今回はネクストシンク株式会社代表、浅野 彰仁氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
| 会社名称 | ネクストシンク株式会社 |
| 代表者 | 浅野 彰仁 |
| 設立 | 2023年 |
| 主な事業 | 完全紹介制・会員制美容室 経営
プロデュース事業、ヘッドスパ事業、講師(ブランディング) |
| 会社所在地 | 〒104-0061 東京都中央区銀座3-11-16 G-3ビル2F-A |
| 会社HP | https://reno-produce.tokyo/ |
事業紹介をお願いします
ネクストシンク株式会社では銀座にある会員制サロン「RENO Produce Salon una」にて、「パーソナルブランディング」を軸に、見た目のトータルプロデュースの他、ヘッドスパの提供も行っています。
主なサービスは、ブランディングコンサルティングと、ヘアスタイルを起点とした外見プロデュースです。撮影・プロモーション・アパレル提案など、多面的なサポートもオプションとして行っていますが、根幹にあるのはやはり「コンサルティング」と「ヘアデザインによるブランディング」です。
コンサルティングではまず、クライアントの業種や立場、今後のビジョンを丁寧にヒアリングし、「どのように見せていきたいか」「どんなポジションを築きたいか」を明確化します。その上で、目標達成のために必要な要素を、コーチング・心理学・マーケティングの三つの側面から整理し、具体的な戦略に落とし込んでいきます。
なかでも当社が得意とするのは、ファンマーケティング×心理学的アプローチです。人の行動心理や脳科学的特性を踏まえ、周囲がどのように共感し、応援したくなるか、その“心の動き”を設計します。そして、その戦略を「ビジュアル=ヘアデザイン」として具現化していくのです。
ブランディングは、第三者に対する印象形成だけでなく、本人の自己認識を高める“アファメーション効果”も持っています。だからこそ、心理学的な観点から、その人自身の心の癖や傾向を理解したうえで、内面と外見の両面からサポートしていくことを大切にしています。
人には「調子の良い時」も「落ち込む時」もあるからこそ落ちているときにどんな関わり方をし、どんなデザインを提案するかがプロデュースにおいて最も繊細で重要な部分なのです。
ある人は「外見を整えることで気持ちが引き上がる」タイプかもしれませんし、別の人は「過剰な刺激がかえってプレッシャーになる」タイプかもしれません。その微妙な違いを見極めながら、心の状態に合わせて導いていくのです。私たちが最も重視しているのは、“心の状態を理解しながら、その人の本来の力を引き出すこと”です。
現在のサロンではどのようなメニュー提供に注力されているのでしょうか?
私自身がすべてのプロデュースを行っているため、提供できる数にはどうしても限りがありますが、今後特に力を入れていきたいと考えているのが、ヘッドスパ事業です。私はもともと美容師としてキャリアを積んできましたが、当サロンで提供しているヘッドスパは、一般的なものとはまったく異なる“業界の常識を覆すヘッドスパ”です。
多くの美容室では、カラーやパーマなどの施術を前提としたサービス設計になっており、結果的に髪や頭皮に負荷をかける構造が根づいています。ダメージを補うためにトリートメントを行い、また施術を繰り返すという、いわば負のループがビジネスモデルとして成立してしまっているのです。その結果、多くの方が「年齢を重ねれば髪が細くなる」「白髪が増えるのは仕方ない」といった誤った“常識”を信じてしまっています。
しかし、これは本来避けられる現象です。正しい知識と適切な処方を行えば、年齢を重ねても髪と頭皮は健康な状態を維持できます。
実際、私が20年以上この分野に携わり、長年ヘッドスパを続けているお客様を見てきた中でも、40代以降の髪質がほとんど変化しない方も多くいらっしゃいます。つまり、老化ではなく“誤ったケア”が原因で髪が衰えているケースが非常に多いのです。
当サロンで提供するヘッドスパは、そうした根本原因にアプローチし、頭皮と髪の健康を取り戻すことを目的としています。
言い換えれば、“髪をきれいにする”だけでなく、“健康を再構築する”プログラムです。この技術と知見を通じて、美容業界全体に新しい価値観を広めたいと考えています。将来的には、私自身が直接手がけるプロデュースには限界があるため、ヘッドスパの分野を中心に展開を拡大し、より多くの方にこの健康的な美しさの概念を届けていきたいと考えています。髪や頭皮のケアを“年齢のせい”で諦めるのではなく、正しい知識で美しさを取り戻せる社会を実現することが、これからの大きな目標です。
髪について多くの人に届いていない情報として、どのようなものがあるのでしょうか?
私が最も大切だと考えているのは、「本当の美しさは健康な状態からしか生まれない」ということです。
そして、その健康を守るためには、まず“正しい知識を知ること”がスタートラインにあります。正しい情報を知り、そこから自分に合った選択をしていく。その一歩を支援するのが私たちの役割です。
髪や肌の健康を語る上で非常に重要なのが、「弱酸性」というキーワードです。テレビCMなどでも耳にする言葉ですが、その意味を正確に理解している方は多くありません。人間の体の表面の肌や髪は、生まれながらにして「弱酸性」に保たれているのが正常な状態です。
これは単なる数値上の話ではなく、外的刺激から身体を守る“弱酸性バリア”という防御機能が正しく働いていることを意味します。
つまり、弱酸性を維持している限り、肌や髪は自らを守りやすい健やかな状態にあるのです。
しかし、現代ではこの弱酸性のバランスが崩れている方が非常に多く、私の実感では9割以上の人が本来のpHバランスを保てていないと感じています。その主な原因は、たとえばパーマやカラー剤などのアルカリ性の薬剤、そして毎日の水道水です。東京都の水道水はpH7.0〜8.0ほどの中性に近い値で、髪や頭皮にとっては弱酸性よりも高い数値であるため、日々のシャワーや洗髪の積み重ねによって、知らないうちにpHバランスが中性〜アルカリ性側に引き上げられているのです。
本来、体内はアルカリ性、体の表面は弱酸性というバランスを取ることで、体の中の不要物(老廃物)を外に排出する“デトックス機能が正常に働きます。この関係を坂道に例えると、体の中がアルカリ性で表面が弱酸性であることで、傾斜がつき、老廃物が外に流れ出やすくなります。しかし現代人の多くは、このpHバランスが崩れて「傾斜が緩やかになっている」状態。つまり、デトックスがうまく機能していないのです。だからこそ、髪や頭皮に関する本当の健康を守るには、まず「弱酸性のバランスを整える」という知識を知ることが不可欠です。
美しさを追求する前に、“身体が自然に備えている仕組み”を理解する。そこにこそ、長く健康的で美しい髪を保つための本質的なアプローチがあると考えています。
【RENO produce salon una】で提供されているヘッドスパのメニューではこれらに対応したメニューになっているのでしょうか?
当サロンで提供しているヘッドスパメニュー「ヘッドスイーパー【はたちの艶髪】」は、先ほどお話ししたpHバランス(弱酸性)理論に基づき、髪や頭皮を本来の健康状態へと導く内容になっています。
特徴的なのは、何かを“プラスする”のではなく、髪や頭皮にとって不要なものを取り除き、正常値に戻すという考え方です。
たとえば「艶」は、光の反射によって生まれます。髪の表面にあるキューティクルが整い、滑らかに閉じていると光が正しく反射してツヤが出ますが、カラーやパーマによってキューティクルは一度壊れ、日常的なシャワーの水質(中性〜アルカリ性)でも開いたままになりがちです。そのため、当サロンのヘッドスパでは、弱酸性の力による“収れん作用”によってキューティクルを引き締め、自然な状態で美しいツヤを再生させています。
ここで重要なのは、「疑似的な艶」と「本来の艶」の違いです。
最近流行している髪質改善メニューの多くは、薬剤やアイロンの熱を使って一時的にツヤを出しています。見た目はツヤツヤでも、実際には髪に負荷をかける施術です。一方で、「ヘッドスイーパー【はたちの艶髪】」は熱などの髪の毛に負荷のかかる刺激を使わずに、髪本来の構造と生理的バランスを整えることでツヤを引き出します。学生時代、20歳前後のころに感じていた“自然な髪のハリとツヤ”を取り戻すような感覚です。
つまり、このヘッドスパは「加える美容」ではなく、「取り戻す美容」であり、髪本来の健康を整えることで、美しさが“副産物として”現れてきます。それが、【RENO produce salon una】が目指している“健康美”の本質です。
ヘッドスパを全国47店舗に展開をしていきたいとのことですが、今後の計画を教えてください
現在、【RENO produce salon una】は1店舗のみの展開ですが、今後は全国47都道府県に展開していく構想を描いています。
実は、ヘッドスパを本格的に提供している美容室の割合は、全国の美容室全体のわずか約4%に過ぎません。さらにその中でも、現役世代(30〜40代)の美容師でこの技術を正しく施術できる方は、さらにその2割ほど。つまり、現代仕様のヘッドスパを提供できる美容師はごく一握りというのが現状です。
弊社で提供するヘッドスパの技術自体は60年以上の歴史を持ちますが、最も注目を浴びたのは1990年代。当時のブーム期に学んだ美容師が今では60代以上となり、地域の個人サロンなどで継続的に提供されているケースはあるものの、現代人の髪質や生活習慣に合わせたアップデートがほとんどされていません。そのため、技術としては残っていても、新規顧客を獲得できていない現状があります。メーカー側も縮小傾向にある中、「再びこの技術を広めてほしい」という声を頂き、2024年の秋にヘッドスパを復活させました。
そこから新しいアプローチで施術法と空間演出を見直し、“現代人の髪と心にフィットするヘッドスパ”として再構築。顧客からも高い評価を得ており、ここから全国へと拡大していく構想が具体的に進み始めています。
「過去の技術を再現するのではなく、今の時代に合わせて進化させる」この姿勢こそが、【RENO produce salon una】が掲げるヘッドスパ事業の根幹です。
RENO Produce Salon unaで提供しているメニューについては、下記サイトをご参照ください。
※現在ご予約、お問い合わせはLINEにて受け付けております
ここからは浅野社長のことをお聞かせください。学生時代に打ち込んだことはありますか?
学生時代を振り返ると、常に「かっこいい」と感じるものに惹かれて、さまざまなことに挑戦していました。
小学生から中学生まではバスケットボールに打ち込み、日々の練習に没頭する毎日を送っていました。
しかし高校に入ってからは、“大人になるための社会勉強の時期”と捉え、スポーツよりも自分の感性を磨く活動に力を注ぐようになりました。
私が特に熱中していたのは、路上での詩の創作活動です。出身地の宮城県仙台市には、駅前から続く長いアーケード街があります。
毎週金曜日の夜、仲間たちと終電に乗って仙台の街に繰り出し、アーケードの一角に布を広げ、通りゆく人々に向けて詩を書いていました。当時はまだ十代でしたが、自分の想いや感情を言葉にして表現し、誰かの心に響く瞬間を感じられることが何より嬉しかったのを覚えています。なので、活動自体は稼ぐためではなく、純粋な自己表現の場として行っていました。
ただ、近くには歓楽街があり、夜遅くまで飲んでいたビジネスマンの方々が興味を持って立ち寄り、「おもしろいね」と言いながら1万円札を置いていってくれることもありました。
今思うと少し照れくさい経験ですが、人との出会いや社会との関わりを肌で感じられた、とても貴重な時間だったと思います。
そして、この時期の経験は、“言葉で人の心を動かす”という感覚を学んだ原点でもあります。当時の路上詩人としての自己表現が、いまの「パーソナルブランディング」や「感情に寄り添うコンサルティング」の根幹にあるのかもしれません。
そもそも、なぜ詩の活動をされようと思われたのですか?
仲間の一人が先にその活動を始めていたことがきっかけです。彼の姿を見て、「言葉で自分の想いを表現するって、なんてかっこいいんだろう」と感じたのが最初の動機だったと思います。
当時はまだ十代だったので、書いていた内容を今振り返ると、正直自分でも理解不能な言葉が多かったと思います(笑)。それでも、「思いを言語化して誰かにぶつける」という行為そのものに惹かれていました。
人に何かを伝えたいという衝動や、自分の中にある感情を外に出して形にする行為が若い自分にとっては何より魅力的でしたし、この“言葉にする”という行為が、今の仕事にも強く通じています。
当時の詩が「心の内側を言語化する表現」だったとすれば、今のパーソナルブランディング事業は「その人の魅力や本質を言語化して外に伝える表現」です。形は違っても、根底にあるのは“人の本質を言葉で可視化することへの情熱”だと思います。
美容に対して興味持ったのはいつ頃だったのでしょうか?
美容に興味を持ったのは、小学生の頃です。
昔から「かっこいいもの」に強く惹かれる性格で、その延長線上に“美容”という世界があったように思います。
当時はちょうど“カリスマ美容師ブーム”の真っただ中。テレビや雑誌で美容師が脚光を浴びる時代で、「美容師ってかっこいい仕事なんだ」という憧れを抱いたのは、中学生の頃でした。
ただ、私の場合はそれだけでなく、家業が美容室だったことも大きな要因でした。
私は美容師一家の四代目で、もともとは曾祖父の代に「床屋」として始まったのがルーツです。その後、祖父から父と理容師のバトンを継ぎ、加え母が美容師だったため美容室も創業し、現在も地元で理容室と美容室を経営しています。そのため、将来的に自分がその道を歩むことは、どこか自然な流れでもありました。
一方で、“実家を継ぐ”という前提があるからこそ、「それを超えるほどにやりたい仕事が見つかるかどうか」が自分の中での勝負でもありました。結果として、美容の世界に進むことを選んだのは、やはり“人をかっこよくする”という行為に強く心を動かされたからだと思います。そして今振り返ると、その“かっこよさ”への憧れが、形を変えて「人の魅力を引き出すプロデュース」という今の仕事につながっているのかもしれません。
当初は美容師としてどのようなキャリアを歩もうとお考えだったのでしょうか?
美容師になりたての頃は、実家の美容室を継ぐ前提で動いていました。
仙台の専門学校を経て、東京で修行して25歳で地元に戻るというプランを立てていました。母も東京で腕を磨いた人間だったため、「最前線で技術を身につける」ことはごく自然な選択でした。
ところが、25歳を迎えたときに考えが変わります。日本中の有名店やカリスマ美容師が集まる東京で、自分はまだ研鑽が足りないと痛感し、帰郷のリミットを30歳に延長。さらに経験を積む道を選びました。
そして30歳になったとき、また新しい景色が見えました。個人として一人前を目指すだけではなく、「業界のために自分は何ができるか」を真剣に考えるようになったのです。美容師は“なりたい人が目指す職業”である一方、働き方・低賃金・離職率といった業界課題によって、夢を途中で諦める人も多い現実があります。
「この仕事を愛して選んだ人たちが、長く幸せに働ける環境をつくりたい」。その思いが、私のキャリアの舵を切るきっかけになりました。
社会人時代に経験したお仕事のなかで「この経験があったからいまの自分がいる」または「この経験が今の事業に活きている」エピソードはお持ちでしょうか?
私が勤めていたサロンは、いわゆる高級サロンと呼ばれる場所で、皇室関係者をはじめ、各界のVIPが多く通われており、普通の美容師ではなかなか経験できない環境でした。
そこで学んだのが、“髪を整える”だけではなく、“人を観る”ということです。立ち居振る舞い、会話のテンポ、表情の変化など、お客様一人ひとりの空気感を読み取り、その人が本来持っている魅力をどう引き出すかというものです。この感覚は、今のパーソナルブランディングやコンサルティングにも深く活きています。
また、当時そのサロンで学んだヘッドスパ技術も、現在私が展開しているヘッドスパ事業のルーツです。ヘッドスパを通じて「外見を整えるだけでなく、内面の状態まで整える」という考え方に出会い、そこから“人の心に作用する美容”というテーマを追求するようになりました。
その後、美容師としての経験を土台に、サロンコンサルティングの仕事を始めました。数字や経営の専門家ではありませんが、現場で見える“人”や“空気”を読むことには自信があったからこそ、机上のアドバイスではなく、自ら現場に入り込んで共に働きながら改善していくという独自のスタイルを取ったのです。
一緒にシャンプーをし、接客をしながら現場のリアルを掴み、そのサロンやスタッフの強みを引き出していく。この“伴走型コンサル”の手法は、美容師としての自分の在り方をそのまま活かせるものでした。
こうして培った「人を見る力」と「現場感覚」が、現在のブランディングコンサルティングの基盤になっています。
技術でも経営でもなく、“人の魅力をどう輝かせるか”を軸にしてきた経験が、今の自分を形づくっていると感じます。
2023年にネクストシンクを設立された経緯を教えてください
ネクストシンクを立ち上げたのは、“美容という枠を超えて人の人生に関わる仕事をしたい”という思いからでした。
コンサルティングを行いながらも、私は常に現場に立ち続けていましたが、お客様と直接向き合うなかで、美容師という職業の特徴でもある「距離の近さ」や「信頼関係の深さ」を改めて実感しました。
長く通ってくださるお客様ほど、人生の節目や悩みを打ち明けてくださいます。そして私は次第に素晴らしい魅力や可能性を持っているのに、仕事や家庭、人生そのものがうまくいっていない方が意外と多い。ということに気が付きました。
「この人の“良さ”を、外見だけでなく人生そのものに活かすにはどうしたらいいのか」——その問いが、今のプロデュース事業の原点になっています。
美容師として髪にアプローチするだけでは届かない部分があるからこそ、見た目(ヘア・ファッション)と心(メンタル・心理)を一体で整えるパーソナルブランディングへと発展させたのです。
外見を変えるだけでなく、その人の心の在り方や思考にまで働きかけることで、“人生そのものをデザインする”ことができます。
その思想を具現化するために、2023年、ネクストシンク株式会社を設立しました。
経営者として仕事をするなかで、どのような苦労がありましたか?
経営を始めて最初に直面したのは、お金の問題でした。
美容師としてプレイヤーでいた頃は、売上や顧客からの対価がすぐに収入につながる構造でしたし、コンサル時代も成果に応じて報酬が発生する“キャッシュポイントが明確な仕事”でした。
しかし、プロデュース事業を始めたときに気づいたのは、「思っていた以上に市場が小さい」という現実でした。
「人生レベルでブランディングする」というサービスに価値を感じてくれる方々は確かに存在するものの、それを支払いや必要性の面で実際に導入できる人はごく限られていたのです。
結果として、営業活動やブランディング構築にかける時間と資金のバランスが大きく崩れ、現場での売上はあるものの、投資コストが膨らみ、資金繰りは次第に厳しくなっていきました。「これはもうショートするかもしれない」と思うほど追い詰められた時期もあります。
ただ、その経験があったからこそ、“理想と現実のバランスを取る経営感覚”が養われたと思います。
自分が信じる価値をどうやって世の中に届けるか。そのための伝え方や構造の作り方を、必死に模索した時期でもありました。
そこからどのように盛り返したのでしょうか?
資金繰りが限界に達したとき、正直「もう無理かもしれない」と思いました。
本来、経営の知識があればもっと早く軌道修正できたはずですが、当時の私はプレイヤーとしての感覚しかなく、「ショート寸前」に追い詰められるまで気づけなかったんです。
そのため、どのように盛り返すかを考えた結果、私は恥を捨てて頭を下げることにしました。自分を信じて応援してくれていた人たちのもとへ出向き、素直に現状を話し、支援をお願いしました。正直、ものすごく迷いました。美容師として現場に戻れば、すぐに収入を立て直すことはできる。でも、それを選ぶことは、自分が信じた道を自ら諦めることでもありました。
「応援してくれた人たちの期待を裏切りたくない」「後悔だけはしたくない」とそう思って、プライドを捨てて頼りました。結果的に、数名の方々から資金をお借りし、そこから徐々に立て直しを図っていきました。現場での売上を安定させつつ、営業活動や投資のバランスを一から学び、少しずつ資金を回しながら事業を再構築。最終的には返済もすべて終え、再び自走できる状態まで復活することができました。
振り返れば、あのとき「諦めずに信じた道を選んだこと」がすべての転機でした。
今の自分の経営スタンスの根底には、あの経験が確実にあります。“一時の恥よりも、一生の後悔を選ばない”それが、今でも私の信条です。
営業活動ではどのようなことをされたのでしょうか?
SNSが今ほど普及していなかった当時、私は徹底的にリアル営業で動きました。
見込み顧客をネットで集めることは難しく、また私の提供するサービスは、SNS広告経由で購入されるような類のものでもありませんでした。むしろ、人と直接会って話し、信頼関係を築く方が成果につながる。そう考えて、ビジネス交流会や経営者会合などに足を運び、人脈づくりから始めたのです。
そうして少しずつ顧客を獲得し、信頼を積み重ねた結果、現在では紹介のみで経営が成り立つ体制にまでなりました。
特にプロデュース事業においては、契約更新率が91%。ほとんどのお客様が継続してくださっています。
もちろんそれは、単なる“依存”を生み出す関係ではなく、「信じて任せてくれる方と共に創る」という、信頼に基づいた関係性を築いてきたからだと思っています。
また、私のサービスの特徴は、2週間ごとの継続的な関わりがあることです。いつもベストな状態を保つために定期的に調整を行っています。一般的な美容室が“施術の場”であるのに対して、私たちの関係は“共同創造の場”に近いからこそ、最初のヒアリングでお客様との相性や信頼の度合いを見極めることを最も重視しています。
半信半疑のままでは、どんなに技術があっても良い結果は生まれません。「短期的な売上よりも、長期的に信頼を築けるお客様と向き合う」それが私の営業スタイルであり、今のネクストシンクの基盤を支えている考え方です。
今後の展望について教えてください
今後については、今あるサロンを拡大させることよりも、現在のクオリティを保ち続けることを第一に考えています。
なぜなら、RENO produce salon una は、お客様一人ひとりに深く寄り添うスタイルを大切にしているため、無理な拡大や多店舗展開は理想のサービスを崩してしまう可能性があるからです。
一方で、ヘッドスパ分野においては全国展開の構想がありますし、この技術と知識をより多くの人に届けることが、私自身の使命でもあると思っています。ただ、現状のヘッドスパは非常に専門性が高く、熟練した技術と正しい理解が求められる領域です。
そのため、単純なフランチャイズ展開は難しく、「正しい施術を再現できる体制」を整えないまま拡大することは本意ではありません。
もし展開を進めるとすれば、現在提供しているヘッドスパをベースにした簡略化バージョンを新たに設計する形を想定しています。
価格もより手に取りやすく設定し、啓蒙活動のきっかけとなるようなラインにすることで、より多くの人が「本来の健康的な髪と頭皮の在り方」を知る入口になればと考えています。
理想は、全国に正しい知識を持った施術者を育て、「髪の健康から人生を整える」という価値観を広めていくことです。急がず、確実にという姿勢で、少しずつ形にしていきたいと思っています。
他の経営者におすすめの本のご紹介をお願いいたします
『リーダーの否定しない習慣』(林健太郎 著)がおすすめです。
実は、著者の林先生は私のクライアントでもあり、この本の内容にも深く共感しています。
本書はリーダーやマネージャー向けに書かれたマネジメント分野のベストセラーで、タイトルの通り「否定しない」という姿勢を軸にしたリーダーシップ論が展開されています。今の時代、ビジネスにおけるマネジメントの在り方は大きく変化しており、従来の「上からの管理」ではなく、個々の能力を信じ、引き出す関わり方が求められています。
この本では、部下やメンバーを“否定せずに導く”というアプローチを通して、相手の本来の力をどう活かすか。そのヒントが丁寧に書かれています。実際、私自身の仕事でも、「相手を認める」「信じる」という姿勢が大事だと感じる場面が多く、この本の内容は非常に実践的で、経営者として多くの学びがありました。
人を動かすのではなく、人が動きたくなる環境をつくる。そんな現代的なマネジメントを学びたい方には、ぜひおすすめしたい一冊です。
ぜひご一読ください。
| 『リーダーの否定しない習慣』 林 健太郎 (著) |
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企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。
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