今回は株式会社日東物流代表、菅原 拓也氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 株式会社日東物流 |
代表者 | 菅原 拓也 |
設立 | 1995年 |
主な事業 | 一般貨物自動車運送業 第一種利用運送事業 |
社員数 | 107名(2024年6月末現在) |
会社所在地 | 千葉県四街道市大日572 |
会社HP | https://www.nittobutsuryu.co.jp/ |
事業内容を教えてください
株式会社日東物流は温度管理が必要とされる、食品輸送をメインとした運送会社です。温度管理が必要な商品というと、よく生鮮食品、野菜を思い浮かべられますが、当社では飲料水や菓子類なども運んでいます。主な配送エリアは関東南部の、茨城・千葉・東京・神奈川・埼玉で飲食店やスーパーマーケット、物流センターなどに24時間体制で配送しています。
日東物流では2008年に起こしてしまった事故を教訓に、コンプライアンスを重んじ、健康経営を推進し、社員や家族を大切にする経営を行ってまいりました。
物流業界は労働力不足が取り沙汰されることが多いですが、これに加えてドライバーの高齢化や健康問題、労働時間の問題、環境負荷など、課題が山積みです。
労働力不足は一朝一夕では解消出来ないので、既存の労働力をいかに長く維持できるかが大きなカギになると思います。そのためにも、今働いてくれているドライバーの皆さんに長く働いて頂くためには、健康でいてもらうことが大切になってきます。当社では健康経営に取り組んでおり、毎年の健康診断の受診の他、禁煙への取り組み、休憩所の設置、専門家との面談、希望に応じた柔軟な働き方の実現など、社員の健康を守るための環境を整えています。
「物流」とは、単に“モノを運ぶ”という作業ではなく、 “モノを運ぶ”ことを通して、社会のつながりを産み出し、人びとの暮らしを豊かにすることが使命です。
誠実で健全な企業活動を通して人びとの暮らしと地域をささえ、確かな未来をひらくために、邁進いたします。
ここからは菅原社長ご自身のことをお聞かせください。どのような学生時代でしたか?
いたってどこにでもいる普通の学生だったと思います。
中学生の頃はバレーボール部に入部しましたが、段々と足が遠のき、結局は学生らしく遊んでいましたね。
高校受験では志望校に落ちてしまい、第二志望だった都内の大学付属の私立高校へ進学することになりました。千葉の田舎者が渋谷に通い始めたので、街の刺激に圧倒されていましたね。多感な時期に様々な経験をしたので、大人になった今振り返ると良い学生時代を過ごしたな、と思います。
大学は高校からエスカレーター式で入学できると思っていましたが、進学が叶わずフリーターなどをして生きていこうかなと漠然と考えていました。しかし、大学に行った友人たちの楽しく過ごしている姿を見て、改めて大学に行こうと決意し、発奮して勉強に励むようになりました。そして、大学時代はキャンパスライフを充実させるだけでなく、様々なアルバイトに挑戦して、視野を広げました。
就職活動はいかがでしたでしょうか?
大学3年生になって、初めて自分と向き合い、人生について考えました。
父が日東物流を経営していましたが、幼いころから一度も「継いでほしい」と言われることなく自由に育ちました。しかし、父の背中をずっと見ていたので、経営者は魅力的な仕事だな、と漠然と思っていました。
そこで父に「大学を卒業したら物流会社に入社し、いずれは家業を継ぎたい」と伝えましたが、父から「お前が思うほど楽なものではない、せっかく大学に行ったのだから、大手企業や公務員になる方が確実で間違いない」と断られてしまいました。
振り返ると、父は私が軽いノリで社長になりたいと言ったのを見透かしていたのだと思います。
また、日東物流は24時間365日止まらずに営業している会社です。父は現場で事故やトラブルがあればすぐに駆けつけなければいけなかったため日頃から携帯が手から離せない状態でしたし、寝るときは安眠剤を飲まないと眠れないほどで、そんな苦労を子どもにさせたくないという親心もあったのだと思います。
社長というとお金があって社会的地位もありと良い面ばかりが見られがちですが、人から恨まれたり、時には苦しい決断をしなければいけない場面もある、やりがいもある反面ストレスも大きい立場です。実際に今経営者をしていますが、私も父と同じように、自分の子どもに継いでほしいとは思っていません。
ですが私は諦めきれず、そこから何度も父と話し合いを重ね、「日東物流で経営者になりたい」という夢を追いかけることにしました。
社会人時代のご経歴を教えてください。
大学卒業後、日本の大手物流会社に総合職として入社しました。研修や仕事で実際にトラックに乗ることができるのが、入社の決め手です。その会社で社会人としてのマナーや資料作成などの基礎的なことを学び、2年勤務したタイミングでそろそろ家業に入ろうと思ったところ、父からもう1社経験してきなさいと言われました。そして、父の紹介もあり、別の物流会社でさらにもう1年働きました。
ノルマだったりサービス残業だったり、会社員経験において自分が嫌だったり納得できなかったことは、当社の社員にはさせないようにしています。
家業で働き、大変だったことはありますか?
私が日東物流に入社してすぐに当社従業員が死亡事故を起こしました。翌年には監査が入り、3日間の営業停止処分を受けました。当社に限らず当時の物流業界は労働時間が長く、繁忙期に入れば従業員は休めないなど、コンプライアンスへの意識や理解が低かったのですが、この死亡事故を契機に、そんな業界の悪習にならうのではなく、自分で経営のあり方を考え、改めていく必要があると実感しました。そして、健全に会社を存続させるためには、社会的に正しい経営をするべきだと思いました。
しかし、会社として利益を残し、従業員の待遇を引き上がる流れにするまではとても長い道のりでした。正しいことをするためにはお金と時間がかかります。そのために、配送ルートの見直しなど社内の無駄なコストの見直しは当然のこと、お客様とも様々な交渉を繰り返すことで、財務体質をより健全化させていきました。もちろん、中には交渉がうまくいかず、お取引を辞めた会社もありました。
しかし、その結果、現在はコンプライアンスを遵守しながらも、安定した利益を出すことができており、従業員にも還元することができています。
コンプライアンスを定着させるため、どれくらいの期間をかけたのでしょうか?
アップデートを繰り返しながら10年かけて定着させました。最初は社内・社外に誰も味方がいない状況で孤立していましたが、諦めずに続けてきたからこそ今があります。
父も最初は、理想だけでは経営ができないと懐疑的でした。父が創業した当時は1日18時間働いて家にも帰れないのが普通だったので、私が目指す仕事の在り方が生ぬるく見えてしまったそうです。ですが、私が改革を進める姿を見て、どんどん新しい時代になり、会社も変わっていく必要があると感じたことから、私の理念や活動に理解をしてくれ、2017年に代表を交代することになりました。
経営者になってから大変だったことはありますか?
今のところ、イメージしている通り順調に経営ができています。もちろん課題もまだまだたくさんありますが、これからも乗り越えていきます。細かいことに悩むことはありますが、苦しい感情はありません。
また、自分が正しいと思ってやっていることをいろいろ考え、努力してやってみて、それでも上手くいかなかった場合は、それは自分や会社が悪いんじゃないから仕方がないと諦めるようにしています(笑)。そこに至るまでに一生懸命頑張って、知恵を絞って経営しているからこそ、プレッシャーを感じずに経営できているんだと思います。
今後の展望を教えてください
社会のルールや価値観が時代に合わせて変化し続けていく以上、当社も変化に合わせたコンプライアンス経営と健康経営を続けていきます。
また、労働力の確保や従業員とその家族の精神的かつ肉体的な健康維持のためにも、給与水準の引き上げにも継続して取り組みます。業界全体で給与水準の引き上げをすることが出来れば、労働力不足の解消だけでなく、職業としてのトラックドライバーのイメージアップにも繋がると考えています。
物流業界はまだまだブラックなイメージがありますし、労働環境が良くないと言われます。
しかし物流の仕事は世の中にとって大切で、絶対になくてはならないものです。スタッフが誇りを持って仕事をできるような環境を整えることが私の使命ですので、労働環境の改善をはじめ様々な取り組みを通して「新しい物流会社のあり方」を模索し続け、これら活動を業界に発信し、共感してくれる同志を増やしていくことで、業界全体の変革やイメージアップに繋げていきたいと思っています。
経営者におすすめの本はありますか?
スペンサー ジョンソンさん著書『チーズはどこへ消えた』がおすすめです。
実際にこの本を意識してきたわけではありませんが、今改めて読み返すと、私が会社を経営していくにあたって心がけていることと同じ内容が書かれています。
現状というものは、変化がないように見えますが、実は少しずつ変化しています。今は良い状態でも、数年後も同じ状態と言えるかどうかは分かりません。つまり、変化に敏感にならないと社会に遅れてしまいます。何事も変化することが前提だからこそ、「今すべきこと」に意識を向けていく大切さを教えてくれます。
ぜひ読んでみてください。
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
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