今回は株式会社 shared代表、難波諒太朗氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 株式会社 shared |
代表者 | 難波諒太朗 |
設立 | 2022年11月28日 |
主な事業 | オンライン塾事業 |
社員数 | 27名(業務委託含む・取材時) |
会社所在地 | 宮城県仙台市青葉区中央4丁目4-19 アーバンネット仙台中央ビル3F YUINOS内 |
会社HP | https://shared.168style.co.jp/ |
会社について教えてください。事業内容と強みは何でしょうか?
株式会社sharedは、2022年11月に創業した東北大学初のスタートアップです。当社の事業の中心は、オンラインでの学習支援です。特に注力しているのが「塾」領域で、アプリケーションを活用しながら、生徒一人ひとりに寄り添った学習の伴走支援を行っています。授業を「教える」ことだけにとどまらず、計画立案から日々の進捗確認、課題克服までを一貫して支援する仕組みを提供しているのが大きな特徴です。
「168塾」は、“24時間×7日間=168時間”を伴走する、日本初の学習管理型オンライン塾です。従来の塾が「授業を教えること」に重点を置いてきたのに対し、168塾は学習計画の立案から進捗管理、つまずきへの即時対応、フィードバックまでをアプリ「168share」で一元管理。専属コーチが伴走し、生徒の学習習慣を根本から支えています。
また、東北大学を目指す受験生のための専門塾「Elevate」も運営しています。合格経験のあるコーチが、出題傾向を踏まえた参考書ルートや演習戦略を個別に設計し、志望学部ごとに“合格の地図”を共に描きます。
共通する強みは、「授業を提供する」のではなく「学習を支える」仕組みをつくっている点です。テクノロジーと人による伴走を掛け合わせることで、学びの質を高めることがsharedの大きな価値だと考えています。
いつ起業を考えたのでしょうか?
大学4年生のときに個人事業主として活動をはじめ、6年生の時に法人化しました。当社は東北大学の異なる学部に所属する3人が経営メンバーとして集まり、起業しています。
私は大学1〜3年生の間に家庭教師や塾講師を経験しましたが、同じように指導しても成果が出る生徒とそうでない生徒がいる現実を痛感しました。従来型の塾は授業提供に偏り、生徒が本当に必要とする「学習の進め方」や「伴走」が不足していると感じましたし、その課題を解決するために、教育の仕組みそのものを変えたいと考えたのがshared立ち上げの原点です。
共同創業者の1人は教育心理学を学んでおり、サービス設計やマーケティングを担当。もう1人はエンジニアで、プログラミング大会での優勝経験を持っており、アプリの開発を行っています。異なる領域を持つ3人が協力し、ユーザーアンケートを通じて日々サービスを磨き上げていけるのが当社の強みとなっています。
学習管理168塾のサービスの特徴について詳しく教えてください
168塾の最大の特徴は、学習の全プロセスを「支える」ことにあります。計画を立て、実行し、振り返り、改善するサイクルを専属コーチが伴走しながら支援します。アプリ「168share」に学習計画、進捗記録、質問投稿、フィードバックの機能を統合し、学習を可視化・一元管理しました。完全オンラインのため、地方からの参加も可能です。
創業当初は紙で管理していましたが、効率が悪く限界を感じました。そこでアプリを開発し、進捗管理や優先順位付けを容易にしました。特に「何から始めればよいのかわからない」「成果が出ない」と悩む生徒を救いたいという想いから開発に注力しました。生徒は日常的にスマホを活用していることから、その習慣に寄り添い、SNSを開く前にアプリを開いて学習に取り組む仕組みを提供することで、自然にモチベーションを高められると考えています。
当社の事業の詳細は下記URLをご参照ください。
https://shared.168style.co.jp/
ここからは難波社長のことをお聞かせください。学生時代に打ち込んだことはありますか?
小学生の頃はものづくりに夢中で、絵や工作を楽しみ、科学雑誌『Newton』を毎月読むことを習慣にしていました。
その影響もあり、医者になりたいというよりは、医学に興味を持ったことから東北大学医学部に進学しました。
私の地元は栃木県宇都宮市なのですが、当時は予備校そのものが少なく、存在していてもあまり情報が行き渡っていませんでした。医学部を目指すとなれば予備校や塾を活用するのが一般的ですが、栃木県には国立の医学部がなく、合格ノウハウを持っている先輩や先生も非常に少ない環境でした。
そのため私は高校3年間、塾を探して見学にも数多く行きました。振り返ると30校近く訪ねたと思います。しかし結局、自分に合う塾は見つからず、最後まで独学で勉強を続けました。当時はオンラインという選択肢はほとんどなく、映像授業はあっても「映像を見ているだけで合格できる」という自信が持てなかったのです。
私が本当に欲しかったのは「医学部合格のために、どの教材を、どのように使い、どう進めるべきか」という具体的な指針を示してくれる存在でした。ですが、そのように自信を持って伴走してくれる塾は見当たりませんでした。「もしそんな塾があれば」と思いながらも、結局は自分で計画を立て、3年間独学で走り抜けたのが実情です。
大きなプレッシャーのなかで、よくモチベーションを落とさずに勉強を続けることができましたね
当時は毎日が不安で、「本当にこのやり方で合っているのだろうか」と自問自答しながら勉強を続けていました。努力はしていましたし、最終的に合格できたのは良かったのですが、確信を持てないまま過ごす日々が苦しく、大きな葛藤を抱えていたのを覚えています。
振り返れば、あの頃ずっと「誰かに背中を押してほしい」と思っていました。たとえ一言でも「この道で大丈夫だ」と励ましてくれる存在があれば、もっと安心して取り組めたのではないかと思います。だからこそ、今になって「専門的に伴走してくれる塾があれば、どれほど救われただろう」と感じています。その想いが、現在私が「168塾」を運営する大きな原動力にもなっています。
大学時代の学びで印象に残っていることはありますか?
医学部の授業は非常に専門性が高く、しかも1つでも単位を落とすと即留年につながる厳しい環境です。他学部に比べて進級条件がシビアなため、日々の勉強には相当力を入れていました。「絶対に落とせない」という強い気持ちで取り組んでいたのを覚えています。
特に大学2年生になると、専門科目が一気に増え、解剖実習など座学以外の学びも本格化しました。その頃から「医学は本当に面白い」と感じるようになり、幅広い領域があることを知って、自分の関心のある分野を見つけたいと考えるようになりました。中でも熱心に取り組んだのは解剖学です。人体の構造を知れば知るほど、その精密さに驚かされ、「まるで神が作り上げた奇跡のようだ」と感銘を受けました。
そして大学6年生の時、現在の研究室との出会いをきっかけに脳科学に惹かれるようになりました。脳は全身の臓器を司る司令塔であり、循環器なら心臓、呼吸器なら肺というように臓器別に診療科が分かれている中で、唯一すべての臓器を統括している存在です。さらに、人間の「考える力」や「認知機能」といった奥深い領域を担っている点にも強く興味を持ちました。病院で様々な診療科を回る中で「脳は特別だ」と感じ、そこから脳科学を専門的に学びたいと考えるようになりました。
経営者としての苦労と乗り越え方について教えてください
起業して一番感じているのは「すべてが大変」ということです。ゼロからイチを生み出すときは、アイデアを考えるだけでは終わらず、それを形にするために多方面の知識や経験、そして多くの人の協力が必要になります。自分一人では何もできない、仲間や関わってくれる人たちへの感謝なくしては前に進めないと痛感しています。だからこそ「何かを成し遂げること」は本当に大変であり、共感してくれる人たちと一緒に進めていくことが不可欠だと学びました。まだ実現できていないこともありますが、100%の理想に近づけるよう努力を続けています。
当社のサービスは、アプリや仕組みを活用して効率的に運営しています。人が常に付きっきりで対応するのではなく、アプリの中で相談できる環境を整え、学習状況をデータ化・可視化する仕組みを導入しています。また、先生方の役割も細かく分担しています。戦略立案を専門とする先生、毎日の学習状況をチェックしフィードバックを返す先生など、それぞれが役割を持ち、生徒を支えています。
生徒に寄り添い続けることは非常に大変ですが、それが必要不可欠であることも理解しています。だからこそ、仕組みで補える部分はアプリやAIを積極的に導入し、効率化を図っています。一方で、信頼関係の構築など「人でなければできない部分」は人が担う。この役割分担こそがサービスを継続して提供するためのポイントだと考えています。
経営をするうえで大切にしている軸を教えてください
私たちが大切にしているのは、何よりも「生徒ファースト」という考え方です。常に「どうすれば生徒が幸せになれるのか」「どうすればより良いキャリアを歩んでいけるのか」を考え、そのために必要な仕組みや環境を整えることを重視しています。
168塾を立ち上げたのも、数時間の指導だけでは本当の意味で責任を持つことはできないと感じたからです。だからこそ、1週間=168時間という時間軸で生徒に寄り添いたいと考えました。生徒が求めているものを一つひとつ洗い出し、それを可能な限り塾として提供することを意識しています。
常に生徒の立場に立ち、「本当にその子のためになる仕組みは何か」を考え続けること。それが私たちの指導の軸であり、現在のサービスや仕組みもすべてこの理念に基づいてつくられています。
今後の展望について教えてください
現在は、日々の学習をサポートする仕組みをオンライン上で展開しています。アプリを活用して伴走型の支援を行っていますが、まだまだ十分に認知されていないのが現状です。まずはこのサービスを広く知っていただきたいと考えています。
同時に、サービスそのものの改善にも取り組んでいます。オンライン学習は、どうしても最低限の自主性が必要であり、アプリを開かなければその時点でサポートが途切れてしまいます。こうした行動変容をどのように促すかは大きな課題であり、私たちは「オンラインだからこそできる工夫」をさらに強化したいと考えています。誰が利用してもワクワクし、「ここなら勉強を頑張りたい」と思えるような、内発的なモチベーションを引き出す仕組みを一層磨いていくつもりです。
また、現状は塾生のみが利用できるアプリですが、私たちの理念や信念をより多くの方に届けたいとも考えています。将来的には、塾生以外の一般ユーザーにもこの仕組みを体験していただき、日本全国の高校生に向けて私たちのノウハウや想いを発信していきたい。そんな思いを胸に、事業を展開しています。
経営者におすすめの本はありますか?
私が影響を受けたのは、科学雑誌『Newton』です。子どもの頃から愛読し、今でも大人向けの別冊を読んでいます。特に認知症特集は興味深く、今後の研究や事業にもつながる関心分野です。様々なテーマで出ているのでぜひご一読ください。
科学雑誌『Newton』URL:https://www.newtonpress.co.jp/
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