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オープン株式会社代表 石井 岳之氏

  • 01/14/2026
  • 01/07/2026
  • 人材
  • 47回

今回はオープン株式会社代表、石井 岳之氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

会社名称 オープン株式会社
代表者 石井 岳之
設立 2013年7月
主な事業 スマートロボット(RPA、AI)を活用した情報処理サービス、コンサルタント事業
スマートロボット(RPA、AI)を活用したアウトソーシング事業
スマートロボット(RPA、AI)を活用したデジタルマーケティング、オンライン広告事業
社員数 157名(2025年9月時点)
会社所在地 〒105-0003 東京都港区西新橋3-3-1 KDX西新橋ビル 3階
会社HP https://open.co.jp/

 

事業紹介をお願いします

オープン株式会社は自らを「オートメーションカンパニー」と位置づけており、お客様へ技術を届け、業務自動化を支援する事業と

オートメーション技術を活かし、優れたサービスを提供する事業の2つのアプローチで社会に価値提供をしている会社です。

 

当社は、もともとRPAツール「BizRobo!」のソフトウェア販売を中心に事業を展開してきました。現在はそのBizRobo!もハイパーオートメーションという枠組みの中で進化させており、RPAという限定的な領域にとどまらず、業務プロセス全体の自動化、さらにはAIを組み合わせた高度なビジネスオーケストレーションまでを視野に入れたプロダクト提供へとシフトしています。

また、最近力を入れているのがデジタルBPOです。従来は「技術をお客様へ提供する」という立場でしたが、今は当社自身がその技術を活用し、プロセスを自動化したうえで、安価で高品質なサービスを提供するBPO型モデルにも取り組んでいます。

具体的には、給与計算、コンプライアンスチェックなどの業務を、オートメーション技術を活かしたデジタルBPOとして提供しています。

 

※補足 ハイパーオートメーションとRPAとの違い

RPAとは・・・RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、定型業務を自動化する技術で、主にルールベースの作業を実行します。たとえば、データ入力やレポート作成、メール送信などの繰り返し作業を自動化することができます。

ハイパーオートメーションとは・・・ハイパーオートメーションは、RPAを含む、より高度な自動化アプローチです。AIやプロセス発見ツール、ローコード/ノーコード開発プラットフォームなどを統合し、企業全体の業務最適化を実現します。

 

どのような課題から、ハイパーオートメーションに着目されるお客様が多いのでしょうか?

お問い合わせをいただく内容を見ていると大きく2つの特徴があります。1つは、従来のRPAではカバーしきれなくなり、より広いスコープで自動化を実現したい企業からの依頼です。いわばRPAの次の施策として、ハイパーオートメーションのプロダクトを導入したいという相談が増えています。

もう1つは、AIを導入しても事業成果に結びつかないという課題を起点とした依頼です。AIが個人の生産性向上ツールに留まってしまい、業務プロセスに組み込めていない企業が多いと感じています。その点、ハイパーオートメーションのプロダクトを使っていただくと、どこにどんなデータがあるか、そのプロセスがどのように流れているかがすべて可視化されます。その上で、「このデータ処理や判断プロセスにAIを組み込めば効率化できる」というポイントが明確になるため、属人的なAI活用ではなく、組織としてのAI活用へと進化していくことができます。そしてさらに効果が可視化されることで、翌期以降のオートメーション投資やAI投資の判断材料にもなります。現在は、このような理由からハイパーオートメーションの導入相談が多く寄せられており、当社としても最も注力している領域です。

 

ハイパーオートメーションが最も求められている業界はあるのでしょうか?

はい、明確にあります。1つ挙げるとすれば、金融業界、特に保険会社からの引き合いが非常に多いです。

理由はいくつかあります。まず、保険業界には依然として膨大な事務処理が残っていること。そして今、オペレーションを担っているオペレーターの方々が高齢化してきていることです。主に50代の方々ですが、本当に優秀で、頭の中でさまざまな判断や処理を瞬時に行っています。ところが、今後は定年退職が毎年何百人規模で発生していくため、その際に、プロセスが属人的になり、判断基準が暗黙知のまま業務がブラックボックス化するといった課題がオペレーションリスクとして表面化してきています。

そこで、「退職される前に、まず“何がどう行われているか”をしっかり可視化したい」という理由から、ハイパーオートメーションプロダクトを導入するケースが非常に増えています。

実際に可視化した上でどこを効率化するか、どこにAIを使うべきか、何を標準化して何を自動化できるかを明確にしていくプロセス改革を進めるために、保険会社から多くお声がけいただいています。

 

ハイパーオートメーションの詳細はこちらをご覧ください

https://businessorchestration.jp/

 

ここからは石井社長のことをお聞かせください。学生時代に熱中していたことはありますか?

幼稚園から高校生まで、ずっとサッカーに熱中していました。小学校の卒業文集にも「世界選抜に選ばれる」と書いていたくらいで、有名選手たちのように「自分もいつかああなるんだ」と本気で思っていました。

そのため高校は千葉のサッカー強豪校に進学しましたが、同ポジションの後輩がボールを持つだけで試合がガラッと変わるほどの逸材だったことから、そこで初めて大きな挫折を味わい、高2の途中でサッカーを辞めました。

その後はしばらく気持ちが抜けてしまってフラフラしていた時期もありましたが、大学生になってからは改めてその挫折と向き合うようになりました。「なぜ自分はうまくいかなかったのか」「どうすれば実力差を埋められたのか」そんな問いが頭から離れず、運動力学や身体の使い方を徹底的に研究するようになったのです。その延長で、もう一度何かスポーツに挑戦しようと思い、ボクシングを始めました。

しかし、ジムではトレーナーによって言うことが違ったり、雰囲気で評価が決まってしまったりと、どこか曖昧さを感じる部分があったことから、逆に「動作そのものの本質」を突き詰めたいと思うようになりました。パンチの動きとは何か、力をどう伝えるのか、どんなフォームが最適なのか、そうした疑問を物理学的・力学的に分析していったところ、自分でも驚くほど上達していき、最終的にはプロライセンスも取得しました。
これは決して「練習量が多かったから」ではなく、考えることで本質が理解できたことが大きかったと思っています。この頃から、「人間という動物の本能」「理性と闘争心の境界」などにも興味が出てきて、勝負の場でむき出しになる人間の本質を知ることは、人生においてもとても大きな学びになりました。

 

現在も格闘技を続けていらっしゃるのでしょうか?

最近また本格的に復帰しました。
実は、社会人になってからもずっと格闘技は続けていたのですが、ここ3年ほどまったく練習をしていなかった期間がありました。しかし、「自分にはまだ闘争心があるのか?」とふと疑問に思ったことから、2025年10月にキックボクシングの試合に出場しました。

結果は、僅差の判定負けでした。対戦相手が元プロボクサーでキック歴も長い方でしたが、解説では「これは引き分けですね」というコメントが出るほど互角でした。ただ、勝ちきれなかったのが正直悔しかったので、もう一度しっかり練習して、次は必ず勝とうと思っています。

そして、今回の復帰を通して、自分の中に闘争心はしっかりとあることを認識しました。試合では相手に真正面からぶつかっていく感覚もありましたし、勝ちに行く気持ちが自然と自分の中に戻ってきたのを感じました。格闘技は、そういう意味で今も大事に続けていることのひとつですね。

 

幼少期から闘争心は強いタイプだったのでしょうか?

そうですね。昔から競争は大好きでした。
何かに取り組むからには勝ちたいですし、そのためにどう準備するか、どう戦略を立てるかといったプロセスを考えることも含めて好きだったと思います。

 

大学では慶應義塾大学経済学部に進学されていらっしゃいますが、どのようなきっかけがあったのでしょうか?

正直に申し上げると、もともと慶應に行くつもりはまったくありませんでした。サッカーを辞めた後、当時「カリスマ美容師」ブームがあったことから専門学校へ進もうと思っており、高3の冬頃までは大学への進学は視野にありませんでした。

転機になったのは、兄の存在です。
兄が浪人して東京工業大学に合格したという話を聞いていて、 “じゃあ自分も努力すれば東大くらい行けるだろう”と単純に思い、そこから急に勉強モードに切り替えました。1年本気で勉強して東大を目指したのですが、結果は不合格。「もう1年やるのは時間がもったいないな」と感じて、試しに受けていた慶應義塾大学経済学部にそのまま進学したという流れです。

そのため、「慶應だから」「この学部だから」という積極的な理由があったわけではなく、結果的にご縁があって進学したというのが実際のところです。

 

就職活動ではどのような業界を検討されていましたか?

就職活動の時期は、正直かなり迷走していました。
周囲を見渡すと、銀行や商社を目指す人が多く、仲の良い友人は会計士資格を取得したりと、皆それぞれ“分かりやすく安定した選択”をしていたのが印象に残っています。一方で当時の私は、アルバイト先の店長から「社員にならないか?給料もかなり良いよ」と誘われていたこともり、飲食の道も一つの選択肢として存在していました。

ですが、周囲の就職活動の話を聞いていて疑問に思ったのは「本当に自分自身の意思で選んでいるのか?」ということです。

商社志望の人に「そこで何がしたいの?」と聞いても、「グローバルで活躍したい」「とりあえず人気だから」など、どこか“レールの上に乗っているだけ”という印象を受けました。会計士になった友人も、「食いっぱぐれないから」「社会的ステータスがあるから」という理由で、何かを主体的に選んだようには見えませんでした。

そして、私はそういう話を聞くうちに、「自分の将来の選択肢をできるだけ狭めない方がいい」という考えが強くなっていきました。

当時の私は、正直どんな仕事も面白そうに見えていて、商社のグローバルな世界にも興味はあるし、メディアや広告の世界も魅力的に見えていました。飲食店で様々な人間模様を見てきた経験から、「商売」というものにも興味がありました。

だからこそ、何か特定の業界に絞るよりも、「ビジネスの本質を理解し、どの領域でも価値を出せる自分になりたい」という思いが出てきて、その答えとしてコンサル業界を軸に見るようになりました。

その中で出会ったのがオープンアソシエイツ株式会社(現オープングループ株式会社)です。“オートメーションという新しい価値を創る会社”としての可能性に惹かれ、ここであれば自分の選択肢を広げながら成長できると感じて入社を決めました。

 

オープングループ株式会社への入社の決め手は何だったのでしょうか?

当時のオープングループは「ビジネスプロデュース」という言葉を掲げていました。

現在グループ代表を務める高橋や大角もアクセンチュア出身ですが、当社はコンサルティング会社というよりも「ビジネスをつくることで価値を出す会社」として位置づけられていました。また、多くのコンサルティングファームが「経営者の右腕となって支援する」という助言型のプロフェッショナル像を掲げる中で、オープングループは「事業が生まれることにコミットする」と言っていたことから、この“事業を共に創りにいく”という姿勢は、当時の私にとって非常に新鮮で惹かれるものでした。

単に助言をするだけではなく、自ら汗をかき、事業づくりそのものに責任を持つ。そういったコミットメントを明言している会社は他になかったことから、「ここでなら自分の力を最大限に活かせる」と感じ、最終的にオープングループを選びました。

 

様々なお仕事を手掛けてきた中で、糧になっている経験はありますか?

仕事の内容というよりも、成果に対する姿勢が自分の糧になったと強く感じています。

当時は「ビジネスプロデュース=成果にコミットすること」だと信じていたので、成果に応じて報酬をいただくべきだと、本気で思っていました。その信念のもと、私自身が勝手に、と言うと語弊がありますが成果報酬型の請求を行っていた時期がありました。
お客様からも非常に評価いただき、特に大手通信会社の広告事業では3年ほど大きなアカウントを任せていただいていました。

ところがある日、「お前の請求書は何万円という中途半端な数字が並んでいておかしい」と社内で強く叱責されました。
確かに、社内に何の承認も得ず、自分の思想だけで成果報酬型を貫いていたのでごもっともだと思います。

しかし私はなぜダメなのか、自分は業界の流儀や本質を理解していないのではないか、自分の成果コミットはただの自己満足ではないのか、と本気で考えました。そして考え抜いた結果「中途半端だったから」という答えにたどり着きました。

誰もが納得せざるを得ないほど圧倒的に成果を出せば、容易に否定されることもないと思い直し、もう一度腹を括って“成果に徹底的にこだわる”ことを自分に課しました。結果、お客様からの信頼はさらに厚くなり、アカウントも大きく成長。気づけば社内から何も言われなくなっていました。

 

  • 最初に批判されても、結果を出し続ければ評価は必ず変わる。
  • ビジネスはチームで成果を出すフィールドであり、売上・利益という本質からは逃れられない。
  • 中長期で見て正しいと信じられることには、食らいついてやり抜くべきである。

 

特定のプロジェクトに限定した思い出というより、この時の姿勢そのものが、今の自分の仕事観や意思決定の基準を支えていると感じています。

 

入社当時、社内で上を目指すというキャリアビジョンは持っていましたか? それとも成果を出す中で自然と役割が大きくなっていったのでしょうか

入社当初は、正直なところ「いずれ起業して辞めるんだろう」と思っていました。ですので、社内で出世を目指すといったキャリアビジョンは特に持っていませんでした。しかし、当時携わっていたアフィリエイトサービスプロバイダ(ASP)の「PRESCO」は、多くの方々が関わり、クライアントやメディアに対して大きな責任を負っていました。そのため、これを途中で手放すのではなく、最後まで責任を持ってやり遂げたいという思いが強くなっていきました。

 

よく誤解されるのですが、株式会社セグメントの立ち上げは「私の成果が評価されたから」ではありません。

むしろ逆で、「うちはコンサルティング会社だから、広告事業はこの社内ではやらない」という判断があり、「それなら会社を分けよう」ということで生まれたのがセグメントでした。つまり、評価ではなく分離だったのです。

しかしながら代表としての権限をいただけたこともあり、むしろ自分の意思をより反映して事業を進められる環境が整いました。

結局は成果を出し続ければいい、評価は後からついてくるというスタンスは変わらなかったので、「ならばしっかり成果を出せばいい」と気持ちを切り替えていました。

なお、立ち上げ当初はオフィスも雑居ビルからスタートしており、決して華やかな船出ではありませんでした。しかし、その判断にも理由があると受け止め、「それならそこで成果を出せばいい」という姿勢で臨んでいました。

 

経営者として仕事をするなかで、どのような苦労がありましたか?

私は常に「やるからには勝ちたい」「ビジネスには必然性やロジックがある」と信じてずっと事業をつくってきました。

「PRESCO」やセグメントの立ち上げ、さらにRoboRobo事業も、売上・利益・コスト、人事評価まですべてが紐づく統合された設計で始めることができ、いわばDay1から勝つための仕組みを組むことができました。

しかし、2024年にオープングループ内の主要事業会社3社が統合し、BizRobo!事業を見るようになってからは状況が180度変わりました。

 

BizRobo!は、もともと私の師匠である大角がつくった事業です。彼は経営管理やコスト・売上管理に非常に厳しいタイプなのでてっきり緻密に組み上げられた事業体なのだろうと思っていたのですが、蓋を開けると、極端に言えば完全なブーム型事業でした。

問い合わせが毎月数百件くるのに対応が後手に回っており、ブームの波に乗っていたから売れている状態で、仕組みより勢いで回っていた時期でした。その結果、ブームが落ち着いた時に残ったのは、「勝つべくして勝つための組織設計がない」という現実でした。

 

本質的にはやり直せばいいだけなのですが、組織は人の集合体です。価値観もエネルギー量も違うなかでそれらが重なって“今の組織の循環”ができあがっているからこそ、少し変えただけで劇的に良くなる、という世界ではありません。
壊すのは簡単ですが、建て直すのには非常に時間がかかるということを痛感しました。

代替案を用意して一気に壊し切る、という選択肢ももちろんありましたが、環境を見たときにそれは得策ではないと判断し、既存の循環を理解してその上でしつこく改善し続けるというアプローチが最善だと考えています。

しかしながら私は0からつくるタイプなので、「仕組みをゼロから組めば勝てる」という感覚が染みついています。しかし、既に多くの人がいて、歴史があり、価値観がある組織に対して、0→1のやり方は簡単には適用できません。そこが、経営者として最も苦労している部分であり、今もなお挑戦し続けているテーマだと感じています。

 

組織を変えていくために、どのようなアプローチをされたのでしょうか?

大きく2つあります。

 

まず1つ目は、人事評価の仕組みに、自分の考えや表現したい価値観を少しずつ織り込んでいくことです。一度に大きく変えてしまうと現場が混乱しますし、そもそも評価は組織文化の根幹に関わる部分なので、急激な変更は逆効果になり得ます。

ですので、目指す組織像、大切にしたい働き方、成果の捉え方などを、段階的に評価制度へ組み込んでいくようにしています。

勝つべくして勝つための仕組みを、ゆっくりと内部に浸透させていくイメージですね。

 

もう1つは、自分が直接コミュニケーションする対象を広げることです。当初は、事業責任者と対話していけば十分だと考えていました。
しかし、実際には「意図した動きと違う」「思ったように伝わっていない」という場面が多く、ボトルネックに気づきました。

そこで、誰に向けて何を期待しているのか、今ビジネスとして何が重要なのか、自分がどんな狙いで方針を動かしているのかということを、より多くのメンバーに直接伝えるようにしています。

特別なことではなく、「少しずつ、しかし確実に風向きを変えていく」。そんなコミュニケーションの積み重ねが、組織の変化に繋がると考えています。

 

会社の目指す方向性を伝える際、どのような工夫をされていますか?

これは、実は当社の「成り立ち」と深く関係している部分でもあります。

当社は創業時から、いわゆるアメーバ経営的な発想が強く、地域拠点も含めてそれぞれが「小さな経営単位」を持つという考え方で動いてきました。

そのため「会社全体としてはこう進む」というメッセージが刺さる拠点と、刺さらない拠点がはっきり分かれます。これは一見すると難しさにも見えますが、地方にも経営という観点で物事を考え抜いているメンバーがいますし、彼らが能動的に拠点を伸ばしている姿が見えてくる点はとても良いことだと考えています。

 

だからこそ、ただ「会社はこうしたいです」と語るだけではなく、その話が、相手の拠点・チームにとってどんな利害に関係するのか、全体の方向性と、相手が抱えている現場課題の間にどんな接続点があるのかという部分をきちんと理解した上で、伝える内容や言葉を調整しています。

つまり“全社の正しさ”を押し付けるのではなく、相手が動ける文脈に翻訳して伝えるというイメージです。

単なる一般論では人は動かないので、「あなたの立場から見ると、これがこう繋がります」という橋渡しを丁寧に行うようにしています。

 

やらされている感ではなく、自分ごととして受け取ってもらい、動いてもらえるように工夫されているんですね

やはり能動性というのは、どんな役割であれとても重要だと考えています。リーダーシップと言っても良いかもしれませんが、結局のところ「やらされている」状態では、人は期待以上の成果を発揮することはできません。もちろん会社としての保護感はありますが、それだけでは良い仕事は生まれないので、この会社に対する共感、取り組むことへのワクワクや好奇心、自分が主役として動ける感覚が、特にリーダークラスのメンバーに備わっていないと、仕事の質はどうしても高まらないと感じています。

そのため、1人ひとりがどのような時に主体的になれるのか、どこに意欲の源泉があるのかを丁寧に把握するようにしています。

  • あるメンバーには大胆にフリーハンドを渡し、責任を託す
  • あるメンバーには仕組みや守備範囲を整理して働きやすくする
  • あるメンバーには成長機会や挑戦機会を用意する

このように、個々の状態に合わせて関わり方や言葉を変えていくことが、その人の力を最大限に引き出すためにとても大切です。

 

今後の展望について教えてください

日本はこれから急速に人が減っていきます。
にもかかわらず、労働力としての「人」の価値が高まっている割には、給与は十分に上がらず「安い日本」と言われる状況が続き、若い世代が未来に希望を持ちづらい状況が生まれ始めています。もちろん「一番にならなければならない」といった話ではありません。ただ、より良くなっていく未来を大人たちがつくっていく責務はあると強く感じています。
でなければ、10年後・20年後を見据えたとき、この場所で生き続ける意味や楽しさを若い世代が見いだせなくなるかもしれないという危機感があります。

しかしながら、人が増える未来は残念ながら現実的ではありません。出生率が劇的に上がる可能性も低く、移民政策も世界の例を見る限り、理想的に成功させるのは簡単ではありません。だからこそ、唯一の希望は 「生産性の向上」 だと考えています。

生産性を上げていくためには、企業は「付加価値の創出」に集中すべきです。逆に言えば、誰がやっても同じ成果になる業務、独自性がないノンコア業務は企業ごとに抱えるべきではありません。

たとえば給与計算や仕分け業務は企業ごとにフローが違っていてはおかしい領域です。しかし現実には、企業ごとに異なる仕組み・手順・承認フローが存在し、多大な労力がかかっています。私はこれが社会全体としての損失だと思っています。

 

私たちは、オートメーションの力で日本中の企業が共通で使える、最適化されたサービスを実現したいと考えています。

本来ITは限界コストが限りなくゼロに近く、「よいものを、誰にでも、低コストで届けられる」技術のはずです。

しかし現状では、

  • SaaSの値上げに苦しむ企業
  • 価格が高くて使いたくても使えない中小企業
  • “誰でも使えるはずの技術”が一部の企業に限定されてしまう構造

こうした課題が生まれています。

だからこそ、もう一度“技術はみんなのもの”という原点に立ち返りたいと考えています。
松下幸之助の「水道哲学」のように、オートメーション技術を誰もが使える形で社会に届けていきたいです。

AIでもRPAでもハイパーオートメーションでも構いません。より良い未来を創るための技術を、格差なく使える社会をつくりたいですし、当社がその中心を担う存在でありたいです。

 

他の経営者におすすめしたい本を教えてください

2冊ご紹介したいです。

1冊目は、科学雑誌「Newton」の別冊である『科学的に正しいとは何か』です。

この本では「科学的態度」について解説されており、一見すると科学の話ですが、実は経営やビジネスの在り方にも強く通じる部分が多いと感じています。

科学的態度とは、事実や根拠を重視すること、自分の考えが誤っていれば、事実に基づき修正する姿勢、誰が検証しても同じ結論に至る普遍性といった、ごく当たり前の態度です。

しかしビジネスの現場では、ポジショントーク、権威者の曖昧な断言、事実よりも感情や立場を優先する判断であることが少なくありません。

だからこそ「科学的態度」を経営にも持ち込むことが重要だと感じています。
事実に基づいてフラットに判断し、自説を修正する。その積み重ねが、変化の速い現代の経営には不可欠です。特に変化に強い企業文化を持つ会社は、例外なくこうした“事実に向き合う姿勢”を持っているように思います。
その本質を理解する上で非常に良い一冊です。

 

もう1冊は、SF小説の『ガニメデの優しい巨人』です。

これは、人間のルーツや進化を“宇宙的スケール”で描いた作品で、「人間とは何か」を俯瞰して考えさせられる本です。

物語では、かつて滅びる運命にあったはずの人類が、数千万年の時を経て高度に進化し、逆に宇宙人を驚かせます。

なぜ人類は滅びなかったのか。その理由として描かれるのが、闘争心、競争への強い執着、生存本能に根ざした進化のエネルギーです。

非常に示唆的で、ビジネスにも通じる部分があります。
競争や葛藤が、逆説的に文明や技術を押し上げてきたという視点は、自分自身の中の“戦う力”を見つめ直すきっかけにもなりました。

さらに、この本で印象深いのは、宇宙人が人間に高度な科学知識を与えない理由です。

「人類は自らの進化の過程で、いずれそれに到達する。そのプロセスこそが文明を育てるものだから」という言葉があります。

これは、「最短ルートの答えを教えられることが、必ずしも進化の近道ではない」という示唆にも感じられ、何度読み返しても気づきがある本です。

 

2冊とも学びの多い本ですので、ぜひご覧ください。

『科学的に正しいとは何か』リー マッキンタイア (著), 網谷 祐一 (監修), 高崎 拓哉 (翻訳)

https://www.amazon.co.jp/dp/4315528080

『ガニメデの優しい巨人』 ジェイムズ・P・ホーガン (著), 池 央耿 (翻訳)

https://www.amazon.co.jp/dp/448866332X

 

 

 

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
企業の「発信したい」と読者の「知りたい」を繋ぐ記事を、ビジネス書の編集者が作成しています。

企業出版のノウハウを活かした記事制作を行うことで、社長のブランディング、企業の信頼度向上に貢献してまいります。