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ユニロボット株式会社代表取締役 酒井拓氏

『ロボットが家族の一員にいる世界観を 夢見て創業しました。』と語る、ユニロボット株式会社代表取締役の酒井 拓さんにお話を聞きました。

人との出会いや心のつながりを大切にする酒井さんの情熱は、世の中にない新しいコミュニケーションスタイルを、テクノロジーで生み出しています。

 

ユニロボット株式会社 会社概要

会社名称 ユニロボット株式会社
代表者 代表取締役 酒井 拓
主な事業 ・コミュニケーションテクノロジー全般(音声I/F・自然言語処理・感情解析・パーソナルAI・チャット等)に関する研究開発、販売
・コールセンター向けの自動応答AIソリューションの開発、販売
・上記を活用したクラウドサービスの企画、開発、販売(unirobot cloud)
・コミュニケーションロボットの開発、製造、販売(unibo)
・ソフトウェア、ハードウェアの受託開発
会社所在地 〒151-0073
東京都渋谷区笹塚3-2-15 第Ⅱベルプラザ5F
会社HP https://www.unirobot.com/

 

 

会社の事業内容について教えてください

『ユニロボット株式会社』は、2014年に創立し、ロボットサービス事業とユニロボットクラウド事業の二つの柱を持つ会社です。

コニュニケーションロボット『ユニボ』の製造、販売から事業は始まりましたが、2019年からユニロボットクラウド事業にも注力をはじめ、現在はコミュニケーションテクノロジーのプラットフォームを目指す会社として変革しております。

その中核をなすユニロボットクラウド事業からは、音声認識、自然言語処理、音声合成等の要素技術を提供しております。代表事例として、コールセンターや電話受付を24時間365日、自動応答を可能としたAI電話サービスを手掛け、飲食業界中心に利用が進んでいます。

さらに、音声で対話をする、いわゆるボイスボットにも力を入れ、AIと対話するカウンセリングサービスや、その他ソフトウェアと組み合わせたソリューションの開発も行っております。

 

会社の働き方の特徴としては、創業時からリモートワークを積極的に取り入れてきたことです。

厳密には、ソフトウェアエンジニアはフルリモートで、ハードウェアエンジニアはロボット開発がありますから、オフィスで働くというハイブリッド方式になっています。
この形になったのは、開発者が一番気持ち良く働いて欲しいという思いがあったからです。

また、リモートワークと併せて、スーパーフレックス制度も取り入れて、営業、コーポレート所属の社員含め、柔軟な働き方も実現しています。コロナ前と後では、働き方に大きな変化はありませんね。

今、社会で定着しつつあるリモートワークもかなり前から実現していますし、社員からの評判も良いですね。

 

 

学生時代から振り返って、現在に至るまでの過去のエピソードを教えてください

 

社会人になりたての頃は、SNSのない時代で、異業種の人々が出会う場づくりに熱中していまして、頻繁に異業種交流会や、ビジネスの勉強会を主催していました。

この時は色々な世界の人と会ってみたいという思いが強く、どちらかというと楽しさを追求していたと思います。なので、強い信念や夢がありませんでした。

大きな転機が訪れたのは、総合商社に入社後、30歳手前で、米国・ニューヨークに駐在したことです。その転機のきっかけは、よく驚かれますが、『ゴミ拾い』活動を始めたことなんです。

マンハッタンをきれいにしようというゴミ拾いのプロジェクトを同じ駐在員らの仲間と立ち上げまして、「ゴミニュケーション」と名付けた活動でした。

活動を続けているうちに、日本人がマンハッタンのど真ん中を綺麗にしている、という風景が面白く映ったのだと思いますが、現地のメディアにも多く取り上げてもらって、活動を重ねるたびに仲間が増えていきました。
ゴミ拾いってすごく純粋な活動で、街は綺麗になれば、仲間も増えるし、自分の心も掃除ができる、そんなゴミ拾い活動から沢山のことを学ばせてもらって、次第と、そうした活動をしながら、社会課題に関心を持つようになってきました。

日本に戻った2009年からも、同じコンセプトで活動を続けました。
表参道や代々木公園の周辺をゴミ拾いする活動は、次第と大きくなり、今度は思い出の残るような挑戦をしようということで、ボランティアネットワークをさらに広げて、世界最大の二人三脚、世界最大二人三脚レースの2つのギネス記録に主催者として挑戦をして、2010年、2011年にそれぞれ達成することができました。

 

この時には、活動に対する信念や、夢みたいなものがしっかりと持てていて、真剣に生きるってこういうことなんだなって思えたり、また社会と接点を持つ意義というのを、正面から学んでいたと思います。

そんな自分の活動の集大成として、頑張っている人や団体を応援する『Good Action』という会を仲間と立ち上げました。2011年頃からになりますが、NPO団体や起業家にプレゼンをしてもらい、参加者がそのテーマについて勉強をし、活動を応援する会です。

自分も会を主催する傍らで、そこでいろんな社会貢献の形を学んで、共感できるところで一緒に議論したりお手伝いしたりしていました。
そこではみんな、なにかしたいね、という気持ちをもった人や既に活動を始めている人が集まっていたので、じゃあ自分も何かやってやるぞ、仕掛けていこうという気持ちになりましたね。こうした活動は、ビジネスでは得られない、損得なしの素敵な出会いの場でした。

こうして振り返ると、自分は『0から1』を作ることに、情熱を燃やしてきた人間だと思います。そして、ゴミ拾いや社会貢献活動を通じて学んだことは、「みんなで力を合わせたらすごいものが生み出せる」ということだったと思います。
言葉でいうのは簡単なのですが、それを少しでも実体験で味わってきましたので、会社を起業する大きなきっかけにもなったと思います。「一人の100歩より、百人の1歩」が重要なんですよね。

でも最終的には、ただ週末や空いている時間だけ頑張っても、本当の社会貢献としては説得力が無いですし、覚悟を持たないと人には響かないことも分かっていました。

なので、やるなら、中途半端じゃなく、人生をかけないと。そう思い、起業に至りました。

 

苦労したことを教えてください

創業期において特に苦労したのは、資金調達とロボットの量産製造です。

まず資金面については、億単位の調達が必要なのですが、当然そんな経験はないですし、会社も作ったことがない。未経験だらけで壁にぶち当たる日々の中で、ハードウエア系のスタートアップには2015年当時なかなかお金が回ってきませんでした。

ようやく資金調達の流れが始まろうとした時も、ディープラーニングのソフトウェア系など、トレンドのスタートアップの方に資金調達は偏っていましたので、本当に苦労しましたね。

そして、1回目の資金調達成功後も、いざロボットを量産するぞというときにいわゆる死の谷にぶち当たり、何度も何度も作り直しや、改修が発生し、部材調達含めて、苦労の連続でした。

当時は中国の深センで量産化をしていましたので、現地にも社員が訪問していました。スケジュールも数回遅延しましたので、資金が枯渇する寸前も経験しました。ロボット製造から販売まで3年程度かかりましたから、その間売上もほぼ無く、それは非常に苦しい時期でした。

 

苦労を乗り越えられた理由は何でしょうか?

株主を中心としたパートナー会社からのリソース面や、温かい支援もとても大きかったですが、やはり社員の底力のおかげで幾度と訪れた苦しい時期を乗り越えられたと思っています。

自分が資金調達に奔走している時も、エンジニアの仲間が粘り強く、そして逆風が吹いているときでさえも、決して諦めることなく、開発を進めてくれたんです。
必ず成功できるとみんな信じてくれていました。その思いには、何度も勇気をもらいましたし、自分を鼓舞できた最大の理由でした。

「苦しい時期」というのは、大小問わず毎年のようにあります。でもそういうときにこそ、人は一番成長できると思いますし、苦しい時を乗り越えた先には必ずといってよいほど、出会いにも恵まれてきました。

例えば、開発や量産が進んでいくと、今度は資金が足りなくなってきますが、一定のフェーズの開発を乗り越えると、良い株主さんに投資をいただけたおかげで、無事乗り越えることができました。

 

自分の好きな言葉に、「捨てる神あれば拾う神あり」がありますが、開発パートナーさん含め、必要なタイミングで良い出会いにも恵まれ、会社としても徐々に強くなっていったなと感じています。

『0から1を作る』は、『答えの無いところへ答えを見つけにいく』ことと同じ意味だと思います。それを実現するには、しっかりとした信念や夢を持つこと、そして、出来るだけ人と会うこと。

ご縁に導かれながら、会うべき人に会っていった結果、パズルが解けるように道筋が見えてきたと感じています。

 

今後の会社としてのご展望や、ご自身の夢などを教えてください

コミュニケーションテクノロジーのプラットフォーマーを目指しているので、私たちのサービスをいろんな企業様の業務改善等に取り入れて頂き、役立ててもらえたらなって思っています。

AIを使ったロボティックスや、ビジネスコミュニケーションは、今後大きく飛躍していく産業だと思っていまして、私たちもこの時代の流れを先回りしていけるよう、この領域で未来の在りたい姿を描いていきたいと思っています。

そうしているうちに、10年後には『モノと心を通わせる』という社会がだいぶ近づいているのではないかと予想しているので、その時には私達のテクノロジーが広く使われていると嬉しいですね。

また、テクノロジーで出来る範囲になりますが、感情表現や自我形成などの、内面を強調したロボットが活躍する近未来を想像しています。ドラえもんのような世界観を目指し、パートナーロボットが家にいても、違和感のない世界を提案していければなと思っています。

会社としては、上場は一つの目標として目指していますので、それが実現できた暁には、長い間一緒に頑張ってくれている社員とも喜びを分かち合い、出来るだけ還元をしていきたい思いがあります。

また、会社の成長に応じ、テックカンパニーとしては、特にエンジニアの人数を増やしていきたいと思っています。
採用で意識しているのは、既存の概念にとらわれないで新しいものを作っていきたい意欲、情熱のある人です。

折角ベンチャーで働くわけですから、新しいことにもどんどんチャレンジをして頂いて、パイオニアとして、今までなかった道を開拓していきたいですね。

 

酒井さんがおすすめする一冊とは?

ケリー・マクゴニガルさんの『スタンフォードの自分を変える教室』です。

自制しながら、どのように自分自身を高めていくか。脳科学的に、論理的に書いてある本です。自分自身を保ちながら常に一定の感情でいられるということは、リーダーになる人には必ず役立つことだと思います。

スタンフォードの自分を変える教室 ケリー・マクゴニガル(著)

60万部のベストセラーがついに文庫化!これまで抽象的な概念として見られていた「意志」の力についての考え方を根本的に変え、実際の「行動」に大きな影響を与えてくれる。目標を持つすべての人に読んでもらいたい一冊。

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!