今回は阪南倉庫株式会社代表、堀畑浩重氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 阪南倉庫株式会社 |
代表者 | 堀畑浩重 |
設立 | 大正12年(1923年) |
主な事業 | 倉庫/運送取扱/荷造包装/損害保険代理業/ 不動産賃貸/情報処理/健康自立介護 |
社員数 | 310名(取材時) |
会社所在地 | 大阪府堺市堺区大町西3丁2番3号 |
会社HP | https://capsohn.co.jp/ |
事業内容を教えてください
阪南倉庫株式会社は南大阪最古の営業倉庫です。
倉庫業とは、お客様の商品を預かり大事に保管し、他の場所に出荷する配送の手配までをサービスとして提供する仕事ですが、近頃は流通加工の作業も倉庫業務に含まれます。通常、流通加工作業は店舗が担う業務ですが、人材不足から当社で荷物を包み直したり、アパレルのお客様であれば商品をハンガーにかけたりと様々な作業もサポートをさせていただいております。
また、倉庫の機能として品質保持、価値転換、時間調整、単位調整、店舗補助、情報補助が挙げられますが、阪南倉庫では新たに情報連携を駆使した「物流設計機能」をプラスすることで、お客様のニーズに応えられるよう努めています。倉庫は自然と商品や情報が集まるところであるため「情報集積センター」としての役割も担っており、当社では経済活動を生み出す仕組みそのものが「倉庫」であると捉えております。そして様々なつながりをコーディネートし、人と人、商売と商品、お金と情報をつなげて、社会を支えられる存在となるよう、日々業務にあたっています。
まずは堀畑社長について色々とお伺いしたいです。学生時代はどんなことに打ち込んでいましたか?
小学校低学年から高校3年生まで剣道に打ち込んでいました。高校では副キャプテンに任命されて、大阪でベスト8まで進みました。幼い頃から真剣勝負を幾度となく経験したことで、自分なりに緊張をうまく受け流す術を学びました。
その後上京を目標に大学受験をしましたが、第一志望には手が届かず、神戸学院大学経営学部に進学しました。なぜ経営学部を選んだかというと、阪南倉庫株式会社が家業なこともあり、元々興味を持っていた分野だったからです。
そして、大学生になってからは当時最先端の流通業であった地下食品売り場でアルバイトをしていました。
当初は清掃業務を担当していたのですが、少しずつ仕事を任されるようになり、次第に店内のレイアウトやPOP作り、温度管理などを担当するようになりました。やればやる程仕事ができるようになっていくのが面白く、学校が休みの時はフルで勤務していました。そのうち、だんだんと店舗経営の議論に関わるようになり、経営合理化のためにセントラルキッチン化の議論や、在庫管理、経営管理、顧客満足度について店員の皆さんと夜な夜な酒場で語り合いました。
就職活動ではどのような業界を受けましたか?
ちょうど就職氷河期でしたが、製造業やアルバイト先の流通業者から内定をいただくことができました。しかし内定をいただいた後に、流通や物流への興味がそのまま家業への強い想いに繋がったことで、4代目として事業を引き継ぐことを決意いたしました。
私は探求心が旺盛で、何か興味を持ったことに対して、とにかく突き詰めて明確に理解したいという欲求に駆られます。
そのため、家業の物的流通についてまずはしっかりと学びたいと考え、イギリスの物流専門機関であるクランフィールド大学の修士課程に留学しました。大学の学長が物流のスペシャリストで、マーケットで優位性を得るためには物流が大切だと説いており、マーケット内で勝つためにロジスティクス物流がどう経営に貢献できるのかを論理的に学ぶことができたことは、現在事業を行ううえでもとても役に立っています。
帰国後はどのようなキャリアを歩むのでしょうか?
帰国後、業務の基礎が全く分からない状態だったので、まずは家業を知ることが重要だと思い、自分で研修プランを作成して社長である父親に提出しました。そして3年かけて全営業所をまわり業務を理解するだけでなく、お客様や従業員としっかりコミュニケーションをとりました。
研修が終わってからは、常に経営計画を作り、会社の問題をどのように解決していくか試行錯誤しました。そのとき大切にしていたのは、私一人で進めるのではなく、スタッフと話しながら少しずつ会社を変えていくことです。
短期間での変化を感じることはありませんが、5年〜10年の長期スパンで見ると、大きく会社が変わっています。現に、物事をスタッフ自身で判断し行動する力が付いていますし、仕事の到達点さえイメージしてそれを伝えれば、スタッフが理解してくれて、動いてくれる形を取れています。
社長に就任された経緯を教えてください
社長就任前に10年ほど専務職に携わり、私が経営に関して判断する比率が少しずつ増えていました。私は役職には全くこだわりはなかったのですが、ある時父から「もうそろそろ社長を引き継ごう」と言われたことがきっかけで、2017年、私が48歳の時に社長に就任しました。いきなりのタイミングだったのでとても驚きましたが、社長就任後は改めて創業の理念を回帰して、ビジョンマップを作成しました。
なぜビジョンマップを作られたのですか?
これから10年後、20年後に私が次の世代に会社を引き継いだ時のためです。
お客様により良い物流のご提案をし続けるためには、お客様のマーケティング戦略を理解し、その戦略に基づき物流を合理的に設計する必要があります。しかし、物流業者でそれを提唱している会社がない状態なので、まずは社内の意識改革と理念の浸透が最優先だと考え、ビジョンマップの作成に着手しました。
そして35歳以下の若手社員を中心に15人ほどのプロジェクトメンバーを組み、半年ほどかけて一緒にビジョンを作りました。
プロジェクトでは同業他社にお邪魔したり、役員と話す機会を作り議論を重ねることで、最終的に我々はどこにたどり着こうとしてるのかをまとめてビジョンマップに落とし込み、それに沿ったWEBページも制作しました。
また、もっと一般の方にも物流を知ってもらおうと、私が今まで学んできたことを発信する社長ブログを始めました。現在ブログはお休み中ですが、今後少しずつ書いていきたいと思っています。業界のことが学べると思いますので、是非読んでみてください。そして採用も積極的に募集していますので気になった方はぜひご応募ください。
URL:https://capsohn.co.jp/blog/
採用ページ:https://capsohn.co.jp/recruit/
社長になってからどのような困難がありましたか?
会社が安定的に成長するために新規獲得にかなり力を入れ、コンペにも積極的に参加し最終選考まで残るのですが、有名企業でなかったり事業規模が小さかったりと、すぐに解決できない理由で負けることが多く、大手企業様にどのようにお客様になっていただくかが最初の壁でした。
どのように解決されたのでしょうか?
「大手となかなか契約できない」という悩みを同業の先輩社長に相談したところ、情報交換ができる場があると若手経営者が集まる全国規模の協議会を紹介していただきました。そこで、ロジスティクスマーケティングの戦略を話していくうちに様々な人脈を築くことができ、情報システム会社と当社を繋いだ仕組み作りが実現したことで、提案の幅を増やすことができるようになっていきました。また拠点を増やす努力や国際物流の展開をすることで、大手からもお声がかかるようになりました。
他にも取り組んだことはありますか?
早いタイミングから女性が活躍できる倉庫作りを心がけてきました。そのおかげで業界としては非常に珍しく、社員の半分が女性です。また全国規模で仕事をしていますが、勤務地は南大阪の2ヶ所のみなので、転勤がなく地元に根ざした生活を送りたい方には最適な環境だと思います。
これからも当社の良さを周りの友人や家族に伝えてもらい、雇用を生み出す会社にしていきたいです。
堀畑社長が経営する中で大切にしていることはありますか?
「五感主義」といって、先手主義・得手主義・手に職主義・関わり合い主義・思いやり主義の5つを大切にしており、スタッフにもこれを伝えています。
また私はスタッフのそれぞれの個性を伸ばしたいと思っているからこそ、スタッフ配置には気をつけています。
例えば明るい人に対して、積極的だと捉える人と騒がしいと捉える人がいますよね。個性には長所も短所も含まれていますので合わない仕事をしていたり居づらいチームにいる場合は、スタッフの個性を考慮した配置を実行しています。
人間関係を理由に退職してしまうことが多いと思うので、丁寧に人事を考えることで、退職率を食い止めています。
他にも貴社で働く魅力を教えてください
物流業と聞くと、同じ作業を繰り返しの仕事だと想像されますが、当社にはお客様に接する機会や、社内で議論して自分の考えを伝える場面が多くあります。倉庫業だからこそ、様々な業界に対しての知識を深められますし、消費市場の中で勝ち残るためにアイディアを考えて実行することも可能です。
そもそも、注文があるのに私たちが商品を届けられなければお客様の商売は成立しないので、お客様が成功するか、しないかは私たちにかかっています。そのため、未来に向けて「目的」を持って仕事ができるのが、魅力の1つだと考えています。
他にはイベントが多いのが特徴です。年に1回日帰りバス旅行開催したり、11月の第1土曜日に運動会をしたりしています。また全社員を集めて忘年会をしています。
イベントには家族も参加できるので大人数で楽しめますし、社長や取締役も参加するので、役職や部署の垣根を越えて交流できるところがポイントです。
今後の展望を教えてください
より一層、物流目線で経営課題を解決できるように多くの企業様をサポートしていきたいです。
実際に当社に物流をお任せいただいたことで、営業利益が3%から5%に伸びている会社もあります。
お客様が経営に集中することで回転率が上がり、在庫が圧縮されてキャッシュが増えれば、新しいチャレンジの可能性が広がるので、そこから新商品を作ったり、生産部の拡張、店舗投資などに展開することができます。
そしてそのためには、今起こっている事象を分析した上で、解決できるような方向性を作り上げていかなければなりません。
阪南倉庫株式会社は、多くの企業と連携してより合理的で継続可能な物流の仕組みである「物流設計機能」をブラッシュアップすることで、次々に変化する流通の世界で新たな挑戦を続けていきます。
他の経営者におすすめの書籍を教えてください
3冊ご紹介します。
1冊目は青木正一さんの『ビジュアル図解 物流のしくみ』です。物流について丁寧に解説されているので、良い入門書になります。
2冊目は上橋菜穂子さん著書の『鹿の王』も好きです。命の根源と遺伝子による設計、魂の繋がり、医学会と宗教界のせめぎ合いなどが描かれています。とても感動する本なのでぜひ読んでみてください。
3冊目は芥見下々さんの『呪術廻戦』です。マンガも好きで多くの作品を読んでいます。
気になった本がありましたら、ぜひ一度読んでみてください。
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投稿者プロフィール
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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!
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