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NCホールディングス株式会社代表 梶原 浩規氏

  • 05/29/2025
  • 05/29/2025
  • 人材
  • 29回

今回はNCホールディングス株式会社代表、梶原 浩規氏にお話を伺ってきました。

「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

 

 

会社名称 NCホールディングス株式会社
代表者 梶原 浩規
設立 2016年4月1日
主な事業 コンベヤ関連、立体駐車装置関連、システム開発・人材派遣関連を行う子会社 等の経営管理及びそれに付帯又は関連する業務
社員数 459名(連結ベース)2024/4/1時点
会社所在地 東京都千代田区神田鍛冶町三丁目6番地3 神田三菱ビル5階
会社HP https://www.nc-hd.jp/

 

 

事業内容を教えてください

NCホールディングス株式会社は「ベルトコンベヤ事業」「パーキング事業」「物流装置事業」「太陽光事業」 「システム開発事業」を中心とした多角的事業を展開しています。当社の全体的な経営戦略のもと、個々の事業の価値創造力を強化することで、グループ全体としての競争力の向上を目指しております。

そして、事業会社である日本コンベヤ株式会社では大型コンベヤ事業、パーキング事業(立体駐車場の製作・設置)、再生エネルギー事業の三本柱で事業を展開しています。

1949年の創業以来約70年に渡り、大型コンベヤのトップメーカーとして国内市場のみならずアジア圏を中心に世界約30カ国の社会のインフラ事業に携わり、皆様の課題解決に取り組んでまいりました。特に、大型コンベヤは製鉄所、火力発電所、石灰石の採掘プラントなどに活用され、戦後の経済復興を支えてきた分野を支えてきました。中には50年以上使用されているにも関わらず一度も故障をしていないコンベヤもあります。そして、1988年に機械式立体駐車場事業、2015年には再生エネルギー事業へ参入し、事業の多角化を推進してきました。

 

 

戦後、数多くのインフラ設備が作られてきましたが、インフラ設備は不断の保守整備が必要であることに加え、順次その更新時期を迎えています。コンベヤ、立体駐車場装置、太陽光発電所等、当社が手掛けてきたこれらの設備をAIやIOTを活用して効率的な運用とメンテナンスを行うことにより、今まで以上にお客様のご要望にお応えしていきたいと思います。そして、この体制を強化すべく、2019年に再生エネルギー分野を担当する関西電機工業株式会社をグループ会社に迎え、2021年には立体駐車場装置部門の一角を担うジャパンパーキングサービス株式会社を設立いたしました。

コンベヤ事業等で培った技術を活かした新製品開発にも注力しており、土木関連の土砂運搬、トンネル工事の進捗に合わせ伸び縮みする「延伸コンベヤ」、立杭の中で垂直に土砂を運び出すことが出来る「スネークコンベヤ」、立杭の中の大型重機を移動させることができる「重量物搬送装置」などの新商品を市場に投入し、インフラ事業のお客様ニーズに対応しています。ダムや堤防の浚渫物の搬送分野への取り組みは、激甚化が進む災害の防止に役立てると考えております。

また、立体駐車場事業についても、車の電動化に向けた充電設備対応策や、スマホを利用したより便利なサービスの提供、遠隔監視システムの強化など新しい技術・サービスの開拓に取り組んでまいります。

 

新製品の中で一押しのものはございますか?

CO2削減の流れやトラック運送業界の人手不足を背景に、土木分野への技術応用を進めていますが、その代表的な事例が「フリーラインコンベヤ」です。仮設材を組み合わせたフレーム構造の新しいコンベヤで、地形に合わせて直線でもカーブでも連続配置できます。 また、カーブは最小半径(R=45m)で設置が可能ですので柔軟な配置も可能です。更にルート変更や盛り替えも容易に行えます。

 

 

この技術は、トンネル掘削時の土砂搬送に活用されており、従来のトラック輸送からコンベヤへ変えることでCO2排出の抑制と労働力不足の解消に貢献しています。この事業は4年前からスタートし、この1年間で急速に成長しました。受注額は260億円を超え、将来的には300億円を見込む規模へと拡大しています。フリーラインコンベヤが標準となれば、市場シェアは6〜8割に達する可能性が見えてきました。最近は大型トラックの運転手を確保できない問題が深刻になっています。当社の技術が社会課題の解決策として広がることで社会に貢献できると思っています。

 

大型コンベヤのトップメーカーであるのにも関わらずなぜパーキング事業も始められたのですか?

コンベヤ事業は大型案件になるので、どうしても売り上げに波があります。それを抑えるために、コンベヤ技術を活用して新しい事業にもチャレンジしました。立体駐車場は長期的なメンテナンスが不可欠であり、この保守業務が安定した収益源となっています。

約30年前から、巻き上げ式のエレベーターや立体駐車場を開発して、現在では市場で高い評価を得ています。六本木ヒルズ、新宿高島屋、スカイツリー、GINZA SIXなど、有名な施設への導入実績があるので、この分野でもリーダー的な地位を確立しています。

 

 

再生エネルギー事業とはどのような仕事ですか?

かつては発電所の開発・販売を行っていましたが、現在は事業法人向けの開発にシフトしています。関西電機工業株式会社をグループ会社に迎え、太陽光発電に必要なキュービクル(高圧受電設備)の製造・販売も開始しました。さらに、太陽光発電施設の運用・保守(O&M)事業にも取り組んでいます。今後もグループ企業間におけるシナジーを最大限追求しながら各事業を推進していきます。

 

 

ここからは梶原社長のことをお聞かせください。どのような学生時代でしたか?

立教大学社会学部社会学科に入学し、学生自主映画界で有名なサークルの一つ、S.S.P(セントポールズプロダクション)に入部しました。1980年代は立教大学が自主映画界をリードしており、当時の先輩は映画監督になっています。代表的な映画監督はベネチア映画祭で銀獅子賞を取得した黒沢清監督です。黒沢監督が処女作を作る時に、私は部員だったので勉強そっちのけで手伝っていました。他にもOBに万田邦敏さんや塩田明彦さん、小中和哉さんがいらっしゃいます。

私は彼らほど才能はありませんでしたが、将来は映画か出版関係に就職したいと思っていました。

 

卒業後に経営者になることは考えていましたか?

全く考えていませんでした。

映画三昧で親に心配をかけていたので安心させようと就職活動を始めて、埼玉銀行(現:埼玉りそな銀行)から内定をいただきました。その時に「他の銀行もチャレンジしてみたら?」と言われたので試しにメガバンクもチャレンジしてみると、3行から内定がでました。そして、三和銀行(現:三菱UFJ銀行)に気に入られたことがきっかけで就職することになりました。

印象に残っているのは、当時の深川支店の支店長から様々なことを教えていただいたことです。

支店経営のノウハウを徹底的に教え込まれ、学んだことをまとめたメモは未だにずっとカバンに入れているほど、私の人生に大きな影響を与えてくれた一人です。

入社後は、営業面で才能を発揮し新規の法人営業で東日本ナンバーワンになりました。

 

どうして独立をしたのでしょうか?

「銀行は雨が降ったら傘を貸さない」という言葉をご存知の方も多いかと思いますが、銀行も事業会社である以上、会社や経営者が困った時には助けることができません。このまま在籍していても本当に困った会社を救えないと思い、コンサルになって独立をしようと決めました。

しかし当時は独立費用がなかったので、まずはソニー生命に入社して軍事金を稼ぎました。お客さんにも助けてもらって、多くの契約いただいて5年で独立をすることができました。

 

創業してどの様な事業をスタートしましたか?

株式会社カジビジネスコンサルティングを設立し、保険代理店と法人コンサルを併営しました。

法人コンサルでは主に事業再生案件を担当し、ハンズオンで再建に貢献しました。事業を通して経営の基本的な考え方が正しいかを検証できましたね。

しかし、民主党政権下、モラトリアム法案が可決されたため、単純にコンサル案件の減少や法律を使った任意整理か民事再生などしか道のない瀕死の依頼先しかなく、開店休業のような状態になりました。

そのため、この会社を休眠し再度就職の道を探したところ、ご縁があり、NCホールディングスの経営に関わることになりました。

 

企業再生では具体的にはどのようなことを行なったのでしょうか?

特に意識をしたのは人の育て方です。人間をいかに育てて戦力になるようにするかを考えていました。これは銀行時代の支店長の考え方の1つです。「目先の数字を追うのではなく、人を育てることが結果として勝利につながる」ことを実践しました。

 

NCホールディングスで社長に就任してからはどのように経営をされていますか?

組織の構造改革や事業モデルの見直しを進めながら現場の意見も取り入れ、具体的なアクションプランを実行に移していきました。当社は決して高学歴の集まりではありません。中退者が多いですし、喫煙率や離婚率も高いです。ただ当社で働くことでエリートの集まりに勝てるから面白いのだと思っています。どんな人間でも実力はあります。可能性が眠ってるだけなので、才能を起こすことが必要です。技術があるからこそ誇りを持って働けるので、当社は無限の可能性を秘めています。

社長になってからは社員全員と面談しました。最初の頃はやめたいと申し出る人が30名ほどいましたが、説得して今も皆さんが会社に残ってくれています。1人ひとりと向き合う姿勢を大切にしています。

 

どのようなことを社員にお話しされたのでしょうか?

社員には自信を持ってもらうようにしています。

例えば、立体駐車場事業は、利益が出る余地がたくさんありましたが8割は提案ができていませんでした。そのため、まずは修理や交換が必要な駐車場をピックアップし、取りこぼしていた提案を行いました。赤字を脱することで会社全体が自信を持つことができます。

また、コンベヤ事業はミスが多かったのですが、これは自信を失っていたことが原因で発生をしていました。当社はどこにも負けない技術を持っていますので、「私はできないことは責めない。しかし、やるべきことをやらないことは許さない」と伝え、自信を持って仕事に臨んで貰えるように声をかけつづけました。

なお、営業目標などの数字に関して社員には伝えませんでした。今まで負けてきた人に数字の話をしても萎縮するだけです。「数字は俺が預かる、だから結果は問わない」と社員に伝えて、頼りにして褒めることを意識していました。

社員が小さな価値を積み重ねていることが自信につながります。そして結果を出した人にはボーナスで返還します。

才能や学歴がなくても、やはり自分の使命を引き受けるという気持ちがあれば強い組織になると思っています。人を動かすのは気持ちと言葉だからこそ私は社員との面談を大切にしています。

必ずマインドセットを行い、もし社員に疑問点や不安があれば時間をかけて全部聞いて解消しています。

 

今後の展望を教えてください

コンベヤ事業は当社にしかできないことなので、今後も集中して取り組んでいきたいと思っています。特にフリーラインコンベヤは日本の流通を変える革命です。

立体駐車場は壮年期になっており、30年前に作ったものが老朽化しています。そのため、これからは入れ替え工事が始ります。メンテナンスのストックを増やすことがこの事業の肝になるので、トックを増やすための子会社を作ることや、さまざまな試みを実践していきます。今後は本格的にメンテナンスを手がける O&M(オペレーション&メンテナンス)事業者 の必要性が高まっています。元会長・社長が設立に関わった「太陽光メンテナンス協会」 の理念を受け継ぎ、O&M事業でのリーダー企業を目指しています。

そして最終的には再上場を果たすというのが1番の目標です。

 

最後に経営者へのおすすめの本を教えてください

私が感激した5冊を紹介します。

1冊目は『ホワイトカラー消滅: 私たちは働き方をどう変えるべきか』冨山 和彦 (著) です。全ての経営者に読んで欲しい本です。

2冊目は『経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来』宮台 真司 (著), 野田 智義 (著)です。

3冊目は『マネー・ボール』マイケル・ルイス (著), 中山宥 (翻訳)、4冊目は『アストロボール 世界一を成し遂げた新たな戦術』ベン・ライター (著), 桑田 健 (翻訳)です。チームをどのように立て直すのか、事業再生をされる方にとても参考になる本だと思います。

5冊目は『オシムの言葉』木村 元彦 (著)です。言葉が人を動かすことがよく分かりますし、経営者にとって大きなヒントになる本だと思います。

ぜひ読んでいただけますと嬉しいです。

『ホワイトカラー消滅: 私たちは働き方をどう変えるべきか』冨山 和彦 (著)

https://www.amazon.co.jp/dp/4140887281

『経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来』

https://www.amazon.co.jp/dp/4334952933

『マネー・ボール』

https://www.amazon.co.jp/dp/4150503877

『アストロボール 世界一を成し遂げた新たな戦術』

https://www.amazon.co.jp/dp/4041090792

『オシムの言葉』

https://www.amazon.co.jp/dp/408746301X

 

 

 

 

 

投稿者プロフィール

『社長の履歴書』編集部
『社長の履歴書』編集部
新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!

就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。

代表者様のキャリアを通して、組織の魅力が伝わる記事を発信していけるよう、これからも一生懸命運営してまいります!