクトショップを地元でオープンしました。当時アメリカのストリートウェアなどが若い人たちの間で流行っていたので、それを扱っていましたね。
アメリカの大学に通っていたので、そういったものが現地の価格で手に入ったんです。それを個人的に並行輸入してお店で売ったら売れるだろうと、考えて1998年の年末頃に始めました。今思えば、かなり安直だったなと思います。
それから「事業を軌道に乗せよう」ということで、大学は休学することにしました。
アメリカから日本に帰国して始められたんですね
買付しないといけないのでしばらくは行き来していたのですが、やっぱり商売としてはなかなかうまくいかなかったんです。
流行っているうちはいいんだけれども、流行らなくなったら一気に売れなくなって、そうなるとまた別の新しい流行を探さないといけなくなってしまって。アメリカのものが流行るなら、どうにかして探しに行けるのですが、アメリカじゃなくなったんですよね、流行が(笑)。
それで商売としては右肩下がりになってしまい、2000年から2002年くらいまでの間は非常に苦しかったですね。
その後、2004年にTシャツのオリジナルプリント制作をスタートされていますが、そこに辿り着いたきっかけは何ですか?
仕入れたものが売れなくなってきて「どうせ売れないなら自分でデザインしたものを売ってみよう」と思ったのが始まりです。
実は、アメリカで仕入れをしている時に知り合ったデザイナーさんの下で一時期働いていて、見よう見まねですが、デザインソフトを使うことはできたんです。そこで無地のTシャツを仕入れて、自分で作ったグラフィックをプリントして販売するということを始めました。
それも思うように売れはしなかったのですが、Tシャツを見たとある方から「新開さん、デザインできるんだね。飲食店のユニフォームもできる?」と相談されたんです。
「もちろんできます」と答えて、その方からの紹介を受け地元のラーメン店のユニフォーム用に200枚のオーダーをいただいたんですね。それがお客さんのオーダーからデザインを手掛けて制作した第一号です。この経験で自分のスキルを活かせたと思いましたし、こちらに変更した方が商売的には絶対にいいなと思いました。
そこから飲食店や通っていた高校の先生に話をしに行って部活や文化祭用にオリジナルTシャツを作って貰うなど、地元での営業を約1年やって、ECサイトに転向しました。
2004年当時はまだ店舗販売が主流だったと思います。なぜECサイトを立ち上げようと思われたのでしょうか?
当時は借金だらけだったんで(笑)
学生の時に始めたお店が大失敗したので、店を持つ選択肢はありませんでした。
あと、ECサイトを始めようと思ったのは、高校に営業しに行った時とある先生に言われた言葉がきっかけです。ネットに詳しい方で「これからはネットの時代でしょ」という話をしてくれたんですよ。
迷いもありましたが「確かに、これからの時代必要になるだろうからやってみよう」と思って市販の7~8千円のソフトを買ってきてサイトを作りました。
これまで事業を経営されてきて、特に苦労した時期はいつですか?
やっぱりコロナ禍ですね。
2020年の4月5月6月あたりは「これから先どうなるのだろう」と思いました。
例年ですと9月くらいから11月くらいまでは学園祭の時期で大きな商売の機会なのですが、これが完全に無くなって、非常に厳しい状況でした。
そのような苦労をどのようにして乗り越えられたのでしょうか?
「何とか手を打たないといけない」ということで、無駄なものを省いたり、経営を見直したり…、今まで着手できなかったことに触れて、足元の見直し、事業構造を変えていくことに注力しました。
たとえば、2004年から始めたWEBの広告は、検索連動型で成り立っていて、広告費を入れたら正比例で返ってくる感じで、売上も良かったですし、WEB広告費も増えていました。
ですが、コロナで広告費がかけられなくなったので、2020年は広告を一切やめました。広告でずっと成り立っていたので、やめたら新規顧客の獲得が難しくなるのは目に見えていたので「やっていけるのか?」という不安はありました。
ですが、視点を変えて「リピーターの方との関係性を見直していこう」と方向転換をしました。
この方向転換が正しいというのは以前から頭では分かっていたのですが、それでもその方向に舵を切るのは怖かったというのが正直なところです。
きっかけはコロナで舵を切らざるを得なくなったという感じですが、昨年度、実は最高益だったんです。売上はもちろん減りましたけれども、創業以来の最高益を出すことができたので、経営体質がきちんと改善できた証拠だと思っています。
コロナ禍がきっかけで、会社の理念を社員間で統一できたのでしょうか?
実はそれ、めちゃくちゃホットな話題でして(笑)
そもそも弊社は組織文化というのがちゃんとできていなかった部分がありました。それで、コロナをきっかけにMVV(Mission, Vision, Value)を新しく制定したんです。もちろん会社の全ての価値観(事業計画や制度など)もここに連動しています。
もうひとつは組織の中でMVVを大切にする価値観、仕事に対する向き合い方ですね。それを続けて「社会に対してどのように思われたいんですか?」「どういう認知をされたいんですか?」という、パーパスも大事にしたいと思っています。
今後の目標やビジョンを教えてください
「退屈を無くす」ということが弊社のパーパスであると考えています。
そして、MVV(Mission, Vision, Value)の中の「価値(Value)」として、プラス「ワクワク」ということ掲げています。これらは密接に関係していて、事業を通して実現していくことです。
具体的な事業でいえば、カスタマイズやTシャツのプリントだったり、あと今渋谷のセンター街にも店があって、スマホで写真を撮って20分で即日お渡しができますというサービスを提供したりして、Tシャツができるワクワクを体験してもらっています。
そもそもオンリーワンを作る、カスタマイズしていくことは楽しいことだと思っています。自分のクリエイティビティを出して色々なことを想像しながらものを作るって人間の本質的なところで、刺さる作業だと思うんです。これをもっと多くの方に提供していきたいと考えています。
今ももちろん提供しているのですが、既存のお客様はいつどんなシーンで使うか、もう決まっている方なんです。必要だから検索して弊社を見つけてくださった形です。Webで潜在層が広がるかといわれると、また違うと感じています。
まだ接点がない、チャレンジしたことがない潜在層の人たちにも伝えていくこと。そのプロセスでワクワクする場面も多いので、これから展開していく事業は、今の事業の拡張もありますが、「退屈を無くす」ために、プラスワンでワクワクするようなこと、楽しいことを生み出したいと思っています。
最後に、新開さんおすすめの本のご紹介です!
『好きなようにしてください たった一つの「仕事」の原則』
仕事をする上で『最適な環境』は存在しないと本書は説きます。 誰かのためにやらなくてはならない仕事。そのような環境とどう関わっていくのか、20代~40代と幅広い年齢層の社会人のリアルな悩みを、時に厳しく、時にユーモアを交えながら著者がアドバイスしています。笑いがこみあげてくるような軽快さと深みのある内容が多くのビジネスパーソンから支持されている一冊です。 Amazon URL: |
投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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