今回は株式会社MiraiE代表、三木 佳世子氏にお話を伺ってきました。
「社長の履歴書」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | 株式会社MiraiE |
代表者 | 三木 佳世子 |
設立 | 2023年 |
主な事業 | 起業・複業を目指す個人向けのビジネススクール「エモーショナル起業塾®︎」
映像の企画制作、編集及びディレクション 企業の組織開発及び人材育成支援に関する業務 広報PRコンサルティング、SNSの企画運営、学校行政向け研修の企画運営 |
社員数 | 6名(取材時。業務委託含む) |
会社所在地 | 東京都港区南青山5-17-2 シドニービル502 |
会社HP | https://miraie-design.com/ |
事業内容を教えてください
株式会社MiraiEでは、個人のお客様向けに「エモーショナル起業塾®」という、ビジネススクールを運営しています。ご自身の経験や想いを元に、オリジナルの商品やサービスを形にするプロセスを、伴走型でサポートしています。
そのほかにも、大学生に向けては「自分をどう言語化して表現するか」といった自己PRの支援や、アントレプレナーシップ(起業家精神)に関する講義を実施。中高生向けにはチームワークや役割意識を育む体験型の研修プログラムを提供しています。
また、企業様からのご依頼で、社内のコミュニケーション改善やメンタルヘルスマネジメントに関する研修を行うほか、SNS発信のサポートや、プレゼンテーション力を高めるためのトレーニングなど、年齢や立場を問わず「自分の想いや力を、外に届けていく」ことを支援するサービスを展開しています。
独立当初から同じ事業内容ですか?
最初は「CHANGE」という大人のための自己PRスクールから始まりました。きっかけは、自分のことを自分の言葉で伝えられていない人が本当に多いと感じたこと。それが、人生の可能性を狭めてしまっていると強く思ったんです。実際、会社員や起業家、フリーランスなど幅広い方にご参加いただき、ニーズの高さを感じました。運営を続けるうちに、たくさんの起業家と出会うようになり、その中には「想いはあるけれど、それを“商品やサービス”という形にできていない」人たちが多いことに気がつきました
私は元々NHKのディレクターをしていた経験があり、「想いや背景をまとめ、届けるべき形にする」ることが得意なので、このノウハウをより多くの人に役立ててもらいたいと考えるようになりました。
そこから「CHANGE」に加えて、短期集中でオリジナル講座を作る「講座づくりブートキャンプ」を立ち上げ、“想いを表現し、コンテンツにして届ける”ことを軸に事業を広げていきました。
こうした流れを経て、現在の「エモーショナル起業塾®」が誕生しました。
起業される方に多い問題点はどこにあるのでしょうか?
多くの方が、起業にあたってまず「Webマーケティング」や「ブランディング」を学ぼうとします。もちろん、売り方や見せ方はビジネスを続ける上で重要な要素です。でも、私がこれまで多くの起業希望者と関わる中で感じているのは、“売る前の商品そのもの”が、しっかりと作り込まれていないことが一番の問題だということです。
「どんな想いで、誰に、何を届けたいのか」そこが曖昧なままだと、どんなに上手に売ろうとしても上手くいかず、結果として、思うように売上が立たず諦めてしまう方も少なくありません。
だからこそ、私は売り方の前に「商品づくり」に真剣に向き合って欲しいという思いで、このサービスを提供しています。
研修はどのようなことを行っているのでしょうか?
企業研修では、主に新入社員向けに社内コミュニケーションの基礎を伝えています。特に若手社員がメンタル面で早期に不調をきたし、離職につながるケースが多く、課題と感じている企業が増えています。そのため、社会人としての大切な力である「自分の感情に気づき、言葉にして伝える力」を育むことを目的に、コミュニケーションやメンタルヘルスマネジメントに関する研修をカリキュラム化して提供しています。
経営者の皆様への研修もされていますか?
はい。経営者向けには、経営者団体などに招かれて「企業の魅力をどう発信するか」というテーマで、元NHKディレクターの視点を活かした内容をお話ししています。また、社員への理念を浸透させることを目的に、社長スピーチの原稿チェックや構成サポートも行っています。 経営者の多くは普段、管理職としか対話する機会が少なく、いざ大勢の社員の前で話す場面では「本当に伝わっているのか」と不安になることも。社員の階層に応じた伝え方や、動画制作・原稿作成などを含めて、一貫したサポートを提供しています。
ここからは三木社長のことをお聞かせください。学生時代に思い出に残っていることはありますか?
私はもともと内気で、人の顔色をうかがってばかりの子どもでした。幼少期、関西から東京に引っ越してきた関係で、関西弁をからかわれ、いじめを受けた経験もあり、人に自分の気持ちを伝えるのが苦手になっていました。でもその一方で、「本当は人とつながりたい、伝えたい」という気持ちはずっと持っていたんです。 大学時代に夢中になったのが演劇で、演じるだけでなく脚本も手がけました。ダンスから始まった「人の心を動かしたい」という思いが、演劇へとつながり、今の“伝える仕事”の原点になっています。
大学時代から起業を考えていましたか?
「起業したい」というよりは、漠然と「何者かになりたい」と思っていました。幼少期のつらい経験にどう意味を見出すか、自分なりに長く考えてきました。 大学入学時のテーマは「違いを認め合える世の中をつくりたい」。差別や偏見のない社会の実現に向けて学びを深め、就職活動でも「どうすれば人が互いに認め合えるのか」を軸に進路を考えました。 演劇を通して「人が変わるのは、心が動いたとき」という確信を得て、「何かを発信できる仕事がしたい」と思うようになりました。
どうしてNHKに入社したのでしょうか?
高校生の時に両親が離婚し、大学卒業後はすぐに母を支える必要がありました。そのため、「お金をいただきながら、人の心を動かし、社会に良い影響を及ぼせる仕事がしたい」と思っていました。そんなとき、昔から大好きだったNHKのドキュメンタリー番組のことを思い出し、「私が進むべき道はここだ」と感じてNHKに入社しました。
NHKに入社されていかがでしたか?
本当にたくさんの方、2000人以上にインタビューをしてきました。
日々の暮らしに根ざした思いや、小さな声。社会の最前線で活動する方々の志や葛藤。
立場や肩書きを超えて、一人ひとりの“その人らしい言葉”に触れられることが、何よりもこの仕事の喜びでした。
介護の取材では、数日間現場に入り込み、利用者の方と同じ空気を吸いながら見えてくることを受け取ろうとしました。
学生と一緒にグラウンドで野球をした日も、ただ机越しに話を聞くのでは得られない言葉があったと思います。
そして、東日本大震災の被災地を取材したとき。言葉にならない想いにどう向き合うのか、自分の未熟さに震えながら、でも必死に声を受け取り、伝えることの意味を考え続けました。
どの現場でも、目の前の「一人」と真剣に向き合ってきた日々。そのすべてが、今の自分の根っこになっています。
素晴らしい経験ですね
そうですね。ただ当時はワークライフバランスとは無縁で、土日も取材のネタ探しに明け暮れ、深夜のインタビューも日常でした。子どもが生まれるまでは、すべての時間を仕事に捧げていました。 泥臭い仕事ばかりでしたが、私にとってはそれが生きがいで、「私は一生、番組を作る人間だ」と思っていたくらいです。
どうして起業をすることになったのでしょうか?
きっかけは出産です。会社の制度に配慮はあったものの、育児と仕事の両立に100%力を注げない自分に耐えられなくなってしまって。 そんなとき、働き方先進企業として有名なサイボウズの社長の「100人いれば100通りの働き方がある」という言葉に出会いました。 最初は半信半疑でしたが、サイボウズのような働き方が広がれば、悩んでいるお母さんたちがもっと自由に働ける社会になると思い、転職を決意しました。
サイボウズは実際に働き方が自由なのでしょうか?
はい、本当に自由で、とても面白い職場でした。
ママに限らず、若手や男性の中にも“いわゆる普通”にとらわれない働き方をしている社員が多くいて、複業をしていたり、週3勤務だったり、中には法人化している人もいました。
そんな多様な働き方にリアルに触れられたことは、私にとってとても刺激的でした。
私は「チームワーク総研」という新規事業の立ち上げメンバーとして入社し、サイボウズの成功事例を外部に提供する役割を担いました。ITには不慣れだったものの、自分の強みである“伝える力”や“場づくりの感性”を活かして、組織改革や風土づくりに深く関わることができました。その中で、企業向けの研修プログラムの企画・実施にも携わるようになり、現場のリアルを知ることで、今につながる知見が少しずつ蓄積されていきました。
起業はサイボウズ時代にしましたか?
当時は個人事業主として、ライターの仕事やオリジナル講座の提供、ワーママ向けの朝活コミュニティの運営など、いくつもの活動に取り組んでいました。自分の経験がそのままお客様に喜ばれ、求められることが本当に嬉しくて、どの仕事も心から楽しんでいました。サイボウズの仕事にも大きなやりがいを感じていて、私の中では「パラレルキャリアって本当に最高」と感じていたんです。
そんな中、サイボウズ在籍中にベンチャーのPR会社の社長から声をかけていただき、役員としてジョインすることに。
PR会社では、広報・PRだけでなく、オンライン教育事業のメイン講師や事業部の責任者、コーポレートブランディングまで幅広く担当し、実践のなかで大きく視野が広がりました。
現場に立ちながら事業全体を動かす経験は、のちに自分の会社を立ち上げるうえでも大きな糧になっています。
そして2023年に法人化し、現在の株式会社MiraiEをスタートしました。
経営者になって大変だったことはなんでしょうか?
もちろん、大変なことはたくさんあります。でも不思議と、それを「苦労」と感じていないんです。
もともと起業志望だったわけではないので、必要以上に構えることなくスタートできたのが大きかったと思います。
それに前職では、心身ともに限界を感じていた時期もあったので、今のように「すべて自分で決められる」という状態が、とても楽なんです。たしかに、給与や立場の安定性は前職の方があったかもしれません。でも、幸福度は圧倒的に今のほうが高い。先が見えないということが、むしろ面白い。自分次第で未来を切り拓ける感覚がチャレンジングで、毎日が新しい一日。「私、生きてるー!」って、全身で実感できるような日々なんです。起業してから、人生が一気に“自分ごと”になって、ものすごく面白くなりました。
モチベーションを保つ秘訣はありますか?
社員や業務委託のメンバーなど、チームで働けていることが、私にとって一番のモチベーションです。
自信をなくすようなことがあって、心がちょっぴり沈みそうなときでも、「信じてついてきてくれる仲間がいる」と思うと、自然と力が湧いてくるんです。私は何でも一人でこなせるタイプではないので、苦手なことは頼れる環境があることが本当にありがたくて。その分、自分の得意なことに集中できて、よりよい判断もしやすくなっています。
一人だったらつい甘えてしまう場面でも、チームがいることで自然と自分を律することができるし、みんなで一緒に頑張ったあとは、「ご褒美」としてちょっと贅沢なランチに行ったり、社員みんなでディズニーランドに出かけたりする時間も、私にとって大きな原動力です。
今後の展望を教えてください
当社は、「自分らしさを表現できる人であふれた社会をつくること」をミッションに掲げています。
会社に属していても、属していなくても、自分の想いや願いをしっかりと言葉にして伝え、まわりの人と手を取り合いながら生きていける人を、一人でも多く増やしていきたいと考えています。
その一歩として、2025年冬には書籍の出版を予定しています。テーマは「非言語コミュニケーション」。言葉だけに頼らず、リアクションや表情、所作などを通じて想いを届ける力を育む一冊です。ビジネスパーソンはもちろん、学生や表現に苦手意識がある方にも届くよう、実践的でわかりやすい内容を目指しています。
また、「自分らしさを表現できるっていいよね」という風潮そのものを、少しずつ社会に広げていきたいという想いもあります。“うまく話せること”よりも、“自分の気持ちに正直であること”が尊重される空気が、もっと当たり前になっていくといいなと思っています。
さらに今後は、都市部に限らず地域とのつながりも深め、「関係人口」を増やしていくことにも力を入れていきます。
学生・企業・地域の人たちと心を通わせながら、全国各地で講演や研修を行い、一人ひとりの心に小さな火を灯すような対話や体験の場を届けていきたいと考えています。
他の経営者におすすめの本はありますか?
三浦崇宏さんの『言語化力 言葉にできれば人生は変わる』がおすすめです。
経営者にとって、自分の想いやビジョンを言葉にして、人を巻き込む力は欠かせません。この本は、自分の内側から言葉を見つけ出し、人の心を動かす力を育ててくれます。読んでいるうちに、不思議と元気も湧いてきますよ。ぜひ手に取ってみてください。
…そして、もう一冊。2025年冬に出版予定の私の本も、よかったらぜひ読んでみてくださいね。
ちゃっかり宣伝でした(笑)。
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投稿者プロフィール

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新入社員を含めたフレッシュなメンバーを中心に、出版サポートの傍らインタビューを行っております!
就活生に近い目線を持ちつつ様々な業種の方との交流を活かし、「社長に聞きたい」ポイントを深掘りしていきます。
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