
今回は株式会社TalentX社長、鈴木貴史氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
| 会社名称 | 株式会社TalentX |
| 代表者 | 鈴木貴史 |
| 設立 | 2018年5月28日 |
| 主な事業 | AIネイティブ採用を実現するタレントアクイジションプラットフォーム「MyTalent Platform」の企画、開発、提供及び運営(「MyTalent CRM」、「MyTalent Brand」、「MyTalent Refer(MyRefer)」、「MyTalent Hire」等) |
| 社員数 | 約144名(2025年12月時点、連結従業員数) |
| 会社所在地 | 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4-8 神楽坂プラザビルG階 |
| 会社HP | https://talentx.co.jp/ |
株式会社TalentXの事業内容と強みについて教えてください
TalentXは、AIやテクノロジーを使って企業の採用活動を変革する会社です。日本初のAIネイティブな統合型タレントアクイジションプラットフォーム、「MyTalent Platform」というサービスを主に提供しています。
これまでの日本の採用といえば、人材紹介会社や求人広告に頼るのが当たり前でした。ただ、それでは企業自身の採用力はなかなか育たず、毎年費用をかけても何も積み上がらない状態が続いてしまいます。
そこで私たちが提供しているのが、企業が自分たちの力で採用できるようになるためのプラットフォームです。これまで1,000社以上に導入いただいており、そのうち約65%が大手企業です。
「MyTalent Platform」の各サービスについて、詳しく教えてください
「MyTalent Platform」は「MyTalent CRM」「MyTalent Brand」「MyTalent Refer(MyRefer)」「MyTalent Hire」という4つのサービスで構成されていて、1つのIDでオールインワンで使えるようになっています。
リファラル採用プラットフォーム「MyTalent Refer(MyRefer)」は、外部の人材紹介会社に頼る代わりに、自社の社員に候補者を紹介してもらう「リファラル採用」を支援するサービスです。社員の信頼関係を通じた紹介なので、入社後のミスマッチも起きにくくなります。
AIネイティブ採用CRM「MyTalent CRM」は、企業が自前の候補者データベースを構築するサービスです。たとえば、採用選考で一度会ったけれど他社に行ってしまった方や退職されたアルムナイの方のデータなど、多くの企業ではそのまま捨てられています。「MyTalent CRM」ではそうしたデータを蓄積しておき、AIがその方の転職意欲が高まったタイミングを検知して、自動でアプローチできます。
採用ブランディングサービス「MyTalent Brand」は、外部の求人サイトに掲載する代わりに、自社で採用ページや採用オウンドメディアを作るためのサービスです。これまでは制作会社に依頼するのが一般的でコストや手間がかかりましたが、「MyTalent Brand」ならプログラミングの知識がなくてもノーコードでコンテンツを作成できるため、自社で運用できます。
2026年3月にリリースしたATS(採用管理システム)「MyTalent Hire」は、応募者データを管理するだけでなく、面接調整や書類選考などのオペレーションを自動化、人事は管理業務から解放され、候補者体験の設計や候補者フォローなどのコア業務に集中できます。さらに、「MyTalent Hire」では、他の3サービスで集まった応募者データの統合管理が可能です。蓄積された応募者データも「MyTalent CRM」によって未来の候補者として継続的に育てることで、いつかは転職を考えている「転職潜在層」の獲得につながります。
この4つを組み合わせることで、外部サービスへの依存を減らしながら、自社の採用力を着実に高めていけるのが「MyTalent Platform」の強みです。
「社長の履歴書」を通じて、読者に特に伝えたいことはありますか?
「採用は、経営そのものだ」という考え方を伝えたいですね。
採用というと、担当者が求人を出して応募を待つもの、というイメージを持たれがちです。でも本来は、会社を成長させるための大切な経営戦略の一つだと思っています。そういう「採用マーケティング」という視点を、もっと多くの経営者の方に知っていただきたいと思っています。
それともう一つ、TalentXは今「令和を代表する会社を創る」という目標を掲げて動いています。アライアンスなども積極的に進めていますので、同じ方向を向いて一緒に動いてくださる経営者の方とつながれたら嬉しいです。
ちなみにクライアントはどのような企業が多いのでしょうか?
規模も業種もさまざまです。ベンチャーや中小企業から大手企業まで幅広くご利用いただいており、業種もIT、製造、不動産、金融、小売、飲食など、特定の業界に偏ることなくあらゆる企業にご活用いただいています。
弊社の事業の詳細についてはこちらをご覧ください。
ここからは鈴木さんのルーツやお人柄を知るために、学生時代のお話を聞かせてください
実家は室町時代から600年以上続く、和歌山のお寺です。幼い頃から伝統を守る環境で育ちましたが、外に出ると性格はまるで逆で、既存のルールに縛られずに新しい遊びやゲームを作ることが大好きでした。周りを巻き込んで面白いことを仕掛けるのが、子どもの頃からの自分の性分でしたね。
サッカーは幼少期からずっと続けていて、本気でプロを目指していた時期もありました。バンドのボーカルもやって、大学時代はオーディションを受けたり、アーティスト活動の一環としてクラブで歌ったりもしていました。
サッカーもバンドも、振り返ると共通していたのは「自分の熱量で人を動かす」という感覚です。うまく立ち回るよりも、自分が新しいものを生み出して人を巻き込んでいく。そういうことが純粋に楽しかったし、それが今の仕事にもつながっていると思います。
熱中したサッカーとバンドについて、それぞれもう少し詳しく聞かせてください
サッカーは小学校から続けていました。また、通っていたのは和歌山の進学校で、もともとサッカーが強い学校ではなかったんです。でも私たちの代からちょうど学区外からも入学できるようになって、サッカーが得意で頭もいい仲間がどんどん集まってきました。みんなで本気で取り組んだ結果、約40年ぶりに近畿大会に出場できました。勉強中心の進学校が、サッカー一筋の学校にどう勝つかを考えながら戦っていたあの経験は、今でも忘れられません。
音楽は幼い頃からずっと好きで、お寺でお経を読んでいた影響もあるかもしれません。高校でバンドを組み、大学ではEXILEのボーカルオーディションなど、さまざまな挑戦をしました(笑)。あるオーディションで最終選考まで残ったこともあります。ただ、当時のオリコンチャートを見ていると、歌の上手さよりもマーケティングの力が結果を左右している現実が見えてきました。良い作品でも届け方次第で世に広まらないことがある。そう気づいたとき、音楽の道への迷いが生まれ、別の道を考え始めました。
起業をするという道を選んだきっかけは何だったのでしょうか?
はっきり決意したのは大学時代です。2008年頃にニューヨークへ留学していたとき、現地のルームメイトたちが皆Facebookを使っていて、強い衝撃を受けました。当時の日本ではmixiやモバゲーが主流で、Facebookはほとんど知られていませんでした。
帰国後に調べてみると、Facebookはすでに世界中で使われているサービスになっていて、しかもそれを作ったのが自分とほぼ同世代のマーク・ザッカーバーグ氏だった。「世の中を変えるようなサービスって、国や大きな組織じゃなくて、個人でも作れるんだ」と、本当に驚きました。
それまで世の中を変えるといえば政治家かアーティストくらいしか思い浮かびませんでしたが、政治家として影響力を持つには何十年もかかりますし、アーティストは良い作品を作っても必ずしも世に広まるとは限らない。でもビジネスなら、良いものを作れば確実に広げていける。その気づきが、起業を目指すきっかけになりました。
新卒で株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社されたとのことですが、社会人になってから起業までの流れを教えてください
新卒で入社したインテリジェンスは、起業家をたくさん輩出している会社で、将来自分で会社を立ち上げるためにも、若いうちにしっかり経験を積んでおきたいと思っていました。インテリジェンスの創業者であり、U-NEXTの現社長でもある宇野さんも、当時から尊敬していた起業家の一人でした。
入社後は、企業の中途採用を支援する法人営業を担当し、主にIT系の大手企業の採用コンサルティングに携わりました。仕事を通じてHR業界の現場を深く知るなかで、採用の仕組みに対する大きな疑問が生まれてきました。
一番感じたのは、多くの企業が外部の人材紹介エージェントに頼りすぎているという問題です。担当者が変わるだけで採用の質が落ちてしまいますし、人材紹介の手数料は年収の35%と非常に高く、年収800万円の方を1人採用するだけで約300万円のコストがかかります。それでも数ヶ月で辞めてしまうケースもある。これって本当に、会社のためになっているのだろうか、とずっと感じていました。
外部に頼らず、企業が自分たちの力で採用できるようになるにはどうすればいいか。その問いを追い続けた結果が、TalentXの創業につながっています。
インテリジェンス時代に「今の自分につながっている」と感じるエピソードや学びがあれば教えてください
当時は、とにかく夢中で働いていました。土日も返上して、会社の自販機で買ったパンを食べながら、どうやったら仕事がうまくいくのかをずっと考える毎日でした。「3年以内に起業して、世の中に必要とされるインフラのようなサービスを作る」という目標が明確にあったので、そこから逆算してすべて行動していました。
入社してすぐ、先輩たちに「偉大な起業家になります!」と宣言したので、最初は「なんだこいつ」という目で見られていました(笑)。でも目標に向かってひたむきに動き続けていると、だんだん応援してくれる人が増えていったんです。大きな夢を持って本気で動けば、周りはちゃんと見ていてくれる。そのことを若いうちに体感できたのは、大きな財産だと思っています。
仕事の面でも、インテリジェンスは良い環境でした。インテリジェンスが運営していた「doda」は、当時リクナビほど知名度がなかったので、ブランド力だけでは勝負できませんでした。自分自身の提案力やコンサルティングの質で差をつけるしかなかったことが営業としての力を鍛えてくれました。
また、若手がどんどん上を突き上げていく組織の雰囲気も、今に活きています。仕事を楽しみながら組織全体が盛り上がっていくあのカルチャーは、TalentXの組織づくりを考えるうえでも大きなヒントになっています。
インテリジェンスに入社する前に、すでに起業を考えていたのでしょうか?
はい、入社前から決めていました。実は新卒の面接のときに「3年後に起業します」と正直に伝えていたんです。普通はそれで落とされそうなものですが、インテリジェンスは嫌な顔ひとつせず受け入れてくれました。今でもありがたいと思っています。
起業のタイミングも「なんとなくそろそろかな」ではなく、最初から「3年経ったら動く」と決めていました。有言実行という形でしたね。
もともと人材業界で起業しようと考えていたのですか?
人材業界と最初から決めていたわけではありませんでした。大学時代に「ビジネスで世の中に新しいインフラを作る起業家になりたい」と思ったとき、そこへの一番の近道はどこかを考えたんです。
多くの起業家を輩出していて、ベンチャーらしい熱量がありながら、ある程度の規模もあって優秀な仲間も集まってくる。当時のインテリジェンスは私にとってそういう会社で、自然と選んでいました。
3年後に起業されたとのことですが、それがTalentXの前身になるのでしょうか?
はい、現在のTalentXに社名変更した株式会社MyReferが原点になります。
リファラル採用を活性化するサービス「MyRefer」を、コーポレートベンチャーとして創業しました。
大きな資金調達の後、当時まだ存在しなかった市場を創る挑戦をしてきましたが、採用市場そのものを変革していきたいという想いから、2018年に起業し、株式会社MyRefer(現TalentX)を設立しました。その後、MyRefer事業をMBO(事業譲受)し、採用マーケティングプラットフォームへと進化させ、現在に至ります。
経営者として独立されてから、どのような苦労がありましたか?
苦労はたくさんありましたが、一番大変だったのは、世の中にまだない概念のサービスをゼロから広めることでした。
2015年9月に「リファラル採用」というサービスをリリースしたとき、当時の日本には「リファラル採用」という言葉自体がほとんど知られていませんでした。リリース直後は「こんなサービスがあるのか」と話題になり、約200社からまずは無料での申し込みが殺到しました。ところがその後、実際にサービスを使い続けてくれた企業は、そのうちの10%ほどしかいなかったんです。
当初は、無料でサービスを広めながらプラットフォームを育て、成果報酬で事業を成長させていく計画でした。でも実際には、「リファラル採用」という考え方自体が企業にとって新しすぎて、テクノロジーを使う以前の段階でつまずいてしまっていたんです。
たとえば「土日に社員が知人を紹介するのは労働にあたるのか」「紹介した社員にインセンティブを払うと職業安定法に違反するのではないか」といった疑問が企業から次々と出てきました。そのたびに社労士のような対応をしながら、労働組合向けの説明資料まで作っていました。
思い描いていた成長には程遠く、事業の方向性を見直さなければならない場面もありました。サービスを広める前に、まず「リファラル採用」という概念を社会に根付かせるところから始めなければならなかった。あの時期の苦労は、今でも忘れられません。
その苦労をどのように乗り越えてきたのでしょうか?
一番大きかったのは、「この事業の未来を確信していた」ことです。どれだけ苦しくても、その気持ちだけは折れませんでした。
AmazonもGoogleもAirbnbも、最初は赤字を出し続けながら、後になってその考え方が当たり前になっていきました。特にAirbnbは、iPhoneすら普及していない2007年にシェアリングエコノミーという新しい概念を掲げ、投資家に60回断られても諦めずに続けた結果、世界的なサービスになりました。「リファラル採用」も、当時の日本ではまだ知られていなかったけれど、海外ではすでに広まっていた。だから「いつか必ず日本でも当たり前になる」という確信がありました。
具体的な乗り越え方としては、1社ずつ丁寧にコンサルティングしながら、成功事例を積み上げることに徹しました。最初のお客様は大手自動車メーカーで、1年かけて一緒にリファラル採用の仕組みを作り上げました。そうして先駆けとなる企業が動き始めると、「あの会社が導入したなら」と周りも動き出し、少しずつ市場が変わっていきました。誰も正解を知らない領域だからこそ難しかったですが、その分やりがいも大きかったです。
もう一つ支えになったのは、仲間の存在です。まだ5人ほどの小さなチームだった頃から、全員でキックオフをやっていました。月間の採用決定がたった2件のときでも、「この2件の人たちの人生を変えた」と全員で本気で喜んでいました。同じ未来を信じて、同じ方向を向いて進める仲間がいたことが、あの苦しい時期を乗り越えられた一番の力だったと思っています。
最後に、TalentXとしての今後の展望をお聞かせください
日本が今まさに直面している大きな問題の一つが、少子高齢化による労働人口の減少です。日本の一人当たりのGDPは、今や40位まで下がってしまいました。その背景にはさまざまな理由がありますが、私は企業の採用のあり方も大きく関係していると思っています。
外部の人材紹介に頼りすぎたり、「とりあえず新卒をたくさん採っておけばいい」という考え方が長く続いた結果、優秀な人材が海外に流れ、日本の競争力が下がっていったのではないか。そう感じています。
私たちが変えたいのは、採用に対する意識です。採用は「担当者が求人を出して応募を集める作業」ではなく、「会社の未来を左右する経営戦略の一つ」だと思っています。海外では、会社を立ち上げるときの最初のメンバーに、エンジニアやデザイナーと並んで採用のプロを入れるのが当たり前になっているほどです。
日本企業の採用力を高めることで、日本全体の競争力を上げていく。TalentXはそういう会社を目指しています。
経営者の方におすすめの本を教えてください
まず自著になりますが、『人材獲得競争時代の戦わない採用「リファラル採用」のすべて』を挙げさせてください。リファラル採用という考え方を、理念だけでなく具体的なやり方や実際の事例までまとめた本です。外部に頼らず自分たちで仲間を集めるためのヒントが詰まっています。
経営者へのおすすめという意味では、『ビジョナリーカンパニー』シリーズも外せません。なかでも『ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる』は、これから起業する方や会社を成長させたい方にとって、多くの気づきがある一冊だと思います。
もう一冊挙げるとすれば、『ウォー・フォー・タレント 人材育成競争』です。マッキンゼーが書いた本で、グローバルではすでに「優秀な人材をいかに獲得するか」が企業の勝負を決める時代になっているということが書かれています。日本でも最近、求人を出して応募を待つだけでなく、自ら積極的に人材を獲得していく動きが広まり始めています。この本を読むと、「人材獲得を本気でやらないと企業は負ける」という気持ちになりますね。
『人材獲得競争時代の戦わない採用「リファラル採用」のすべて』鈴木 貴史(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4800590884/
『ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる』ジム・コリンズ(著)、ビル・ラジアー(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4296000322/
『ウォー・フォー・タレント 人材育成競争』エド マイケルズ(著)、渡会 圭子(翻訳)
https://www.amazon.co.jp/dp/4798101494
投稿者プロフィール

-
企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
企業出版のノウハウを活かした記事制作を行うことで、社長のブランディング、企業の信頼度向上に貢献してまいります。
最新の投稿
仕事04/27/2026株式会社TalentX社長 鈴木 貴史氏
仕事04/16/2026株式会社アテンドライフ代表 熊倉 健太氏
仕事04/15/2026株式会社Trust代表取締役社長 多川 一馬氏
仕事04/14/2026株式会社インセクション代表取締役 泉 厚志氏

