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株式会社アグリー 代表取締役 会長/有限会社ノーマルライフ 代表取締役 社長/合同会社KOTO 代表社員 杉 隆司氏

  • 08/29/2025
  • 08/29/2025
  • 仕事
  • 20回

今回は株式会社アグリー 代表取締役 会長/有限会社ノーマルライフ 代表取締役 社長/合同会社KOTO 代表社員、杉 隆司氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

会社名称 株式会社アグリー代表取締役 会長/有限会社ノーマルライフ 代表取締役 社長/合同会社KOTO 代表社員
代表者 杉 隆司
主な事業 株式会社アグリー:認定農業法人(※就労継続支援B型を併設)

有限会社ノーマルライフ:地域密着型 認知症対応複合施設

合同会社KOTO:共同生活援助(障害者グループホーム)

社員数 合計65名(取材時)
会社所在地 株式会社アグリー:三重県名張市東田原529

有限会社ノーマルライフ:大阪府東大阪市吉田1-5-30

合同会社KOTO:京都府宇治市五ヶ庄芝ノ東14‐17

会社HP 株式会社アグリー:https://agree-nouen.com/

有限会社ノーマルライフ:https://normal-life.jp/

合同会社KOTO:https://tcy.co.jp/service/koto/

 

会社のご紹介をお願いします

私は現在、株式会社土屋グループ内で3社の事業を経営しています。

株式会社アグリーは農業を基盤にした事業を展開しています。

具体的には、水耕栽培と呼ばれるビニールハウス内で、小松菜、水菜、リーフレタスなどの葉物野菜を育てている農業法人です。また、就労支援サービスB型として「あぐり工房」という名前の事業も併設しています。精神障害や発達障害などをお持ちの方が通所されていて、就労移行の場としても機能しており、農福連携型の仕組みになっているのが特徴です。

次に有限会社ノーマルライフは高齢者向けの施設です。1階が通所型のデイサービス、2階が入居型のグループホームになっており、地域密着型の運営で主に認知症の症状を持つ高齢の方々が住み慣れた地域で安心して生活できる環境づくりに努めています。

そして合同会社KOTOでは、障がい者向けのグループホーム(入居型)を運営しています。

 

いつ社長に就任したのでしょうか?

ノーマルライフは2023年4月に代表に就任し、合同会社KOTOは2024年6月、株式会社アグリーは2024年8月より現場に関与し、正式に2025年2月から代表に就任しました。

私は、株式会社土屋という介護事業を運営している会社の訪問介護事業の一般介護職からスタートしました。大阪の事業所に所属し2年程は現場に従事しておりましたが、グループの事業規模の拡大に伴い、M&A戦略を取っていく中で転職前は管理職の経験があった事から社長就任のお声がけをいただきました。譲渡後の対応には自分だけの100%を出すというよりは、前任者や既存従業員との関係性を大切にしながら経営を行う継承型のマインドを大切にしています。

 

ここからは杉社長のことをお聞かせください。学生時代はどのように過ごされてきましたか?

ソフトテニスをしていました。田舎だったため部活の選択肢がすごく少なく消去法で選んだのですが、やってみたら思いのほかハマってしまいました。しかし、顧問の先生の教えは精神論が多く、正直「これでは上手くならない」と感じていました。そのため、今と違いネットがない時代だったので本を探し、自分たちで試して、どうしたら上手くなるかを考えていました。この経験から、「本当にそれが合っているのか」「違うとしたらどうするか」と自分で考えて動く癖は、学生時代に培われました。言われた通りやっても上手くいかなかったとき、「何が悪かったのか」「じゃあこうしてみよう」というところまで自分で考えて動くスタイルは今でも続いています。

 

どのように就職活動をしましたか?

教員志望でしたが、教育実習で実際のリアルな現場を知ってしまい「定年までいるのは自分には難しいかもしれないな」と感じました。実習後に民間への就職に切り替えたため就職活動も後れを取っていましたが、たまたまご縁があった金融機関で営業として雇ってもらえることになりました。

入社当時は経済の知識は全くない状態だったので、体育会系のノリで何とか頑張っていました。

 

サラリーマン時代に経験したことのなかで、印象に残っていることを教えてください

私の仕事は金融商品をお客様に提案し、資産運用のアドバイスをするのが仕事でした。様々な業種の経営者の方とお会いしていたので、アドバイスをする側ではあるものの、お客様から教えていただくことが本当に多かったです。

また、お金を扱う仕事なので、お客様の懐に深く入ることが重要になります。ビジネスの話題だけでなく、プライベートな話も多く聞かせていただきました。

金融業界で約20年働いたことで、多種多様な価値観や仕事観に触れるだけでなく様々な知識も、経営に携わっておられる方々と接点を頂けたことで増え、とても視野が広がりました。

 

どうして介護業界に入ったのでしょうか?

理由は2つあります。

1つは40歳という節目を迎えた時に、金融業界での働き方に限界を感じたからです。お客様がお休みの日が接点が持てるチャンスになるため土日祝も稼働しますし、毎朝6時に出て、夜11時に帰る生活が続いていました。そのため、若いころは良くても、家族や自分の時間がない状態でこの先も良いのかと考えるようになりました。

2つ目は父が難病になったことです。地元の福井で母が1人で介護していたのですが、私は大阪で生活していて何もできませんでした。そんな時に、近所にできた介護施設に助けられた経験から自分もこういう人を支える仕事がしたいと思いました。

また、転職サイト経由で届いたスカウトメールをたまたま見たときに、「介護の会社なのに、なんだかキラキラしているな」と感じ、興味を持ちました。創業からまだ2年ほどのベンチャー企業でしたが、「どうせ介護業界に行くなら、勢いがあって、何か面白いことをやっていそうなところに行ってみたい」と思い、会社説明会に参加して、転職を決めました。

 

具体的にどのような点に興味を持ったのでしょうか?

説明会では創業メンバー、現会社の代表取締役となる高浜が話しているのを聞いて、「これはもしかしたら伸びる会社なんじゃないか」と感じ、金融出身の視点でいろいろと分析して「この船に乗ってみたい」と思ったのが、入社を決めた理由です。

 

実際に介護業界に入っていかがでしたか?

介護では基本中の基本となる利用者(以下 クライアント)の排泄介助や移乗など、気持ちも体力も必要な仕事が多かったですね。軽そうに見えるおじいちゃん・おばあちゃんでも思った以上に重く、ただ力任せにやるだけではうまくいきませんでした。また、スタッフ(以下 アテンダント)は利用者さんが負担を感じてしまうような大変だという表情を見せてはいけないので、心の内を隠すことが大変でした。その時、先輩から「元営業なんだったら営業スマイルで隠したら?」と助言をいただき、自分の態度が相手に大きく影響する仕事だと実感しました。

また、当初は「介護の仕事をしている」と言うのがちょっと恥ずかしいと感じていました。前職が金融関係だったので、自分の中で無意識に金融と介護を比べて、介護の仕事をどこかで下に見てしまっていた部分がありましたし、アテンダントの中にも、転職組が多かったこともあり、当時は同じように引け目を感じていた人が多いのでは感じました。

その時に、もっと自分やアテンダントがしっかりと自信を持てる職場を作りたいなと考えるようになりました。

 

どのように変革したのでしょうか?

大阪の小さなマンションの一室で事業所があったのですが、当時の上長に「売上を上げるから、事業所を移転させてほしい」と直談判しました。良い立地に事務所を構えることでアテンダントにとってもモチベーションになりますし、家族や友人にも紹介しやすく、誇れる場所になると確信していました。介護はとても尊い仕事ですが、「稼げない仕事」というイメージがどうしても先行しがちです。だからこそ、しっかりと成果を出して、数字として評価されるようになることで、会社を変えることができると確信しました。

 

当時から経営者になりたいと思っていましたか?

いいえ、自分が社長になるとは思っていませんでした。

金融業界で働いていた時に多くの経営者と接していたので様々な話を聞いていましたし、実際に業績が良いときも厳しい局面も目の当たりにしたことで「経営者は大変なんだな」と強く感じていました。今は違いますが、当時は経営の大変さというのは売上の上下だけだと思っていましたね。

その後、就任の直前に声がけがあり、社長になりました。

関西のブロックマネージャーとして実現したいことを一通りやらせてもらい、「もうちょっと新しいチャレンジがしたいな」という欲が出ていた頃だったのでタイミングが良かったと思います。会社がM&Aをしたらしいとの話も出ていたので、もし自分が関われることがあるならぜひやらせて欲しいと伝え、積極的に動いていました。

 

社長に就任して大変だったことはありますか?

M&A先のアテンダントに信頼されることが大変でした。

M&Aは秘匿性が強いため、原則的には新会社になる直前に従業員は知らされる事になります。10数年ずっと一緒にやってきた社長からは何も知らされておらず、急に「この会社はM&Aされたので私は退任します。今日から新社長と一緒に頑張ってください」と伝えられ、新社長は「これまで経営の経験がありません」と正直に伝えますと、それは不信感が生まれるのは当然のことです。

裏切られた、会社が買われて知らない人が社長になった、この会社はどうなるんだろうと不安な状態になっているアテンダントの皆さんにとにかく信頼してもらうために動きました。

私は介護の現場経験はありましたが、障害福祉の訪問介護のヘルパー経験しかなく、施設やデイサービス、グループホームの経験はなかったので、とにかく教えてもらうところから始めました。

そして、様々な人の話を聞くなかで、前の社長ができていなかったことは何かと見極めて、そこを強化していきました。例えば、前社長が現場にはあまり出ていなかったと聞いたので、自分は現場にも出るようにしました。接点を増やして会話を重ねていくと、自分がどんな人間なのかも伝わりわだかまりが溶けていくので、とても大事なステップだったと思います。

 

社長になってから変わったことは何ですか?

私はプレイヤーとして働くところから介護業界のキャリアをスタートしたので、その延長線のような気持ちでスタートしましたが、経営者になると、お金の流れや会計、労務といった管理業務が求められるようになりました。

M&A当初はアテンダントの「あれが必要」「これがほしい」という言葉に耳を傾けて購入していたので、いつの間にか預金残高がどんどん減っていって、経理の方から「社長、このままだと潰れますよ」と言われました。その時初めて通帳を見て驚きましたね。また、お金がない中での賞与の支払いは大変でした。銀行に行って、借り換えの交渉をして原資を捻出しました。経営者になって初めて取り組む仕事も多いですし、M&Aをした会社は元々そこまで経営が上手くいっている会社でないので、最初は苦労が多かったです

 

3社経営をするのは大変だと思いますが、どのようにバランスをとっていらっしゃいますか?

2社目は前任の方が急遽別の仕事をすることになり、受けざるを得なかったという経緯がありましたが、1社目で経営のやり方を学んでいたので、他の2社でも応用できました。また、本当に経理の方やアテンダントの皆さんに助けられました。

 

今後の展望を教えてください

ノーマルライフは入居人数や通所者数には制度上の制限があるので、施設系は売上の上限が決まってしまいます。そのため社員の待遇改善のためにも新しい事業を考えています。また次の人に経営を引き継ぐ準備もしていきたいです。

KOTOは障害者のグループホーム事業ですが、現在男性向けの施設しかありません。そのため、女性の精神障害・発達障害をお持ちの方の入居先を作りたいと思っており、新しい物件を探しているところです。

アグリーは、農福連携の将来性に大きな可能性を感じています。経営的には一番厳しいですが、去年カフェを新設して、一般の方が利用しつつ、障害を持たれている方が接客・調理を経験できる場をつくりました。子どもが障がいを持つ親御さんたちも「うちの子もこういう風に社会で働けるんだ」と思ってもらえるようにしていきたいです。こちらは現地の女性アテンダントの方々が豊富なアイデアを出して下さるので心強いです。

 

経営者におすすめの本はありますか?

親会社となる株式会社土屋グループの経営陣は毎月読書会を実施して、意見交換をしているのですが、7月は山口周さん著書の『クリティカル・ビジネス・パラダイム』を読みました。当たり前を疑って別の角度から問題を見ると、そこに新たな課題やチャンスが見えてきます。課題を解決することが社会的な意義となり、それをビジネスとして取り組めば将来性があるという内容でした。社会的課題の解決にも目を向けなければ企業としての継続性がありません。その中でも、当社の事業はまだまだ将来性がありますし、やりがいも大きいと改めて実感しました。

また、当グループの代表である高浜 敏之が書いた本で『異端の福祉 「重度訪問介護」をビジネスにした男』もおすすめです。介護業界は、清く貧しく美しくを求められますが、しっかりビジネス的視点を持たないと事業として継続できません。介護事業者の経営者にとって参考になる考え方が沢山書いてある本なので、自身も半年に1回は読み返すようにしています。

2冊合わせてぜひご覧ください。

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投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。

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