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特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン理事長 渡邊 圭氏

今回は特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン理事長、渡邊 圭氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン 会社概要

会社名称 特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン
代表者 渡邊 圭
設立 2001年
主な事業 ・環境学習コンテンツ・アクティブラーニングコンテンツ、イベント制作・実施・レポート制作
・地方創生SDGsアプリケーション開発/普及
・エシカル商品開発/販売
社員数 50名(取材時)
会社所在地 東京都渋谷区神宮前六丁目23番4号 桑野ビル2階
会社HP http://www.forever-green.jp/

 

 

特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーンを始める前は何をされていたんですか?

 

10代から音楽をやっており、プロのミュージシャン(DJ)として活動していました。

また、ジュエリーアクセサリーの会社の社長もしていました。

 

地球温暖化/気候問題に関わるようになったきっかけを教えてください。

 

ミュージシャンとして活動しているとき、フォーエヴァーグリーンの初代理事長と出会ったのがきっかけです。

イベント会場の近くにあった、おでん屋でおばあちゃんと話をしているときに、「えらい教授とかが俺らの音楽を聴いてくれたらな」とこぼしたら、「だったらあんた、うちのお父さんに名刺渡しときな」って言われたのが初代理事長との出会いです。

いきなり「お前、温暖化って知ってるか?」と聞かれ、「なんか温まってるんですか?」という返しをしたのを覚えています。

 

地球温暖化について興味を持たれたのはいつからですか?

 

あるとき、初代理事長に「晩さん会に行くぞ」と言われ、わけもわからずに指示通りに車を出して着いた場所がイギリス大使館でした。その日は地球温暖化の有識者たちの集まりで、イギリス政府の首席科学顧問とかが講演していました。現在の日本の地球温暖化問題の第一人者でもある国立環境研究所の江守さんも講演されていました。

講演の後、江守さんのところには名刺交換のためにすごい行列ができていました。すると初代理事長が「西岡は元気か」って大声で声をかけたんです。西岡さんは江守さんの所属する国立環境研究所の元参与で、初代理事長はその人を呼び捨てにして声をかけたんです。すると江守さんは名刺交換を中断してこっちへ来てくれました。

そしたら「こいつがあんたに話あるみたいだから話してやってくれ」といきなり話の主導権を渡されたんです(笑)。

 

いきなり入った世界だったんですね。ちなみに晩さん会ではどのような議論が行われていたんですか?

 

その当時はまだ地球温暖化は懐疑論が多かったんです。江守さんたちは、懐疑論を更に否定する本まで作るなど必死でした。一番記憶に残っているのは、日本だと地球温暖化などの環境問題への参加は社会貢献など綺麗な言い方をしたがりますよね。でも、イギリス政府の首席科学顧問は気温が32度から33度になるとアイスクリームよりシャーベットのほうが売れるとか、ビジネスの話が多かったんです。

 

どう地球温暖化に”対応していくか”ということに焦点が当てられていました。

温暖化が加速することをヨーロッパ圏の人は良しとしていないから、部屋の中の温度を保つ技術はニーズがあるので投資は断熱材が良いとか、そういう状況があるならヒートフォームに投資しようとか経済の話が印象的でした。どう生き残るかの問題なのです。

英語圏の人々がこういうことを話しているってことは、これから世界のトレンドはこうなっていくんだ、と実感しましたね。そのとき私は、温暖化に対して行動を起こしていくプレイヤーとして、より踏み込んでアクションを起こそうと思いました。2008年頃? だったかな…。もう10年以上前のお話です。

 

これまで地球温暖化/気候問題のお仕事をされていく中で大変だったことはありますか?

 

ソーシャル(社会課題解決)系の業界内は、普通のビジネスとは違う角度の見方をしている方が多いので、周りの人たちからの理解が得られないときは大変ですね。私は環境問題そのものには興味はなく、フラットな目線で課題(SDGs/サスティナブル)に対してのソリューションを考えているだけなんです。

だからこそ、地球温暖化/気候問題についてさほど興味を持っていない人たちに、どうしたら関心を持ってもらえるかについて考えて、同じ目線でアイデアを出すことができるんです。

 

地球温暖化/気候問題の課題の解決は渡邉さんならではの視点ですね。それをビジネスでとなると、おっしゃる通り受け入れられない方も中にはいそうですね。

 

そうですね。

そもそも、「NPOでお金儲けをするもんじゃない」という風潮があります。ボランティアとか奉仕の精神が素晴らしいというのもわかります。ですが、それでは継続できません。

気持ちだけだと、トップが倒れたときに次に意志を継いでやってくれる人が必ずいるとは限らないですよね。その時点で持続可能ではなくなってしまうんです。でも、ビジネスになって回っていればトップが倒れても、次がしっかりと活動を引き継いでいきます。

地球温暖化問題について真剣に考えたとき、私はより多くの人の意識が変われば、そもそも持続可能だなんて言わなくても、地球に優しく暮らすことが普通のことになってきますし、そうなって初めて持続可能な社会が実現できるんだと思います。

『持続可能な社会を』と言っている時点でそれは達成できていないんです。

 

持続可能な社会を実現するための課題について教えてください。

 

そもそものところで言うと、日本人は難しい言葉を使いたがります。『持続可能な社会』とビジネスの場では良く聞きますが、普段のプライベートな会話で使いますか? 日常で使わないような言葉を広めたって意味ないと思います。

しかも、難しい言葉を使ってしまうと、本質が伝えきれない部分もあるので、だったら「世界を救おう」とか、わかりやすく言ってしまったほうがいいと思っています。

 

地球温暖化/気候問題を考えるとき、どのようなことを軸に考えていけばいいのでしょうか?

 

地球温暖化を緩和させ気候への影響を抑えるには、一番は生活者の意識を変えること、行動変容を起こすことが大切だと考えています。意識の高い人たちだけで考えるのではなく、普段全く関心を持っていない人たちに興味を持ってもらうことが大事だと考えています。

地球温暖化/気候問題について考えるとき、日本の啓発活動はロジックを理解させることを中心に行っています。私はロジック等の難しいことは専門家が考えればよくて、それよりも一般生活者たちのモチベーションを高める方法を考えること、物を大切にする文化感を意識することが重要だと思います。

 

地球温暖化/気候問題というと、どうしても難しい言葉とか社会貢献等の高尚なことである、というイメージから避けてしまう人もいますからね。フォーエヴァーグリーンでは、具体的に環境に興味のない人たちにどうやって地球温暖化/気候問題を意識してもらうことをしているんですか?

 

学校などで地球温暖化を解決する“ライフスタイルを学ぶ”イベントを行いました。

茶道をヒントに、子どもたちに一期一会の世界観、そのシチュエーションを理解させます。なので「日本には干支があり、寅年で春ならば、虎が桜の樹の下にいる絵柄の茶器は12年に一度しか使わない」と茶道のもてなし方を伝えます。その上で、iPhoneやGoogleを使わずに、その特別な茶器を用意するにはどうしたらいいかと質問します。「まずは百貨店に行く? お母さんに聞く? 駅前にはある?」とイメージさせると、ザワザワし始め、みんな探せないんです。

そのあとに、この茶器を作った人がいて、それを運んだ人がいて、置いているお店があり、誰かが紹介してくれて、はじめて手に入れることができる。色んな人の力や想いがあって今みんなの前にある、それって大事だよね、という話をします。すると、難しい言葉を使わなくても、みんな物を大切にすることの重要さをわかってくれます。心に訴えるのです。

 

難しい言葉を使わなくても、物をなぜ大切にしなければいけないかが、小さい子でも簡単にわかりますね。他にも事例はありますか?

 

渋谷ハチ公前や川崎の駅前を借りて大規模イベントなども開催してきました。面白かったのは、そのイベントの中で温暖化問題の権威の東京大学名誉教授とアイドル、中学生のスノーボーダー、女性起業家のグループを対談させたことがあります。もちろんどのセッションも話は全くかみ合わなかったんですが、それが狙いでした。私達は今ここまでかみ合わないことをしているんだよ、と双方に自覚してもらえるからです。でも、アイドルのセッションの際は1時間くらい話していると、お互いが歩み寄ってくるんですよね。アイドルの子が「私をデートに誘ってくれる男の子には、エコカーじゃないと嫌だってこれからは言います」って宣言したんです。後日、そのアイドルの子のポスターを見ている男の子に「この子かわいくない? この子がデートにはエコカーじゃないと嫌って言ったらどうする?」って聞くと、「絶対エコカーで行きますね」って答えたんです。

地球温暖化/気候問題に関して、何も難しい話から入らずに、好きな子がこう言ってるから、とかそういう話で解決することもあるんです。

 

地球温暖化/気候問題の話をせずに、人を無意識のうちに環境に関心を持たせるのはすごいですね。今後のビジョンは何かありますか?

 

2022年11月26日(土)、27日(日)に有楽町の駅前広場を中心に有名女性誌、ライブ配信アプリを活用してSDGsを発信する大型啓発イベント『ピースフォーアース2022有楽町』(https://www.peace4earth.org/2022yurakucho)を開催予定です。加えて、地域密着版としてフリーマーケットベースの『ピースフォーアース』2022浜町公園を5月22日(日)に開催予定です。

普通の企業と一緒で、これらのイベントの協賛を集める活動を行うのですが、大手の企業とタッグを組むことはできますが、予算の獲得には苦労します。

 

他、法政大学の学生を中心に、約30名の学生インターンと一緒に実施しているフードロス事業では三越伊勢丹さんと商談させてもらうなど、活発に活動しています。アイデアは尽きないですし、クリエイターも沢山いますが、やはり資金面は大変ですね。

 

最近、私が人に言うのは「次の1000年を作る気があるか」ということです。その覚悟がある人と仕事がしたいです。日本文化の価値をより高め「日本人がいたから今がある」と、3001年がやってきたとき言われるような事業を展開したいです。

 

 

渡邊さんが経営者におすすめする本を教えていただきました!

 

『今をどう生きるか-あなたを変える“和”のちから-」 福島 祥郎 (著), 椎名 勲 (著)

東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの前社長である福島祥郎氏と、メーカー役員経験者である椎名勲氏による、日本の若者に向けたメッセージ。

今の日本が抱える問題点を検証するとともに、これからの日本人にとってプラスになる先人の知恵(日本人と日本文化のすばらしさ)を再認識することで、日々の行動や生き方の指針を示す。

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!