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図南木材株式会社代表取締役 田之頭隆文氏

  • 05/28/2025
  • 05/29/2025
  • 人材
  • 17回

今回は図南木材株式会社代表取締役の田之頭隆文氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

会社名称 図南木材株式会社
代表者 田之頭隆文
設立 1946年(昭和21年)
主な事業 ■木材・建材の販売

■プレカット製品の加工・販売

■木材の防腐防蟻処理

■木製子供用玩具、家具等の制作・販売

社員数 106名(有期雇用者を含む)
会社所在地 鹿児島市谷山港1-2-4
会社HP https://tonan-lumber.co.jp/

 

事業内容を教えてください

図南木材株式会社は木材加工の事業を行っています。建築用の木材を工場で加工して現場に届けており、以前は大工が手加工していたものでしたが、近年は工場での機械化が進みました。それ以外には、内装や外装の住宅建材もセットで提供しています。当社の特徴は、国産木材を中心に取り扱っているところです。一本一本の木材を最大限に活用するノウハウがあり、熟練の職人技による高度な特殊加工の技術を備え、様々なシーンで木材を活用いただく提案を行っています。

そして、どんなお客様の声も聞き逃さないという図南木材の強みとこだわりを実現するために、営業、データ作成する設計、木材加工の製造プロセス、製品の配送まですべて自社で一貫して行っています。

 

歴史のある会社ですが、どのように事業を展開されてきたのでしょうか?

当社は第二次世界大戦終戦の翌年である1946年(昭和21年)に鹿児島市小山田町で製材所として創業しました。戦後復興のため、地域に向けて木材を提供し、以降も安心して暮らせる住まいづくりに携わってきました。地域密着で付加価値の高い製品をお客様へ提供することを信念に持ち事業を展開してきました。

社名の「図南」は、中国の思想家『荘子』逍遥遊編の故事を引用し、伝説の鳥「鵬」が南の海を目指して大きく羽ばたいたように、南の地で大きな事業を成し遂げたいという願いが込められた社名となっています。

2013年の代表取締役の就任時には「木材中心の事業から、住宅に関する総合的な資材提供や周辺事業を行う」というビジョンを掲げました。そして、2026年2月で創業80周年を迎えますが、創業より長年木材に携わってきた会社として、これまで以上に事業の幅を広げ、木材活用のスペシャリスト集団になっていくことをスローガンにしています。

時代とともにたえず進化してきた図南木材は、これからも様々な挑戦を続けます。

 

ここからは田之頭社長のことをお聞かせください。学生時代に頑張ったことはありますか?

中学校と高校ではバレーボールに打ち込んでいました。

大学時代は武蔵工業大学(現 東京都市大学)で建築を勉強しました。別の大学でしたが、姉が建築を学んでいたこともあり、私も興味を持ったことが進学のきっかけです。しかし、学ぶうちにだんだんと建築への興味は薄れていきました。

 

卒業後の進路を教えてください

大学時代に建築よりもグラフィックの方が好きになったため、都内でコンピューター関係の制作会社に就職しました。制作会社は深夜労働になることも多く、プロモーションビデオなどを作る仕事では、納品前は会社に泊まり込むこともしばしばありましたね。このような仕事を経験しているので、過酷な環境で働く人の気持ちは誰よりも分かります。だからこそ、図南木材株式会社では働きやすい職場づくりにしっかりと取り組んでいます。現に男性社員の育児休業の取得(2024年度実績:3分の2)や有給の取りやすい環境(2024年度実績:83.8%)が整いつつあります。

 

どうして図南木材株式会社に入社されたのでしょうか?

当社は私の祖父が創業した会社です。2代目の社長である父が体調を崩したため、将来3代目として会社を継ぐ覚悟を決めて29歳で図南木材株式会社に入社しました。小さい頃から木材が身近にあったので家業に興味関心を持っていました。

入社後に父から言われたのが、「とにかく会社の営業力を強化しろ」ということです。父は工場管理や品質管理などの生産に関する経験を積んだ後に社長になりましたが、私には営業としてまず売り方を覚えて欲しいとのことでした。しかし、私はこれまで制作会社に勤めており、営業は未経験です。そのため、先輩社員の横に付いて、どのように仕事をしているかを見て学び、実践を通して経験を積んでいきました。当時の営業先は、木材を扱っていただく、販売店や代理店が主要なお客様でしたが、営業機能を強化し、住宅会社や工務店に向けた直接販売に力を入れていき、徐々に売り上げを伸ばしていきました。

 

木材の営業の難しさは何ですか?

現場を想定した段取りと対応力です。現場のことをいかに考えて、段取りを立てられるかはもちろんのこと、データ作成時のおさまり(複数の建材が接する・重なる部分を意味します)の検討や搬入タイミングの管理や、納品の仕方を工夫していました。現場は限られた時間と人数で動いているので、いかに無駄なくスムーズにミスがない形で私たちが役割を果たせるか常に考えています。

 

いつ社長に就任されたのでしょうか?

家業に入り6年目のタイミングで社長に就任しました。社長就任の3年ほど前から打診があり、準備をしていきました。

社長になってからも、しばらくは営業をずっと続けていたので、業務自体は大きく変わりませんでした。

 

社長になってから大変だったことを教えてください

ありがたいことにお客様や売り上げは増えていきましたが、業績が良くなるにつれて社内で人間関係や意思疎通の問題が出てきました。例えば、営業がどんどん仕事を取ってくるにつれ、社内で上手くいかないことやトラブルが増えるようになりました。この経験から、私は身の置き方を考え、問題を分析して、社内のルール作りの大切さを学んでいきました。今までは売り上げに目を向けていましたが、人間関係や意思疎通の問題に直面してからは社内体制を整えていきました。

 

最初はどのようなことから着手されましたか?

組織づくりとして着手したのは、幹部育成や評価制度、賃金規定、就業規則という会社の規則の見直しです。

どうしたらみんなが楽しく仕事ができるのかを考え、長く働いていくために、従業員の満足度やキャリアに繋がるような会社にしていく方法を明確にしていきました。

これまで役職手当や資格手当もあやふやでしたが、しっかりと手当ての規定を定めました。そして他の業種にもチャレンジできる制度を作り、社内で様々なキャリアを経験することも可能にしました。幹部を対象とした研修も毎年行っていますし、e-ラーニングで学びを促進する環境も用意しています。

 

経営をする上で工夫していることはありますか?

オフィスを心地良い空間にしています。壁板や会議室のデスクなどは自社の工場で製作しています。自分達で作ることでオフィスにより愛着が湧きますし、木に囲まれて働いています。

 

今後の展望を教えてください

木材の良さや質感を今後も世の中に伝えていきたいです。これまでは建築用木材を中心とした事業を展開してきましたが、さらに幅を広げて木材の付加価値を私たちで高めていきたいと考えています。

その一つとして、工場で出てくる端材(木材の使わない部分)から新たな価値を見出せる商品を生み出しています。現在は、ネットショップで子どもたちの玩具や雑貨などの木製品の販売を行っています。木材は再生可能資源・循環型資源であるので、今後も良い活用方法を伝えていければ嬉しいです。

また近年は、木育(もくいく)活動にも積極的に取り組んでいます。

木育とは、子どもの頃から身近に木と触れ合っていくことを通じて、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心を育む取り組みのことです。木材や木製品との触れ合いを通じて、木材への親しみや理解を深めていきます。

具体的な活動内容は、自由自在のオリジナルのトイボックス制作体験などの木製品ワークショップや保育園を訪問する出前木育活動を行っています。木育で使用する製品も全て建築資材を加工する過程で発生する端材を再利用するなど、SDGsを意識し取り組んでいます。

そして、もう一つ新たな事業に取り組んでいます。

それは『建設業の職人不足』といった社会問題やあらゆる住宅市場の問題解決をするために、新プロジェクトを立ち上げ、働く環境や後継者育成に取り組んでいます。

具体的には、職人を社員として迎え入れ、不安定な収入や雇用を解決しながら、日本の優れた大工技術をベテランから若手へ技術継承し、伝統文化を次世代へ託すことが目的です。

事業はまだスタートしたばかりですが、鹿児島県内では唯一無二のビジネスモデルです。

今後も、図南木材では木材の発展と普及を願い、長年“木材”を取り扱ってきた私たちだからこそできる事業活動で、地域に貢献できるよう努めていきます。

 

ネットショップ「木のおもちゃと木製雑貨 Tonan」は下記URLをご参照ください。

https://www.rakuten.co.jp/tonan

 

経営者におすすめの本を教えてください

経済学者の山口周さん著書『クリティカルビジネスパラダイム』がおすすめです。行き過ぎた資本主義経済は大量生産と大量廃棄を生み出しています。そんな世の中のビジネスに対して問いを投げかけてくれる本です。

ぜひご覧ください。

【Amazon URL】

https://www.amazon.co.jp/dp/4833425351

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!