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株式会社アップルゲートジャパン代表 小畑 和彦氏

  • 03/27/2025
  • 03/24/2025
  • 仕事
  • 28回

今回は株式会社アップルゲートジャパン代表、小畑和彦氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

 

会社名称 株式会社アップルゲートジャパン
代表者 小畑和彦
設立  2001年2月6日
主な事業 建築資材、建築用機械の仕入れ、販売

建築資材、建築工事用機械の輸出入

アップルゲートセルロース断熱の仕入れ、販売

セルロースマシーンの製造、販売

建築資材の保管及び管理

住宅建築資材の設計及び技術開発

社員数 4名(取材時)
会社所在地  東京都台東区蔵前2丁目5番3号 筑摩書房ビル8階
会社HP https://applegate.co.jp/

 

 

事業内容を教えてください

株式会社アップルゲートジャパンは、セルロースファイバーという断熱材をアメリカから輸入し、全国に販売している会社です。

ミシガン州に本社を持つアップルゲート・インシュレーション社のセルロース断熱は、セルロース断熱が普及しているアメリカで最高の断熱材として認められており、施工工程管理の品質の高さは他社の追随を許さず、建築専門家の間でも高く評価されています。

アップルゲートジャパンでは、その全米No.1品質の断熱材を用い、アメリカで認められた最高水準の施工技術を日本に導入して、セルロース断熱の普及に努めています。アップルゲートジャパンの認定施工会社および認定施工技術士は、高い知識と技術を備えた専門家として認められており、現在加盟店は全国85店で お客様に快適でやさしい暮らしをおとどけしています。

 

セルロースファイバーとはどのような断熱材なのでしょうか?

セルロースファイバーは、新聞紙などの古紙を再利用して作られた断熱材です。ホウ酸とPF24が含まれており、これが耐火材の役割を果たします。紙を壁の中に入れると燃えやすいのでは? と思われるかもしれませんが、この耐火材おかげで燃えにくくなります。また、でんぷんのりを混ぜることで壁にしっかりと付着し、施工後にズレたり落ちたりしないという特長もあります。一般的な断熱材にはさまざまな種類がありますが、セルロースファイバーは自然由来の素材であるため、安全性が高く、シックハウス症候群の原因となる物質を含みません。さらに、家の温度を一定に保つ効果があり、快適な住環境を実現できます。また、近年のSDGsの観点からも、古紙を再利用するという点が評価されており、環境に優しい建材としても注目されています。

 

どうしてセルロースファイバーを扱おうと思ったのでしょうか?

日本では断熱材はそれほど重視されていない中、当社の先代の代表が25年前にアメリカでセルロースファイバーと出会いました。そして、それを日本に持ち込み、事業をスタートさせたのが始まりです。

日本の住宅は、約25年ごとに建て替えが行われるのが一般的ですが、アメリカでは100年以上使われる木造住宅もあり、日本との違いを考えた時に壁の中が問題じゃないかという見解に辿り着きました。そして、アメリカの住宅で広く使われていた自然由来の断熱材、セルロースファイバーに出会い、日本の住宅に展開していきました。

 

ここからは小畑社長のことをお聞かせください。学生時代はどのようにお過ごしでしたか?

特段変わった子どもではありませんでした。長崎の壱岐という島で育ち、親子何代も続く漁師の家に長男として生まれました。漁業が盛んな町だったので、同級生の3割くらいは自然と漁師になるような環境でしたし、私も中学を卒業したら漁師になるものだと思っていました。

しかし、父親が「漁業は今後厳しくなるから高校に行きなさい」と勧めてくれて、進学を決意しました。高校は商業高校に進みましたが、特別に強い関心を持つ分野があったわけでもなく、部活でバレーボールをやっていましたが、特に頑張っていたわけではありませんでした。

 

高校卒業後の進路を教えてください

商業高校だったので、求人は販売系の仕事がほとんどでした。私も最初の就職先が日用品の販売の仕事で、転職を繰り返していました。ある時、たまたま職場の同期が工務店の息子で、「働かないか」と声をかけてもらったことがきっかけとなり、建築業界に足を踏み入れました。

 

なぜ工務店の仕事をしてみようと思われたのですか?

工務店で働く前に実はマンション販売の仕事を経験しました。「住まい」に関する知識を仕事をしながら身につけていきましたが、同時に不満も感じるようになりました。なぜなら、マンション販売は、決まった間取りやデザインの中からお客様に選んでもらう形なので、自由度が少ないからです。それに対して、戸建住宅は土地に合わせた家づくりができるので、想像力がかき立てられます。これが、のちに工務店で働き始めるきっかけにもなったと思います。

 

工務店に入られてからは、どのような経験を積まれましたか?

最初に入った工務店は小さな会社だったので、営業、設計、現場管理と、すべてを自分一人でやらなければいけない大変な環境でした。しかし、工務店で幅広い業務を経験できたことが、独立を意識する大きなきっかけになったと思います。もし営業だけやっていたら、今も会社員として働いていたかもしれませんし、現場監督だけをやっていたら、独立することは考えなかったかもしれません。とても密度の濃い3年間でした。

その後、ヘッドハンティングで別の工務店に転職しました。会社の立て直しを任される形で転職しましたが、残念ながらその会社は倒産してしまいました。

その時すでに工務店での経験も積んでいましたし、「自分でやるしかない」と思いました。もちろん不安もありましたが、それよりも「自分ならもっと良い家づくりができる」という気持ちの方が強く、起業を決意しました。

 

どのような事業を行なっていましたか?

元々工務店で取り扱っていたセルロース断熱の販売店として、エージェイエフ有限会社を立ち上げました。

これまでエンドユーザー向けに仕事をしていたので、プロである工務店さん相手に断熱の話をするのはハードルが高かったです。また、横のつながりもなかったので、工務店の知り合いを作るのに苦戦しました。初年度の売り上げが200万円で、毎日やめようと思っていましたね。

ですが、そこで諦めずに工務店との横のつながりを作るために何でもやりましたね。年配の工務店経営者と会う機会をつくっては、高性能住宅に関して全く知識のない方々に、セルロース断熱を導入するための間取り図面作成まで無料で提供しました。

すると、ある社長に気に入ってもらい、「定期的にセルロースを使うから図面を作ってくれ」と依頼されるようになりました。他の会社にはできないサービスを提供したことが、当初の強みになりました。

 

セルロース断熱を使ってもらうために、どのようなこと困難がありましたか?

セルロース断熱について説明すると「新聞紙を再利用するのにお金を取るのか」という反応が多かったです。以前このアップルゲート社を作ったアーロン・アップルゲートさんに会いにアメリカに行ったときにアップルゲートを始めた時も同じことを言われたと懐かしそうに仰っていましたね。現在の住宅では気密性を高めるだけで、湿度を無視する傾向がありますが、セルロース断熱を導入すれば、調湿性能の向上を実感できるので、皆様に理解を深めてもらいたいです。

 

起業された会社をご子息に譲られ、ご自身はアップルゲートジャパンに入社後社長就任されていますが、なぜこの判断をされたのですか?

事業承継の課題を目の当たりにしたことが大きな理由です。多くの工務店では、社長が長く経営を続け、息子が40〜50歳になってようやく引き継ぐというケースが多いですが、私は早めに継承し、伴走しながら育てる環境を作りたいとイメージしていました。セルロースの売上は日本で当社が1/2を占めていることもあり、事業を軌道に乗せた後、私は東京に引っ越し、現在の会社に社員として入社後、代表に就任させていただきました。

 

社長就任後、特に苦労したことは何ですか?

アフターコロナの影響が大きく苦労しています。食品の物価も上がっているのと同様に建材の高騰により、コストが2〜3割上昇しました。結果として新築の着工数が減少し、売上の伸び悩みに悩んでいます。

セルロースは専門スタッフによる施工が必要なので、その分コストがかかります。コストがかかるとなかなか選択肢に入れて頂くことが難しくなりますが、打開策として、あいおいニッセイ同和損保と「セルロースを入れると火災保険が安くなる仕組み」を開発・導入しました。35年間の火災保険料が約100万円削減されるため、ランニングコストの面でお得になることをアピールしています。

今後も高性能な住宅づくりの普及活動をしていきたいです。以前はセルロース断熱の必要性を理解してもらうために、説明会やセミナーを積極的に行なっていましたので、今後は関東でもセミナーを開催して、さらに認知を広げていきます。

 

経営する中で大切にしていることはありますか?

何よりも社員を大切にしています。創業当初は仕事が楽しく、家族や社員を顧みず働いていましたが、今は残業を極力減らし、働きやすい環境を意識しています。

また、決算後に「経営計画発表」を行い、会社の方向性を社員と共有しています。7〜8年前に当社の課題として「社長の思いが伝わらない」ことに気づき、それ以来、意識して経営方針を伝えるようになりました。正直、大きな変化は感じていませんが、伝えることが大切なのでこれからも続けていきたいです。

 

今後の展望はありますか?

アップルゲートジャパンはアメリカから材料を仕入れて、全国の施工店さんに販売する会社なので、円安や貿易による運送運賃の高騰などで施工店に迷惑をかけることがあります。そのため、日本に工場を造りたいです。また、先代の社長たちに恩を返すのがもう一つの目標です。現在の売上ではまだ工場を作ることができないので、もっと営業を頑張り、5年で5倍の売上になるよう、邁進しています。

 

経営者におすすめの書籍はありますか?

横山光輝さん著書の漫画の『三國志』『項羽と劉邦』がおすすめです。人間関係を学ぶことができますし、キャラクターを観察するとマネジメント方法が見えてくるのが面白いです。

ぜひ読んでみてください。

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!