今回は株式会社ARIA代表、宮崎大輔氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 株式会社ARIA |
代表者 | 宮崎大輔 |
設立 | 2022年12月28日 |
主な事業 | 医療機器管理・医療処置
点滴投与(末梢・中枢)カテーテル管理(尿管・ドレーン)ストマ管理 輸血、オピオイド管理、インスリン管理、腹膜透析 在宅酸素療法、人工呼吸器管理、気管切開管理、喀痰吸引 排便コントロール、褥瘡予防・処置
状態観察 バイタルサイン測定、病状観察、異常の早期発見 緊急対応、医療機関との相談、介護保険事業所との相談
日常生活支援 内服管理、清潔介助、排泄介助、食事介助、経管栄養、口腔ケア
相談支援 意思決定支援、医療相談、介護相談、生活相談、緊急相談窓口
在宅リハビリテーション 日常生活動作の訓練、介護方法の指導、福祉用具(ベッド・車イス等)の利用相談、 生活の自立・社会復帰への支援 |
社員数 | 80名(取材時) |
会社所在地 | 大阪市中央区久太郎町3丁目1-6 伊藤佑ビル大阪本町7階 |
会社HP | https://new-gate.jp/ |
事業内容を教えてください
株式会社ARIAでは、大阪・兵庫・神奈川・福岡を中心に全国11拠点で訪問看護ステーションを運営しています。訪問看護というと高齢者を思い浮かべる方が多いと思いますが、利用者の7~8割は18歳未満の小児で、特に医療的ケアが必要なお子さんや、発達や発育に不安があるお子さんやそのご家族への支援に力を入れています。
なぜ小児に特化しようと思ったのですか?
高齢者向けの訪問看護は数が多い一方、小児対応を行っている訪問看護は全国的に見てもわずかしかありません。だからこそ、多くの方のお役に立て、なおかつビジネスとしても勝機があると思い、創業当初から「小児を中心に事業を展開していく」と決めていました。
厚生労働省によると、日本には医療的ケアを必要とする子どもが約2万人以上存在し、この15年で2倍に増加しています。また、発達神経症の子どもの数も増加傾向にあり、小児領域でも在宅医療の不足が課題になっています。当社では小児を対象とした地域医療に貢献できるよう、また支援を必要としている親御さんに届くよう、今後も小児訪問看護に特化していきます。
ARIAは看護師の働く環境が良いと評判ですが、どのような理念のもと経営されていらっしゃるのでしょうか?
「笑顔あふれる、自分らしい人生を」が当社の理念ですが、これは100%職員に向けて作った理念です。
看護師や医療従事者は自分の体にムチを打って目の前の患者さんのために頑張っているものの、頑張りが報われない環境でもありますし、「これが当たり前」だと扱われることも多いのが現実です。
しかし、私はこの状況を変えたくて、今の会社を立ち上げました。
当社では頑張った分がしっかりと評価がされ、それが給与に反映されるだけでなく、ライフステージや個人の事情によって柔軟にキャリア形成ができる環境を整えています。また、事業としてスタッフがどんどん挑戦できる環境を用意することで、レベルの高い看護師やセラピストを育成・輩出していきます。
ここからは宮崎社長のことをお聞かせください。学生時時代の思い出はありますか?
中学から専門学校までラグビー部に所属していました。『アイシールド21』というアメフトのマンガが流行っており、同じようなことがしたいと思ったのが入部のきっかけです。アメフトとラグビーは違う部分が多々ありますが、中1の自分にとっては心躍る選択でした。
堺市には1校しかラグビー部のある中学校がなかったのですが、全国大会に出場する強いチームでした。そして、高校でもラグビー部に入りましたが、ラグビーは地味な部活なので選抜に選ばれても誰にも気づいて貰えず、異性からの注目を浴びることもなく青春が過ぎていきました(笑)。
メンタルや体力は鍛えられましたが、思春期の男子が思い描く理想の学生生活ではなかったですね。
高校卒業後はどのようにお過ごしでしたか?
看護師の専門学校に進学しました。
親が介護士なのですが「資格を取った方が良いよ」と言われていたので、それに素直に従いました。でも、一番正直な動機は働くなら安定している職業が良いと思ったからです。将来的なことも考えた選択でした。
また、ラグビーも辞めようと思っていたのですが、医学部に併設している専門学校だったことから看護学部の学生でも入部できることを知り、続けることにしました。弱小のチームだったため、人生で初めてラグビーで一目置かれる経験をしました。中高で思い描いていた光景を体験でき、とても嬉しかったです。
実際に看護師として勤務されてからどのようなキャリアを歩まれるのでしょうか?
オペ室で働いていましたが、業務も自分に合っていましたし、人間関係も良かったので、この調子で適当にゆるく肩の力を抜きながら頑張ってこうと思っていました。
しかし、24歳で結婚し、25歳の時に第1子が生まれたことで、もっと稼ぎたいと思うようになりました。
というのも、当時の私はかなりの浪費家で、給料日前にタバコを買うか昼ごはんを買うかで悩んだり、ATMに1000円以下しか残っていなくて引き出せなかったりと、良い夫、親とは言えない状態でした。
そして、今後どうしようかと考えた時、看護師の仕事がしたいわけでもなく、それでいて稼ぎたいのであれば職を変えるしかないと思い、二度と看護師の仕事はしないと決意して無謀にも勢いで無職になりました。
その後はどうしたのでしょうか?
25歳で看護師を辞め、個人事業主として働き始めました。
営業の仕事をしましたが、最初は売る力もないので、27歳までは苦しい時期が続きましたが、経験を重ねたことでスキルが身に付き、数字も上がっていきました。
起業を考えたきっかけを教えてください
営業としてようやく安定して成果が出た頃、コロナ禍になりました。その際、オフラインの営業が難しくなったことから、今後どのように商品、サービスを販売しようかと考えた時、SNSを始めようと思いました。
その後、「看護師あるある」を発信したところ投稿がバズり、フォロワーも大きく増えました。SNSが軌道に乗ったことで販路拡大にも繋がりましたが、フォロワーの多くが看護師だったことから、この機会にこの人達が働ける場をつくったら事業がスケールするのではないかと思いました。
そして、実際に事業を始めることを発信した際、多くの看護師が「一緒にやりたい」と手を挙げてくれました。
現在もSNS経由で採用ができているためコスト0円で優秀な人材を雇用できていいることが、会社の成長スピードをあげています。また、会社のビジョンや風土を理解した上で入職してくれるので、採用のミスマッチが起こりにくいことにもメリットを感じています。
今後も積極的に発信を続けていき、認知を増やしていきます。
現在は医療現場をドラマ仕立てにして投稿しています。非常に好評をいただいていますので、ぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/newgate_daityan/
独立されてからどのようなことが大変でしたか?
正直、ARIAを起業してからの苦労はありません。どちらかというと、25歳で何のスキルもない状態で自分の力で稼げるようになるまでが一番大変でした。
どれだけ営業しても売上0の期間が続きましたし、そこをあきらめずに乗り越えることができたことで強靭なメンタルが培われたと思います。だからこそ、今何か問題が起きても動揺することもありません。
本当に独立当初はびっくりするほどお金がなかったです。
どのように乗り越えたのでしょうか?
正直に言うと、ずっとがむしゃらに動いていたら知らない間に結果が出た、という感じです。
きっかけがあったとかではなく、しんどい時期に諦めなかったことが一番大きいと思います。
当時、自分と同じように稼ぐために頑張っていた人達は沢山いましたが、全員が諦めました。でも、私だけは諦めなかったことで、結果が出たのだと思います。
負けず嫌いな性格でしたし、看護師の仕事に戻らないと決めてあらゆる反対を押しのけて進んだ道だったので、結果を出せなくて諦めることは、死んだ方が良いと思うくらいの恥でした。この気持ちがあったので、頑張れたのだと思います。
経営者として、現在どのような仕事のスタイルをとられていらっしゃいますか?
看護師の経験があるといってもオペ室だけですし、私自身は訪問看護をしたことがないので、現場のことは現場で解決してもらっています。採用した人のほうが私よりも経験豊富ですので、そもそも現場のことで私が頼られることもありません。
逆に、私は経営者として仕組みを整えたり、資金調達のための外部機関との交流やSNSの発信に集中しています。
現場のことは信頼して任せ、私は経営者にしかできない仕事に集中した結果、事業を成長させることができました。
今後の展望を教えてください
当社は小児に特化した事業所なので、親和性の高い訪問看護事業だけでなく、デイサービスや相談支援事業所などに横展開させていきたいと考えています。
全国的に訪問看護事業所は山ほどありますが、当社は福祉サービスを網羅することで、地域の利用者さんに「ここに頼んだら安心」と言われる会社になっていきたいです。そのためにも社員数やサービスの実績が重要になっていきます。立ち上げて2年しか経っていないため未熟な部分もあるかもしれませんが、毎日できることを1つひとつ積み重ねていきたいです。
現在従業員が100人近くになっていますが、中間管理職の育成に注力し、安定した組織になるよう内部的な部分を整えながら、ゆくゆくは200人規模にしたいと考えています。
また、看護師としてのキャリアを持っていながらも、育児や介護等のライフイベントによって現場を離れている潜在看護師は推定70万人いるといわれています。
当社では月間4500件の訪問看護を実施しており、日々の記録業務や月末の計画書作成の負担軽減として生成AIを活用していますが、医療文書の作成には専門的な知識が必要であるため、監査をする人材が必要でした。そこで、2025年1月に新たに記録部署設立をして、ママさん看護師1名を採用をしました。
高い時給で在宅勤務で働けることから、潜在看護師の新たな働き口の提供にも貢献できると考えています。
これまでの看護業界にはなかった、頑張ったら頑張った分だけ評価される人事制度や、ライフステージや家庭環境に合わせてキャリアを柔軟に選択できるようにし、医療従事者が報われる世界の実現を目指してまいります。
他の経営者におすすめの本はありますか?
ジェラルド・G. ジャンポルスキー さん著書の『ゆるすということ』がおすすめです。経営者は様々な人と出会い続けますが、中には不誠実な方に会ったり、嫌な経験をすることが多いと思います。
しかも孤独で誰かに当たれるわけでもない中、フラストレーションが溜まってしまい、しんどい状況で一人悩んでしまいがちです。そんな時にこの本を読むと「巡り巡って、許したほうが絶対良い」という気持ちになります。私自身もこの本を読んで実際に2回程メンタルが落ち着いたことがあるので、読んで損はありません。
ぜひご一読ください。
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投稿者プロフィール

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企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
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